介護職の個人目標|具体的な目標の立て方【具体例・例文あり】

現場ノウハウ

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更新日:2024/11/28

現在の介護の現場では、働くスタッフが一人ひとり目標を立ててキャリアプランを考えたり、自己評価するのが一般的になってきました。近年は国を挙げてキャリアパス制度を推進しているため、職歴に関係なく目標を立て、振り返りの機会をもつことが求められています。ここでは、キャリアごとに適切な目標の立て方を詳しく解説しています。 

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介護職員が目標を設定する理由

介護職員に限らず、仕事において個人目標を立てるのはとても重要なことです。

その理由として、以下があげられます。

  • モチベーション維持に繋がる
  • スキルアップに繋がる
  • キャリア構築に繋がる

モチベーション維持に繋がる

目標を設定することで自身の成長具合や達成度を明確化しやすくなるので、仕事に対してのモチベーションを高められます。また、目標を達成したときの達成感や自己肯定感を味わえるため、日々の仕事の中でポジティブな姿勢を保ちやすくなります。

スキルアップに繋がる

そして、自分が何をするべきかがわかれば、それに必要なスキルを身につけるきっかけにもなるでしょう。さらに、目標達成を意識することで自己学習や研修参加への意欲が高まり、結果として専門性や対応力が向上します。

キャリア構築に繋がる

目標設定は、自身がどのようなキャリアを目指したいかを知る指標にもなります。理想のキャリアを築くことで、仕事に対してのやりがいがさらに増えます。

特に近年では「キャリアパス制度」の推進が重要視されており、目標設定は欠かせない要素です。キャリアパス制度とは、職員が目標としているキャリアに必要なスキルや経験を可視化し、それをサポートするための仕組みです。また、長期的なビジョンを持つことで目の前の業務の意義が明確になり、組織内での役割や自己評価にも良い影響を与えるでしょう。

このように、目標設定にはさまざまなメリットがあるのです。とくに近年は「キャリアパス制度」の推進のため、目標設定が欠かせない要素となっています。

キャリアパス制度とは、職員が目標としているキャリアに必要なスキルや経験を可視化し、それをサポートするための制度のことです。

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目標設定の手順とポイント

目標設定の手順とポイントについて紹介します。目標設定をするときは、基本的に「目標設定シート」と呼ばれる用紙に内容を記載します。

目標設定では、以下のポイントを意識することが大切です。

  • 課題と自分の理想像を明確にする
  • 具体的な目標と達成方法を設定する
  • 目標達成のために必要な期間を設定する
  • 達成度を自己評価する
  • キャリアプランを考える

手順に沿って、それぞれのポイントを詳しく解説します。

課題と自分の理想像を明確にする

まずは自分の課題と理想像を明確にしましょう。自分にはどのような課題点があるのかを、仕事面やマナー面などのさまざまな角度から分析してみてください。その際、他者からのフィードバックを取り入れると、自己分析だけでは気づけない新たな視点が得られることもあります。

課題点が複数ある場合は、「どれを解決すれば自分にとって大きく成長できるのか」を目安にして、目標を絞り込むのもおすすめです。

具体的な目標と達成方法を設定する

具体的な目標を立てて、達成のために必要な方法を設定しましょう。このときに抽象的な目標を立ててしまうと、達成しているのかが曖昧となりやすいです。

そのため「1日○回以上利用者さんと交流する」「○○の資格を取得する」など、達成の有無が明確な目標を立てることが大切です。

また、目標は必ず実現可能な範囲で設定しましょう。現状とは大きくかけ離れた目標にすると、モチベーションが保てずに途中で挫折してしまう原因となります。

目標達成のために必要な期間を設定する

目標達成のために具体的な期間を設定することも重要です。期間を明確にすることで、行動計画に締め切り意識を持たせ、効率的な進捗管理が可能になります。

例えば、先述した「1日○回以上利用者さんと交流する」「○○の資格を取得する」などの短期目標を設定し、段階的に進めていく方法が効果的です。また、期間を設定することで計画的に時間を確保でき、日常業務とのバランスを取りやすくなるという利点もあります。目標を達成するための具体的なスケジュールを立てることで、目標達成への道筋がより明確になるでしょう。

達成度を自己評価する

目標に近づいているかを確認するために、定期的に達成度を評価しましょう。

目標までの進捗状況を確認しておかないと、達成できるのか不安になるだけでなく、モチベーションの低下にもつながります。

一定期間が経過したら進捗状況だけでなく、どの点が良かったのか、どの点が足りないのかを評価・分析して、軌道修正を図ります。

このときに、立てた目標の難易度が高すぎると判断した場合は、再度設定し直すのも良いでしょう。逆にすぐに目標を達成してしまう場合は、難易度を高めに設定してみてください。

キャリアプランを考える

目標設定する際は、自分のキャリアプランについても考えてみましょう。キャリアプランを考えておくと、目標に必要な課題が明確となります。

キャリアをイメージしながらプランニングすることで、自分にどのようなスキルや資格が必要か、あるいは不要なのかを把握可能です。

キャリアプランを立てて目標に必要な課題をクリアできれば、モチベーションの維持・向上につながります。

個人目標設定シートに記入する際の注意点

個人目標設定シートは、誰が読んでもわかりやすいように記入することが大切です。その他にも場面に応じた注意点があるので、その詳しい内容についてみていきましょう。

理想や行動目標が明確な場合

自分の理想像や行動目標が明確にある場合、その内容について具体的に記入しましょう。たとえば、「利用者さんと積極的に交流したい」「介助スキルを磨きたい」といった理想や目標があるとします。

目標が抽象的すぎるとどのような行動をすれば良いのか、どこまでが達成基準なのかが不明瞭となります。

より内容を深堀りして、「毎日全員の利用者さんと挨拶する」「移乗介助のスキルを磨きたい」などにすると、やるべき課題がわかりやすくなるでしょう。

取得したい資格が明確な場合

取得したい資格が明確な場合は、そのために必要な知識やスキルの獲得を洗い出して記入しましょう。介護関連にはさまざまな資格が存在します。

そのなかで自分の欲しい資格があったとしても、どのような知識・スキルが必要なのかがわからないと、取得は難しいでしょう。

取得したい資格についてよく調べたうえで、そのために必要な要素を整理してみてください。資格取得のためのプランを組み立てることで、効率的に目標を達成できるようになります。

目標が思い浮かばない場合

目標が思い浮かばない場合は、自分の現状や将来のキャリアについて見直してみましょう。たとえば、自分が日々の業務で感じている課題や困難なことをリストアップしてみるのも一つの方法です。

また、上司や同僚に相談して意見を聞くことで、新しい視点や気づきを得られる場合もあります。さらに、自分がこれまでに達成してきたことや得意な分野を振り返ると、そこから新しい目標を見つけるヒントが得られるかもしれません。

勤続年数別の目標設定例

新人がベテラン並みの目標を設定するのが難しいように、勤続年数や経験ごとに適切な目標は変化します。ここでは勤続年数別の目標設定例についてご紹介します。

新人職員(1~3年)の目標設定例

経験年数1〜3年の新人や若手の職員は、まずは新しい業務を覚えて仕事に慣れる必要があります。そのため、仕事に必要な基本的なスキルや知識の習得を目標に設定することをおすすめします。

この段階では目標を高くしすぎず、仕事の基礎的な部分や社会人としてのマナーなどを固めるようにしましょう。

  • 目標の例文

【良い例】
・1ヵ月以内に利用者さんの顔と名前をすべて覚える
・気になる点はメモして残し、先輩へ報告・連絡・相談すべきことがあればその日のうちに行う
・1日に5回以上自分から利用者さんに話しかける

【悪い例】
・利用者さんの顔と名前をなるべく早く覚える
・わからないことがあれば先輩に相談する
・利用者さんにたくさん話しかけるようにする

目標は難しくしすぎないように設定する必要がありますが、簡単過ぎるのもおすすめできません。自身の成長につなげるためにも、ハードルを1段階上げた内容を設定することを意識しましょう。

また、漠然とした目標にするのではなく、期限や回数などの数値目標を設けると達成具合がわかりやすくなります。

  • 目標にするべき資格・研修

この時期で目標にするべき資格・研修には、「介護職員初任者研修」があげられます。介護職員初任者研修とは、介護職として働くうえで必要となる基礎的な知識や技術などを学べる研修です。

介護職として働きはじめる職員にとっては、受けておきたい研修といえるでしょう。

介護職員初任者研修を取得し、さらに実践的な学習をしたい場合は、「介護福祉士実務研修」の取得もおすすめです。

介護福祉士実務研修とは、国家資格である介護福祉士を受験するために必要な研修のことです。今後、介護福祉士の資格の取得を検討している方は、ぜひ受講してみましょう。

国家試験の受験のためだけでなく、実践的な知識や技術も学べるので、質の高い介護サービスの提供につながります。

中堅職員(4~9年)の目標設定例

新人や若手の時期を過ぎ、中堅と呼ばれる経験年数になった介護職員は、基礎的な知識やスキルは概ね習得済みでしょう。

そして、スタッフに教わる側ではなく、徐々に教える側にシフトチェンジしていく時期です。

この時期では、さらなるステップアップのために、より専門的な知識の習得やチームマネジメントスキルの獲得を目指しましょう。

  • 目標の例文

【良い例】
・教育システムを見直し、3ヵ月以内に新しいプログラムを導入する
・オリジナルのレクリエーションを毎週1つ以上作成する
・介護福祉士の資格を取得するために、毎日1時間以上、休日は3時間以上勉強し、試験日までに最低でも問題集を10周する

【悪い例】
・新人の教育体制を新しくする
・新しいレクリエーションを定期的に作成する
・介護福祉士の資格を取得する

具体的な目標を掲げることは、新人だけに限らず共通して重要なポイントです。中堅の職員は後輩に指導する機会も増えるので、教育関係の領域にも携わるのもおすすめです。

ベテランの職員と比べると新人時代の記憶も新鮮なので、中堅だからこそ生まれるアイデアもあるでしょう。

その他にもレクリエーションを率先して企画したり、より難しい資格にチャレンジしたりすれば、さらに介護職としての経験を積むことが可能です。

  • 目標にするべき資格・研修

先ほど説明した通り、中堅職員で目標にするべき資格としては、以下がおすすめです。

・介護福祉士
・ケアマネジャー(介護支援専門員)
・社会福祉士

介護福祉士とは、介護に関係する高い知識や技術を保有していることを証明する国家資格です。介護福祉士を取得するには、介護福祉士実務研修の修了と、3年以上の実務経験が求められます。

ケアマネジャーは、事業所と連携してケアプランを作成し、利用者に適切な介護サービスを提供できるようにするスペシャリストです。

介護資格のなかでも、もっとも難易度の高い資格といえるでしょう。

ケアマネジャーになるには、介護福祉士や看護師などの実務経験が5年以上で、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、「介護支援専門員実務研修」の課程を修了する必要があります。

社会福祉士とは、高齢者や障害者などの生活に困っている方の相談に乗り、適切な医療・介護サービスを利用できるような支援を行う国家資格です。

受験資格を得るには、福祉系の大学で指定科目を履修する、相談援助業務の実務経験を4年以上積み、一般養成施設で1年以上修学するなどがあげられます。

ベテラン職員(10年以上)の目標設定例

ベテランと呼ばれる経験年数になると、中堅以上にスタッフをまとめる立場になっていきます。現場でのチームマネジメントに携わるだけでなく、管理者や責任者などの役職に就くケースもあるでしょう。

そのため、マネジメントスキルの他にも、経営に必要な知識についても目標に落とし込むことが大切です。

  • 目標の例文

【良い例】
・働き方に対しての見直しを行い、前年度よりも離職率を○%下げる
・仕事で頻発する介護事故をもとに対応マニュアルを作成し、前年度の介護事故の件数を半分に減らす
・職場内での業務に関するアンケートをとり、その内容をもとに半年以内にOJTシートの導入をする

【悪い例】
・職員の離職率を減らす
・介護事故を起こさないように呼びかける
・新たな教育体制を整える

ベテランになると教育だけでなく、経営に関するサポートもする機会があるでしょう。そのため、さらに視野を広げて職場全体のことを考えた目標設定をすることが大切です。

目標の規模が大きい分、達成までのプロセスが複雑化しやすいので、アバウトな内容では頓挫の恐れがあります。

なるべく定量的に目標を設定するように心がけましょう。

  • 目標にするべき資格・研修

ベテラン介護職員が目標にすべき資格・研修としては、以下の通りです。

・認定介護福祉士
・主任ケアマネジャー

この2種類の資格は「介護福祉士」と「ケアマネジャー」の上位にあたる資格といえます。

中堅のときに介護福祉士やケアマネジャーを目標にしており、かつ取得していた場合は、これらの上位資格を目指してみましょう。

どちらも取得しておくことで行える仕事の範囲が広がるだけでなく、信頼性がアップするでしょう。

介護職員処遇改善加算のキャリアパス制度とは

介護職員の賃金改善を図るための加算である「介護職員処遇改善加算」を算定する場合、キャリアパス制度の導入と職場環境を改善する取り組みが求められています。

冒頭でも説明したように、キャリアパス制度とは、介護職員がキャリアアップするために必要な要素をサポートする制度です。

介護職員処遇改善加算の種類によって求められるキャリアパスの内容が異なり、そのなかには賃金体系の整備や研修の実施、昇給の仕組みの設定などがあげられます。

このキャリアパス制度があることで、自身の段階に応じた目標が明確となり、イメージしているキャリアをスムーズに歩めるようになるのです。
▶︎介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件

経験年数に適した目標設定でキャリアアップを

目標を設定することは、仕事に対するモチベーションの維持やスキルアップのためには欠かせない要素です。

介護職員が目標を設定する際は、理想像をイメージして、それに近づくためにはどのような課題を解決すべきなのかを具体的に記入することが大切です。

また、経験年数によっても達成すべき目標が異なるので、どのような内容にすれば良いかわからない方は今回の記事を参考にしてみてください。

介護職員の待遇改善のために、キャリアパス制度の導入も推進されているので、こちらに関してもチェックしてみましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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