介護保険請求の返戻エラーコード対策

介護保険法

介護報酬請求

更新日:2024/11/05

介護事業者が介護保険給付費を請求する際、請求情報に何らかの誤りがあった際は「返戻」という扱いになり、対処が必要です。この記事では、国保連の審査支払の基本的な仕組みから返戻時に確認すべき項目、代表的なエラーコードの対処法について詳しく解説しています。

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介護報酬のエラーコードとは

国保連合会に介護保険給付費を請求した際に、その内容が誤っていた場合は返戻となります。どのような問題があったのかは、エラーコードでわかるようになっています。

ここでは、エラーコードや返戻、国保連への請求の仕組みなどについてみていきましょう。

返戻とエラーコードの基礎知識

返戻とは、介護保険給付費を国保連へ請求したときに、その記入内容に誤りがあって事業所に差し戻されることです。

返戻が起こると給付費を受け取れなくなるので、書類を修正して再申請しなければいけません。

エラーコードとは、返戻となった理由をコード化して表したものです。エラーコードは、返戻されたときに送られてくる「返戻一覧表」に記入されています。

コードにはさまざまな種類があり、その内容を把握することで問題となった部分を特定できます。

返戻については以下の記事で基礎知識を紹介しています。介護保険請求と返戻について知りたい方はぜひ参考にしてください。
介護保険請求の返戻とは?理由と再請求の仕方を解説

国保連の審査支払の仕組みと流れ

国保連は、以下の4つの情報をもとに審査支払を行っています。

  1. 給付管理票(ケアマネジャーが作成・提出)
  2. 請求情報(事業所が作成・提出)
  3. 受給者台帳(保険者が作成・提出)
  4. 事業所台帳(都道府県や市区町村が作成・提出)

これらの情報が一致していれば、国保連から給付費の支払いが行われます。しかし、それぞれのデータが一致していない場合は返戻となり、再度請求が求められるのです。

介護報酬の請求ルールは以下の記事で紹介していますので、ぜひご一読ください。
介護報酬の請求方法とは?仕組みや流れをわかりやすく解説

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エラーコード発生時の対処法

出典:介護給付費請求の手引き   (審査支払結果帳票の解解)(2024年1月29日確認)

返戻となった場合、エラーコードが記入された返戻一覧表が送られてきます。エラーコードからどこに誤りがあるのかを特定し、記入情報を修正しましょう。

ここでは、エラーコードの種類ごとの対処法について解説します。

確認するべき項目

返戻一覧表で確認すべき項目は、エラーコード以外に以下があげられます。

  • 事由
  • 種別
  • 内容

ここではそれぞれの内容について詳しくみていきましょう。

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返戻事由Aとは

返戻一覧表の「事由」欄にはアルファベットが記入されており、問題の原因によって内容が変化します。

返戻事由Aは、「一次チェック」と呼ばれる審査の段階で、請求データの内容に誤りがあったことを示すものです。

請求情報だけでなく、保険者の台帳情報に入力の間違いがある可能性もあります。返戻一覧表では、この事由欄や内容欄、エラーコードを参考に具体的な問題を特定します。

返戻事由Bとは

返戻事由Bは、「資格チェック」と呼ばれる審査の段階で、以下のような原因があることを示すものです。

  • 「請求情報または給付管理票」と「受給者台帳・事業所台帳」の情報が一致しない
  • 書類がすでに請求済みとなっている
  • 登録していない給付管理票を修正をする

事由Bの原因はさまざまなので、エラーコードを確認しながら特定・修正をしましょう。

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返戻事由Cとは

返戻事由Cは、請求情報と給付管理票の内容が一致していないことを示すものです。事由Cの場合、エラーコードの欄には「返戻」以外にも「保留」となることがあります。

種別とは

種別の欄には、何が返戻になったのかが記入されています。

種別に記入される内容と意味は以下の通りです。

  • 請:請求明細書
  • サ:サービス計画費
  • 給:給付管理票
  • ケ:介護予防ケアマネジメント(総合事業の場合のみ)

内容とは

内容の欄には、書類が返戻(または保留)となった原因が記入されています。事由やエラーコードとともに、返戻の原因の参考にしましょう。

エラーコード別対処法と解決ステップ

エラーコードは内容によって対処法が異なるため、それぞれの意味を把握しておくことが大切です。ここでは、おもなエラーコード別の対処法と解決法について解説します。

「12PA」の対処法

12PAは、被保険者の要介護認定が変更申請中(または更新申請中)で、要介護がまだ確定していないタイミングに請求したときのコードです。

12PAとなるおもな原因は以下の通りです。

  1. 申請時の登録情報に誤りがある
  2. 要介護認定の変更申請中であることを忘れている
  3. 認定結果が出ていても、国保連にその情報が届いていない

1と2が原因の場合は、記入情報の再確認や保険者への連絡などの対処をしましょう。3が原因の場合は、認定結果の情報が届く来月まで待ってから、再度請求をする必要があります。

「12P4」と「12P5」の対処法

12P4と12P5は、保険者(市町村)の認定情報と請求内容が一致しないときのコードです。

それぞれの詳しい原因は以下の通りです。

【12P4】

  • 給付管理票またはサービス計画費の事業所番号が間違っている

【12P5】

  • 受給者台帳の居宅サービス計画作成区分と一致しない
  • 受給者台帳の居宅サービス計画作成区分が「自己作成」となっている

対処法としては、いずれも利用者の居宅支援事業所として、該当月以前に保険者に届出をしているか確認しましょう。

届出をしている場合、正しい内容に修正するか、保険者の登録に誤りがあるのであれば連絡をしてください。

「ADD0」と「ADD1」の対処法

ADD0は事業所番号または対象年月が事業所基本台帳に登録されていないときのコードです。

一方で、ADD1はサービスコードまたは支援事業所の事業所番号が、サービス台帳に登録されていないときに表示されるコードです。

ADD0とADD1の原因は以下があげられます。

  • 給付管理票に誤った事業所番号を記入している
  • 事業所番号の変更をした場合、以前の番号を記入している

いずれも、事業所番号をはじめとした項目の記入ミスがないかを確認しましょう。記入内容に問題がない場合は、保険者に確認をしてください。

「AEF0」と「AEFB」の対処法

AEF0とAEFBは、サービスの利用可能日数や受給可能日数を超えて請求したときのコードです。AEFBの場合、「福祉用具の貸与」のサービスでのみ発生します。

AEF0とAEFBは、以下のようなケースで発生しやすいといえます。

  • 月の途中で要介護の認定を受けた
  • 月の途中で認定資格を喪失した

対処法としては、いずれも利用者の受給者証で認定日や喪失日をよく確認しておくことが大切です。

そのうえで、給付費明細欄にある回数や、請求額集計欄のサービス実日数を確認し、必要に応じて修正しましょう。

「12PC」の対処法

12PCは、市町村の「特定入所者認定」と相違がある場合のコードです。

12PCの原因としては、以下の通りです。

  • 特定入所者で申請していない、または該当者ではないのに請求明細書を提出した
  • 受給者台帳の特定入所者認定の内容が誤っている

対処法としては、通常の受給者として請求するか、保険者に連絡をしましょう。

「12SA」と「ASSA」の対処法

12SAとASSAは、保険請求額や給付率が異なったときのコードです。12SAのエラーとなった場合、基本的にASSAとセットでコードが表示されます。

これらのエラーがあった場合は、被保険者証や計算を再確認して、正しい内容に修正しましょう。正しい請求であれば、保険者に連絡をしてください。

参考:神奈川県国民健康保険団体連合会|5.返戻(保留)事由の解説(2024年1月29日確認)

エラーコードを把握して正しい請求情報の記入を

エラーコードとは、国保連への請求で返戻扱いとなったときに送られてくる「返戻一覧表」に記載されているものです。

エラーコードにはさまざまな種類があり、内容によってどこに誤りがあったのかを特定できます。この記事にないエラーコードに関しては「介護保険審査チェックエラーコード一覧」などを検索し、参照するとよいでしょう。

事業所が請求エラーを防ぐためには、国保連への請求に必要な情報をよく確認し、正しい内容を記入することが大切です。

返戻になると再請求の手間となり、それまで給付費を受け取れなくなるので、エラーが起こらないように余裕を持って手続きを進めていきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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