ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/08/02
介護現場では、利用者の尊厳を守った介護サービスの提供が求められています。しかし、介護における尊厳とは何か?具体的に何をすればよいのか?など、現場レベルの理解に悩む人も少なくありません。ここでは、介護現場で行うべき具体的な「尊厳を維持した介護」について解説しています。
この記事の目次
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尊厳とは、「尊くおごそかなこと」や「気高く犯しがたいこと」などの意味を持つ言葉です。尊厳は誰もが持っているものであり、それは介護サービスを利用している利用者も同様です。
介護現場で利用者の尊厳を保持するためには、その方の気持ちを尊重し、適切な介護サービスを提供することが求められます。
また、尊厳について言及されている法律も多く、例として以下があげられます。
このように、人の尊厳は医療や介護に限らず、重要な意味を持っていることがわかるでしょう。
参考:日本国憲法(2024年2月25日確認)
参考:医療法(2024年2月25日確認)
参考:社会福祉法(2024年2月25日確認)
参考:障害者基本法(2024年2月25日確認)
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介護保険法で定められている、「尊厳の保持」に関する記載は以下のとおりです。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
引用元:厚生労働省|介護保険制度全体を貫く理念(2024年2月25日確認)
このように、介護保険法では、介護利用者が尊厳を保持し、利用者の能力に応じた生活を送れるような支援を目指しています。
具体的には、以下のような支援が重要といえます。
介護現場で尊厳の保持が重要視されている理由は、利用者の健康や自己肯定感を維持するためです。尊厳の保持によって、その方の自尊心を守ることが可能です。
しかし、人として当たり前の権利である尊厳が損なわれると利用者の自尊心が傷つき、心身に悪影響をおよぼします。結果的にサービスの質を高められず、利用者の満足度も低下する原因となります。
利用者が自分らしい生活を送れるようにサポートするには、尊厳を保持できるように接することが大切です。また、管理者だけでなく、スタッフも尊厳の保持について十分に理解しておく必要があります。
利用者の尊厳を守るためには、以下の3つの原則をおさえておくことが大切です。
ここでは、それぞれの原則について詳しく解説します。
尊厳を守るためには、利用者の残存能力をうまく活用しながら、生活を送れるようにすることが大切です。たとえば、腕の力はあるものの、足の筋力低下で歩行時にふらつく方がいるとします。
腕の力は十分なので、杖や歩行器などの歩行補助具を用意すれば歩行時の安定性が高まり、転倒やふらつきのリスクも軽減できるでしょう。
このような残存機能を活用させるためには、「ノーマライゼーション」の理念をおさえておくことも必要です。ノーマライゼーションとは、「どんな方でも普通の生活や権利が保障されること」を目指すための理念です。
介護現場ではこのノーマライゼーションの理念を意識し、利用者一人ひとりにあわせたサポートの提供が求められます。
参考:東北福祉大学|ノーマライゼーション(2024年2月25日確認)
2つ目は、以下のような接遇マナーを施設全体で徹底することです。
利用者の尊厳を保持するためには、失礼のないように接することが求められます。とくに注意すべきタイミングは、利用者との信頼関係がある程度築けている時期です。
この時期は利用者との距離が短くなり、つい配慮のない言動や行動をしてしまいがちです。利用者と仲良くするのも大切ですが、マナーを守ることを忘れないようにしましょう。
これは、認知症や脳卒中などの病気で理解が難しい利用者の場合でも同じことがいえます。
接遇マナーについては以下でも詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護の接遇マナーとは?5原則と正しい言葉遣いや身だしなみなどを解説
3つ目は、虐待や身体拘束の防止です。虐待や身体拘束は、利用者の尊厳を犯す行為です。
そのため、接遇マナーと同じように、守るべきルールとして施設全体で徹底しましょう。認知症や脳卒中などの病気の影響で理解が得られない場合でも、まずは利用者を尊重して別の対応を検討することが優先されます。
やむを得ない場合に限り身体拘束をするケースはゼロではありませんが、それは最終手段として考えておきましょう。
実際に、尊厳を保持した介護とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、具体的な例をあげながら解説します。
身体面の支援で大切なことは食事や運動など、本人が行う活動に対する尊重です。そして必要に応じた医療ケアの提供は、身体的な尊厳を守ることにつながります。
身体面の具体的な支援内容は以下のとおりです。
転倒予防に関して以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
▶高齢者の転倒リスク|施設内のリスク軽減と転倒事故を防ぐ介助・支援方法
精神面の支援で大切なことは、個人の考えや価値観などの理解・尊重です。精神的な尊厳を保持するには、人によって異なる文化や性格などを認めることが必要です。
介護を通して精神面の支援をすれば、利用者が自由に気持ちを伝えられる環境を作れます。
精神面の具体的な支援内容は、以下のとおりです。
プライバシー保護に関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護のプライバシー保護の取り組み|事例・気を付けることなど徹底解説
社会面の支援では、利用者ごとの社会的な関係性を維持できるようにすることが大切です。
利用者の社会参加の機会を増やす方法は、イベントやアクティビティへの参加を促す、家族・友人の関係性をサポートするなどがあります。このように、社会的なつながりを維持することで、利用者の尊厳の保持が可能です。
社会面の具体的な支援内容は、以下のとおりです。
介護における傾聴については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護における傾聴とは?高齢者とのコミュニケーション術・傾聴力を上げるポイント
尊厳を傷つける介護の事例は、以下のとおりです。
【身体的な尊厳を傷つける事例】
【精神的な尊厳を傷つける事例】
まずおさえておきたいのが、これらの事例は「高齢者虐待」に該当する点です。尊厳を傷つけるような事例を回避するためには、どのような対応がいけないのかをスタッフに教育する必要があります。
尊厳を傷つけるような介護が発覚した場合、事業所の信頼が著しく低下する可能性もあります。尊厳を守った介護サービスを徹底し、利用者や家族との関係性を良好に保つことを心がけましょう。
言葉の暴力に関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護職の「言葉の暴力」とその事例|「言葉の暴力」の定義や適切な対応方法とは
参考:虐待の種類と程度|高齢者虐待防止と権利擁護 – 東京都福祉局(2024年2月25日確認)
介護現場では、利用者の尊厳を保持しながら介護サービスを提供する必要があります。利用者の尊厳を守るには、基本的なマナーの徹底はもちろん、ノーマライゼーションの理念を意識することが重要です。
そして身体面や精神面、社会面などのさまざまな視点で利用者を支援することが求められます。また、尊厳を傷つける行為にはどのような例があるのかを、介護スタッフに共有しましょう。
今回の記事を参考にして、尊厳を保持する介護サービスを心がけてみてください。
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