デイサービス立ち上げの助成金|雇用・設備投資に使える助成金・地方自治体が提供する補助金について

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更新日:2024/04/18

デイサービスを立ち上げる際は、人材雇用や設備投資などさまざまな面から資金が必要になります。創業時の負担を軽減するため、国が決めたさまざまな助成金や補助金が用意されていますので、そちらを活用するとよいでしょう。ここではデイサービスの助成金・補助金の種類や内容について解説しています。

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助成金・補助金とはなにか?

まずは助成金や補助金についておさえておきましょう。助成金や補助金とは、事業所の取り組みをサポートするために国や自治体から支給される資金のことです。

金融機関からの融資とは異なり、どちらも支給後に返済する必要がない点が大きな特徴です。助成金と補助金には、支給額や交付のしやすさなどの違いがあります。

助成金は、一定の要件を満たしていれば交付を受けられます。一方で、補助金は助成金よりも支給金額が多い傾向にありますが、申請をしても交付されない場合がある点に注意しましょう。

この記事では、開業時に使える助成金・補助金をご紹介しています。

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デイサービスの開業・立ち上げ時に利用できる補助金・助成金

ここからは、デイサービスで利用できる補助金と助成金について解説します。

デイサービスの立ち上げ時に利用できるのは、以下のとおりです。

  • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • IT導入補助金
  • 事業再構築補助金

ここでは事業再構築補助金について詳しく解説し、その他の補助金・助成金については後述します。

介護の起業に関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
介護事業で起業する手順|稼働率の高い施設運営のための起業・運営ノウハウ【必要資金・ムダのない事前準備】

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事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスによる社会の変化に対応するための事業再構築の支援を目的とした補助金です。

事業再構築補助金には「成長枠」や「最低賃金枠」などの枠が設けられており、それぞれ補助金の額や要件が異なります。

例として、成長枠の補助上限額や要件などを以下の表にまとめました。

補助上限額
  • 従業員20人以下:2,000万円
  • 21〜50人:4,000万円
  • 51〜100人:5,000万円
  • 101人〜:7,000万円
補助率
  • 中小企業:1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
  • 中堅企業:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2)
要件
  1. 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  2. 補助事業終了後に一定の付加価値額を向上させること
  3. 取り組む事業が過去から今後までの10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
  4. 事業終了後の3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

参考:事業再構築補助金|企業の思い切った事業再構築を支援(2023年3月10日確認)

デイサービスの雇用に関係する補助金・助成金

ここでは、デイサービスの雇用に関係する補助金・助成金について解説します。

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トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金とは、職業経験の不足によって就職が難しい求職者に対して支給される助成金です。ハローワークや職業紹介事業者などの紹介で一定期間トライアルとして雇用をした場合に支給されます。

トライアル雇用助成金の要件や支給額は、以下の表のとおりです。

要件
  • 1週間で30時間以上の労働時間の無期雇用を希望し、トライアル雇用による雇入れについても希望している
  • ハローワークや民間の職業紹介事業者などに求職申し込みしている
  • 学校に在籍していない、トライアル雇用労働者ではないなどの条件に当てはまる
  • 次のいずれかに該当している

1)紹介日前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している
2)紹介日前日時点で離職している期間が1年を超えている
3)妊娠や出産などを理由に離職し、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
4)生年月日が1968年4月2日以降で、安定した職業に就いていない
5)生活保護受給者や母子家庭などの特別な配慮を要する

支給額 支給対象者1人につき月額4万円
支給対象期間 雇入れの日から1ヵ月単位で最長3ヵ月間

参考:厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(2024年3月10日確認)

特定求職者雇用開発助成金

特等求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障害者などの就職困難者をハローワーク等の紹介で雇用したときに受給できる助成金です。

特定求職者雇用開発助成金には「特定就職困難者コース」や「生涯現役コース」などのさまざまなコースに分かれており、助成金額や要件が異なります。

ここでは例として、「特定就職困難者コース」の支給額や要件についてみていきましょう。

【支給要件】

  • ハローワークや民間の職業紹介事業者等の紹介による雇入れ
  • 雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れたうえで、継続雇用が確実であると認められる
対象労働者 支給額 助成対象期間
短時間労働者以外 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母等 60万円(50万円) 1年
重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円(50万円) 2年(1年)
重度障害者等 240万円(100万円) 3年
(1年6ヵ月)
短時間労働者 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母等 40万円(30万円) 1年
重度障害者等を除く身体・知的障害者 80万円(30万円) 2年(1年)

※( )は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間

参考:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)(2024年3月10日確認)

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)

人材確保等支援助成金とは、人材の確保や定着のために労働環境の向上を図る事業所に対して支給される助成金です。

人材確保等支援助成金にはさまざまな種類があり、そのうちの「人事評価改善等助成コース」について解説します。

人材評価改善等助成コースとは、人事評価を整備して生産性の向上や離職率の低下などを図る事業所に支給されるものです。

受給要件や受給額は以下の表のとおりです。

要件
  • 人事評価制度等整備計画の認定
  • 人事評価制度等の整備・実施
  • 賃金の増加または、増加した賃金の引き下げがない
  • 人事評価制度等の実施日の翌日から1年経過するまでの期間で、前1年間よりも離職率が低下している
(事業所の人数規模に応じて離職率の条件が変動)
支給額 目標達成助成:80万円

参考:厚生労働省|人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)(2024年3月10日確認)

デイサービスの設備投資に利用できる補助金・助成金

デイサービスの設備投資をするときにも、補助金や助成金は役立ちます。ここでは、設備投資の際に利用できる「IT導入補助金」について解説します。

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IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツールの導入を支援する補助金です。

2024年度のIT導入補助金は、以下の5つの枠に分かれています。

  1. 通常枠
  2. インボイス枠(インボイス対応類型)
  3. インボイス枠(電子取引類型)
  4. セキュリティ対策推進枠
  5. 複数社連携IT導入枠

それぞれの目的にあった補助金の申請が可能です。IT補助金についてさらに詳しい情報を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶️【2023年度版】介護分野のIT導入補助金の申請方法・申し込み・相談窓口・スケジュール

参考:トップページ|IT導入補助金2024(2024年3月10日確認)

デイサービスで利用できるその他の補助金・助成金

デイサービスの開業や設備投資以外で利用できる補助金・助成金は以下のとおりです。

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)
  • 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
  • 中途採用等支援助成金
  • 65歳超雇用推進助成金
  • 両立支援等助成金

ここでは、それぞれの助成金について詳しく解説します。

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キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金の「正社員コース」とは、非正規雇用の労働者を正社員化する取り組みを実施している事業所に支給される助成金です。

正社員コースの要件や支給額は、以下の表のとおりです。

要件
  • 正規雇用労働者に転換する前日までに「キャリアアップ計画」を作成・提出している
  • 正規雇用労働者に転換する制度を就業規則等で規定している
  • 正社員化後の6ヵ月間の賃金が、正社員化前までの6ヵ月間の賃金よりも3%以上増額している
支給額 中小企業 有期雇用労働者:80万円
無期雇用労働者:40万円
大企業 有期雇用労働者:60万円
無期雇用労働者:30万円

参考:厚生労働省|「キャリアアップ助成金」を活用して従業員を正社員化しませんか?(2024年3月10日確認)
参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金「正社員化コース」を拡充しました!(2024年3月10日確認)

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

働き方改革推進支援助成金の「勤務間インターバル導入コース」とは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む事業所に対して支給される助成金です。

勤務間インターバル制度とは、スタッフが次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで生活や睡眠時間を確保し、健康の維持・過重労働の防止を図るものです。

勤務間インターバル導入コースの目標や支給額を以下にまとめました。

【支給対象の取り組み】

いずれか1つ以上の実施

  1. 労務管理担当者の研修
  2. 労働者への研修や啓発
  3. 外部専門家によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
  5. 人材確保のための取り組み
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計の導入・更新
  9. 労働能率の増進に関する設備や機器の導入・更新

【成果目標の設定】

取り組みに対して、以下の成果目標の達成が必要

  • 勤務間インターバルの新規導入
  • 勤務間インターバルの適用範囲の拡大
  • 勤務間インターバルの時間延長

【支給額】

  • 取り組みの実施に要した経費の一部を支給
  • 対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額を助成(上限額は以下の表を参照)
休息時間が9時間以上11時間未満休息時間が11時間以上
「新規導入」に該当する取り組み80万円100万円
「適用範囲の拡大」または「時間延長」に該当する取り組み40万円50万円

参考:厚生労働省|働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)(2024年3月10日確認)

中途採用等支援助成金

中途採用等支援助成金は、「中途採用拡大コース」と「UIJターンコース」の2種類に分かれています。中途採用拡大コースは、中途採用率の拡大を図る事業所に対して支給される助成金です。

一方で、UIJターンコースは、東京圏からの移住者を採用した事業所に対して支給される助成金です。

ここでは、中途採用拡大コースの要件や支給額について以下の表にまとめました。

要件
  • 中途採用によって雇用する
  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用する
  • 期間が決められていない労働者を雇用する
  • 雇用前日から1年間の間で当該事業所で働いたことがない
  • 中途採用計画を作成し管轄の労働局に届け出る
  • 中途採用計画期間内に労働者の雇用や中途採用率などを上げる
支給額 【中途採用率の拡大】
50万円

【45歳以上の中途採用率の拡大】
100万円

 

参考:厚生労働省|中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)をご活用ください(2024年3月10日確認)

65歳超雇用推進助成金

65歳超雇用推進助成金は、以下の3つのコースに分かれています。

65歳超継続雇用促進コース65歳以上の定年の引き上げや定年の廃止などを実施した事業所に支給される
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース高年齢者向けの雇用管理制度等を整備した事業所に支給される
高年齢者無期雇用転換コース50歳以上で定年年齢未満の労働者の雇用期間を無期限にした事業所に支給される

ここでは、65歳超継続雇用促進コースの要件や支給額についてみていきましょう。

要件
  • 就業規則に定年引き上げや定年廃止などの制度を実施し、労働基準監督署へ届け出る
  • 就業規則の内容を調整するために専門家やコンサルタントに相談し、経費を支出する
  • 高年齢者雇用推進者を選任し、作業方法や職域の改善などの高年齢者強管理に関する措置を1つ以上実施する
支給額の例 【65歳への定年引き上げ】
15万円〜

【定年の定めの廃止】
40万円〜

※対象被保険者数1〜3人の場合定年引き上げ年齢や対象被保険者数に応じて金額は変動

参考:厚生労働省|65歳超雇用推進助成金(2024年3月10日確認)
参考:高齢・障害・求職者雇用支援機関|65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)(2024年3月10日確認)

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、以下の5つのコースに分かれています。

出生児両立支援コース 男性労働者が育児休業を取得しやすい環境を整備し、実際に育児休業を取得した労働者がいた場合に支給される
介護離職防止支援コース 介護休業の取得や職場復帰がしやすい環境を整備し、実際に介護休業を取得、または介護の関係する制度を利用した労働者がいた場合に支給される
育児休業等支援コース 育児休業の取得や職場復帰がしやすい環境を整備し、実際に育児休業を取得した労働者がいた場合に支給される
不妊治療両立支援コース 不妊治療と仕事を両立できる環境を整備し、実際に不妊治療に関係する制度を利用した労働者がいた場合に支給される
育休中等業務代替支援コース
(令和6年1月より新設)
育児による休業・短時間勤務の利用者の代わりに業務をする労働者への手当、または代替のための新規雇用などを行った場合に支給される

例として、出生児両立支援コースの要件や支給額については以下の表のとおりです。

要件

【第1種(男性労働者の修正時育児休業取得)】

  • 育児に関する雇用環境整備を複数行っている
  • 育児休業取得者の代替となる労働者に対しての業務見直しを策定し、業務体制の整備を行う
  • 男性労働者は子の出生後8週間以内に開始する育児休業を連続で5日以上取得する

【第2種(男性労働者の育児休業取得率の上昇)】

  • 第1種の助成金を受給している
  • 育児に関する雇用環境整備を複数行っている
  • 育児休業取得者の代替となる労働者に対しての業務見直しを策定し、業務体制の整備を行う
  • 第1種申請の対象となる労働者の他に2人以上いる

以下はいずれかに該当している必要あり

  • 第1種の申請から3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率(%)が30ポイント以上上昇している
  • 第1種の申請年度に子が出生した男性労働者が5人未満かつ育児休業取得率が70%以上の場合、その後の3事業年度のなかで2年連続70%以上になる
支給額

【第1種】
20万円

【第2種】

  • 1事業年度以内に30ポイント以上上昇:60万円
  • 2事業年度以内に30ポイント以上上昇(または連続70%以上):40万円
  • 3事業年度以内に30ポイント以上上昇(または連続70%以上):20万円

参考:厚生労働省|2023年度両立支援等助成金のご案内(2024年3月10日確認)
参考:厚生労働省|不妊治療と仕事との両立を支援する助成金のご案内(2024年3月10日確認)
参考:厚生労働省|「育休中等業務代替支援コース」支給申請の手引き(2024年3月10日確認)

補助金・助成金に関する注意点

今回紹介した補助金・助成金に限らず注意しておきたいことは、それぞれの要件を満たしていないと利用できない点です。

補助金・助成金の種類によって要件は大きく異なるので、どの程度当てはまるのか、どのような準備が必要なのかをよく確認しておきましょう。

そして、補助金・助成金はずっと提供されているわけではありません。期間が設けられているものもあるので、利用したい補助金・助成金がある場合はなるべく早めに準備しておくことが大切です。

補助金・助成金が新しく設置されたり、要件が変更されることもあるので、常に最新の情報を収集しておきましょう。

介護報酬のタイムラグを埋めるファクタリングについて以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
介護報酬ファクタリング|メリットや選び方・資金繰り改善のポイント

デイサービスの立ち上げの際は助成金・補助金の活用を

デイサービスの立ち上げや運営に関して資金面の問題がある場合は、助成金や補助金の活用がおすすめです。デイサービスに関係する補助金・助成金はたくさんの種類があるので、状況に適したものを利用することが大切です。

また、助成金・補助金を受け取るには、指定された要件を満たす必要があります。活用した助成金・補助金を決めたら、その要件を満たせるように準備を進めていきましょう。

今回の記事を参考にして、どのような助成金・補助金があるのかを確認してみてください。

デイサービスの開業については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
デイサービス開業のすべて|必要な資金調達法から指定基準まで詳細ガイド

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ぜひ、これまでの介護ソフトとの違いをご覧頂ければと思います。



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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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