介護現場のIT化のメリット|改善可能な業務・導入手順・課題とは
運営ノウハウ
2024/10/09
運営ノウハウ
経営
更新日:2024/09/13
高齢者の増加と多様な介護ニーズに対応するためには、デイサービスの活用が欠かせません。最近では小規模デイサービスが増え、地域に密着した介護サービスの提供が展開されています。ここでは、デイサービス開業を目指す人に、必要な資金や開業方法などをご紹介していきます。
この記事の目次
デイサービスを開業するには人材を確保し、「人員基準」や「設備基準」などと呼ばれる基準を満たす必要があります。
一方で、開業するのに特別な資格は必要ないため、介護職でなくともデイサービスをはじめとした開業が可能です。
また、場所によっては市町村が居宅サービス等の供給量を調整できるような仕組みがあるため、事業所の新規開設が行えない場合もあります。
ここではデイサービス開業のために満たすべき指定基準について解説します。
デイサービスの開業で必要な人員基準は以下の表の通りです。それぞれの人員がどの程度必要なのかをよく確認しておきましょう。
管理者 | 常勤1名(資格は必要なし) |
---|---|
看護職員 | 看護師または准看護師が1名以上(常勤でなくとも良い) ※利用定員が10名以下の場合は、看護職員または介護職員のいずれか1名で良い |
介護職員 | 利用定員15名以下の場合は1名以上常勤の介護職員または生活相談員のいずれか1名以上 ※資格は必要なし |
機能訓練指導員 | 1事業所ごとに1名以上 ※機能訓練指導員になるには以下の資格が必要 ・看護師または准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 ・あん摩マッサージ指圧師 ・柔道整復師 ・鍼灸師 ※鍼灸師は現行の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの機能訓練指導員が配置されている事業所において、半年以上の実務経験を積むことが前提です。 |
生活相談員 | サービス提供時間数を通じて1名 ※生活相談員になるには以下の資格が必要 ・社会福祉士 ・社会福祉主事任用資格 ・精神保健福祉士 |
デイサービスの開業には、人員だけでなく設備も整えておく必要があります。
設備基準の詳細は以下の通りです。
食堂と機能訓練室は兼用することができます。合計面積が、利用者1人当たり3平方メートル以上あることが必要です。通路などの共有スペースは面積に含めることはできません。
個人情報が管理できる書庫や備品が収容できる程度の広さと、専用区画が必要です。広さの規定はなく、専用区画であればパーテーションでの仕切りも認められています。
プライバシーが守られるように個室が望ましいですが、パーテーションで仕切ることも可能です。広さの規定はなく、机やいすが置ける広さであれば相談室と認められます。
体調不良時などに休憩できるように専用のベッドを配置した部屋が必要です。
設備基準上設置が明記されているわけではありませんが、サービス提供する上で車椅子でも使用できる広さを確保したトイレが複数必要です。
設備基準上設置が明記されているわけではありませんが、入浴サービスを行う場合は、浴室の設置が必要です。
デイサービスの開業にあたって、運営基準の条件も満たす必要があります。運営基準とは、事業所の規模や営業時間、料金などの運営に必要な要件をまとめたものです。
この運営基準を満たすためには、運営方針や従業員の勤務表、提供するサービスの料金などを明確にする必要があります。その他にもさまざまな提出書類を求められます。
デイサービスの運営基準に関してさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ここでは、デイサービスを開業するまでの手順について解説します。
まずはデイサービスで提供するサービス内容やコンセプトを決めましょう。
デイサービスといっても、以下のようなさまざまなタイプがあります。
このように、どのタイプを選ぶのか、何を中心としたサービスにするのかなどを検討することが大切です。
また、コンセプトが決まったらどの程度の人材が必要なのかを調べたうえで、確保するための手段も考えておくと良いでしょう。
デイサービスの開業にあたって、法人設立の手続きと書類の準備も必要です。
おもな法人の種類とそれぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
株式会社 | 設立費用:20万円程度(資本金は別途必要) 設立完了期間:2週間程度 特徴:他の法人よりも知名度が高い |
---|---|
一般社団法人 | 設立費用:15万円程度 設立完了期間:2〜3週間程度 特徴:2人以上であれば設立可能 |
合同会社 | 設立費用:10万円程度(資本金は別途必要) 設立完了期間:1週間程度 特徴:株式会社よりも費用・期間ともに早い傾向にある |
NPO法人 | 設立費用:不要 設立完了期間:6ヵ月程度(都道府県の認可を受ける必要がある) 特徴:10名以上であれば設立可能 |
デイサービスは、表にあげたいずれの法人でも設立が可能です。とくに一人でも問題ない株式会社と合同会社は、他の法人よりも設立しやすいといえます。
また、開業に必要な書類には以下のようなものがあげられます。
開業申請する際は、書類の抜け漏れがないかよく確認しておきましょう。
場所によっては、開業前に自治体との事前協議が必要となるケースもあります。デイサービスを開設する際の施設基準が満たされているかを自治体が事前に確認します。
自治体の事前協議は必須ではなく、任意となる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
デイサービスとして使用する物件を契約し、施設基準を満たせるように内装工事を行います。施設基準では機能訓練室や食堂、トイレなどが必要となります。
そのため、十分な広さを確保しているか、安全性が高いかなどをよく考慮しておきましょう。
たとえ施設ができたとしても、基準が満たされていない場合は内装工事を再び行わなければいけません。その分費用や時間も余計にかかってしまうので、施設基準を遵守した工事を行うことが重要です。
必要な備品を調達しましょう。
デイサービスで用いられる備品としては、以下のようなものがあげられます。
この他にも数多くの備品が必要となるので、「サービス開始後に必要なものが用意されていない」という事態にならないように注意しましょう。
備品を用意する際は、事務用品や介護用品などが豊富に販売されている通販サイトまたは店舗での購入がおすすめです。
事業を開始するためには、所属している都道府県あるいは市区町村に届出をして、介護事業者として指定を受けることが必要です。
これを指定申請といいます。
新規の指定申請に必要な書類の例は以下の通りです。
これらの書類に抜け漏れがあると指定ができなくなる、あるいは遅れる可能性がある点に注意しましょう。また必要書類は地域によって異なる場合があるので、必ず都道府県・市区町村のホームページを確認してください。
デイサービスの開業に必要な費用は以下の通りです。
法人設立費 | 10〜30万円 |
---|---|
物件初期費用 | 約100万円 (家賃20万円で捕諸金/礼金2ヵ月・礼金・仲介手数料・前家賃がそれぞれ1ヵ月分計算) |
改修工事費 | 150万〜1,000万円 |
設備費 | 200万円~ |
車両費 | 100~300万円 |
最初の運転資金 | 数ヵ月分の人件費・家賃が最低限必要 |
開業にはさまざまな費用がかかるだけでなく、開業してからすぐに収入を得られるわけではない点に注意しましょう。
その点を念頭に置いたうえで、デイサービスを開業する際は、最低でも1,000万円以上、可能であれば2,000万円程度の費用を準備しておくことが望ましいです。
デイサービスを開業するにあたって、資金調達するには以下のような方法があげられます。
ここではそれぞれの方法について詳しく解説します。
自己資金を活用することが、開業するにあたってもっともリスクが少ない方法といえるでしょう。自己資金をうまく活用すれば、外部機関を利用する際に返済を過剰に心配する必要もありません。
ただし、多くの自己資金を用意すると日常生活に支障をきたす恐れもある点に注意しましょう。自己資金を活用する際は、生活に必要な費用とのバランスをよく考えることが重要です。
銀行で融資を受けることは、資金を調達する方法としてよく活用されています。資金額や事業内容を明示し、銀行に問題ないと判断された場合に融資を受けることが可能です。
長年付き合いのある金融機関があれば、そこを利用するのも良いでしょう。
ただし、過去に税金の支払いを怠っている、自己資金が少なすぎるなどの理由によって融資を受けられないケースもある点には注意しましょう。
一般的な金融機関にとって新規開業は信用性が低く、融資を受けられないケースもあります。その場合は、公庫の融資制度の利用がおすすめです。
この制度によって、政府の金融機関である「日本政策金融公庫」から融資を受けることが可能です。
銀行からの融資が難しい場合は、こちらの制度の活用がおすすめです。
助成金や補助金の申請をしてデイサービスを開業する方法もあります。
助成金や補助金の種類によっては返済の必要がないこともあるので、条件が当てはまっている方はぜひ活用してみてください。
現在利用できるおもな助成金・補助金は以下の通りです。
デイサービスを開業する際は、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは開業時に後悔しないようにするための注意点をご紹介します。
デイサービスのコンセプトやサービス内容を決めておきましょう。
デイサービスにもさまざまな種類があるため、どのような運営をしていきたいのか、その骨格を決めておくことは重要です。
この骨格が固まっていないと、利用者に適切なサービスを提供しにくくなります。
コンセプトやサービス内容がなかなか決まらない場合は、参考になりそうな事業所をリサーチしておくのもおすすめです。
開業前後の資金繰りのシミュレーションを入念にしておきましょう。開業でもっとも怖いのは、資金繰りがうまくいかないことです。
開業前後は膨大な資金がかかるため、法人設立や設備、従業員にどのくらいの費用がかかるのかを整理しておくことが大切です。
また、開業後も最初の2ヵ月は報酬が満額支給されないため、その点を含めたうえで、余裕を持った資金繰りをする必要があります。
収入・収支のバランスをシミュレーションしつつ、不測の事態に備えて3〜6ヵ月ほどの運転資金を確保しておくと良いでしょう。
人材の確保を早めに進めておきましょう。デイサービスには介護士や看護師などの有資格者が求められるので、人員基準を満たすだけの人員確保が必要です。
また、デイサービスの人員基準を満たしていないと開業できません。介護人材は年々不足しているといわれているため、スキルの高い信頼できる人員確保にも力を入れておきましょう。
開業するとき、金融機関から融資を受ける方が多い傾向にあります。
その際に資金調達でつまずかないようにするためには、「事業計画書」や「収支計画書」の内容を具体的にすることが大切です。
金融機関からの融資では審査を受ける必要があり、返済が可能かどうかを判断されます。このときの判断材料として、作成した事業計画書や収支計画書が参考になります。
融資を受けるためには、信頼性の高い内容の書類を作成する必要があるのです。計画書を一人で作成するのは難しく、時間がかかりやすいので、場合によってはプロに依頼するのもおすすめです。
開業時の混乱や加算算定の煩雑さを少しでもスムーズにするためには、ICT(情報通信技術)の導入が役に立ちます。
とくに介護サービスの質を高めるのに必要な「LIFE(科学的介護情報システム)」をはじめて利用する方は、データ提出や加算の理解に時間がかかってしまうでしょう。
ここでは開業と同時に「Rehab Cloud リハプラン」を導入して業務効率化や新人教育を柔軟に行えた事例についてご紹介します。
地域密着型デイサービスの開業当時から事務作業を効率化し、利用者に対して手厚いサービスを提供したいと考えていました。
しかし、事務作業はすべてアナログだったので、業務の効率化がうまくいかないという課題がありました。
このときに導入したのが、Rehab Cloud リハプランです。
リハプランの導入によって新人教育や業務などが効率化され、利用者が増えてもサービスの質を維持できるようになりました。
より詳しい内容を知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
ベテラン職員での体制だったこともあり、開業から高いサービスを提供したいという想いがあり、さまざまな加算の算定をしていました。
しかし、各加算の知識に自信がなく、算定ができるのか不安がありました。
その課題を解決し、安心して加算を算定できるようにするためにRehab Cloud リハプランの導入を決定。
現場経験者へ相談できる体制が整っていることもあり、加算算定を積極的に行えるようになり、収益も開業初日から145%も増加しました。
より詳しい内容を知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
▶️開業月から算定し収益145%アップ!ベテランも悩んだ加算
デイサービスの開業をするためには、人員基準や設備基準など、定められている条件を満たす必要があります。
また、あらかじめサービス内容やコンセプトを決めて、どのような方針で運営していくかを考えておくことが重要です。
開業には多くの資金が必要となるので、自己資金の用意はもちろん、融資や制度の活用なども検討しておきましょう。
このように、開業するためには非常に多くの要素を検討しなくてはいけません。
開業を予定している方は、ぜひこの記事を参考にして、スムーズに計画を進めていきましょう。
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。
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