ブルンストローム・ステージの評価方法|リハビリに活かす麻痺のアセスメント
現場ノウハウ
2025/02/07
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評価
更新日:2025/02/07
DBD13とは、認知症症状の進行度を確認するスケールのひとつです。認知症かどうかを複数のスケールで評価し、進行度を確認します。この記事では認知症の行動を評価するDBD13(認知症行動障害尺度)について解説しています。
この記事の目次
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DBD13(認知症行動障害尺度)は、認知症の周辺症状(行動・心理症状)を簡潔に評価するための尺度です。もともとは1990年に「Dementia Behavior Disturbance scale(DBD)」として発表され、認知症患者の行動障害を評価するツールとして使用されてきました。
その後、町田綾子先生などの研究者が28項目のDBDから因子分析を行い、13項目に絞り込んだ短縮版を発表しました。それがDBD13です。
DBD13は、認知症の軽度から重度に至るまでの行動異常を各質問項目について5段階で評価します。
DBD13は、平成25年度厚生労働省老人保健健康増進等事業の「認知症の早期診断、早期対応につながる初期集中支援サービスモデルの開発に関する調査研究事業」などで有用性が認められ、認知症の周辺症状(BPSD)のアセスメントツールとして採用されました。
また、2021年4月からは、科学的介護推進体制加算の項目としてもDBD13が採用されています。このことから、認知機能の程度や介護保険サービスにおいて重要な評価スケールであることがうかがえるでしょう。
DBD13は対象者の行動障害の度合いを的確に把握し、適切な介護計画を立てるための有効なツールとして、今後も広く活用されていくことが期待されています。
参考:認知症の早期発見、早期対応につながる初期集中支援サービスモデルの開発に関する調査研究事業(独立行政法人 国立長寿医療研究センター)
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DBD13はそれぞれの項目について、0〜4点の範囲で評価を行い、対象者の行動障害の度合いを把握します。
以下でDBD13の項目と評価について解説するのでご参考ください。
DBD13は、以下の13項目から構成されており、行動の頻度や程度で点数を判断します。
0点は該当する行動が全く見られない場合、4点は非常に頻繁に見られる場合を示します。
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1 | 同じことを何度も何度も聞く | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
---|---|---|
2 | よく物をなくしたり、置場所を間違えたり、隠したりしている | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
3 | 日常的な物事に関心を示さない | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
4 | 特別な理由がないのに夜中起き出す | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
5 | 特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
6 | 昼間、寝てばかりいる | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
7 | やたらに歩き回る | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
8 | 同じ動作をいつまでも繰り返す | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
9 | 口汚くののしる | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
10 | 場違いあるいは季節に合わない不適切な服装をする | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
11 | 世話されるのを拒否する | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
12 | 明らかな理由なしに物を貯め込む | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
13 | 引き出しやたんすの中身を全部だしてしまう | 0 ・ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 |
それぞれの項目が対象者の日常生活における具体的な行動を評価し、介護者が適切な対応策を立てるための目安となります。
2024年度介護保険改正後も、採用されているDBD13の評価項目の内容は変更されていません。
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DBD13の評価基準と点数化の方法について詳しく解説します。
【評価基準】
各項目は以下の基準に従って評価されます
【採点方法】
13項目それぞれについて、上述の評価基準に基づき0〜4点の範囲で点数を付けます。各項目の点数を合計し、総合得点を算出します。総合得点は0〜52点になります。
【総合得点と個別項目の評価】
対象者の全体的な行動異常の変化を評価するために、総合得点の変動を観察します。得点が上がれば改善、下がれば悪化と判断できます。
また、どの項目で点数が高いか、低いかを分析することが重要です。
以下に点数変化の解釈の例を示しますので、ご参考ください。
上記のように個別項目の点数変化を評価した上で、以下のように具体的かつ細かく解釈し、対応策を考えると良いでしょう。
【評価の詳細な解釈と対応策】
たとえば、Aさんを評価した結果、以下のように点数がつけられたとします。
Aさんの例では、総合得点は24点であり、行動異常がみられます。
個別項目にも着目してみましょう。「日常的な物事に関心を示さない」「引き出しやたんすの中身を全部だしてしまう」が高得点であることから、これらの行動に対する特別な介護対策が必要であることがわかります。
2つの強い行動異常が見られる原因としては、以下のような項目が考えられます。
当然ながら、ケースによって原因をそれぞれ分析することが必要です。
その際、行動異常を評価して分析と解釈を行い、対策を考える過程が重要になります。
今回のケースでは、Aさんは社会的な交流が少ない上に記憶障害があり、日常的な出来事に注意を向けるよりも自身の貴重品や思い入れのある物を見つけて安心したいと考えて行動していると解釈しました。
周囲を気にせず、物を探し続けてしまう行動異常によって疲労し、昼夜逆転した生活リズムになってしまい「特別な理由がないのに夜中起き出す」「昼間、寝てばかりいる」も比較的高得点になったと考えられました。
よって、今回のケースにおいては以下のような対応策が挙げられます。
大切な物を身につけ、貼り紙をすることによって不安や焦燥感を軽減し、物を探すための労力を他のことに向けられます。
さらに、家族に電話したり出かけたりする習慣を作ることによって、生活リズムの改善も期待できるでしょう。
また、対策を練った時点で評価を終了せず、DBD13の評価を定期的に行い変化を追うようにしましょう。継続的に評価を行うことによって、より効果的な支援を考えることが重要です。
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DBD13を活用するためには、各評価項目において何を評価しようとしているかを抑えておくことが大切です。
各項目の評価ポイントを理解することで、認知症患者の状態を的確に把握し、適切なサービスが提供しやすくなるでしょう。
以下に、各項目の意味を簡潔に解説します。
短期記憶の低下を示しています。また、不安感から繰り返し確認する場合もあります。患者が自身の不安を和らげるための一種の安心行動の可能性もあります。
記憶力や認識力の低下を示しています。また、物を隠す行動は、取り繕い反応の一部であり、自分がミスしてしまったことを隠そうとする心理が働いている場合もあります。
意欲の低下や興味の喪失を表しています。認知症の進行に伴い、患者は日常的な活動や趣味に対する興味を失い、無関心な態度を示すことが増えます。抑うつ状態の一環として見られることも多いです。
睡眠リズムの乱れや不安感が影響している可能性があります。認知症患者は、昼夜逆転や不安から夜中に目覚めて行動することが増えます。この行動は、睡眠障害の可能性も示しています。
認知機能の低下による妄想の可能性があります。認知症患者は、自分の中で状況を誤って解釈し、他人に対して根拠のない非難をすることがあります。
体力の低下や昼夜逆転が考えられます。認知症患者は、活動する意欲が低下し、昼間に睡眠をとる傾向がみられやすくなります。身体的な疲労感や、夜間の睡眠不足を補おうとする行動と捉えられます。
不安感や焦燥感を原因とした多動傾向を示します。認知症患者は、自身の落ち着かない気持ちを和らげるために、無目的に歩き回ることがあります。この行動は、安心感を求めて環境を確認しようとする試みでもあります。
行動のパターン化をして不安を解消しようとする行動です。同じ動作を繰り返すことで安心感を得たり、環境に適応しようとしたりします。
興奮や易怒性を示しています。認知症患者は、感情のコントロールが難しくなり、イライラや怒りを表現することが増えます。この行動は、不満や混乱の表れである可能性があります。
見当識の低下を示しています。認知症患者は、季節や状況に適した服装を選ぶ能力が低下し、不適切な服装をすることが増えます。よって、認知機能の低下による状況判断の困難さを反映します。
病識や自己評価の障害を示しています。認知症患者は、自身の能力を認識しにくく、不適切な行動をすることが増えます。また、自己効力感を維持しようとする反応とも捉えられます。
記憶障害や実行遂行障害を示します。物を貯め込むことで安心感を得ようとしていることが考えられます。この行動は、不安に対する反応の一種とも捉えられます。
多動や実行遂行障害を示します。環境を確認し理解しようとする試みとして、このような行動をとることが考えられます。混乱を避けるために環境を再確認しようとしている行動とも捉えられるでしょう。
参考:認知症初期集中支援チーム員研修テキスト(平成25年度 厚生労働省老人保健健康増進等推進事業)
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DBD13、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、MMSEの違いについて、それぞれの特徴や強みを以下のテーブルで比較し解説します。
DBD13 | 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) | MMSE | |
---|---|---|---|
評価対象 | 認知症の行動・心理症状 | 認知機能全般 | 認知機能全般 |
評価内容 | 行動異常の頻度や程度 | 記憶、見当識、計算などの基本的認知機能 | 記憶、見当識、計算、言語機能などの基本的認知機能 |
評価項目数 | 13項目 | 9項目 | 11項目 |
評価方法 | 5段階評価(0〜4点) 合計52点満点 |
各項目を点数で評価(合計30点満点) | 各項目を点数で評価(合計30点満点) |
使用目的 | 行動異常の特定と対策 | 認知症のスクリーニングと進行度評価 | 認知症のスクリーニングと進行度評価 |
強み | 行動異常に特化し、具体的な介護対策を立てやすい | 日本国内で広く使用され、短時間で実施可能 | 国際的に使用されており、多言語対応可能 |
対象者 | 認知症患者 | 認知症が疑われる患者全般 | 認知症が疑われる患者全般 |
これらの評価スケールは、それぞれ異なる視点から認知症の状態を把握するために使用されます。
DBD13は特に行動異常に焦点を当てているため、介護現場での実践的なケアに活かしやすいでしょう。
一方、HDS-RとMMSEは認知機能全般の評価に優れており、スクリーニングや進行度の評価に役立ちます。
MMSEの方が、HDS-Rと比較して項目数が多く、評価に時間がかかります。しかし、包括的な評価ができるという点で優れていると言えるでしょう。
HDS-Rは、日本の高齢者を対象にしている評価であり、簡便に実施できるという点で優れています。
DBD13は、認知症患者の行動障害を評価するための重要なツールです。科学的介護情報システムLIFEの項目としても採用され、認知症患者の行動異常を詳細に把握するために活用されています。
適切にDBD13を活用することにより、介護者はQOLを高めるための具体的なケア計画を立てることができるでしょう。
科学的介護推進体制加算の項目においてもDBD13は継続的に採用されています。DBD13は、有能な評価ツールとして今後も広く活用され、認知症患者のケアにおいて重要な役割を果たしていくことでしょう。
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