介助の種類と介助方法の総まとめ|介護スタッフの基礎知識
介助
2022/12/06
介助
更新日:2022/02/28
移乗の介助を必要としている方々に対して、私たちスタッフはどのようなことに注意し、介助を行えば良いのでしょうか?今回は、安全で快適な移乗介助をおこなうために必要な基本的な介助の手順と移乗介助「前」「介助中」の注意点についてまとめてご紹介します。移乗介助に便利な福祉用具もご紹介しているので是非最後までチェックしてください。
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この記事の目次
移乗介助が必要な方には、骨折や麻痺、筋力低下、痛みなど様々な病気や症状があります。それぞれに対して「移乗介助の注意点や介助のポイント」もありますが、応用的な介助方法を知る前に、まずは基本的な介助の手順を理解しておきましょう。
まず、移乗介助の基本として「ベッドから車椅子への移乗」を介助する場合の手順についてご紹介します。
車椅子を使用している方にとって移乗は、車椅子やトイレ、ベッド、お風呂など生活の様々な場所で必要な動作です。また、介助者にとってもそれだけ介助をする場面が多い場所でもあります。
ここでは、移乗介助の注意点を正しく理解して、転落などにインシデントを起こすことを防ぎ、安全に手際よく介助できるスキルを身につけていきましょう。
移乗介助をおこなう場合は、元々介助量が少ない方でも、立ち上がりの際に「起立性低血圧」や「めまい」によって急に膝折れを起こし、崩れ落ちてしまうことがあります。転落には十分に注意しましょう。
移乗介助では、ベッドや車椅子に浅く座った時にシーツや座布団が滑り、床にずり落ちてしまうことがあります。ベッド柵や車椅子のアームレストを握ってもらうようにしましょう。
ベッドや車椅子の移乗介助では、足元付近に柵やフォットレストなどの鉄パイプがあります。ご高齢者の場合、皮膚が脆弱(弱くなっていること)になっているため少しぶつけただけで内出血や皮膚が剥離(はくり)してしまうたるため注意が必要です。
移乗介助の際に、介助者がズボンを引っ張り上げてしまうことでズボンが食い込むことがあります。そのまま座ると下着が食い込んだままになり不快感が残るため注意しましょう。
間違った移乗の介助方法を繰り返していると介助者の方が腰痛を引き起こすことになります。持病の腰痛をお持ちの方はコルセットを装着したり、正しい介助方法を学んで腰へのストレスを少なくするようにしておきましょう。
では、ここからは実際の移乗の介助を想定して、移乗介助の「前」と「介助中」に注意するポイントをご紹介していきます。
まずは「移乗の前」の注意ポイントです。
移乗介助の前には、介助者が介助しやすい環境設定やご高齢者が移乗しやすいように環境設定をしていきます。こちらは移乗介助を行う前の必須項目ですので必ずチェックしておきましょう!
次に「移乗中」の注意ポイントをご紹介します。
移乗介助をする場合は、大きく「立ち上がり」「方向転換」「着座」の3つの動作に分けて考えていきます。
では実際に、移乗介助を行う場合に悩むことの多い「全介助の移乗介助」と「片麻痺の移乗介助」の方法についてご紹介します。
骨折や麻痺、筋力低下などの影響によって、立ち上がりや方向転換の移乗介助が全介助となる方は多いのではないでしょうか?
全介助の場合の移乗介助を行う場合は、力の弱い女性スタッフは転倒や転落をしないか怖いと感じることも多いでしょう。そこでオススメなのが「スライディングボード」です。スライディングボードとは、ベッド・車椅子・ポータブルトイレなどの移乗を座ったままで横にスライドするように移乗介助を行う用具です。
全介助者の移乗介助にてスライディングボードを使用する場合は、車椅子とベッドが水平になるように高さを調整します。また、車椅子の肘掛け(アームレスト)が上がるモジュール型車椅子やリクライニング車椅子などに変更する必要があります。使い慣れるまでスラウディングボードのセッティングに時間がかかってしまいますが、慣れると力が入らずに移乗の介助をスムーズにしてくれますよ。
<Bタイプ> 独自のブーメラン形状によりベッド側・車いす側ともに設置面積が広く取れ、硬めの素材なので、ベッドと車いすの間隔が広い場合の移乗に最適です。 <Sタイプ> 一般的な長方形型です。柔らかめの素材で抜き差しがしやすく、ベッドと車いすの間隔が狭い場合の移乗に最適です。 |
参照:株式会社モルテン 「スライディングボード」平成29年8月10日アクセス
片麻痺の移乗介助も悩むことが多いのではないでしょうか?
脳梗塞や脳出血などの後遺症で左右どちらかの半身に麻痺(片麻痺)がある場合に、どのように対応すればよいのでしょうか?ここでは、右半身に麻痺がある場合の移乗介助の方法をご紹介します。
その他にも片麻痺の移乗介助のポイントとして、移乗用の手すりとして、ベッド柵を「L字手すり(L字バー)」に変更したり、ベッドサイドに「タッチアップ」と呼ばれる福祉用具を設置するのもオススメです。
参照:けあ太郎「パラマウントベッド専用 スイングアーム介助バー」(平成29年8月19日アクセス)
ここからは、移乗介助の豆知識として知っておくと便利な福祉用具について、ご紹介していきます。
移乗介助を行う際に、握ったり持ったりする場所がなくて困ることはありませんか?仕方なくズボンを持って移乗介助するとズボンが食い込んで痛いと言われるし、どうしたらいいのかと思うこともあるのではないでしょうか?
そこでご紹介するのが移乗介助をサポートする「介助用ベルト」です。
介助用ベルトは、対象者の腰にベルトを装着することで、介助者が抱きかかえて持ち上げるような介助を行う場合に、持ち手(グリップ)が付いているのでグリップを握って移乗介助をすることができます。
参照:株式会社幸和製作所「テイコブ移乗用介助ベルト AB31」(平成29年8月22日アクセス)
続いて、移乗介助用の福祉用具としてご紹介するのが「リフト」です。
リフトは、ハンモックのようなシートで全身を包み込み、専用の機械で吊り上げるように移乗します。リフトには「据置式リフト」や「床走行式リフト」「固定式リフト」などがありますが、一般家庭には、「床走行式リフト」が導入されることが多いようです。
移乗の介助をする方が体重が重かったり、全介助で女性では介助できない場合に使用することをオススメします。
▶︎ 据置式リフト 2本の支柱で移動レールを支えるタイプのリフトです。意外にもフレームを組み立てるだけで設置でき、和室での使用も可能となっています。デメリットとしてレールに沿ってしか移動できないことがあります。 ▶︎ 床走行式リフト リフトの中でもキャスターが付いているので本体自体が移動するタイプです。移乗時の吊り上げは電動です。折りたたみ式のリフトもあるので収納にも便利です。デメリットとして和室などの部屋では畳を痛めてしまったり移動しにくいことがあります。 ▶︎ 固定式リフト ベッドとリフトを固定したリフトです。移乗時の吊り上げは電動で方向転換は手動で行います。リフトの中でも一番場所を取らず、狭い部屋でも比較的簡単に導入できます。 |
移乗介助用の福祉用具は、介助者にも優しく、腰痛や膝の負担を軽減してくれます。主たる介助者がご高齢の場合など老老介護の場合、介助をサポートしてくれるのでご自宅で介助を行うご家族のために導入することもオススメです。
参照:福祉ネットあおもり 青森県社会福祉協議会ウェブサイト 「第1回 移乗のためのリフト」(平成29年8月22日アクセス)
続にご紹介する移乗介助用の福祉用具は「スライディングシート」です。
スライディングシートは、床に滑りやすいシートを活用することで滑らせるような移動・移乗の介助をすることができるので、介護する側・される側の身体に負担を少なくすることができる福祉用具です。
特にベッド上で寝る位置がずれてしまった時には、スライディングシートを使用すると便利です。シートがナイロン製ですべりやすい素材でできていますので、女性の介助スタッフでも重たい方を持ち上げなくても滑れせるように移動・移乗することで簡単に位置を修正することができます。
参照:ミクニのリフト「スライディングシート」(平成29年8月25日アクセス)
移乗介助の手順や注意するポイントがわからないまま介助をしていると、介助される側の不安や痛みを伴うだけでなく、介助する側にも腰や膝に負担を与えてしまいます。
一般的な正しい移乗介助の手順を覚えたら、移乗介助用の福祉用具も試してみてください。福祉用具は介助される側にも、介助者にも優しく移乗をサポートしてくれますよ。
老老介護をされているご家族に導入を進めることも良いでしょう。
私たちスタッフが、正しい移乗介助の知識をつけ、そのご家族にもポイントを教えれるように日々成長していきましょう!
介護現場で働く皆さまは、移乗介助以外にもさまざまな介助スキルが重要になります。そこで、介護現場で必要なさまざまな介助方法について「関連記事」をご紹介します。
【入浴の介助】
● 入浴介助の注意点とポイント
【清拭の介助】
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【足浴の介助】
● 足浴の手順と注意点
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【口腔ケア】
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【歩行の介助】
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【まとめ】
● 介助の種類と介助方法まとめ
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