精神保健福祉士とは?資格と仕事内容と役割、必要とされる知識と技術

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更新日:2024/07/18

精神保健福祉士 (PSW:Psychiatric Social Worker)とはメンタル面の病を持っている方と社会をつなぐプロであり、精神保健福祉士法に基づく名称独占の国家資格です。主な仕事は心に病を抱えた人がスムーズに生活を営めるように、相談や生活支援や訓練、社会参加の手助けを行います。専門的知識及び技術は精神障害者が院内だけでなく地域で安心して暮らせるよう相談に応じ、必要なサービスの利用を支援することが求められてきております。それでは詳細について見ていきましょう。

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは、主に年金周りや保険申請など患者様と社会をつなぐ仕事を中心に行います。社会福祉士と精神保健福祉士の違いについては、社会福祉士が福祉全分野を扱うのに対し、精神保健福祉士は、あくまでも精神障害者に特化した援助を行います。

精神疾患患者は、2014年は392.4万人(厚生労働省)となっており、その傾向は年々患者数は増加しており、4大疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)よりも多い状況となっています。

一方、精神疾患を有する入院患者数や平均在院日数の推移は減少しており、精神障害を持っている方が家庭や地域で安心して暮らせるように医師や精神保健福祉士、看護師、作業療法士のチームで患者様の退院に向けたバックアップを行います。

精神保健福祉士に求められる役割とは

精神保健福祉士に求められる役割 は「入院医療中心から地域生活中心へ」という施策転換や障害者自立支援法により、精神保健福祉士を取り巻く環境や役割はこれまでと大きく変化しています。

主な役割としては

  1. 医療機関等におけるチームの一員として、治療中の精神障害者に対する相談援助を行う役割
  2. 長期在院患者を中心とした精神障害者の地域移行を支援する役割
  3. 精神障害者が地域で安心して暮らせるよう相談に応じ、必要なサービスの利用を支援するなど、地域生活の維持・継続を支援し、生活の質を高める役割
  4. 関連分野における精神保健福祉の多様化する課題に対し、相談援助を行う役割

患者様が地域で「当たり前に暮らせる」準備を行い、継続的に支援を行なっていきます

参照:社会・援護局 障害保健福祉部精神・障害保健課(平成22年)精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて

精神保健福祉士に必要とされる知識及び技術とは

  1. 医療機関等における専門治療の特徴を踏まえ、関係職種と連携・協働する専門的知識及び技術
  2. 地域移行の重要性、地域移行を促進するための家族調整や住居確保など、地域移行に係わる専門的知識及び技術
  3. 包括的な相談援助を行うための、地域におけ る医療・福祉サービスの利用調整
  4. 就職に向けた相談・求職活動等に関する専門的知識及び技術
  5. ケアマネジメント、コンサルテーション、チームアプローチ、ネットワーキング等の関 連援助技術 などを実践的に教育していく必要がある。
  6. 行政、労働、司法、教育分野での精神保健に関する相談援助活動
  7. ⑦ 各々の疾患及びライフサイクルに伴う生活上の課題 などの基礎的な知識も教育していく必要がある。

参照:社会・援護局 障害保健福祉部精神・障害保健課(平成22年)精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて

精神保健福祉士の資格取得方法とは

精神保健福祉士の資格を取得するためには、精神保健福祉士の国家試験に合格する必要があります。

主な経路は

  • 保健福祉系4年制大学で指定科目を履修する
  • 4年制大学の卒業後に精神保健福祉士指定養成施設(1年以上)を卒業する

等の教育課程を終えたうえで、精神保健福祉士国家試験に合格し、その後、総合病院や精神病院に就職する道が一般的です。

参照:公益社団法人 社会福祉復興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」

精神保健福祉士の国家試験の科目には

精神保健福祉士の国家試験は、年1回行われます。試験の形式は、すべて筆記試験です。

精神保健福祉士は、精神的な障害のある人に対して、日常生活がスムーズに営めるように支援したり、社会参加に向けた支援活動を行ったりするため、その試験の科目は17科目にも及びます。

そのうち1〜11までの科目は、社会福祉士との共通科目となっています。

【精神保健福祉士の筆記試験の科目】

  1. 人体の構造と機能及び疾病
  2. 心理学理論と心理的支援
  3. 社会理論と社会システム
  4. 現代社会と福祉
  5. 地域福祉の理論と方法
  6. 社会保障
  7. 低所得者に対する支援と生活保護制度
  8. 福祉行財政と福祉計画
  9. 保健医療サービス
  10. 権利擁護と成年後見制度
  11. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
  12. 精神疾患とその治療
  13. 精神保健の課題と支援
  14. 精神保健福祉・相談援助の基盤
  15. 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
  16. 精神保健福祉に関する制度とサービス
  17. 精神障害者の生活支援システム

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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