ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
現場ノウハウ
介助
更新日:2024/08/01
食事介助の目的は、ご利用者様が安心・安全に口から食事が食べれるように援助することです。しかしながら、食事は誤嚥のリスクに十分注意しなければならない難しい介助です。そこで今回は、食事介助の基本である姿勢から注意点、症例別の介助ポイントをまとめてご紹介します。食事介助の基礎知識として食事前・食事中の姿勢も理解しておきましょう。
この記事の目次
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食事介助の目的は、一人では食事が食べれない方に、安全かつ安楽に食事が食べれるように援助することで、必要な栄養や水分を摂取し、食に対する満足感を得ることです。そんな食事介助では、なぜ注意が必要と言われるのでしょうか?
食事介助をする場合に注意が必要な理由として、ご高齢者の食事の特徴について理解しておきましょう。
ご高齢者は、年を重ねるにつれて歯が欠損したり、舌や喉の筋力が衰えてしまいます。そのため、食事をする事が徐々に困難になってきたり、飲み込みが難しくなり「誤嚥性肺炎」を引き起こす可能性が高くなります。
※ご高齢者の誤嚥の原因は、唾液分泌量の減少や睡眠薬の服用、口腔ケアが十分にされていないこと、疾患による原因などがあります。
実際に、日本人の死亡原因の第4位は肺炎(1位の癌、2位の心疾患、3位の脳血管疾患)がであり、肺炎による死亡者の「96.5%」が65歳以上と言われています。そのうち誤嚥が原因で起こる肺炎は全体の約「70%」を占めています。
誤嚥性肺炎を引き起こさないためにも私たちスタッフは、食事形態を柔かい物にしたり、食材をカットしたりとご高齢者の状態に合わせた食事を提供する必要があります。食事介助をする場合は、食事中の姿勢や口に運ぶタイミングなどを重要に注意してケアを行うことがとても大切になります。
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ご高齢者に対して食事の介助を行う場合は、誤嚥をしないように正しい姿勢を保つことが重要です。そこで、食事介助の基本として食事をする正しい姿勢についてご紹介します。
椅子の場合
食事介助を必要とする高齢者の場合、スタッフが注意しなければならない介助のポイントが沢山あります。ここからは「食事の前」と「食事中」の食事介助の注意点をご紹介します。
まずは「食事前」の食事介助の注意点です。
食事介助は、食事は口元まで運ぶ手伝いをするだけではありません。誤嚥を起こさないように食事介助の姿勢をチェックしたり、意識や眠気などの状態を確認することも重要なポイントになります。以下の観察項目は、食事介助を行う前の注意点としてチェックしておきましょう!
次に「食事中」の食事介助の注意点をご紹介します。
食事中の介助は、姿勢の崩れだけでなく咀嚼や飲み込みができているかチェックしたり、タイミングをみながら食べ物を提供していきます。以下の観察項目を、食事中の注意点としてチェックしておきましょう!
※食事形態は、基本的に医師やST(言語聴覚士)、看護師が評価をして決定していきます。それでも、もし食事中にむせが出現する場合は、医師や看護師にすぐに報告しましょう!
参照:米山 武義 老年歯科医学Vol. 16 「口腔ケアと誤嚥性肺炎予防」
これまで食事前・食事中の食事介助の注意点をご紹介しましたが、食事介助をより安全に行う上では「食事の流れ」を理解しておくことも重要です。
人が食事をする場合、食べ物を見てから飲み込むまでを大きく「5期」に分けて考えます。特に「認知期」「咀嚼期」「口腔期」は誤嚥や逆流を防ぐ大切な役割があります。介護のプロとして、ここまで理解して注意していると食事介助も安全ですし、素晴らしいケアができるはずです。食事の流れをプロ目線で捉えていきましょう!
期間 | 内容 |
---|---|
認知(先行)期 | 食物があることを確認する時期です。主に飲食物の形や量などを目や耳、鼻を使って認識します。 →意識障害や認知症があると、食べ物の認知ができないので食べることが嫌になったり、無理に食べることで誤嚥を引き起こしてしまう可能性があります。 |
咀嚼(準備)期 |
食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする時期です。この際に、唾液が分泌され食物と混ざることで、飲み込みやすい形に調整されます。 →脳機能障害や舌や顎を動かす機能の低下や唾液の分泌量が減少しているとうまく咀嚼できなかったり、食べ物が飲み込みやすい形にすることができない可能性があります。 |
口腔期 | 食物を口腔から咽頭に送り込まれる時期です。自分の意志で飲み込む場合は、随意運動で嚥下が行われます。 →軟口蓋(なんこうがい)が持ち上がることで食べ物が逆流するのを防ぎます。 |
咽頭期 | 食物は咽頭を通り、その奥にある食道まで運ばれる時期です。咽頭の周囲にある筋肉が連携して、食塊を反射的に食道まで送り込んでいく不随意運動です。 |
食道期 | 食物を食道から胃まで送り込まれる時期です。咽頭期と同様に、反射的に送り込む不随意運動です。 |
参照:エルメッド エーザイ株式会社「摂食・嚥下のメカニズム」
ここからは、介護現場でもよく起こる場面を想定した、症例別の食事介助のポイントをご紹介していきます。
食事介助の中でも、麻痺ある場合の介助は悩むことも多いのではないでしょうか?
まずは、片麻痺の方への食事介助のポイントをご紹介します。ご利用者様に身体状況に合わせた対応を選択してみてください。
次に、認知症の方への食事介助のポイントをご紹介します。
認知症では、まず食事の拒否で悩むことも多いのではないでしょう?食事の拒否の理由として、食物や状況を認識するのに時間がかかったり、気がそれたり、忘れてしまったりすることがあります。食事を認識してもらったり、食事のリズム(生活リズム)をつけてもらうように支援していきましょう。
認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは|MMSEとの違い・評価方法・診断基準
次に、眠気が強い方への食事介助のポイントをご紹介します。
ご高齢者の場合は眠剤を内服されていたり、疲労や意識障害などの影響により食事時間にも眠気が強くなってしまう場合があります。ご利用者様の状況に合わせて選択してみてください。また、眠気が強い場合は、誤嚥のリスクが高くなります。無理はせず食事を中止しましょう。
次に、リクライニング車椅子を使用している方への食事介助のポイントをご紹介します。
体力の低下など何かしらの理由で長時間の臥床ができない方では、日中の移動をリクライニング車椅子を使用されている方がいらっしゃいます。いくら疲れやすいからといってそのままの姿勢で食事を食べてしまうと誤嚥を引き起こしてしまうリスクが高まります。以下の点に注意して介助しましょう。
食事は、楽しみの1つとして美味しく食べてもらえることが理想的です。ご高齢者の食事介助を行う場合は、やはり誤嚥が懸念されるのではないでしょうか?そこで、誤嚥を予防する食事を食べる前にしておきたいことについてご紹介します。
ご高齢者にオススメな食事前に取り組む口腔体操はこちらの記事で詳しくご紹介しています。詳しく見たい方はこちらをご覧ください。
▶︎高齢者向け|口腔体操をしてリハビリの効果を最大化させよう
ここからは、食事介助の前に取り組んでいただきたい「口腔体操の方法」について詳しくご紹介します。
まず、こちらの口腔体操は、口に空気をためたり、すぼめたりすることで頬の筋肉を鍛えることができます。
ご高齢者が食べ物を食べるときは、舌と頬が協力して働いたり、口の周りの筋肉(口輪筋)が働くことで食べこぼしを防ぐことができます。
食事介助中に食べ物の食べこぼしがある方は、食事前にこちらの体操を実施することをお勧めします。
【運動方法】
頬をしっかりと膨らませます。 ストローを吸うように頬を吸いつけます。
次に、こちらの口腔体操は、舌のトレーニングです。
舌を上下・左右に動かす力は、食べ物を嚙める位置に移動させたり、口腔内残渣(こうくうないざんさ)を減らす効果があります。
食事介助中に食べ物が口の中に残ってしまう方は、食事前にこちらの体操に取り組むことをお勧めします。
【運動方法】
口を大きく開け、舌をできるだけ大きく回します。
こちらの口腔体操は、「あ・い・う・え・お」と大きく口や顎、唇、舌を動かすトレーニングです。
発声の運動は、舌や喉の筋肉を動かすため誤嚥の予防として効果が期待できます。また、大きな声を出すことで腹圧が高まり、誤嚥しかけた時に咳き込む力がつきます。
食事介助中の誤嚥が気になる方、咳き込むことが苦手な方には、食事前に必ず取り組むことをお勧めします。
【運動方法】
遠くに声を届けるようにお腹の底から大きな声を出しましょう。
今回は、食事介助の正しい姿勢から注意点、症例別の介助のポイント、口腔体操までまとめてご紹介しました。
食事は、衣食住という言葉があるように人間が生活していく上でなくてはならないものですし、さらには家族や友人との交流や楽しみの場としても重要な活動です。 利用者様が安全に食事を楽しめるために私たちスタッフがその介助のポイントを理解しておかなければなりません。
食事介助というと食事を口に運ぶだけとイメージする方もいらっしゃいますが、食事を食べる姿勢や飲み込みがうまくできているのかなど確認事項を確実にチェックすることが重要になります。
今回の内容を参考に明日からの食事介助に取り組んでいただければ幸いです。
食事介助と合わせてご覧いただきたい内容に「食事動作のリハビリ」があります。食事の介助をただするのではなく、利用者様がいつまでも自分の力で食事が食べれるようにリハビリに取り組んでみませんか?
▶︎食事動作の実践的プログラム
【まとめ】 ● 介助の種類と介助方法まとめ 【口腔ケア】 ● 口腔ケアの手順と介助方法・注意点 【着替えの介助】 ● 更衣介助(着替え介助)の手順と注意点 【移乗の介助】 ● 移乗介助の手順と注意点 【歩行の介助】 ● 歩行介助の方法と注意点 【トイレの介助】 ● 排泄介助のポイントと注意点 【入浴の介助】 ● 入浴介助の注意点とポイント 【清拭の介助】 ● 清拭の手順と注意点 ● 清拭の効果・目的と最適な温度 【足浴の介助】 ● 足浴の手順と注意点 ● 足浴の効果と最適な温度 |
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