ソックスエイドの簡単な作り方|ビニール袋やハンガーを活用

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更新日:2024/08/21

ソックスエイドとは、一般的に人工関節やリウマチ、妊婦など何かしらの理由で足先まで手が届かず、靴下を履けない人をサポートする自助具です。ところがある日、利用者から市販のプラスチック型ソックスエイドは、旅行や外出先に持ち歩くことが難しく邪魔になるという悩みをお聞きしました。そこで今回は、外出先に持ち歩くこともできる「ビニール袋型」「ハンガー型」のソックスエイドの簡単な作り方を2種類ほどご紹介します。

ソックスエイドとは

画像出典・販売サイト:Amazon「YuHaru」

ソックスエイドとは、変形性股関節症や変形性膝関節症、リウマチなどの疾患や人工股関節全置換術(THA)や人工膝関節置換術(TKA)などの術後の影響により足先まで手を伸ばすことが困難になり、靴下を履くことができない方をサポートする靴下着脱のための自助具です。

市販の商品では1,000〜3,000円程度で購入することができるので、プラスチック型のソックスエイドをご紹介することが多くあります。

病院などのリハビリテーションの現場では、術後の脱臼肢位である股関節の過屈曲や外旋・外転を回避するためにソックスエイドなどの自助具の使用方法を指導します。また、妊婦や腰痛、ぎっくり腰などの影響で前かがみの姿勢が取れない方にもご活用いただけます。

今回は、「ビニール袋型」と「ハンガー型」の2種類のソックスエイドの作成方法をご紹介します。作成方法だけでなく適応も把握していきましょう。

ソックスエイドの適応について

では、ソックスエイドの主な適応疾患・対象者をご紹介します。ソックスエイドの活用の際に参考にしていただければと思います。


【主な適応者】

  • 変形性股関節症や変形性膝関節症、変形性腰椎症、強直性脊椎症の影響で関節可動域に制限がある方
  • 人工股関節全置換術(THA)や人工膝関節置換術(TKA)の術後で可動域制限、または脱臼肢位がある方
  • リウマチ、関節炎、四肢の拘縮で可動域制限がある方
  • 片麻痺や骨折の影響で片手が不自由な方
  • ぎっくり腰や腰痛で前屈できない方
  • 妊娠中などで前かがみになれない方

その他のソックスエイドの適応条件

その他のソックスエイドの適応条件についてリハビリテーションの論文をご紹介します。

二木ら(2015)によると、”股屈曲100度以下では開排法の割合が多く、股屈曲+外旋105度以下の症例はすべて別法であり、110度以上では開排法で着脱を行っていたことから股屈曲角度が不良であっても外旋角度が良好であれば開排法での着脱をおこなうことができる一方で股関屈曲、外旋角度がともに不良であれば立位での着脱や、ソックスエイドなどの自助具を用いて着脱する方法といった股関節の可動性を重要としない動作方法を選択しなければならなくなる”と報告されています。

このことから「股関節外旋を伴う股関節屈曲角度が105度以下」の場合は、ソックスエイドなどの自助具を選択する必要性があると言えます。

自助具を選択する場合は、必ず股関節の外旋を伴う股関節屈曲角度をチェックしておきましょう!

股関節の可動域チェックができない方は理学療法士などリハビリスタッフにチェックしてもらうことをお勧めします。

参照:二木亮, et al. “人工股関節全置換術後の靴下着脱動作について.” 日本理学療法学術大会 Vol. 42 Suppl. No. 2 (第 50 回日本理学療法学術大会 抄録集). 公益社団法人 日本理学療法士協会, 2015.(平成29年4月13日アクセス)

ビニール袋型ソックスエイドを作る | 準備するもの

それでは早速、ビニール袋型ソックスエイドの作成方法をご紹介していきます。


準備する物品としては「ビニール袋」のみです!
他に何も準備するものはありません。

そのためビニール袋型のソックスエイドの最大の魅力は、軽量で旅行や外出先にも持ち歩くことができることです。

ソックスエイドは使い心地が重要です。ご利用者様の手足の長さや体系に合わせアレンジを加えて、使いやすいソックスエイドを作成して行くことをお勧めします。

ビニール袋型ソックスエイドの作成方法とは

作成方法に付いてご紹介します。ビニール袋型ソックスエイドの作成方法は4つのステップに従ってビニール袋を折り曲げるだけです。

【作成方法】

  1. ビニール袋の両端を10cm程度谷折りします。
  2. 両端をさらにもう一度谷折りします。
  3. 筒状になるように両端を折りたたみます
  4. ビニール袋を靴下の先端まで通します

【ポイント】
両手が届きやすく操作しやすくするには、ビニール袋の直径が50cm以上の大きく、頑丈なものを準備することをお勧めします。

ビニール袋型ソックスエイドの使い方とは

ビニール型ソックスエイドの使用方法をご紹介していきます。手順には6つのステップがあります。

【使用方法の手順】

  1. 両手でビニール袋の持ち手を持ちます
  2. ビニール袋の中心につま先を通します
  3. 足の裏全体を床につけたまま、滑らせるように足を奥に入れていきます
  4. 踵を通すように均等に持ち手を引っ張ります
  5. そのまま均等な力で持ち手を引っ張ります
  6. 完成

【デメリット】
脱いだ靴下を拾うことができません
足趾の機能制限がある方は着脱が困難です

ハンガー型ソックスエイドを作る | 準備するもの

続いて、ハンガー型ソックスエイドの作成方法をご紹介していきます。

準備するものとしては「針金ハンガー」を2個のみです!
最近では見かけることの少なくなった針金タイプのハンガーですが100円均一などでは販売されているようです。

ハンガー型ソックスエイドの魅力は、折りたたみが可能なことです。

ハンガー型ソックスエイドの作成方法とは

それでは、作成方法に付いてご紹介していきます。ハンガー型ソックスエイドの作成方法は、たったの2つのステップだけです。

【作成方法】

  1. ハンガーの中心部を定めます
  2. 中心部を引っ張り1本の棒にします
    ※これを2本作成します。

【ポイント】
ハンガーのフック部分に丸みがあるもの、またはクッション付きなどを選択しましょう。

ハンガー型ソックスエイドの使い方とは

ハンガー型ソックスエイドの使用方法をご紹介していきます。手順には6つのステップがあります。

【使用方法の手順】

  1. フック部分を下にして両手にハンガーを持ちます
  2. フック部分に靴下の踵を引っ掛けます
  3. 靴下につま先を通していきます
  4. 足の裏全体を床につけたまま、滑らせるように足を奥に入れていきます
  5. 踵を通すように引っ張りあげます
  6. フック部分でズレた部分を調整します

【メリット】
脱いだ靴下も拾うことができる
靴下のズレを調整することができる

【デメリット】
ストッキングなどの繊維が薄い靴下は電線の恐れがあるため使用できない

まとめ|ソックスエイドを購入するには?

画像出典・販売サイト:楽天「ソックスエイドジャパン」



今回、ソックスエイドの愛用者から伺った悩みを解決するために、外出先や旅行にも持ち運びが良いソックスエイドの作り方をご紹介しました。

手作りしたソックスエイドは、持ち運びは便利ですがストッキングなどは履きにくいといったデメリットがあります。

そこで市販させているソックスエイドもご紹介しておきます。

一般的なソックスエイドはもちろんですが、ストッキング専用のストッキングエイドも販売させれいますので興味がある方は「ストッキングエイド」を検索してみてください。

【最後に筆者より】
今回は、外出先に持ち歩くこともできる「ビニール袋型」「ハンガー型」のソックスエイドの作り方をご紹介しました。2種類ともに準備するものが少なく、作成にも時間がかかりません。初めて聞いた方は是非新しい取り組みとして活用してみてください。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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