デイサービスの機能訓練指導員の仕事内容・特徴・給料

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更新日:2024/04/16

デイサービスにおいては、機能訓練指導員の人員を1名以上配置することが求められています。今回は、デイサービスの機能訓練指導員の仕事内容や特徴、給料・求人についてまとめてご紹介します。

デイサービスの機能訓練指導員とは

機能訓練指導員とは

デイサービスにおける機能訓練指導員とは、加齢による体力の低下やケガによって日常生活に支障をきたした方がその人らしく自立した生活を送れるように機能訓練(リハビリ)を提供する職種です。

デイサービスを運営するための人員基準では、機能訓練指導員を1名以上配置する必要があり、その多くは看護師(准看護師)が全体の65.6%配置されています。

機能訓練(リハビリ)が必須となる通所リハビリとは異なり、デイサービスではレスパイトケア(利用者やその家族の休養)目的のサービスが中心となっており、機能訓練はあまり行われていませんでした。

しかしながら、平成30年度の介護報酬改定では、ご高齢者がその人らしく暮らせる「自立支援」へと大きく舵を切ろうとしており、デイサービスでも機能訓練指導員による機能訓練(リハビリ)が重要視されています。

実際に、デイサービスにおいては「機能訓練特化型デイサービス」や「リハビリ特化型デイサービス」などが急増しており、ご利用者様においても機能訓練指導員と共に身体機能や生活能力のアップを目指したいというリハビリのニーズも増えています。

【参考資料】
厚生労働省ホームページ,社保審-介護給付費分科会 第153回(H29.11.29) 資料5,介護人材関係について
厚生労働省ホームページ,社保審-介護給付費分科会 第128回(H28.3.30) 資料1-3,(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化と その在り方に関する調査研究 (結果概要)
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平成30年度の介護報酬改定の論点|通所介護の機能訓練に着目して
平成30年度(2018年)の介護報酬改定では、改定率0.54%と若干の引き上げ改定になります。その中でも通所介護では、インセンティブ制度や生活機能向上連携加算など自立支援を本軸に据えた改定となります。こちらでは、平成30年度の介護報酬改定についてポイントを絞ってご紹介します。

デイサービスにおける機能訓練指導員の仕事内容について

通所介護の利用者割合

デイサービスの機能訓練指導員の仕事内容として、厚生労働省のデータをみてみると、通所介護のサービス利用者は、要介護1~要介護3が全体の「8割以上」ということがわかります。要介護1~要介護3は、主に歩行や排せつ、入浴などに部分的な介助が必要な状態の方々です。

そのためデイサービスの機能訓練指導員は、ご利用者様が求めている生活動作の獲得を目指し、必要な機能訓練を提案します。

訓練内容は、マシントレーニングなどの筋力トレーニングだけでなく、着替えやトイレなど日常生活訓練(ADL)や料理、洗濯などの家事動作訓練(IADL)、手芸やカラオケ、囲碁などの趣味活動の訓練なども行うのが特徴です。

機能訓練指導員の1日の仕事の流れ

機能訓練指導員の仕事内容

デイサービスでの機能訓練指導員の仕事内容として1日の流れをご紹介します。

8:30~ ご利用者様の送迎
9:30~バイタルチェック
10:00~個別機能訓練プログラムの実施身体能力、生活能力(ADL)の評価個別リハビリの実施
11:30~口腔体操などの訓練プログラムの実施
14:00~生活リハビリの実施リハビリ機器や自主トレの指導集団レクリエーションの実施
15:30~ご利用者様の送迎
16:30~他職種とのカンファレンスなど個別機能訓練計画書または運動器機能向上計画書の作成

デイサービスにおける機能訓練指導員の仕事内容は、集団で取り組む体操から自宅を想定した生活リハビリなどを行います。事業所によってはレクリエーションや送迎も担当します。

最近では、リハビリ特化型デイサービスなど機能訓練に特化したデイサービスも増えてきています。そのため、自宅での自主訓練やマシンを使ったトレーニング指導なども行います。

また、個別機能訓練加算を算定するための個別機能訓練計画書の作成、ご利用者様の身体機能評価、生活機能(ADL)評価などの記載など書類業務も大切な仕事の1つです。

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利用者様に提供する個別の機能訓練メニューをできるだけ多くご紹介します。

デイサービスの機能訓練指導員の資格割合について

機能訓練指導員の資格割合
(出典)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究事業 報告書(平成27年度調査)

実際に、デイサービスで働く機能訓練指導員はどの職種が多いのでしょうか?

厚生労働省(平成27年度調査)の機能訓練指導員の資格割合をみてみると、看護師(准看護師)が全体の「65.6%」であることがわかります。次いで、理学療法士が「11.5%」、柔道整復師が「10.7%」となっています。

デイサービスの機能訓練指導員として勤務する看護師(准看護師)は、病院に比べ、夜勤や残業がほとんどないため両親の介護や子供のお迎えがある主婦層に人気があるようです。また、デイサービス事業所にとっては、看護師(准看護師)は、機能訓練指導員と兼務ができるため機能訓練指導員として看護師の求人を出していることが多いようです。

デイサービスの機能訓練指導員が取得できる加算について

デイサービスの機能訓練指導員

デイサービスでは、厚生労働大臣が定める所定の基準要件を満たし、機能訓練指導員が入居者様の身体状況に応じた機能訓練を行った場合に以下の加算を算定することができます。

  • 個別機能訓練加算Ⅰ:46単位/日
  • 個別機能訓練加算Ⅱ:56単位/日

※当該基準に従い1日につき所定単位数に加算することができます。

特に、デイサービスの場合は、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを両方算定すると1人の利用者あたり「102単位/日」を加算することができるので介護事業所の収益にも大きく影響しています。そのため、デイサービスの機能訓練指導員の求人は多くなっているのが現状です。

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デイサービスの機能訓練指導員における加算の算定要件についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

デイサービスの機能訓練指導員の求人について

デイサービスの機能訓練指導員は、

機能訓練指導員となれる職種は以下の通りです。

  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)
  • 看護師(准看護師含む)
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

この7職種のうち、いずれかの資格を所有している必要があります。

これに加えて平成30年度の介護報酬改定より、6ヵ月以上の実務経験を持つ鍼灸師(はり師・きゅう師)も機能訓練指導員として働くことが可能となりました。

デイサービスでは、これらの専門家が機能訓練指導員として従事し、手順を踏んで機能訓練を提供すると個別機能訓練加算という加算がつきます。

専門家からデイサービスでリハビリを受けられるということは施設のアピールポイントになっていることが多いため、退職者が出そうになると求人をかけるというケースが多いです。ただし、1つのデイサービスで1〜2名程度しか枠がないため、タイミングよく現実的な求人に出会えるかはわかりません。

デイサービスで働く機能訓練指導員の給料・年収について

機能訓練指導員の給料とは

デイサービスで働く機能訓練指導員の給料や年収は、どれくらいなのでしょうか?

ここでは、地方と首都圏内の機能訓練指導員の平均の「給料」「年収」「時給」をそれぞれご紹介します。

・年収:300万円~400万円
・月収:17万円~22万円
・時給:1200円~1800円
・年収:350万円~500万円
・月収:22万円~27万円
・時給:1400円~2000円
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機能訓練指導員として働く理学療法士や作業療法士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のそれぞれの給料についてこちらの記事でご紹介します。

まとめ

今回は、デイサービスに勤務する機能訓練指導員の特徴や仕事内容、給料についてまとめてご紹介しました。

ご利用者様のリハビリ業務を担当する機能訓練指導員は、誰でもなれるものではありません。よく勘違いされていますが、機能訓練指導員としてデイサービスで働けるのは、理学療法士作業療法士、言語聴覚士、看護師(准看護師)、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師(はり師・きゅう師)の8つの職種のうち、いずれかの国家資格を有する人だけです。

特に、看護業務と兼務ができる看護師(准看護師)は、全体の「66%」を占めています。このように、デイサービスでは機能訓練指導員として看護師の求人には高いニーズがあります。

皆さんもデイサービスの機能訓練指導員として働いて見ませんか。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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