ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
現場ノウハウ
評価
更新日:2024/10/10
医療・介護現場で検査するFIMの評価項目・評価方法がわからない、採点が不安な方はいませんか?FIM(機能的自立度評価表)は、日常生活動作(ADL)の介助量を評価するための方法で、評価用紙にある運動項目と認知項目の計18項目を7段階で評価します。今回は、FIMを初めて評価する方のために、FIMの特徴や評価項目などの基礎知識から採点方法までかんたんに解説します。
この記事の目次
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FIMとは、「Functional Independence Measure」略語で、1983年にGrangerらによって開発されたADL評価法です。FIMを日本語でいうと「機能的自立度評価法」といいます。
ADLの評価方法について知りたい方は、以下の記事もご一読ください。
▶︎ADLの評価方法とは|介護・看護・医療で把握する目的・項目や書き方を徹底解説
FIMの評価は、患者様や利用者様の日常生活動作(ADL)の介護量を測定することができ、ADL評価の中で最も信頼性と妥当性があるといわれています。医学的な知識がない方でも採点できるため、医療現場だけでなく介護現場でも活用されています。
FIMの評価項目は、運動項目と認知項目の計18項目で、各項目を1点〜7点の7段階で評価します。コミュニケーションや社会的認知などの認知項目を含むため、実際に日常生活で行っている動作を評価する、変化を確認するのに最適な評価方法です。
その他、FIMには以下の特徴があります。
ADLの評価は、FIM以外にもBI(バーセルインデックス)などがあります。BIについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
▶︎バーセルインデックスとは?評価項目と基準・評価する人・評価方法など
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FIMの評価項目は、セルフケア・排泄コントロール・移乗・移動を含めた運動項目、コミュニケーション・社会的認知を含めた認知項目の「計18項目」から構成されています。
【FIMの評価項目一覧】
▶︎ 運動項目(13項目)
セルフケア
(1)食事
(2)整容
(3)清拭
(4)更衣上半身
(5)更衣下半身
(6)トイレ動作
排泄コントロール
(7)排尿管理
(8)排便管理
移乗
(9)ベッド・椅子・車椅子移乗
(10)トイレ移乗
(11)浴槽・シャワー移乗
移動
(12)歩行・車椅子
(13)階段
▶︎ 認知項目(5項目)
コミュニケーション
(14)理解
(15)表出
社会的認知
(16)社会的交流
(17)問題解決
(18)記憶
医療・介護現場でFIMの評価をするとどのようなメリットがあるのでしょうか?
【FIM評価のメリット】
ADLの能力を評価するFIMの採点を行う場合に知っておきたい「3つのポイント」をご紹介します。
この3つのポイントを理解した上で、それぞれの項目を1点~7点で評価していきます。
▶︎ 運動項目の採点基準
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎ 認知項目の採点基準
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・補助)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
FIMの採点方法については知りたい方は、以下の記事もご一読ください。
▶ FIMのセルフケア(食事・整容・清拭・更衣・トイレ動作)の採点方法について解説!
ここからは、FIMの各評価項目の採点方法を詳しく解説していきます。まずはセルフケアの「食事」の採点方法です。
【食事の評価範囲】
FIMにおける食事の評価範囲は、食事が適切に用意された状態で①適切な食器・道具を使って、②食べ物を口に運ぶ動作から、③咀嚼し、嚥下するまでの3つの工程を評価していきます。
【食事の採点ポイント】
【食事の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
次にFIMのセルフケアの中でも「整容」の採点方法について解説していきます。
【整容の評価範囲】
整容の評価は、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃り、または化粧の5つの項目を評価していきます。
【整容の採点ポイント】
【整容の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
次に、FIMのセルフケア項目の中でも「清拭」の採点方法について解説していきます
【清拭の評価範囲】
清拭の評価は、身体を①胸部、②右上肢、③左上肢、④腹部、⑤右大腿部、⑥左大腿部、⑦右下腿部、⑧左下腿部、⑨陰部、⑩お尻」の10箇所に別けて、身体を洗う、すすぐ、乾かす(拭く)で評価します。
【清拭の採点ポイント】
【清拭の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎FIMの清拭の採点方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
続いてのFIM評価項目は、「更衣」です。更衣の評価は、「上半身」と「下半身」の2つに分けて着脱を評価します。
【更衣の評価範囲】
FIMにおける更衣の評価範囲は、衣類を「脱ぐ」「着る」を評価します。
【更衣の採点ポイント】
※入浴前後の更衣は、特殊な状態なので評価対象外となります!
【更衣(上半身・下半身)の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
FIMの更衣の採点方法について詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
▶︎FIMのセルフケア(食事・整容・清拭・更衣・トイレ動作)の採点・評価とは
次に、FIM項目の中でも「トイレ動作」の評価について解説します。
【トイレ動作の評価範囲】
FIMにおける更衣の評価範囲は、「衣類の着脱」「陰部を清潔にする」までを評価します。トイレを使用せず、尿器を使用してベッド上でトイレを済ませている場合は、ベッド上での動作を評価します。
【トイレ動作の採点ポイント】
【トイレ動作の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
FIMの評価の中でも採点が難しいとされる、排泄コントロールの「排尿管理」「排便管理」の2つの項目の採点方法について解説します。
【排泄コントロールの採点ポイント】
▶︎失敗の頻度による採点
◎7点
◎6点
◎5点
◎4点
◎3点
◎2点
▶︎介助量による採点
◎7点
◎6点
◎5点〜1点
【排泄コントロールの採点の注意点】
▶ FIMで知っておきたい排泄コントロール(排尿・排便)の採点方法
FIMの評価項目の中でも「移乗」の3項目の採点方法を解説します。
【移乗の3項目】
【移乗の評価範囲】
FIMにおける移乗の評価範囲は、ベッド・トイレ・浴槽(シャワー)のそれぞれの「座面から立ち上がる」「方向転換」「座る」までの乗り移ることを評価していきます。
例えば、トイレの場合であればトイレに近づく、離れる、ドアを開ける、ズボンを下ろす、お尻を拭くなどは評価対象外となるため注意して採点してください。
【移乗の採点ポイント】
【移乗の採点基準】
◎7点(完全自立
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎FIMの移乗の項目(ベッド・椅子・車椅子・トイレ・浴槽・シャワーチェア)の採点事例
次に、FIM評価の中でも「移動」の採点方法を解説します。
【移動の評価範囲】
FIMにおける移動の評価範囲は、「歩行」または「車椅子」で評価していきます。
【移動の採点ポイント】
【移動の採点基準】
▶︎50m移動が可能な場合の採点
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・準備)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
▶︎15m移動が可能な場合の採点
◎5点(監視・準備)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎FIMの歩行・車椅子移動と階段の採点に必要な知識をご紹介!
基本的にFIMの評価は「しているADL」で採点を行いますが、階段は、病院や施設に階段がない場合や評価の対象者が日常的に階段昇降をしない場合があります。このような場合は、評価を行う時だけの「できるADL」で採点しても構わないとされています。
【階段の採点ポイント】
【階段の採点基準】
■12〜14段の階段を昇降している場合
◎7点
◎6点
◎5点
◎4点
◎3点
■4〜6段の階段を昇降している場合
◎5点
◎2点
◎1点
▶︎FIMの歩行・車椅子移動と階段の採点に必要な知識をご紹介!
次に、FIM評価のコミュニケーションの項目である「理解」「表出」の採点方法を解説します。
【理解の評価範囲】
【表出の評価範囲】
【理解・表出の採点ポイント】
【理解・表出の注意点】
【理解・表出の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(補助・最小介助)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
続いて、FIM項目の中でも「社会的交流」の採点方法について解説します。
【社会的交流の評価範囲】
社会的交流では、家族やスタッフ、他の患者様と適切に交流しているか、集団へ参加しているかを評価します。
【社会的交流の採点ポイント】
【社会的交流の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・補助・最小介助)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶ FIMの社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)の採点方法
続いて、FIM評価の中となる「問題解決」の採点方法についてご紹介します。
【問題解決の評価範囲】
FIMの問題解決では、日常生活上の金銭的、社会的、個人的な問題を解決できるかを評価します。
【問題解決の採点ポイント】
【問題解決の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・補助・最小介助)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎FIMの認知項目(社会的交流・問題解決・記憶)の採点方法 とポイント
FIM評価の最後の項目となる「記憶」の採点方法についてを解説します。
【記憶の評価範囲】
記憶では、「頻繁に出会う人」「毎日の日課」「他人からの依頼」の3つの課題を覚えているかを評価します。
【記憶の採点ポイント】
【記憶の注意点】
【記憶の採点基準】
◎7点(完全自立)
◎6点(修正自立)
◎5点(監視・補助・最小介助)
◎4点(最小介助)
◎3点(中等度介助)
◎2点(最大介助)
◎1点(全介助)
▶︎FIMの認知項目(社会的交流・問題解決・記憶)の採点方法 とポイント
ここまでFIMの特徴や評価・採点方法について解説しましたが、FIMの採点方法の技術を高めるためには、本稿や関連書籍で基礎知識を学んだ後に患者様や利用者様の様々な事例を採点することが必要不可欠です。
さらに、FIMの評価方法について詳しく知りたい、もっと正しく採点できるようになりたいとお考えの方は以下のFIM講習会に参加するのも良いでしょう!
こちらの講習会では「初心者コース」と「経験者コース」を選択することができます。ちなみに私はFIMの経験者コースに参加していますが、FIMの採点でも特に難しいとされる「排泄コントロール」と「認知項目」の理解が深まる内容となりました。
◎FIM講習会 初心者コース
FIMの基本を学ぶための講習会です。
初心者がこの講習会を受けることでFIMを採点できるようになります。
◎FIM講習会 経験者コース
FIMの応用を学ぶための講習会です。
実際に現場でFIMを使用している方が対象です。
【FIMの講習会一覧】
北海道:旭川医科大学病院リハビリテーション科
東 北:東北大学大学院リハビリテーション医工学研究分野
関 東:慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
NPO法人東京多摩リハビリ・ネット
杏林大学医学部リハビリテーション医学教室共催
中 部:藤田保健衛生大学リハビリテーション部門
近 畿:兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
中国・四国:川崎医科大学リハビリテーション医学教室
九 州:産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座
▼興味がある方は是非こちらをご覧ください。
参照:リハビリテーション機能評価研究会「ADL評価法FIM講習会意見交換会」
(平成29年度10月4日アクセス)
FIMの評価は、患者様の「しているADL」を把握するために病院などで使用されていますが、未だリハビリスタッフが中心に採点している現状です。
近年、2016年度の診療報酬改定で、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)のアウトカム評価として「FIM評価」が導入されました。これは、質の高いリハビリテーションの提供や患者様の早期回復・早期退院を目的として、回復期リハ病棟の各患者に対し、しているADLの評価であるFIMをアウトカムとして数値化し、成果を出している回復期リハ病棟を評価するために設けられています。
このことから2016年以降、回復期リハビリテーション病院の看護師や介護士などもFIMの評価ができるように勉強会や研修会が行われています。
もしかするとこれからの未来、介護現場のアウトカムとしてもFIMの評価が指定される日が来るかもしれません。
今回は、FIMを初めて評価・採点される方に向けてFIMの18項目全ての採点方法をご紹介してきました。
いくら座学を学んだからといっても患者様や利用者様の状態はさまざまなため、FIMの点数にズレが出てしまったり、現場で採点に悩むこともあります。FIMを正しく評価できるようになるためには、座学だけでなく以下の手順でFIMを活用していくようにしましょう!
【FIMを正しく評価するための手順】
これらの手順を繰り返すことが、FIMの評価が正しく行えるようになる近道です。皆様も現場のスタッフ同士で話しながら積極的にFIMを活用していきましょう!
医療・介護現場で働くみなさんが自信を持ってFIMを評価できるようになっていただければ幸いです。
デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。
→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
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