理学療法士になるには|認定・専門理学療法士になる方法もご紹介

現場ノウハウ

資格・職種

更新日:2024/04/15

理学療法士になりたいと思っている方はいませんか?国家資格である理学療法士になるための道のりは簡単ではありません。理学療法士になるには、専門の養成校に入学し、必修の単位を取得・所定過程を修了した後に国家試験が待ち受けてます。この試験に合格してこそ理学療法士として現場で働くことができます。今回はそんな理学療法士になる方法について解説します。

理学療法士にはどうやってなるの?

病気や怪我などで身体に障害を持った方に対して、歩く・立つ・座るなどの基本的な動作の回復や障害の悪化の予防するリハビリテーションの専門家である理学療法士になるには、「国家資格の取得」が必要となります。
この国家試験を受けるためには、専門の養成校に入学し、人体の構造や病気について、電気刺激、マッサージ、温熱などの治療方法についてを学んでいく必要があります。
 

【関連記事】
理学療法士の仕事内容や活躍する職場、年収などもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
理学療法士とは|仕事内容から活躍する職場、年収を徹底解説​

理学療法士になるまでの手順は?


理学療法士になるために必要な国家資格を取得するには以下の手順が必要となります。

理学療法士の養成校に入学



理学療法士の国家試験を受けるためには、まず大学・短大・専門学校へ入学する必要があります。養成校には4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校(視覚障害者が対象)があります。


単位を取得(臨床実習もあり)

理学療法士の養成校では、必須の単位を取得し、所定の課程を修了する必要があります。

各校の卒業試験に合格する

必修の単位や各校で指定されている卒業試験を落としてしまうと、その年に国家試験を受けれなくなってしまいます。

国家試験を受ける

年に1度実施される理学療法士の国家試験を受けます。その試験を合格して初めて理学療法士として働くことができます。※国家資格は、国が法律で定め、国や地方自治体などが認定する資格です。理学療法士の場合は、「理学療法士及び作業療法士法」にもとづき、厚生労働大臣が免許を与えます。

理学療法士の国家資格を取得

国家試験に合格することで、晴れて理学療法士としてのキャリアのスタートです。

参照:公益社団法 日本理学療法士協会 冊子「理学療法士ガイド」(平成29年9月15日アクセス

他職種から理学療法士になる方法

同じリハビリテーションの専門家である「作業療法士」や「言語聴覚士」から理学療法士になる方法があります。すでに作業療法士や言語聴覚士の資格を持っている人は、養成校で2年以上学べば理学療法士の国家試験の受験資格が得られるようになっています。

また、外国の養成校を卒業した方、外国で理学療法士の免許を取得した人は、厚生労働大臣の認定を受ければ、理学療法士として働くことが認められたり、不足分の単位のみ取得すれば良い場合もあります。

【関連記事】
同じリハビリテーションの専門家である作業療法士について詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
作業療法士とは

理学療法士の試験概要とは?

平成29年の理学療法士の国家試験の科目を参考にすると、一般問題を1問1点で160点満点、実地問題を1問3点で120点満点で合計280点とし、以下の点数を満たした者が合格となります。




合格点総得点168点以上/280点

※そのうち、実地問題の点数が43点以上/120点



理学療法士の試験科目及び試験方法
筆記試験:一般問題及び実地問題に区分して次の科目について行う。

一般問題

解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)

臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法

実地問題

運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法



※ただし、重度視力障害者(両眼の矯正視力の和が0.04以下又は両眼による視野が10度以内で、かつ、両眼による視野について視能率による損失率が95%以上の者)に対しては、実地問題については行わない。また、重度視力障害者に対しては、点字、試験問題の読み上げ又はその併用による受験を認める。弱視者(良い方の矯正視力が0.15以下又は両眼による視野について視能率による損失率が90%以上の者)に対しては、弱視用試験による受験を認める。

参照: 厚生労働省 理学療法士国家試験の施行(平成29年9月15日アクセス)

理学療法士の合格率とは

平成29年出願者受験者数合格者数合格率
理学療法士14,379人13,719人12,388人90.3%
(うち新卒者)11,300人10,721人10,319人96.3%
作業療法士6,150人5,983人5,007人83.7%
(うち新卒者)5,432人5,303人4,800人90.5%

平成29年度の理学療法士の国家試験の合格率を見ると「90.3%」となっています。
決して低い数字ではないものの過去には70%台にまで合格率が落ちている年もありますので決して気を抜いて挑める試験ではないといえます。
過去の国家試験の合格率

  • 平成22年:74.3%
  • 平成23年:82.4%
  • 平成24年:89.0%
  • 平成25年:83.7%
  • 平成26年:82.7%
  • 平成27年:74.1%

参照:厚生労働省「第52回理学療法士国家試験及び第52回作業療法士国家試験の合格発表について」(平成29年9月15日アクセス

理学療法士のキャリアアップ制度とは

理学療法士の国家資格を取得した後も日本理学療法士協会からキャリアアップとして「新人教育プログラム」→「認定理学療法士」→「専門理学療法士」などの教育システム制度が設けられています。

このキャリアアップ制度の過程で、理学療法士に必要な基礎知識から、7つの専門分野(基礎理学療法、神経理学療法、運動器理学療法、内部障害理学療法、生活環境支援理学療法、物理療法、教育・管理理学療法)までを学ぶことができます。

資格取得後も現場で働きながら理学療法士としての専門性を高め、良質なサービスを提供する臨床能力を身につけていくことができます。

【理学療法士の生涯学習制度】

  • 新人教育プログラム
  • 認定理学療法士
  • 専門理学療法士

参照:公益社団法人 日本理学療法士協会 認知理学療法士制度(平成29年9月5日アクセス

認定理学療法士とは

認定理学療法士とは、理学療法士に関する23種類の項目から取得したい項目を選択し、認定理学療法士試験を受講します。2016年の時点では、延べ「2254名」が取得しています。

認定理学療法士の人数

  • 総会員数:96,648名
  • 認定理学療法士取得者数(延べ人数):2,254名
  • 認定理学療法士取得者数(実数):1,958名
    ※2016年4月1日データ

認定理学療法士の種類

  1. ひとを対象とした基礎領域
  2. 動物・培養細胞を対象とした基礎領域
  3. 脳卒中
  4. 神経筋障害
  5. 脊髄障害
  6. 発達障害
  7. 運動器
  8. 切断
  9. スポーツ理学療法
  10. 徒手理学療法
  11. 循環
  12. 呼吸
  13. 代謝
  14. 地域理学療法
  15. 健康増進・参加
  16. 介護予防
  17. 補装具
  18. 物理療法
  19. 褥瘡・創傷ケア
  20. 疼痛管理
  21. 臨床教育
  22. 管理・運営
  23. 学校教育

[出典]公益社団法人 理学療法士協会

認定理学療法士になるには

認定理学療法士になるには、以下の条件を満たした理学療法士協会員が定められた研修や課題をクリアし、認定試験を申請、これに合格する必要があります。

認定理学療法士の申請条件

  1. 新人教育プログラムが修了していること。
  2. 希望領域が含まれる専門分野に登録をしてから2年以上経過していること。
  3. 希望領域に該当する有効期限内の認定必須研修会を受講していること。
  4. 有効期限内の協会指定研修を受講していること。
    ※協会指定研修は、有効期限内であれば1回の受講で複数領域での使用が可能です
  5. 条件を全て満たし、かつ上記とは別のポイントとして、各領域の履修要件に即したポイント100pを取得していること。

認定理学療法士試験では、申請書類審査(ポイント)(事例・症例報告・レビューレポート)と試験を行った上で合否が発表され、晴れて認定理学療法士になることができます。

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事

他のテーマの記事をみる