介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験

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更新日:2024/11/06

高齢者人口が増加の一途の日本において、介護人材不足は大きな問題です。2040年度には介護職員が69万人も不足すると指摘されています。現場での人手不足にどのように向き合っていけば良いのでしょうか。今この最中にも解決策がなく頭を抱えている経営者や管理者の方もいるのではないでしょうか。今回は、介護現場におけるDX化をテーマに、デイサービスでの勤務経験もある一般社団法人エイジレスライフ協会理事の新開千世さんにICTツール導入の実体験を交えたコラムを寄稿してもらいました。

【今回の話者】
一般社団法人エイジレスライフ協会理事・看護師 :新開千世
介護福祉士取得後、働きながら看護師を取得。病院、施設にて勤務。デイサービスで管理職を経て、看護師・サービス管理責任者として従事。

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病棟などで経験を積みデイサービスの管理者・看護師に

私は、介護福祉士として施設やデイケアで働いた後、看護師の資格を取得し、病棟や施設で働き、介護業界の看護師になりたいと思い、デイサービスに転職しました。当時勤務していたのは25人定員の半日型デイサービス(稼働率は6〜8割程度)です。そこでは、管理者と看護師を兼任していました。

一面ガラス張りの白を基調とした内装で、一見デイサービスとは思えない空間。酸素BOXやエアーベッド、下肢機能訓練ができるマシン3台、エアバイク2台、平行棒やマッサージ機があるなど充実していました。強みは個浴に対応しており、さらに機能訓練もあるという事でした。

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膨大な書類業務のかたわら稼働率アップのために営業の日々

デイサービスでの人員配置は、15名までの利用者に対しスタッフが1名、その後5名ごとにスタッフ1名増える配置基準のため、25名だと3名のスタッフということになります。

しかし、25名のご利用者様に3名のスタッフということは現実的にありえません。

3つのお風呂場は常にフル稼働で、機能訓練指導員、当日リーダー、フロアを見る担当など、管理者を含めて常時8〜10名体制で回していました。

人件費がかなりかかっていたため、稼働率を上げるための営業に取り組む日々。

損益分岐点という言葉すら当時は知らなかったため、マネジメントの勉強に必死でした。そのかたわらでスタッフ研修用の資料の作成やキャリアパスに関する取り組み、国保連請求、そして計画書作成などの書類業務の対応もしなければいけません。

利用者110名分の計画書作成に忙殺、抜け漏れが常態化

デイサービスでは、管理者が通所介護計画書を作ります。

個別機能訓練計画書は看護師や理学療法士、柔道整復師などの機能訓練指導員が作成します。しかし、入社間もない柔道整復師は介護サービスが未経験だったため、生活の課題を見つけたり、目標達成のために、何をどうするかということがわからなかったため計画書を作成することができませんでした。そのため、看護師の私が個別機能訓練計画書を書いていました。利用者110名分もあったため、残業しながらやらざるをえなかったです。

私が入社するまでは、計画書作成が追いつかずに書類に抜け漏れがあったり、かなりずさんでした。また、機能訓練はマシンの動きに合わせた訓練しかできなかったのです。

マシンありきの機能訓練で90代女性利用者が抱えた羞恥心

そんな日々が続いていた中で、ある出来事が起きました。

座って片足ずつ乗せて開脚するマシンしか空いていなかったタイミングで、新人の機能訓練指導員は、90代女性のご利用者様に使用するように促しました。「これやりたくないわ」とおっしゃられたのですが、その指導員は「これは腿の筋肉にきくのでやって下さい」と応えたのです。

翌日、娘様から「あのマシンはやらせないでください」と電話が来ました。「あのくらいの年齢の女性は、人前で開脚をすることが恥ずかしいみたいです」という切実な理由を伺い、はっとさせられました。

本当はマシンありきの運動メニューではなく、個別の機能訓練を提供すべきだったのです。

展示会で出会ったICTツール「私たちの課題が解決できる」

管理者として自分のキャパオーバーと、施設としての課題に気付かされた時に、介護の展示会で出会ったのがRehab Cloud リハプランです。

展示会では、デモ機でご利用者様の現状の課題や、設定した目標からどのような訓練をしたら良いのかをソフトが導き出してくれ、その中から本人に合った訓練を選択できるところまで見せてもらいました。私たちが抱えていた課題がたった一つのICTツールで解決できることに驚きました。

すぐに上司に相談し、導入が決まりました。

計画書の作成だけではなく、モニタリングも、数字を打ち込むことでグラフ化、データ化してくれ、ケアマネジャーに報告する際も、目に見える結果のため自信を持って提出できるようになりました。

教育の観点でも、新人の機能訓練指導員に対して大活躍してくれました。利用者様の自宅での生活を想像し、課題や目標をヒヤリングし計画を立てることが苦手だった新人スタッフ。

リハプランには生活課題や目標が予め入っており、ソフトに導かれる通りに進んでいくと、見事な計画書が作成されます。

しかし、ソフトだけに頼るのではなく、考え方やつながりを一つひとつ丁寧に伝えながらサポートをしていったのです。

また、マシンありきの機能訓練しかなかったメニューが、30倍以上に増えました。これによってご利用者様一人ひとりに寄り添える運動を提供できるようになりました。

それまでは私一人で100人以上の通所介護計画書と個別機能訓練計画書、モニタリングを作成していましたが、作成する時間や労力は1/10に減り、新たな取り組みにも挑戦できるようになったのです。

口腔機能向上加算に挑戦する余力が持てた

新たな取り組みとは、口腔機能向上加算の算定です。

まずはじめに、パーキンソン病、脳梗塞後遺症、嚥下障害や嗄声、他にも独居でデイサービス以外で話す機会が少ない方に対して取り組みました。

リハプランに備え付けられたチェック項目と、反復唾液嚥下テスト(RSST)の分析で評価の仕方の方法については大きな学びを得られました。実際に、評価をすると全員が口腔機能訓練の対象者になったのです。

本人やご家族、ケアマネジャーにその評価を見せると、すぐにでも口腔機能訓練も入れて欲しいとの要望をもらい、加算のためだけではない口腔機能訓練を行うことが出来ました。

元々全体のご利用者様に向けに行っていた口腔機能訓練は、パタカラ体操や嚥下体操など、10年以上前の知識をそのまま実践していました。

その実践内容も全てリハプランのソフトに入っているものにリニューアルしました。

管理者として、加算はもちろん嬉しいですが、ご利用者様が前向きに取り組み、改善していく姿がとても嬉しく、これこそデイサービスでの機能訓練の醍醐味だと感じた体験でした。

看護師である自分が、まさか計画作成ソフトに教わるなんて考えたことがありませんでした。

しかし、看護師と言っても口腔専門ではありませんし、リハビリ専門でもありません。

デイサービスの管理者は、特定の資格が必要ないため、介護業務の経験がない他業種の管理職経験者が就く事もあります。

介護ソフトのリハプランは、管理者にとって教育面でも心強いパートナーと感じていました。

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利用者の社会自立を考えるのならDX化は避けられない

書類業務も順調で、これから稼働率をさらに上げようと思っている矢先、新型コロナウイルスによる未曾有の事態が起こりました。

志村けんさんの訃報は、当時デイサービスの職員とご利用者様で見ており、驚きを隠せない方や泣いてる方もおられました。

発熱者が出たため、閉所したり、入浴希望者のみ1時間3名対応とし、1日6回転をしたこともありました。利用人数は減ったもののとても忙しくなったのを覚えています。

老後の健康のために、1人で走ったりトレーニングをする人と、サークルなどに入り、運動はしなくても仲間と話す機会がある人。

5年後の健康を調査したところ後者のほうが、健康な人が多いという研究結果が発表されました。

デイサービスで、仲間と一緒に運動をしながら、健康寿命を延ばす。

デイサービスの役割はまさにそこにあります。

介護人材不足が社会問題とされてる今、DX化を真剣に考えることが、介護業界全体の動き、ご利用者様の生活やこれからを変えることは間違いないと考えます。

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

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この記事の著者

一般社団法人エイジレスライフ協会理事  新開 千世

介護福祉士取得後、働きながら看護師を取得。病院、施設にて勤務。デイサービスで管理職を経て、現在は障がい者グループホームも手懸けている一般社団法人エイジレスライフ協会にて理事就任。現場では看護師・サービス管理責任者として従事。実務者研修講師(介護過程Ⅲ、医療的ケア)としても活動中。地域包括ケアシステムに関わる人々を繋ぐハブとなれるよう、東葛医介塾を開設。塾長を務める。

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