【令和6年介護報酬改定】入浴介助加算の動向|都度更新

介護報酬改定

更新日:2024/07/25

令和6年度(2024年度)の介護報酬改定で入浴介助加算はどうなるのでしょうか。最新動向がわかり次第、この記事を更新していきます。令和6年度介護報酬改定について気になる方はぜひご参考ください。  

介護報酬改定(介護保険制度改正)とは

介護報酬改定は、介護報酬の適正化を図るため、国の財政やその時々の社会情勢・環境の変化、介護サービスの事情などを踏まえて、3年に一度のサイクルで行われる見直しのことです。

収益の大部分を介護給付で賄っている介護サービス事業所が多いため、介護報酬改定は決して他人事ではありません。基本報酬の減額で収益減につながる恐れがあり、その反対に新しい加算の創設によって収益増となることも見込めます。

新しいサービス区分の創設や廃止によって施設運営に大きな影響があるため、早めに情報収集し対応策を考えておくことが大切です。

介護・医療のダブル改定は6年ごと

介護分野における介護報酬と同じく定期的に見直しされている社会制度の中に、医療分野の診療報酬があります。介護報酬改定は3年ごと、診療報酬改定は2年ごとに行われているため、2つの報酬改定が重なる「ダブル改定」が6年ごとに訪れます。

介護報酬・医療報酬ともに被保険者からの保険料徴収と税金を財源としており、その財源をもとに介護保険制度では介護サービスの給付、医療保険制度では治療・投薬等の医療サービスが給付されています。

医療保険制度・医療保険制度は全く別々のものではなく、連携体制のもとサービス提供されていると考えて良いでしょう。ダブル改定は連携強化のための大切な機会ととらえて間違いなさそうです。

平成30年度(2018年)のダブル改定のポイント

平成30年度(2018年)のテーマは「医療と介護の連携」でした。医療・介護は施設から在宅や地域でケアしていく、という方針が色濃く出た改訂だったといえるでしょう。

平成30年度(2018年)の介護報酬改定は2017年4月26日から介護給付費分科会で議論が開始され、2018年4月より改定となっています。改定率は介護サービス全体で+0.54%となり、2015年の-2.27%を大きく上回っています。具体的な内容は以下の通りです。

  • 地域包括ケアシステムの推進
    住む地域に関係なく適切な医療・介護サービスを受けらえる体制の構築
  • 自立支援・重度化防止のための質の高い介護サービスの実現
    適切なリハビリテーションの提供・ADLの維持・改善に重点を置いた加算の創設
  • 制度の安定性・持続可能性の確保のための介護サービスの適正化・重点化
    福祉用具貸与の上限設定・訪問看護評価の見直し等による現役世代の負担軽減など
  • 多様な人材の確保・生産性向上
    介護業界の大きな課題である人材確保と生産性向上に向けた業務分担の見直しと効率化改善

令和6年度(2024年)のダブル改定のポイント

令和6年度(2024年)の改定では、より医療・介護の連携が強化されることが予想されます。介護報酬改定で焦点となるのは以下の項目です。

  • 訪問介護と通所介護を組み合わせて使える「複合型サービス」の創設
    最も注目度が高いのがこの「複合型サービス」の創設です。12年ぶりの新サービスとなり、多様化するニーズにこたえるための介護サービス拡充になります。月額の「包括報酬」であり、宿泊機能のない小規模多機能型居宅介護のようなサービスとなると予想されています。
  • アウトカム評価の強化
    令和3年の介護報酬改定では、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトカム(成果)のうち、アウトカムを重視した評価が強化されてきました。令和6年の介護報酬改定でも、LIFEのより一層の浸透と科学的介護の推進により、アウトカム評価が強化される見込みです。
  • 財務状況の明確化
    いままでは社会福祉法人のみ財務状況の提出・公表が義務化されていましたが、令和6年の改定ではその他の法人格(医療法人・株式会社等)についても同様のものが求められます。

【緩和・推進される項目】
居宅のケアマネも総合事業(要支援)のプランを扱えるようになる
医療情報と合わせた情報のデータ共有に向けた新しいプラットフォームの推進、各種申請書類の電子化を含むICT化の推進
地域包括支援センターの有資格者配置要件の緩和

【慎重な議論・議論延長されている項目】
要介護認定の有効期間拡大
「介護助手」の法制度上の明確化
特養の要介護1・2受け入れ幅拡大
老健・介護医療院の多床室の室料負担(前向きだが議論延長)
その他給付と負担全体の見直し(議論延長)

法改正までの流れ・スケジュール概要

令和6年の介護報酬改定の現在決まっているスケジュールは以下の通りです。

【令和5年】

  • 6月~夏頃 :主な論点について議論
  • 9月頃 : 事業者団体等からのヒアリング
  • 10~12月頃 :具体的な方向性について議論
  • 12月中 :報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・とりまとめ

※地方自治体における条例の制定・改正に要する期間を踏まえて、基準に関しては先行してとりまとめを行う。

令和6年度政府予算編成

【令和6年】

  • 1月頃 介護報酬改定案 諮問・答申

過去の介護報酬改定においても同じようなスケジュールで進められており、令和6年においても大幅な流れの変更はないでしょう。

介護報酬改定の全体像が見えてくるのは令和5年の12月ごろになりそうです。

参考:令和6年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)

令和6年度の介護報酬改定について

ここでは、令和6年度の介護報酬改定の方向性についてご説明します。

令和6年度の介護報酬改定では、令和3年度の介護報酬改定で打ち出された科学的介護の推進が引き継がれ、科学的介護の推進が加速します。自立支援介護に向けてケアプランやケアマネジメントの質を向上させるのが大きな狙いです。

居宅介護支援事業所においても、ケアプランの情報を利活用させるためにLIFEの提出が必要になってきます。ケアマネジャーは経験則ではなく、データベースやガイドラインに基づいたケアプランの作成、提出を求められます。

そのためには、他職種が連携してADLを評価するBI(バーセルインデックス)や認知症の周辺症状を評価するDBD13、口腔・栄養や褥瘡などさまざまな評価を定期的に実施する必要があるでしょう。
また、LIFEへのデータ提出も必須になると考えて間違いなさそうです。利用者の適切なアセスメントと担当者間の共有、フィードバックというPDCAサイクルを循環させるためにも、LIFEの活用は欠かせないといえます。

入浴介助加算に関する令和3年度介護報酬改定のおさらい

この記事では、介護報酬改定における入浴介助加算に関する情報をお伝えしていきます。

見直し内容

令和3年度の介護報酬改定では、単位数の見直しに加え、「入浴介助加算(Ⅱ)」が新設されました。

入浴介助加算(Ⅱ)は利用者の自宅の浴室環境を踏まえた個別入浴計画の作成と、入浴サービスの提供を評価する加算です。

施設での入浴サービスの提供だけにとどまらず、自宅での入浴まで視野に入れたサービス提供が求められるようになった点が大きな変更点と言えるでしょう。

単位数の変化

令和3年時の改訂前と改定後の単位数がどう変更されたかも振り返っておきましょう。

  改訂前 改定後
入浴介助加算(Ⅰ) 50単位 40単位
入浴介助加算(Ⅱ) -(新設) 55単位

令和3年度以前の入浴介助加算に比べ、入浴サービス提供が主な算定要件となる「入浴介助加算(Ⅰ)」は単位数が下げられています。

それに対し入浴介助加算(Ⅱ)が新設で55単位と大きな単位数になっており、「自宅での環境を視野に入れたサービス」を重視しているのがわかります。

現行の入浴介助加算の算定要件

それでは現在(令和3年報酬改定)の入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)の簡単な算定要件を紹介します。入浴介助加算は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の両方を同時に算定できません。算定するときはどちらか一方となります。

入浴介助加算(Ⅰ)

 入浴介助加算(Ⅰ)
単位数40単位/日
対象者要介護1〜5
算定要件 ・入浴中の利用者の観察(※)を含む介助を行う場合
・厚生労働省の入浴の施設基準(入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有している)を満たしていること
・通所介護計画に基づき、入浴介助を行うこと
・身体に直接接触する介助を行わなくても加算の対象となるため「見守り」でも加算対象となる
※この場合の「観察」とは、自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、極力利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として、身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、 加算の対象となるものであること。

入浴介助加算(Ⅱ)

入浴介助加算(Ⅱ)は(Ⅰ)の要件に加え、利用者宅の浴室環境を評価し、その上で入浴計画を作成する必要があります。加算(Ⅱ)も(Ⅰ)と同様に、併算定ができません。

 入浴介助加算(Ⅱ)
単位数55単位/日
対象者要介護1〜5
算定要件  ・厚生労働省の入浴の施設基準(入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有している)を満たしていること
・医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員その他の職種の者(以下この号において「医師等」という。)が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること
・浴室が利用者自身又はその家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にあると認められる場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員又は福祉用具専門相談員と連携し、浴室の環境整備に係る助言を行うこと
・機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者(機能訓練指導員等)が共同して、利用者の居宅を訪問した医師等と連携し、利用者の身体の状況、浴室の環境等を踏まえて個別の入浴計画を作成すること
・入浴計画に基づき、個浴、その他の利用者の居宅の状況に近い環境で、入浴介助を行うこと

算定状況

令和4年3月サービス提供分の入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)の通所介護事業所の算定率は以下になっています。

通所介護の算定状況

  入浴介助加算(Ⅰ) *  入浴介助加算(Ⅱ) * 
単位数 40 55 
算定事業所数 22,369  2,897 
算定率(事業所ベース 91.7%  11.9% 
算定回数・日数 (単位:千回・千日) 7,997.9 599.1 
算定率 (回数・日数ベース) 64.7%  4.8% 
算定単位数(単位:千単位) 319,947  32,952 

※ *は日数を算定 ※ 算定事業所数:介護保険総合データベースについて任意集計を実施。 ※ 算定率(事業所ベース):各加算算定事業所数/通所介護算定事業所数 ※ 算定回数・日数:介護給付費実態統計(月報・第9表/令和4年3月サービス提供分) ※ 算定率(回数・日数ベース):各加算算定回数・日数/通所介護算定総回数

参照:社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回)

入浴介助加算(Ⅰ)は事業所ベースで91.7%と、加算の中で最も高い算定率になっています。

すでに入浴サービスを行っている通所介護が非常に多いことと、算定要件がシンプルで算定のための作業負荷がそれほど重くならないことが関係しているでしょう。

回数・日数ベースでは64.7%と少し落ちるものの、入浴介助加算(Ⅰ)の算定率は高いと言えるのではないでしょうか。

それに対し、入浴介助加算(Ⅱ)の算定率は11.9%と算定率がぐっと低くなります。

利用者の自宅を訪問して入浴環境を確認することや、利用者宅に近い環境で入浴介助を行うなど、算定要件の作業負荷・ハードルが高いために、介護職員の手がそこまで回っていないのが実情と言えるでしょう。

地域密着型通所介護の算定状況

  入浴介助加算(Ⅰ) *  入浴介助加算(Ⅱ) * 
単位数 40 55 
算定事業所数 13,990  1,422 
算定率(事業所ベース 74.3%  7.6% 
算定回数・日数 (単位:千回・千日) 2,003.4  168 
算定率 (回数・日数ベース) 51.0%  4.3% 
算定単位数(単位:千単位) 80,144  9,242 

※ *は日数を算定 ※ 算定事業所数:介護保険総合データベースについて任意集計を実施。 ※ 算定率(事業所ベース):各加算算定事業所数/地域密着型通所介護算定事業所数 ※ 算定回数・日数:介護給付費実態統計(月報・第9表/令和4年3月サービス提供分) ※ 算定率(回数・日数ベース):各加算算定回数・日数/地域密着型通所介護算定総回数

参照:社会保障審議会 介護給付費分科会(第219回)

地域密着型通所介護の入浴介助加算(Ⅰ)は74.3%と通所介護に比べて少し数値が落ちるものの、加算の中では最も高い算定率です。

ただ、こちらも通所介護と同じく、入浴介助加算(Ⅱ)に関しては7.6%と算定率が伸びていません。

やはり前述したような算定要件のハードルの高さ、それに対する介護職員の不足・作業負荷の高さなどが算定率の低さに関係している様子です。

現状と課題・論点

日本デイサービス協会の入浴介助加算Ⅱの算定に関する指針によると、以下のように記述されています。

特に入浴介助加算Ⅱにおいては、算定における基準ともなるべきQ&A の発出が遅れたこともあり、ケアマネジャーとデイサービス事業者での考え方の相違が問題となっていることが協会の調査により明らかになりました。介護保険最新情報Vol.974 が発出された後も算定条件を満たしているにも関わらず「内容に納得いかない」「自立の必要性を感じない」の声と共に特に「ケアマネ事業所の方針により、一律的に算定を認めない」との事例も確認されていることについては、介護保険制度の目的から逸脱していることとして大きな問題と捉えております。

引用:入浴介助加算Ⅱの算定に関する指針

「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.8)(令和3年4月 26 日)」が発出され算定条件が明確化された後も、ケアマネやケアマネ事業所の判断によって算定を認められない、という事例が課題としてとらえられています。

自立支援を強化する流れにおいて、入浴介助加算(Ⅱ)は重要な加算のひとつです。できる限り算定していくことが推奨されるでしょう。

令和6年度介護報酬改定に関する関係団体ヒアリング内容

全国介護事業者連盟の『令和6年度介護報酬改定に関する意見』によると、入浴介助加算について以下のような意見が出されています。

◯通所サービスにおける入浴介助加算の見直し(P23)

通所サービスにおける入浴介助加算は、前回改定において個別の入浴介助を行うⅡ が創設されました。老健事業等の結果も踏まえ、より個別性を重視しつつ、新たな種類 と、個浴では無い入浴設備の事業所にも配慮した更なる見直しを検討頂くことを強く要望いたします。

引用:『令和6年度介護報酬改定に関する意見』全国介護事業者連盟

個別の入浴介助を評価する入浴介助加算(Ⅱ)に関しては一定の評価をしつつ、個浴以外の入浴設備の事業所が評価されるように見直してほしい、という要望がだされています。

通所サービス以外の施設では個浴以外の入浴設備もあるため、そこをどう評価していくのかが入浴介助加算の課題のひとつとなりそうです。

令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)

令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和6年度介護報酬改定に向けて基本的な視点(案)が出ました。

出典:令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要 資料2-1(社保審-介護給付費分科会 第227回)

基本的には、多様化する介護ニーズや地域特性に合わせた地域包括ケアシステムの深化・推進、令和3年介護報酬改定から推進されてきた自立支援・重度化防止に資するサービスの提供を引き続き推進していくこと、などが主軸と言えるでしょう。

また、良質なサービス提供と人材確保のため働きやすい職場環境づくりや柔軟なサービス提供の取組みにも言及されています。

現役世代の急速な減少や介護分野からの人材流出がみられる中、総合的な人材確保の取組みは喫緊の課題として考えられているようです。

財務省によるこれからの介護報酬改定への提言

令和5年11月1日に開かれた財政制度分科会(財務省)では、これまでの介護報酬改定の総括と、これから(令和6年度以降)の提言がなされました。

出典:財務省 財政制度分科会参考資料(令和5年11月1日開催)

財政制度分科会では、介護報酬改定については主に下記3つについての提言がされています。

  • 担い手の確保
  • 給付の適正化
  • 保険制度の持続性を確保するための改革

この中でも特に通所介護に関係の深いところは「担い手の確保」の部分です。

介護現場の生産性向上と業務効率化は、業界全体の喫緊の課題であり、ICT機器・介護ロボットの利活用の上での人員基準の緩和も検討されているところです。

また他の産業に比べ、介護業界においてソフトウェア投資額の伸びが小さいことにも言及されており、業界全体をあげて業務効率化のために取組みたい考えが示されています。

財務省からの提言なので、コストパフォーマンスを最大限に高めるのが重要とされています。これからはこの提言を踏まえた上で介護報酬改定の議論が進んでいくと思われます。

加算については、制度開始から種類が増加し体系が複雑化されたことが課題とされています。算定率ゼロ・算定率の低い加算については前回に引き続き加算の整理が行われる可能性があるでしょう。

入浴介助加算の単位について

令和6年1月22日の介護給付費分科会において、入浴介助加算の単位について以下の通り議論されています。
単位数の変更はないものの、現行の要件と比較し、入浴介助に関する研修等が義務付けられることにより、現場での負担は増加すると思われます。

【入浴加算(Ⅰ)の研修義務化】
入浴介助加算の単位数の変更はなし。現行の入浴介助加算(Ⅰ)の要件に加え、 入浴介助に関わる職員に対し、入浴介助に関する研修等を行うことを新たな要件として設ける。

出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)資料1令和6年1月22日

令和6年介護報酬改定の最新動向

ここでは、令和6年度介護報酬改定の最新動向をお伝えします。

取りまとめに向け介護報酬改定審議報告(案)を提示

令和5年12月11日に開かれた第235回社会保障審議会介護給付費分科会では、取りまとめに向け令和6年度介護報酬改定審議報告(案)が提示されました。

以下は入浴介助加算に関する項目を抜粋しています。
※【】内は対象サービス・介護予防についても同様の措置を講ずる場合には★を付記

通所介護等における入浴介助加算の見直し
【通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護★】

通所介護等における入浴介助加算について、入浴介助技術の向上や利用者の居宅における自立した入浴の取組を促進する観点から、以下の見直しを行う。

ア 入浴介助に必要な技術の更なる向上を図る観点から、入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件に、入浴介助に関わる職員が、入浴介助に関する研修等を受講することを新たな要件として設ける。

イ 入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件である、「医師等による、利用者宅浴室の環境評価・助言」について、人材の有効活用を図る観点から、医師等に代わり介護職員が訪問し、医師等の指示の下、ICT 機器を活用して状況把握を行い、医師等が評価・助言する場合も算定することを可能とする。加えて、利用者の居宅における自立した入浴への取組を促進する観点から、入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件に係る現行の Q&A や留意事項通知で示している内容を

告示に明記し、要件を明確にする。

引用:令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)資料2(社保審-介護給付費分科会第 235 回)

 入浴介助加算の見直し議論

令和5年10月26日に開かれた第229回社会保障審議会 介護給付費分科会では、入浴介助加算の見直しに関する議論が行われました。

入浴介助加算について以下のような見直し案が出ています。

出典:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護(改定の方向性)資料1(社会保障審議会介護給付費分科会第229回)

入浴介助加算(Ⅰ)については、算定率は高いものの研修の実施率がそれほど高くないためか、より適切な研修を行う体制にするため研修内容を算定要件に組み込むように議論されています。

入浴介助加算(Ⅱ)については、令和3年度に新設されてから算定率が低い状態です。自宅での入浴ができるようにするという自立支援が目的になっているのにも関わらず、算定率が低いことが課題となっています。

今後は算定率をあげていくために加算要件基準の緩和・QAの周知による教育的な取り組みなどが検討されているようです。

入浴介助加算は特に(Ⅰ)が90%近くの事業所が算定しており、注目度の高い議論と言えるでしょう。

介護報酬改定の施行6月案も

令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会では、介護報酬改定の施行時期が令和6年度4月から6月になるという議題も出ています。

すでに診療報酬の改定は6月1日からということになっています。それに合わせるのか、介護報酬は4月にするのかは今後待たれる議論です。

参考:介護報酬改定の施行時期について 資料3(社会保障審議会 介護給付費分科会 第227回)

引き続き続報をお待ちください。

令和6年度の介護報酬改定に関するその他の記事は以下です。こちらもぜひご参考ください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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