地域密着型通所介護の単位数一覧表【令和6年改定対応】
介護報酬改定
2024/11/06
介護報酬改定
更新日:2024/10/02
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定で口腔機能向上加算はどうなるのでしょうか。最新動向がわかり次第、この記事を更新していきます。令和6年度介護報酬改定について気になる方はぜひご参考ください。
この記事の目次
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介護報酬改定は、介護報酬の適正化を図るため、国の財政やその時々の社会情勢・環境の変化、介護サービスの事情などを踏まえて、3年に一度のサイクルで行われる見直しのことです。
収益の大部分を介護給付で賄っている介護サービス事業所が多いため、介護報酬改定は決して他人事ではありません。基本報酬の減額で収益減につながる恐れがあり、その反対に新しい加算の創設によって収益増となることも見込めます。
新しいサービス区分の創設や廃止によって施設運営に大きな影響があるため、早めに情報収集し対応策を考えておくことが大切です。
介護分野における介護報酬と同じく定期的に見直しされている社会制度の中に、医療分野の診療報酬があります。介護報酬改定は3年ごと、診療報酬改定は2年ごとに行われているため、2つの報酬改定が重なる「ダブル改定」が6年ごとに訪れます。
介護報酬・医療報酬ともに被保険者からの保険料徴収と税金を財源としており、その財源をもとに介護保険制度では介護サービスの給付、医療保険制度では治療・投薬等の医療サービスが給付されています。
医療保険制度・医療保険制度は全く別々のものではなく、連携体制のもとサービス提供されていると考えて良いでしょう。ダブル改定は連携強化のための大切な機会ととらえて間違いなさそうです。
平成30年度(2018年)のテーマは「医療と介護の連携」でした。医療・介護は施設から在宅や地域でケアしていく、という方針が色濃く出た改訂だったといえるでしょう。
平成30年度(2018年)の介護報酬改定は2017年4月26日から介護給付費分科会で議論が開始され、2018年4月より改定となっています。改定率は介護サービス全体で+0.54%となり、2015年の-2.27%を大きく上回っています。具体的な内容は以下の通りです。
令和6年度(2024年)の改定では、より医療・介護の連携が強化されることが予想されます。介護報酬改定で焦点となるのは以下の項目です。
【緩和・推進される項目】
居宅のケアマネも総合事業(要支援)のプランを扱えるようになる
医療情報と合わせた情報のデータ共有に向けた新しいプラットフォームの推進、各種申請書類の電子化を含むICT化の推進
地域包括支援センターの有資格者配置要件の緩和
【慎重な議論・議論延長されている項目】
要介護認定の有効期間拡大
「介護助手」の法制度上の明確化
特養の要介護1・2受け入れ幅拡大
老健・介護医療院の多床室の室料負担(前向きだが議論延長)
その他給付と負担全体の見直し(議論延長)
令和6年の介護報酬改定の現在決まっているスケジュールは以下の通りです。
【令和5年】
※地方自治体における条例の制定・改正に要する期間を踏まえて、基準に関しては先行してとりまとめを行う。
↓
令和6年度政府予算編成
↓
【令和6年】
過去の介護報酬改定においても同じようなスケジュールで進められており、令和6年においても大幅な流れの変更はないでしょう。
介護報酬改定の全体像が見えてくるのは令和5年の12月ごろになりそうです。
参考:令和6年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)
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ここでは、令和6年度の介護報酬改定の方向性についてご説明します。
令和6年度の介護報酬改定では、令和3年度の介護報酬改定で打ち出された科学的介護の推進が引き継がれ、科学的介護の推進が加速します。自立支援介護に向けてケアプランやケアマネジメントの質を向上させるのが大きな狙いです。
居宅介護支援事業所においても、ケアプランの情報を利活用させるためにLIFEの提出が必要になってきます。ケアマネジャーは経験則ではなく、データベースやガイドラインに基づいたケアプランの作成、提出を求められます。
そのためには、他職種が連携してADLを評価するBI(バーセルインデックス)や認知症の周辺症状を評価するDBD13、口腔・栄養や褥瘡などさまざまな評価を定期的に実施する必要があるでしょう。
また、LIFEへのデータ提出も必須になると考えて間違いなさそうです。利用者の適切なアセスメントと担当者間の共有、フィードバックというPDCAサイクルを循環させるためにも、LIFEの活用は欠かせないといえます。
この記事では、介護報酬改定における口腔機能向上加算に関する情報をお伝えしていきます。
令和3年度の介護報酬改定において、新しく口腔向上加算(Ⅱ)が創設されました。LIFEに情報を提出する場合は新しく創設された(Ⅱ)、提出しない場合は(Ⅰ)のみを算定します。
LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ ケアの向上を図ることを評価するのが口腔機能向上加算(Ⅱ)です。
令和3年以前の口腔機能向上加算の内容に加え、LIFEの活用によるPDCAサイクルの確立が求められるようになったのが大きな変更点といえるでしょう。
令和3年時の改訂前と改定後の単位数がどう変更されたかも振り返っておきましょう。
改訂前 | 改定後 | |
---|---|---|
口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位/回 | 150単位/回 |
口腔機能向上加算(Ⅱ) | -(新設) | 160単位/回 |
現行の口腔機能向上加算(Ⅰ)は令和3年以前と同じ単位数です。加算の目的である「口腔機能の改善及び維持介護度の悪化防止や改善」が求められていることがわかります。
それでは現在(令和3年報酬改定)の口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の簡単な算定要件を紹介します。
口腔機能向上加算は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の両方を同時に算定できません。算定するときはどちらか一方となります。
口腔機能向上加算(Ⅰ) | |
---|---|
単位数 | 要支援者:150単位 (1回/月あたり) 要介護者:150単位 (2回/月まで) |
算定要件 | ・言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員を1名以上配置していること。 ・利用者の口腔機能を利用開始時に把握し、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画を作成していること。 ・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画に従い言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が口腔機能向上サービスを行っているとともに、利用者の口腔機能を定期的に記録していること。 ・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画の進捗状況を定期的に評価すること。 |
口腔機能向上加算(Ⅱ) | |
---|---|
単位数 | 160単位/回 |
算定要件 | ・口腔機能向上加算(Ⅰ)の算定基準をすべて満たしていること ・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画等の内容等の情報を厚生労働省に提出(LIFE活用)していること ・口腔機能向上サービスの実施にあたり、当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(PDCAサイクルの運用) |
令和4年3月サービス提供分の口腔機能向上加算の算定率は以下になっています。
通所介護の算定状況
口腔機能向上加算(Ⅰ) | 口腔機能向上加算(Ⅱ) | |
---|---|---|
単位数 | 150 | 160 |
算定事業所数 | 1,917 | 1,459 |
算定率(事業所ベース | 7.9% | 6.0% |
算定回数・日数 (単位:千回・千日) | 74.7 | 79.6 |
算定率 (回数・日数ベース) | 0.6% | 0.6% |
算定単位数(単位:千単位) | 11,210 | 12,740 |
※ *は日数を算定 ※ 算定事業所数:介護保険総合データベースについて任意集計を実施。 ※ 算定率(事業所ベース):各加算算定事業所数/通所介護算定事業所数 ※ 算定回数・日数:介護給付費実態統計(月報・第9表/令和4年3月サービス提供分) ※ 算定率(回数・日数ベース):各加算算定回数・日数/通所介護算定総回数
口腔機能向上加算の算定率は事業所ベースで(Ⅰ)が7.9%、(Ⅱ)が6.0%と決して高い数字ではありません。回数・日数ベースでは(Ⅰ)(Ⅱ)ともに0.6%となり、さらに低くなります。
口腔機能向上加算よりも単位数の低い入浴介助加算は(Ⅰ)が40単位/月・事業所ベース91.7%と高い算定率になっていますから、口腔機能向上加算の低い算定率の問題は、単位数ではなさそうです。
算定要件を満たす負荷と単位数のバランスの悪さが要因となり、算定率の低さにつながっていると推察できるでしょう。
また、口腔機能向上加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)で算定率に大きな開きがありません。このことから、(Ⅱ)のLIFE導入・活用の手間の課題感ではなく(Ⅰ)の算定要件のハードルの高さのほうが大きな課題になっているといえます。
地域密着型通所介護の算定状況
口腔機能向上加算(Ⅰ) | 口腔機能向上加算(Ⅱ) | |
---|---|---|
単位数 | 150 | 160 |
算定事業所数 | 1,005 | 852 |
算定率(事業所ベース | 5.3% | 4.5% |
算定回数・日数 (単位:千回・千日) | 30.2 | 36.3 |
算定率 (回数・日数ベース) | 0.8% | 0.9% |
算定単位数(単位:千単位) | 4,523 | 5,810 |
※ *は日数を算定 ※ 算定事業所数:介護保険総合データベースについて任意集計を実施。 ※ 算定率(事業所ベース):各加算算定事業所数/地域密着型通所介護算定事業所数 ※ 算定回数・日数:介護給付費実態統計(月報・第9表/令和4年3月サービス提供分) ※ 算定率(回数・日数ベース):各加算算定回数・日数/地域密着型通所介護算定総回数
地域密着型通所介護の口腔機能向上加算(Ⅰ)は5.3%、(Ⅱ)が4.5%となり、通所介護よりもさらに低い算定率になっています。
算定率が低い原因はおそらく通所介護と同じで、単位数と算定要件のハードルの高さと単位数のバランス、介護職員の不足・作業負荷の高さなどが原因と推察できます。
※口腔機能向上加算に関する課題や論点はまとめられていません。
「全国介護事業者連盟」には、以下のように記載されています。
◯リハビリテーション・機能訓練・口腔・栄養の 一体的取組みの更なる評価(P11)
自立支援・重度化防止を推進する上で、リハビリテーション・機能訓練・口腔・栄養の一体的取組みの更なる評価をお願いいたします。また、関連する個々の加算の統廃合や、一体的な取組みによる自立支援・重度化防止を推進する包摂的な加算創設を検討くださいますようお願いいたします。
この要望から加算の多さや要件のわかりづらさをなくしてほしい、算定の作業負荷を軽減したいという思いが読み取れます。
特に口腔・栄養に関する加算は「口腔機能向上加算」「口腔・栄養スクリーニング加算」「栄養アセスメント加算」など細かく分かれているため、要件の確認や算定までの作業負荷が高くなっていると推察でき、それらの解消が求められているようです。
令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和6年度介護報酬改定に向けて基本的な視点(案)が出ました。
出典:令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要 資料2-1(社保審-介護給付費分科会 第227回)
基本的には、多様化する介護ニーズや地域特性に合わせた地域包括ケアシステムの深化・推進、令和3年介護報酬改定から推進されてきた自立支援・重度化防止に資するサービスの提供を引き続き推進していくこと、などが主軸と言えるでしょう。
また、良質なサービス提供と人材確保のため働きやすい職場環境づくりや柔軟なサービス提供の取組みにも言及されています。
現役世代の急速な減少や介護分野からの人材流出がみられる中、総合的な人材確保の取組みは喫緊の課題として考えられているようです。
口腔機能向上加算については、「介護報酬改定に向けた基本的な視点」の章にある以下の記載が該当しそうです。
②自立支援・重度化防止に向けた対応〇高齢者の自立支援・重度化防止という制度の趣旨に沿い、多職種連携やデータの活用を推進
・ リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組
・ LIFEを活用した質の高い介護
この記述から推測すると、リハ、口腔、栄養の一体的取組に対する新たな評価(加算項目)が生まれるかもしれません。
令和5年11月1日に開かれた財政制度分科会(財務省)では、これまでの介護報酬改定の総括と、これから(令和6年度以降)の提言がなされました。
出典:財務省 財政制度分科会参考資料(令和5年11月1日開催)
財政制度分科会では、介護報酬改定については主に下記3つについての提言がされています。
この中でも特に通所介護に関係の深いところは「担い手の確保」の部分です。
介護現場の生産性向上と業務効率化は、業界全体の喫緊の課題であり、ICT機器・介護ロボットの利活用の上での人員基準の緩和も検討されているところです。
また他の産業に比べ、介護業界においてソフトウェア投資額の伸びが小さいことにも言及されており、業界全体をあげて業務効率化のために取組みたい考えが示されています。
財務省からの提言なので、コストパフォーマンスを最大限に高めるのが重要とされています。これからはこの提言を踏まえた上で介護報酬改定の議論が進んでいくと思われます。
加算については、制度開始から種類が増加し体系が複雑化されたことが課題とされています。算定率ゼロ・算定率の低い加算については前回に引き続き加算の整理が行われる可能性があるでしょう。
令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会では、介護報酬改定の施行時期が令和6年度4月から6月になるという議題も出ています。
すでに診療報酬の改定は6月1日からということになっています。それに合わせるのか、介護報酬は4月にするのかは今後待たれる議論です。
続報をお待ちください。
参考:介護報酬改定の施行時期について 資料3(社会保障審議会 介護給付費分科会 第227回)
令和6年度の介護報酬改定に関するその他の記事は以下です。こちらもぜひご参考ください。
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