【令和6年介護報酬改定】ADL維持等加算の動向|都度更新
介護報酬改定
2023/12/01
介護報酬改定
更新日:2023/12/01
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定で通所介護・地域密着型通所介護の基本報酬や運営基準はどうなるのでしょうか。最新動向がわかり次第、この記事を更新していきます。令和6年度介護報酬改定について気になる方はぜひご参考ください。
→もう後回しにできないLIFE!介護報酬改定に備えよう
→無料研修会「【小濱氏解説】24年度介護報酬改定を見据えた デイサービスの生き残り経営戦略」
この記事の目次
▶︎令和6年度の介護報酬改定では、科学的介護の推進がさらに加速します。LIFEの利用も必須になっていくことが予想されます。スムーズにLIFEに情報を提出されている各地の事業所の事例をご紹介します。
介護報酬改定は、介護報酬の適正化を図るため、国の財政やその時々の社会情勢・環境の変化、介護サービスの事情などを踏まえて、3年に一度のサイクルで行われる見直しのことです。
収益の大部分を介護給付で賄っている介護サービス事業所が多いため、介護報酬改定は決して他人事ではありません。基本報酬の減額で収益減につながる恐れがあり、その反対に新しい加算の創設によって収益増となることも見込めます。
新しいサービス区分の創設や廃止によって施設運営に大きな影響があるため、早めに情報収集し対応策を考えておくことが大切です。
介護分野における介護報酬と同じく定期的に見直しされている社会制度の中に、医療分野の診療報酬があります。介護報酬改定は3年ごと、診療報酬改定は2年ごとに行われているため、2つの報酬改定が重なる「ダブル改定」が6年ごとに訪れます。
介護報酬・医療報酬ともに被保険者からの保険料徴収と税金を財源としており、その財源をもとに介護保険制度では介護サービスの給付、医療保険制度では治療・投薬等の医療サービスが給付されています。
医療保険制度・医療保険制度は全く別々のものではなく、連携体制のもとサービス提供されていると考えて良いでしょう。ダブル改定は連携強化のための大切な機会ととらえて間違いなさそうです。
平成30年度(2018年)のテーマは「医療と介護の連携」でした。医療・介護は施設から在宅や地域でケアしていく、という方針が色濃く出た改訂だったといえるでしょう。
平成30年度(2018年)の介護報酬改定は2017年4月26日から介護給付費分科会で議論が開始され、2018年4月より改定となっています。改定率は介護サービス全体で+0.54%となり、2015年の-2.27%を大きく上回っています。具体的な内容は以下の通りです。
令和6年度(2024年)の改定では、より医療・介護の連携が強化されることが予想されます。介護報酬改定で焦点となるのは以下の項目です。
【緩和・推進される項目】
居宅のケアマネも総合事業(要支援)のプランを扱えるようになる
医療情報と合わせた情報のデータ共有に向けた新しいプラットフォームの推進、各種申請書類の電子化を含むICT化の推進
地域包括支援センターの有資格者配置要件の緩和
【慎重な議論・議論延長されている項目】
要介護認定の有効期間拡大
「介護助手」の法制度上の明確化
特養の要介護1・2受け入れ幅拡大
老健・介護医療院の多床室の室料負担(前向きだが議論延長)
その他給付と負担全体の見直し(議論延長)
令和6年の介護報酬改定の現在決まっているスケジュールは以下の通りです。
【令和5年】
※地方自治体における条例の制定・改正に要する期間を踏まえて、基準に関しては先行してとりまとめを行う。
↓
令和6年度政府予算編成
↓
【令和6年】
過去の介護報酬改定においても同じようなスケジュールで進められており、令和6年においても大幅な流れの変更はないでしょう。
介護報酬改定の全体像が見えてくるのは令和5年の12月ごろになりそうです。
参考:令和6年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)
ここでは、令和6年度の介護報酬改定に置ける通所介護・地域密着型通所介護の位置づけや、介護報酬改定の方向性についてご説明します。
令和6年度の介護報酬改定では、令和3年度の介護報酬改定で打ち出された科学的介護の推進が引き継がれ、科学的介護の取り組みがさらに加速します。自立支援介護に向けてケアプランやケアマネジメントの質を向上させるのが大きな狙いです。
居宅介護支援事業所においても、ケアプランの情報を利活用させるためにLIFEの提出が必要になってきます。ケアマネジャーは経験則ではなく、データベースやガイドラインに基づいたケアプランの作成、提出を求められます。
そのためには、他職種が連携してADLを評価するBarthel Index(BI:バーセルインデックス)や認知症の周辺症状を評価するDBD13、口腔・栄養や褥瘡などさまざまな評価を定期的に実施する必要があるでしょう。
また、LIFEへのデータ提出も必須になると考えて間違いなさそうです。利用者の適切なアセスメントと担当者間の共有、フィードバックというPDCAサイクルを循環させるためにも、LIFEの活用は欠かせないといえます。
まずは通所介護・地域密着型介護に関して、令和3年度の介護報酬改定をおさらいしておきましょう。
通所介護は以下のほかに「大規模型Ⅱ」「大規模型Ⅰ」で分けられ、それぞれ報酬単位が決められていますが、いずれの規模でも単位がプラスされ、介護報酬は全体的にアップしています。
中でも地域密着型通所介護の単位増の幅が最も大きくなっています。
現行 | 改定後 | 増減 | |
---|---|---|---|
要介護1 | 648 | 655 | +7 |
要介護2 | 765 | 773 | +8 |
要介護3 | 887 | 896 | +9 |
要介護4 | 1,008 | 1,018 | +10 |
要介護5 | 1,130 | 1,142 | +12 |
現行 | 改定後 | 増減 | |
---|---|---|---|
要介護1 | 739 | 750 | +11 |
要介護2 | 873 | 887 | +14 |
要介護3 | 1,012 | 1,028 | +16 |
要介護4 | 1,150 | 1,168 | +18 |
要介護5 | 1,288 | 1,308 | +20 |
厚生労働省の資料「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」によると、通所介護の人員基準・設備基準に関しては以下のように記載されています。
人員基準では生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員に関して基準が設けられており、生活相談員又は介護職員のうち一人以上が常勤と定められています。
また、どの事業所でも機能訓練指導員は必ず配置が必要になっており、機能訓練を重視している様子がわかります。
設備基準では、食堂・機能訓練室・相談室が必要な設備と定められており、相談室は内容が漏えいしないよう配慮することが定められています。
食堂・機能訓練室に関しては必要な面積(利用定員×3.0㎡以上)となっていることから、リハビリに十分な広さを確保することが求められているのがわかります。
参考資料:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
厚生労働省の資料「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」では、現状の課題として以下の点が挙げられています。
◼報酬については、サービス提供時間、要介護度別、事業所規模「通常規模型」「大規模型Ⅰ」「大規模型Ⅱ」に応じた基本報酬が設定されている。※認知症対応型通所介護については、小規模であること、認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスであることにより基本報酬を高く設定している。
◼請求事業所数は、通所介護・地域密着型通所介護については、平成28年度までは増加傾向にあったが、その後はほぼ横ばいである。認知症対応型通所介護については、平成27年度までは増加傾向にあったが、その後は減少傾向にある。
基本報酬の請求事業所は平成28年度までは増加傾向にありましたが、その後はほぼ横ばいです。認知症対応型通所介護については基本報酬を高く設定しているにもかかわらず、平成27年度までは増加傾向、その後は減少傾向に転じています。
請求事業所数がのびていない理由は、デイサービス全体の数がほぼ横ばいであることが関係しているようです。
また、収支についての現状は以下の通りです。
◼収支差率は、令和3年度決算においては、通所介護が1.0%(対令和2年度比△2.8%)、地域密着型通所介護が3.4%(対令和2年度比0.6%)、認知症対応型通所介護が4.4%(対令和2年度比△4.9%)であった。
通所介護は対令和2年度でマイナス、プラスとなった地域密着型通所介護でも対令和2年度0.6%と非常に低い成長率となっており、収支面・経営面でも課題を抱えている可能性が考えられそうです。
令和6年度介護報酬改定関係団体ヒアリングが行われ、通所介護・地域密着型介護に関しては以下の要望が出ています。以下は日本ケアテック協会からの要望です。
1 令和6年度介護報酬改定に関する意見
サービス利用者数の増加の一方、相対的な担い手不足の観点からは、介護事業所・現場が混乱しない形で介護サービスの効率的な提供が不可欠である。そのためには、地域包括ケアについて、ICT、IoTを用いた地域包括ケアDXの推進が必要であり、その推進の観点から令和6年度介護報酬改定において、以下について検討いただきたい
③ ICT連携による質の向上に対する評価(参考:10,15頁)
• 在宅サービス事業者が利用者家族、事業者、各専門職種と情報通信機器を用いて個別にアセスメントやモニタリング、プラン作成等にあたって参照情報とした場合に、質の高いケアにつながるための取り組みとして評価いただきたい④ 事業所のICT推進に向けた評価(参考:16,17頁)
• 導入後の機器、サービス運用を円滑に行うために事前の検討を行うことが必要だが、現場にはそのような担当者は基本的にはおらず、適切なICT運用ができなければ、政府が目指す生産性向上にも寄与しないばかりか、セキュリティリスクを負うことにもつながりかねない。そのため、介護現場でICT導入に係る外部有識者・コンサルタント業務を行うにあたっての補助・助成の仕組みの充実を検討いただきたい• 介護のICT化とケアテック推進に向けては現場の理解と円滑な利用がカギとなるが、管理職・スタッフそれぞれの層にあわせた知識を身に着けることが重要となるため、資格要件の検討と、サービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算等においても評価していくことを検討いただきたい
これらの意見からは、介護現場におけるICT活用が必須になっていることを踏まえ、ICT導入や活用に対する評価・介護報酬の設置をしてほしい、また補助・助成の仕組みを強化してほしいという要望が読み取れます。
事業所のICT推進のためには、それを助ける仕組み・評価する体制が必要と感じているようです。
以下は、一般社団法人全国介護事業者連盟からの要望・一般社団法人日本デイサービス協会の提言になります。
◯通所サービスにおける生活相談員・看護職員の配置要件の見直し(P23)
通所サービスにおける生活相談員・看護職員の配置要件について、人材の効率化の観点から改めて要件見直しの検討をお願いいたします。
◯看護師確保については待遇も高く採用費も含め支出が多い上に確保が難しく、特に定員数の少ない事業者においては負担が大きい実情があります。また、デイサービスでの看護師業務についてはバイタル等の健康チェックと傷の処置等になることが多いですが、過去の国の調査で看護師が専門職として行うべき業務は2割程度で8割の業務は介護士と同じという結果が示されました。この辺りからも、看護師の専門的配置については緩和できると思います。
これらの提言からは、小規模事業者にとって看護師配置が負担になっているということ、業務内容から看護師の専門配置が緩和できるのでは、という要望が読み取れます。
「デイサービスの看護師の仕事内容が8割介護士と同じ」という結果が示されているため、看護師の配置については条件が緩和される動きが出るかもしれません。
令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和6年度介護報酬改定に向けて基本的な視点(案)が出ました。
出典:令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要 資料2-1(社保審-介護給付費分科会 第227回)
基本的には、多様化する介護ニーズや地域特性に合わせた地域包括ケアシステムの深化・推進、令和3年介護報酬改定から推進されてきた自立支援・重度化防止に資するサービスの提供を引き続き推進していくこと、などが主軸と言えるでしょう。
また、良質なサービス提供と人材確保のため働きやすい職場環境づくりや柔軟なサービス提供の取組みにも言及されています。
現役世代の急速な減少や介護分野からの人材流出がみられる中、総合的な人材確保の取組みは喫緊の課題として考えられているようです。
令和5年11月1日に開かれた財政制度分科会(財務省)では、これまでの介護報酬改定の総括と、これから(令和6年度以降)の提言がなされました。
出典:財務省 財政制度分科会参考資料(令和5年11月1日開催)
財政制度分科会では、介護報酬改定については主に下記3つについての提言がされています。
この中でも特に通所介護に関係の深いところは「担い手の確保」の部分です。
介護現場の生産性向上と業務効率化は、業界全体の喫緊の課題であり、ICT機器・介護ロボットの利活用の上での人員基準の緩和も検討されているところです。
また他の産業に比べ、介護業界においてソフトウェア投資額の伸びが小さいことにも言及されており、業界全体をあげて業務効率化のために取組みたい考えが示されています。
財務省からの提言なので、コストパフォーマンスを最大限に高めるのが重要とされています。これからはこの提言を踏まえた上で介護報酬改定の議論が進んでいくと思われます。
加算については、制度開始から種類が増加し体系が複雑化されたことが課題とされています。算定率ゼロ・算定率の低い加算については前回に引き続き加算の整理が行われる可能性があるでしょう。
令和5年11月27日の介護給付費分科会では、通所介護の送迎について議論されました。
デイサービスを始めとする通所型サービスの送迎の課題として、送迎業務を負担に感じる職員が存在すること、送迎車の運転業務を担う人材の確保の困難さがあります。
また自治体による送迎ルールの解釈が異なることもあったため、送迎の外部委託や、責任の所在を明確にした上で他事業所の利用者との乗り合いも可能とすることなどが議論されました。
出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第232回)令和5年11月27日 資料6
業務継続計画(BCP)は令和3年度の介護報酬改定の際、策定が義務付けられました。自然災害や感染症発生時にも介護サービスが提供し続けられるようにするのが目的です。
BCPの策定完了・策定中の事業所は8割を越え、BCP策定の経過措置期間の3年間も今年度いっぱいで終了になります。そのため介護給付費分科会ではBCPを策定していない事業所の基本報酬を減算する案が提示されました。
出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第232回)令和5年11月27日 資料3
令和5年10月11日に開かれた第227回社会保障審議会介護給付費分科会では、介護報酬改定の施行時期が令和6年度4月から6月になるという議題も出ています。
すでに診療報酬の改定は6月1日からということになっています。それに合わせるのか、介護報酬は4月にするのかは今後待たれる議論です。
参考:介護報酬改定の施行時期について 資料3(社会保障審議会 介護給付費分科会 第227回)
引き続き続報をお待ちください。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定を通じて、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。
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