ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
現場ノウハウ
お役立ち情報
更新日:2024/10/17
施設利用者は介護施設のスタッフに、自分の思いや言いたいことをさまざまな形で話しています。そういった利用者の声を受け止めるのが傾聴の技術です。ここでは、介護における傾聴の重要性や行動の仕方について解説していきます。
この記事の目次
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「傾聴」とは、「目・耳・心」を傾けて、利用者の話しを聴くコミュニケーション方法です。
「傾聴(積極的傾聴)」は、心理療法家ロジャーズが提唱したカウンセリングやコーチング技法です。「受容」「共感」などにより話し手の思考や感情を引き出して、相手を理解するための方法とされています。
介護現場の「傾聴」は、相手の立場になり共感の姿勢を示すことで、「信頼関係作り」「安心感の提供」「孤独感の解消」などに用いられます。一方で、正しく傾聴できないと「不信感」「ケアの拒否」につながるケースもあるため注意が必要です。
「傾聴」は、利用者との関係作りや、良いケアの提供につながるため、介護職は理解しておきたいコミュニケーション方法なのです。
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では、介護現場での傾聴には具体的にどのような効果があるのでしょうか。今回は下記の3つを解説します。
それぞれみていきましょう。
傾聴は、利用者の「ひとりではない」という実感につながります。
利用者の中には「同世代の友人との別れ」「パートナーとの死別」「退職による社会的役割の喪失」など、悲しみをともなう別れを経験した方もいます。
また、家族が周囲にいない状況で生活している場合もあり、環境面、精神面から孤独感を抱えている方も少なくありません。
話すことで「ひとりではない」という実感につながり、孤独感を解消できるでしょう。
傾聴により、利用者は「自己肯定感」を得られます。
「傾聴」はもともとカウンセリング技法のひとつです。「相手への共感」「肯定により相手を受け入れる」といった技術により、話す側は精神的な安心感を感じられるといわれています。
利用者は「しっかり自分の話を聞いてもらえている」「興味を持ってもらえる」と、満足感を得られるでしょう。
傾聴による、利用者の話への「共感」「受容」はお互いの信頼関係につながります。
傾聴がない会話は、一方的で相手に関心が払えません。利用者の話を「受け止める」「共感する」など、聴こうとすることで心を開くきっかけができます。
気の合うスタッフ、自分を委ねられるスタッフが見つかることで信頼関係の構築につながるでしょう。
傾聴は「ただ話を聴く方法」ではありません。相手のために行われるコミュニケーション技法であり、実践するためには具体的な技術を学ぶことが大切です。
ここからは、3つのステップに分けて傾聴の方法をみていきましょう。
それぞれ解説します。
まずは、相手の話を聴く「受容の姿勢」を示すことが大切です。
ポイントを下記にまとめました。
話を聴くときは「あなたの話を聴きたい」と相手に伝わるように目線をあわせます。相手を受け入れる姿勢を示して緊張をほぐして、話しやすい雰囲気作りを意識しましょう。また、話の内容によって「笑顔」「真剣な顔」など、表情にも要注意です。
「隣にひとがいる」「周囲がにぎやかすぎる」など、場所によってゆっくり話せない場合があります。特に利用者の中には耳が遠い方もいます。話をする場所にも気を遣いましょう。
傾聴するときは、相手に共感を伝えることで「話を聴いてもらえている」という実感につながります。「そうですね」「そう思います」「大変でしたね」など、言葉にして相手に伝えましょう。
このとき大切なのが「どんな内容でも否定せず、いったん受け入れる姿勢を示すこと」です。多くの場合、利用者が話をするのはアドバイスを求めているわけではなく、「とにかく話を聞いて欲しい」と思っているためです。
会話の内容に注目するのではなく、しっかり共感を伝えて「受け入れられているという安心感」を提供できるように意識しましょう。
相手の話は最後まで聴きましょう。
話の内容によっては「それは違うのではないか」「内容がわからない」など、自分の意見を言いたいこともあります。
しかし、あくまでも傾聴するのは利用者のためです。話をさえぎらないような返事や、質問をはさむことで自然な会話になり相手は安心感を得られます。
結果として、会話がはずみ利用者の「自己肯定感」や「孤独感の解消」につながるのです。
また、「沈黙」もコミュニケーションのひとつです。言葉が途切れて沈黙が続いても、相手が話そうとしているなら催促せず待ちましょう。
介護のコミュニケーションに関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護現場のコミュニケーションのコツ|高齢者との意思疎通の効果と重要性
最後に「傾聴のポイント」を3つご紹介します。このポイントを理解しておくことで、より良いコミュニケーションになりますのでぜひ最後までご覧ください。
それぞれみていきましょう。
なお、基本的な接遇マナーについては下記の記事でも解説していますのでそちらも参考にしてください。
▶︎介護の接遇マナーとは?5原則と正しい言葉遣いや身だしなみなどを解説
傾聴するときは否定せず、どんな話でもいったん相手を無条件で受け入れます。
受け入れていることを相手に伝えるためには、「姿勢」「表情」など、非言語コミュニケーションの活用(※)が大切です。アイコンタクトしたり、うなずきながら話を聴きましょう。
また中には「ほかの利用者の悪口」「倫理観のない話」など受け入れ難い話をされる方もいます。その場合「わたしもそう思います」と内容を肯定すると「あなたも同じ考えね」と、トラブルの原因になる可能性があります。
「相手を受け入れること」と、「話の内容を肯定すること」は似ているようで異なるものです。
「そうですか」「〇〇だと思うのですね」など、否定も肯定もせず、相手を受け入れる姿勢だけを伝えましょう。
※「非言語コミュニケーション」は、言葉以外の、ジェスチャー、ボディタッチなどを用いたコミュニケーションを指します。
傾聴のときは、相手の立場になり「うなづき」「アイコンタクト」をとりながら共感を示しましょう。利用者は「話を聴いてくれる」「理解してくれている」と感じられます。
また、利用者の中には、認知症により同じ話を繰り返したり、うまく話ができない方もいます。そうした状況も理解しながら、相手の立場で根気強く話を聞くことも大切です。
うなずきや相づちは「あなたの話を聴いている」という効果的なメッセージです。適度に相づちを打つことで、利用者は「聴いてもらえている」という安心感を得られます。
「笑う」「アイコンタクトする」なども、相づちと同じく会話にテンポを生んでより相手の話を引き出すきっかけにつながります。
なお、大げさな相づちは「子どものように扱われている」「話を聴いていない」と感じさせるため注意したほうが良いでしょう。あくまでも適度な相づちを意識してください。
利用者との話のネタや話し方に関して以下の記事でも詳しく紹介しています。こちらも参考にしてください。
▶デイサービスで話のネタに困ったら?朝の会・雑談で使える話のネタ|笑顔で会話できるようになるコツ
本記事は介護における傾聴について下記を解説しました。
介護現場での傾聴とは、相手の話を深く聴くためのコミュニケーション方法です。傾聴のときに大切なのは「共感を示す」「否定しない」「相手の立場で話を聴く」ことです。周囲の環境や、自分の表情などにも注意しましょう。
傾聴は正しい方法により「孤独感の解消」「自己肯定感を得られる」「信頼関係の構築」につながります。
「利用者との信頼関係作りが苦手」「もっと利用者の役に立ちたい」という方は、ぜひ本記事を参考に、傾聴に力を入れてみてください。
なお、リハビリ現場での利用者との関わり方が気になる方は下記の記事をご覧ください。
▶︎リハビリ意欲アップ!やる気を引き出す7つのポイント・現場の成功事例
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