介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
ICT活用
更新日:2024/08/28
介護現場の課題を解決するためにIoT機器を導入する施設が増えています。国からの補助金を利用できる機器もあり、課題のひとつである費用面の不安も解消されつつあります。人手不足解消・業務負担軽減を目的としてIoT導入を検討している方に、IoTの概要やメリット、利用できる補助金等について解説しています。
この記事の目次
まずはIoTの基本的な知識についておさえておきましょう。IoTとは、「Internet of Things」の略称で、直訳すると「モノのインターネット」です。
IoTを活用することで、モノにインターネットをつなげて遠隔からの操作や情報収集ができます。
日常生活でも使用されているようなIoTを活用した機器は、以下のとおりです。
このようなIoTの技術は生活だけでなく、介護現場でも導入が進められています。介護現場にIoTを導入することで、業務の効率化や介護サービスの向上などが期待できます。
「IT」「ICT」「IoT」の3つの用語の意味は、それぞれ以下のとおりです。
IT:コンピューターとインターネットを駆使する技術
ICT:インターネットを活用したコミュニケーション技術
IoT:さまざまなモノをインターネットに接続する技術
IT・ICT・IoTはいずれもよく使われる言葉ですが、上記のようにほとんど同じものを意味します。「介護のIoT化」は、介護現場にIoT技術を導入することです。
なお本記事では、現場に導入する技術のことを「IoT」と呼びます。
ICTに関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
▶「介護×ICT」で現場はどう変わる?メリットと導入事例・今後の展望
介護で活用されるIoTには、以下のような役割が期待されています。
利用者の状態を確認できるIoTシステムを導入すれば、遠隔からでもリアルタイムで見守れます。IoT技術には介護ロボットも含まれており、利用者への声かけによってコミュニケーションの促しが可能です。
また、排泄支援の機能を持つIoT機器があれば、効率的にオムツ交換やトイレ誘導ができるでしょう。介護業務だけでなく、書類業務を効率化できるIoTも多く提供されています。
このように、IoTは介護現場にとってさまざまな可能性を持っている技術です。IoTを活用して働きやすい環境を作ることで、介護業界で問題となる人材不足の解消にもつながるでしょう。
介護現場でIoTを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここではおもなメリットについて解説します。
IoTの導入によって、スタッフの業務負担を軽減できるのがメリットの1つです。IoTでは介護業務から書類業務まで、さまざまな仕事の効率化が可能です。
IoTが一定の業務をカバーすれば、空いた時間を介護サービス向上のための施策にあてられます。また業務負担が軽減できれば、残業時間の短縮につながります。
スタッフにかかる身体的・精神的なストレスもかかりにくくなり、職場の定着率アップにつながるでしょう。
業務改善に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
▶介護業界の業務改善のアイデア|具体的な業務改善ステップ・現場のストレスを減らすポイント
IoTの導入によって、情報共有やコミュニケーションの円滑化を図れます。IoT技術の1つに、タブレットで業務管理できるサービスがあります。
介護現場でタブレットを活用すれば、離れた場所にスタッフがいても簡単に情報共有が可能です。情報のやり取りが活発化すれば、スタッフ同士のコミュニケーションをさらに深められるでしょう。
職場内の人間関係が良好になることは、離職の防止にもつながります。
介護のコミュニケーション・情報共有に関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
▶介護現場のコミュニケーションのコツ|高齢者との意思疎通の効果と重要性
▶介護における情報共有の大切さ|スムーズに共有する方法・効率化するツール
緊急対応がしやすくなる、人為的なミスを防止できるのもIoTの大きなメリットです。遠隔で利用者を見守れるIoTは、転倒や急病などの予兆を素早く知らせてくれます。
遠くにいても緊急事態に気づけるため、素早い対応・処置が可能です。
また、IoTの活用で利用者の状態を詳しく把握しておくことで、人為的なミスも予防できます。業務ミスを減らしつつ、緊急時にすぐに対応できるようになれば、介護サービスの満足度も高まるでしょう。
介護現場のヒヤリハットに関して以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
▶介護のヒヤリハットとは?| 【事例21選】報告書の書き方・現場の取り組み
介護現場で活用される代表的なIoT技術は、おもに以下の3つです。
ここではそれぞれのIoT技術について詳しく解説します。
介護現場で使用される見守りシステムには、おもに「接触型」と「非接触型」の2種類があります。
接触型は人に接触することで反応する機器で、例としては以下のとおりです。
非接触型は、人が接触しなくてもセンサーやカメラから利用者の状態を把握できる機器です。これらの見守りシステムは、利用者の異常を検知するとアラートが送られる仕組みになっています。
そのため、遠隔からでも利用者の状態を管理できるのが大きな特徴です。見守りセンサーは、後述する介護ロボットやデバイスとの連携も可能です。
介護ロボットは、利用者の安全を見守るだけでなく、声かけによってコミュニケーションをサポートする役割もあります。
介護ロボットの種類によっては音楽にあわせて踊る、クイズを出してくれるなどの機能が備わっているものもあります。
人工知能を搭載しているロボットであれば、利用者との会話を学習して、より正確にコミュニケーションをとれるでしょう。
また、ロボットにカメラとモニターがついていれば、家族とのテレビ電話を楽しむことも可能です。
事務や書類作業などの間接業務の負担を軽減できるIoTも、数多く提供されています。とくに、タブレットでカルテや介護記録を入力できるIoTも徐々に普及してきています。
紙媒体からデジタル化へ移行することで、どこでも記録を入力でき、利用者情報のスムーズな共有が可能となりました。
また備品の在庫管理システムを導入すれば、在庫数の把握が容易となり、自動発注もしてくれます。このように、IoTはさまざまな間接業務を効率化するのに役立っています。
IoTの導入によってさまざまなメリットを得られますが、その一方で問題や課題もあります。
ここではIoT導入にともなう介護現場の課題とその解決策について解説します。
IoTの導入にあたって、費用面が課題になることは多いといえます。導入時の初期費用だけでなく、維持管理するためのランニングコストも計算する必要もあります。
インターネット環境や必要なデバイスが整っていなければ、まずはその準備から進めなければいけません。
また事業所の規模感によっても、IoTの導入のしやすさが変わってくるでしょう。このように、費用や準備の手間がかかることで、なかなかIoTの導入に踏み切れない場合もあります。
費用面の課題を解決するためには、IoT導入を支援する補助金制度の活用がおすすめです。詳細は後述しますが、補助金制度を活用することで費用面に関する問題の解消につながります。
現場スタッフへIoTについて理解してもらう必要がある点も、導入時の課題点です。IoTを活用するには、機器やシステムについてスタッフが理解したうえで操作する必要があります。
IoTに関する理解が十分ではないと、思うような効果は得られにくいでしょう。とくにはじめてIoTを導入する場合、スタッフに効果や操作方法について理解してもらうのは簡単ではありません。
なかには、介護ロボットやタブレットの導入に反対する方も出る可能性もあります。そのような問題を解決するためには、IoTに関する研修を開く、操作に詳しい担当者を決めておくなどの対策が必要です。
IoTを十分に理解してもらうには時間がかかるので、その点も踏まえてなるべく早めに対策を立てておくことが大切です。
IoT導入時は、補助金制度を活用すれば費用面の負担を軽減できます。
IoT導入時に活用できる補助金制度は、おもに以下のとおりです。
ここでは、それぞれの制度の概要について解説します。
ICT導入支援事業とは、厚生労働省が実施している補助金制度です。「地域医療介護総合確保基金」を財源にして、都道府県単位で補助金の提供を実施しています。
ICT導入支援事業は、ICTの活用によって事業所の業務が効率化され、スタッフの負担軽減を図ることを目的としています。
ICT導入支援事業の補助対象や上限額などを、以下の表にまとめました。
補助対象 |
|
---|---|
補助上限額 |
事業所の人数に応じて変動
|
補助要件 |
|
ICT導入支援事業はICTだけでなく、IoTでも条件に該当していれば利用可能です。
参考:厚生労働省|地域医療介護総合確保基金を利用したICT導入支援事業(2024年3月10日確認)
介護ロボット導入支援事業は、補助金によって介護ロボットの導入を支援する制度です。ICT導入支援事業と同じように、地域医療介護総合確保基金を財源としています。
介護ロボット導入支援事業の補助対象や上限額は、以下の表のとおりです。
補助対象 |
|
---|---|
補助上限額 |
【介護ロボット(1機器あたり)】
【見守りセンサーの導入にともなう通信環境整備(1事業所あたり)】
|
補助上限台数 | 必要台数に応じて |
IoTの導入を検討している事業所は、このような補助金制度をうまく活用してみましょう。
参考:厚生労働省|地域医療介護総合確保基金を利用した介護ロボットの導入支援(2024年3月10日確認)
介護現場にIoT機器を導入した通所介護事業所の事例について、以下の3例をご紹介します。
2004年に開業された宮城県富谷市の有限会社ケアオフィス「デイサービスけあふる」は、定員数35名の地域密着型の通所介護事業所です。日常生活動作の維持向上を重視し個別機能訓練に取り組んでおられます。エクセルでの計画書、モニタリング報告書作成などに苦労しておられ、特に抜け漏れや管理に課題があったそうです。打開策として書類作成業務の効率化が可能な「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。
書類管理が一括できるようになったことで職員同士の連携もスムーズになり、アラート機能による記入項目の抜け漏れや更新忘れを防げるようになったことで、業務効率化を実現しました。担当者は「もうエクセルでの作業には戻れません」と語っておられます。
▶︎導入事例:脱エクセル!書類の一括管理でスタッフ共有がスムーズに
1995年に開設された「栗橋翔裕園デイサービスセンター」は、定員数35名の通所介護事業所です。地域に根ざした事業所で、栗橋エリア近隣の方々を中心に利用されています。LIFEの提出内容や提出方法が複雑なため、業務の増加や属人化などの課題があったそうです。その打開策として、LIFE提出の効率化が可能な「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。
LIFE提出をIT化することにより、LIFE関連の作業時間が半分になり、相当の業務効率化が実現できました。リハビリ職員からも、「作成・管理がわかりやすくなった」と好評のようです。
▶︎導入事例:LIFE提出作業を脱属人化!「驚くほど簡単に引き継げた」
和歌山県海南市の「株式会社ハビリスケア」は、リハビリ特化型の通所介護事業所を運営しています。定員数は半日コース20名・1日コース25名で、歩行困難な方や介護度の高い方でも無理なく介護リハビリが受けられることが特徴です。しかし、計画書作成が長時間化して、職員の負担が非常に大きいという課題があったそうです。その打開策として、短時間で計画書が作成できる「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。
Rehab Cloudの導入により、残業時間を従来の5分の1に削減できました。職員の業務負担が減ったことで、利用者とより向き合えるようになりました。さらに、介護スタッフの機能訓練に対する意識や、ケアマネからの評価が変化したこともポイントです。
▶︎導入事例:残業時間が従来の5分の1に削減。仕事が楽しくなった。
介護現場におけるIoTの導入は、業務の負担軽減や情報共有の円滑化など、さまざまなメリットがあります。タブレットや介護ロボットなど、IoTにも多くの種類があるので、事業所のニーズにあったものを選択することが大切です。
導入したIoTをうまく使いこなすためには、スタッフにも機器やシステムに関する知識を共有しておく必要があります。また費用面の問題がある場合は、補助金制度の活用がおすすめです。
IoTのメリットや注意点などを十分に理解したうえで、ぜひ導入の検討をしてみましょう。
以下の記事ではITに関して詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
▶介護現場のIT化のメリット|改善可能な業務・導入手順・課題とは
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。
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