握力の平均値|男性・女性の平均値と握力測定のポイント
現場ノウハウ
2024/11/28
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評価
更新日:2024/11/05
ブルンストロームステージ(BRS:Brunnstrom Stage)とは、主に脳卒中で起こる片麻痺の程度を評価するためのスケールです。麻痺の回復過程をステージ化したもので、中枢神経麻痺に特有の運動パターンをテストし、手指・上肢・下肢の麻痺の評価を行います。この記事ではブルンストローム・ステージの概要やステージ、実施方法などについて解説しています。
この記事の目次
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ブルンストローム・ステージ(Brunnstrome stage::Brs)とは、脳血管疾患などにおける体の麻痺の回復過程を観察し、運動麻痺の程度を評価する方法です。
ブルンストローム・ステージは回復レベルによって、6段階のステージで表現し、3つの部位に分けられています。
ブルンストローム・ステージは、部位別に回復状態を評価できるため、麻痺の状態を把握しやすい評価です。医療や介護など広い場面で用いられており、利用者の麻痺に関する情報を共有する際にはブルンストローム・ステージで表現する場面も少なくありません。
ステージごとの特徴や評価方法などの知識を身につけておくと、日々のケアやリハビリ計画の作成に役立つでしょう。
介護現場においてブルンストローム・ステージは重要な評価スケールの1つです。
脳血管疾患は要介護状態になる原因として最も多いと厚生労働省より報告があり、介護現場において脳血管疾患に伴う麻痺は頻繁に関わる症状の1つになるでしょう。
ブルンストローム・ステージは、麻痺のある方の運動機能を情報共有する際に必要な評価指標になります。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのセラピストはこの評価指標を使って情報共有をすることがあるので、介護現場の申し送りなどで耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
仮に、全職員がブルンストローム・ステージを理解していた場合、評価した方のブルンストローム・ステージを伝達するだけで利用者の正確な麻痺の情報を把握することができます。
ブルンストローム・ステージは、正確かつ短時間で情報共有ができるツールになり得るのです。
介護現場では色々な職種で多くのスタッフが関わるため、評価者が全てのスタッフに麻痺の状態を言葉で説明するのは容易ではありません。
利用者に関わるスタッフがブルンストローム・ステージを理解しておくことで、利用者の正確な情報を共有でき、日々のケアもスムーズに行えることでしょう。
たとえば、麻痺のレベルがブルンストローム・ステージⅠの利用者がいたと仮定しましょう。ブルンストローム・ステージⅠの場合、麻痺側の自動運動はできません。ケアの方針の中で「なるべく自身で生活動作を行う」という方針があったとしても、ブルンストローム・ステージⅠの方の麻痺側の動作を促すことは困難です。
つまり、ブルンストローム・ステージⅠの方の生活動作を支援する中では、麻痺側の自動運動ができないことを念頭においてケアしなければなりません。介護現場において、麻痺のある方をケアするのであれば、ブルンストローム・ステージは抑えておくべき評価スケールです。
また、ブルンストローム・ステージは各職種で活用できる情報になります。介護士では日用生活の支援をする際に役立つ情報となり、看護師では全身状態の管理に役立ちます。また、ケアマネジャーは、介護計画を立案するための重要な情報となるでしょう。
ブルンストローム・ステージは、リハビリ職のみでなく、全ての職種が活用できる重要な評価です。麻痺のある方に関わるスタッフは、把握しておきましょう。
ここでは、ブルンストローム・ステージの分類について解説します。ブルンストローム・ステージの分類は、評価スケールを理解するために必要なので抑えておきましょう。
ブルンストローム・ステージは、回復レベルによって6つのステージに分類されます。数字が小さいと麻痺の症状が重く、数字が大きいと麻痺の症状が軽いと判断できます。ステージごとの詳細は、以下の通りです。
等級ステージ | 機能段階 | 詳細 |
---|---|---|
ステージⅠ | 随意運動なし(弛緩) | 意図的に筋肉を収縮することができない |
ステージⅡ | 連合反応 | 意図的、反射的な筋収縮が少し見られる |
ステージⅢ | 共同運動 | 随意的で大きな運動が可能 |
ステージⅣ | 分離運動が出現 | 随所で機能的な動きが可能 |
ステージⅤ | 分離運動の範囲拡大 | 自立した生活ができる |
ステージⅥ | 意図的に分離運動が可能 | 正常に近い運動レベルまで達成 |
ブルンストローム・ステージは、ステージごとに回復の段階や身体機能が異なります。結果を正しく解釈するために、各ステージの特徴は抑えておきましょう。
さらに、ブルンストローム・ステージは以下の3つの部位に分けて測定します。
3つの部位に分けて麻痺の程度を測定することで、利用者の身体機能を詳細に評価することができます。
ブルンストローム・ステージを記載する際は「ブルンストローム・ステージ:上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅴ」のように表現されることが多いです。
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ブルンストローム・ステージの評価ステージについて部位別に解説します。
部位別の評価ステージの内容は以下のようになります。
等級ステージ | 上肢 | 手指 | 下肢 |
---|---|---|---|
ステージⅠ | 自分で意図的に力を入れられない状態 | ||
ステージⅡ | 腕の上げ下ろしはできないが、力は入る | 少しでも指が曲がる | 脚の曲げ伸ばしはできないが、力が入る |
ステージⅢ | 自分で意図的に腕の上げ下ろしができる | こぶしを握れるが、曲げた指が伸びない | 自分で意図的に脚の曲げ伸ばしができる |
ステージⅣ | 以下のうち1つ以上可能・手の甲を背中につける・肘を伸ばした状態で、腕を90°前に上げる・肘を90°に曲げた状態で、手のひらを天井や床に向ける | 握りこぶしの状態から、少しでも親指を離す | 以下のうち1つ以上可能・座り姿勢で足を後ろに引く・座り姿勢で踵を床に付けたまま、つま先を上げる |
ステージⅤ | 以下のうち1つ以上可能・肘を伸ばした状態で、頭まで手が上げる・肘を伸ばした状態で、腕が横方向に90°の高さまで上げる・肘を伸ばした状態で、手のひらを天井や床に向ける | 以下のうち1つ以上可能・物をつまむ・指をすべて伸ばす・ボールを握る形にする・筒を握る形にする | 以下のうち1つ以上可能・立った姿勢で、足をお尻に近づけるように膝を曲げる・立った姿勢で、膝を伸ばしたまま、つま先を上げる |
ステージⅥ | 腕の上げ下ろしが十分にできて、正常に近い早さで円滑に動く | 指の曲げ伸ばしが十分にできて、つまむ動きや握る動きが円滑にできる | 以下のうち1つ以上可能・立った姿勢で、脚を横に開く・座った姿勢で、膝を90°曲げたまま、足の裏を内側や外側に向ける |
ステージⅠからⅢでは、3部位でチェックする内容は共通しており、被検者が意図的に力を入れて動かすことが可能か評価します。
ステージⅣ以降では、部位ごとに指定された運動を実施できるかについて評価します。どの部位もステージが高くなるにつれて、運動の難易度が高くなるのが特徴です。
ブルンストローム・ステージの流れについて解説します。効率よく測定するために、測定の流れを抑えておくと良いでしょう。
ブルンストローム・ステージの測定では、まずステージⅢのテストから始めます。ステージⅢが不可能な場合は、ステージⅡのテストを実施しましょう。
ステージⅡのテストの結果、不可能であれば判定はステージⅠ。ステージⅡのテストが可能であればステージⅡになります。
ステージⅢのテストが可能な場合は、ステージⅣのテストを実施し、それが可能であればステージⅤのテストに進みます。
最終的にステージⅤのテストが可能であり、ステージⅥのテストも可能であれば、判定はステージⅥです。
テスト中は、不可能が確認できるステージに注目しましょう。
不可能が確認できたステージの1つ前のステージが判定結果となります。たとえば、ステージⅣのテストは可能であり、ステージⅤのテストが不可能であれば、判定はステージⅣです。
以上の基本的なブルンストローム・ステージのテストの流れを抑えておくことで、不要なテストを省くことができ、被検者の負担を軽減しつつ、効率的に評価が行えるでしょう。
ここでは、上肢・下肢・手指のステージごとに評価方法を解説します。
共通のポイントとしてStageⅡの「力が入るかを確認する」という評価があります。この評価は、評価したい部位に検査者が触れ、触れている部位の筋肉の収縮が確認できるかどうかによって判断しましょう。
上肢のブルンストロームテストStageⅠ~Ⅲでは、まず座った姿勢で腕の上げ下ろしができるかを評価します。
意図的に十分な腕の上げ下ろしができれば、判定はStageⅢ です。腕を十分に上げ下ろすことができない場合、肩や腕に力が入るかを確認しましょう。肩や腕に力が入ることが確認できれば、StageⅡと判定できます。
被検者が自ら上肢に力を入れることができなければ、判定はStageⅠです。
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上肢のブルンストロームテストStageⅣ~Ⅵは、腕の曲げ伸ばしが十分にできる(StageⅢ)ことを確認してから実施しましょう。
上肢のブルンストロームテストStageⅣ~Ⅵでは、まずStageⅣのテストから始めます。
StageⅣのテストでは、以下の3つの動作のうち、1つ以上の動作が可能かチェックしましょう。
動作が1つ以上できれば、StageⅤのテストを実施します。1つもできなければ、判定はStageⅢです。
StageⅤのテストでは、以下の3つの動作のうち1つ以上の動作が可能かチェックしましょう。
動作が1つ以上できれば、StageⅥのテストを実施します。1つもできなければ、判定はStageⅣです。
StageⅥのテストでは、腕の上げ下ろしが十分に行え、正常に近い早さで円滑に動かせるかをチェックしましょう。麻痺していない側の動作と比べて、ほとんど同じように円滑に動作が可能であれば、判定はStageⅥです。
麻痺していない側と比べて、明らかに動作が遅い場合は、StageⅤと判定します。
下肢のブルンストロームテストStageⅠ~Ⅲでは、まず仰向けに寝た姿勢で脚の曲げ伸ばしができるかを評価します。
意図的に十分な脚の曲げ伸ばしができれば、判定はStageⅢです。
脚を十分に曲げ伸ばしできない場合、股関節や太ももに力が入るかを確認しましょう。股関節や太ももに力が入ることを確認できれば、StageⅡと判定されます。
被検者が自分で脚に力を入れることができなければ、判定はStageⅠです。
下肢のブルンストロームテストStageⅣ~Ⅵは、脚の曲げ伸ばしが十分にできる(StageⅢ)ことを確認してから実施しましょう。
下肢のブルンストロームテストStageⅣ~Ⅵでは、まずStageⅣのテストから始めます。
StageⅣのテストでは、以下の2つの動作のうち1つ以上可能かチェックしましょう。
1つ以上できれば、StageⅤのテストを実施します。
1つもできなければ、判定はStageⅢです。
StageⅤのテストでは、以下の2つの動作のうち、1つ以上の動作が可能かチェックしましょう。
動作が1つ以上できれば、StageⅥのテストを実施します。1つもできなければ、判定はStageⅣです。
StageⅥのテストでは、以下の2つの動作のうち1つ以上の動作が可能かチェックしましょう。
動作が1つ以上できれば、判定はStageⅥです。1つもできなければ、StageⅤと判定します。
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手指のブルンストロームテストでは、まず、こぶしを握れるかを評価しましょう。意図的にこぶしを十分に握れれば、判定はStageⅢです。
こぶしを十分に握れなくても、手指に力が入ればStageⅡと判定できます。被検者が自分で力を入れられなければ、判定はStageⅠです。
こぶしが十分に握れることが確認できた場合、手指のブルンストロームテストStageⅣ~Ⅵを測定しましょう。
まずStageⅣのテストでは、握りこぶしの状態から、少しでも親指を離す動作が可能かチェックします。可能であれば、StageⅤのテストを実施します。動作が行えなければ、判定はStageⅢです。
StageⅤのテストでは、以下の4つの動作のうち、1つ以上の動作が可能かチェックしましょう。
動作が1つ以上できれば、StageⅥのテストを実施します。1つもできなければ、判定はStageⅣです。
StageⅥのテストでは、指の曲げ伸ばし動作、つまむ動きや握る動きが円滑に行えるかをチェックしましょう。
麻痺していない側と比べて、ほとんど同じように円滑な動作が可能であれば、判定はStageⅥです。
麻痺していない側と比べて、明らかに動きが遅ければStageⅤと判定します。
ブルンストローム・ステージについて、介護現場で用いるメリットやステージごとの特徴、測定方法などを解説しました。
ブルンストローム・ステージは、介護現場で関わる機会が多い脳血管障害の麻痺を測定する重要な評価スケールです。身体機能の把握や日常生活を支援するための情報として役立ちます。
また、多職種が関わる介護現場では、申し送りなどの情報共有を円滑に行うためのツールとしての活用も期待できるでしょう。
ブルンストローム・ステージが活用できれば、多くのメリットが得られます。スタッフと知識を共有し、実際に現場で活用できると、日々のケアの質を高められるでしょう。
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