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機能訓練
2024/11/01
機能訓練
全身
更新日:2024/10/21
パーキンソン病のリハビリについて、目的や重要性、具体的な訓練方法を詳しく解説します。初級から上級レベルの訓練、日常生活への応用、効果的な機能訓練・リハビリのポイントや注意点、歩行練習、評価方法、よくある疑問とその解決策も紹介しています。リハビリを通じて、生活を支援するための実践的な記事です。
この記事の目次
パーキンソン病におけるリハビリについて紹介します。
機能訓練は、パーキンソン病における主要な治療の1つです。まずパーキンソン病におけるリハビリの内容について解説します。
主な機能訓練の内容には、以下の項目があります。
パーキンソン病を患うと、神経の影響で体や手足が固くなり、動きにくい状態になります。そのため、関節の柔軟性や筋力の低下、バランス能力が低下しやすくなります。また、症状の進行に伴って特徴的な歩行障害が出現します。
歩行は、生活やQOLに大きく影響する動作です。
身体機能を維持・向上させて生活動作能力の低下を予防するため、関節可動域、筋力強化、バランス、特徴的な歩行などに対応した訓練を行う必要があるでしょう。
パーキンソン病は症状の進行に伴い、自力で行うことが難しい動作が増えるため、生活が徐々に変化します。そのため、生活機能訓練によって、体の能力に合った生活動作の訓練をすることが重要になるでしょう。
以下で、どのようなパーキンソン病患者の方が機能訓練を行う対象になったり、どのような場所で機能訓練を行なったりするのかについて解説します。
なお、介護現場では、機能訓練とリハビリは同じ意味で用いられることがあります。しかし、医療現場では、機能訓練とリハビリは明確に分けて考えられます。
【パーキンソン病患者の機能訓練の対象者】
パーキンソン病と診断された場合、一般的にすべての方が機能訓練の対象になります。
特に高齢者の場合、パーキンソン病の影響に加えて、加齢によって身体機能が低下しやすいため積極的な訓練を行う必要性のあるケースは少なくありません。
ただし、パーキンソン病では、疲れやすさや自律神経症状などを引き起こす恐れがあります。全身の状態によっては、機能訓練について専門の病院と相談するようにしましょう。
【パーキンソン病患者が機能訓練を行う場所】
パーキンソン病の機能訓練は、医療現場と介護現場のどちらの環境でも行われます。
医療現場では、主に入院や外来通院によって訓練を行います。
介護現場では、訪問サービスや通所サービスなどで機能訓練を行うことが多いでしょう。
また、パーキンソン病は症状の進行に応じて生活が変化するため、医療や介護に関わらず生活に合わせた環境で機能訓練を行うことが大切です。よって、訪問サービスを活用して、自宅内環境で訓練することが重要になるケースも少なくありません。
パーキンソン病における機能訓練の目的は、主に以下の3つです。
それぞれの項目について解説します。
【身体機能の維持向上】
身体機能の維持向上を図ることは、機能訓練の大きな目的になります。パーキンソン病は、体を動かすこと自体が大変になるため、活動量が大きく減少します。
活動量が減ると、関節可動域の制限や筋力低下、バランス能力の低下など、顕著に身体機能の低下が現れるでしょう。
身体機能の低下は、さらに活動を困難にする原因となります。また、パーキンソン病は進行性の病気のため、一般的に時間が経過するほど身体機能が低下します。
動きやすい身体状況を維持するためにも、発症後早期から訓練を行うことが大切になるでしょう。
【日常生活能力の維持】
パーキンソン病は病気の進行に伴い、滑らかな動きや素早い作業が困難になります。そのため、日常生活や家事動作が少しずつ困難となり、最終的には介護が必要な状態となることが多いでしょう。
日常生活や家事動作を自分で行えなくなってしまった場合、QOLが大きく低下してしまいます。日常生活の機能訓練によって、体の使い方や補助具の使い方を訓練し、できるだけ長く日常生活能力を保つことが大切になります。
【二次的な合併症の予防】
二次的な合併症とは、ある障害によって引き起こされる、別の障害のことを指します。
パーキンソン病を患うと、誤嚥や転倒などの重大な問題を引き起こす恐れがあるため、特に注意が必要になるでしょう。
誤嚥や転倒は機能訓練によって防げることもあります。安全な生活のためにも、機能訓練をして二次的な合併症を予防することが重要です。
パーキンソン病の症状には、四大徴候と呼ばれる特徴的な症状があります。
以下で詳細に解説します。
安静時振戦 | 安静にしているのに手や足が振える、精神的な緊張などで振え大きくなる |
---|---|
筋固縮 | 関節や筋肉が固くなる、こわばる、他人が体を動かすとき抵抗感がある |
無動・寡動 | 動きが遅くなる、思うように動けない、動き出しが遅い、動きが小さくなる |
姿勢反射障害 | 立ったり歩くときにバランスが悪い、自分でバランスがとれなくなる |
またパーキンソン病では歩行も障害されます。パーキンソン病の特徴的な歩行の種類を以下に示します。
小刻み歩行 | 腕振りや歩幅などの動作が小さくなる歩行。歩行速度は遅くなる。歩いている間は、症状が続きやすい。 |
---|---|
加速歩行 | 歩くうちに徐々に速度が増加する歩行。無意識に体は前かがみになり、小刻みに前に突進するような歩き方となる。立ち止まることが難しく、転倒の危険が高い。 |
すくみ足 | 足が急に前に出なくなる歩行。数秒間、続けて足が出せないこともある。直線を歩く時は、すくみ足は出現しにくい。歩き始めや方向転換時、狭い場所など限定した場面で出現しやすい。 |
パーキンソン病は特徴的な症状や歩行障害が多くあります。特徴を理解することで、効果的な機能訓練や介護をすることができるでしょう。
パーキンソン病患者における機能訓練は、QOLや生活動作能力の維持・向上に関与する重要な要素になります。
前述した通り、パーキンソン病を患うと関節や筋肉が固くなるため、滑らかな動きや細かい作業が困難になります。進行性の疾患であり、徐々に身の回りの生活や趣味が行えなくなるため、QOLも徐々に下がる傾向にあると言えるでしょう。また、QOLだけでなく、家事などの生活動作にも影響は及びます。
具体的にパーキンソン病の方は、以下のような身体機能が低下します。
姿勢を保持する能力 | パーキンソン病では、首や体幹が前方に曲がった姿勢になりやすい特徴があります。首や体幹が曲がるとバランスが崩れやすく、歩きにくさや転倒の危険につながります。 |
---|---|
筋力 | 体幹や足の筋力は加齢に伴い低下しやすく、パーキンソン病でも顕著に低下します。体幹や足の筋力が弱まると、バランスを崩しやすく、歩く時や生活も大変になります。 |
バランス能力 | 体のバランスを取るための反応が鈍くなり、特に方向を変える時や立ち上がる時に不安定になります。また、筋力の低下と姿勢の変化が重なり、バランスを保つことが難しくなります。転倒のリスクが高まり、日常生活の中での動作が制限されることがあります。 |
上記のような身体機能低下に対して、以下の機能訓練がパーキンソン病のリハビリガイドラインで推奨されています。
さらに、リハビリ専門職による関わりもパーキンソン病患者の機能改善に有効だとされています。
また、病状の進行により徐々に難しくなる生活動作に合わせて、生活環境や動作方法を調整していく必要があります。訓練で焦点を当てるのは、身体的な機能訓練や生活動作のみだけではありません。生活動作訓練や趣味などQOLに関する訓練も行います。
生活や趣味の活動を訓練することで、長い期間、その人らしい生活を送ることができます。生活そのものとQOLの維持・向上のため、パーキンソン病患者において機能訓練が重要になることは間違いありません。
パーキンソン病に対する機能訓練をレベル別に解説します。
日常生活でも訓練を取り入れることは、訓練の効果を高めるためにも重要になります。
日常生活へ取り入れる方法には、以下のような内容が考えられます。
【自宅の移動を歩行訓練にする】
自宅内の移動を歩行訓練と捉えることで、日常生活に自然と訓練を取り入れやすくなるでしょう。自宅で歩行訓練を行えると、訓練の回数が増え、訓練の効果を高めることができます。
今回は、自宅の廊下でも行いやすい歩行訓練の例を以下に紹介します。
歩行訓練は、パーキンソン病のガイドラインにおいて高く推奨されている訓練です。歩行障害は生活に大きく影響するため、歩行訓練を取り入れることが大切になります。
自宅で取り入れやすい歩行訓練を行ってみましょう。
【家事や趣味活動をできるだけ長く続ける】
家事や趣味といった活動をできるだけ長く続けることも訓練として捉えられます。
パーキンソン病では、症状の進行に伴い、体が思うように動かなくなります。そのため、早い段階から家事や趣味などの活動を諦めてしまうケースは少なくありません。しかし、家事や趣味での活動は、体を使うため筋力や持久力や手の細かい動きやバランス能力など多くの能力が鍛えられます。
パーキンソン病の進行に伴い、活動を続けることが難しくなるかもしれませんが、できるだけ長く活動を続けることで、身体機能の維持向上につながります。
楽しめることを見つけ、できる範囲で長期的に活動を継続できるように支援することが大切です。
【自宅での運動を習慣にする】
日常生活で訓練を取り入れるためには、自宅での運動を習慣化することが大切です。
自宅での運動は、パーキンソン病の治療ガイドラインにおいて高く推奨されています。自宅での運動を習慣にするために、運動の内容と時間を決めると良いでしょう。
たとえば「朝ごはんを食べた後は、足上げ運動の体操をする」など、運動内容や時間を決めて毎日繰り返すことで、習慣となります。
ただし、習慣にする運動は、過負荷に注意しましょう。毎日行う運動なので、無理なく続けられることが重要です。
また、新しく習慣にする際には心理的な負担がかかるため、訓練のきっかけを考えることも大切になるでしょう。
ここでは、パーキンソン病の訓練を効果的に行うポイントを解説します。
パーキンソン病の訓練のコツについて、以下の3つの観点から解説します。
【訓練の内容を症状に合わせて調整する】
パーキンソン病患者を対象とした訓練では、その時の病気の症状に合わせて訓練内容を変えることが重要です。
パーキンソン病の特徴として、1日の中で体が動きやすい時間と動きにくい時間があります。これは、一般的にパーキンソン病の治療薬の効果による影響です。
動きにくい時間に訓練をすると、体が疲れやすく、動けないことへの精神的なストレスも大きくなります。そのため、動きやすい時間に筋力強化訓練などの負荷が大きい訓練を行い、動きにくい時間は負荷の小さい訓練を行うようにすると良いでしょう。
パーキンソン病患者を対象にした機能訓練では、時間帯による動きやすさの変化に応じて、訓練の内容を変えることが重要です。
【環境を整える】
パーキンソン病では、安全に訓練をするため、環境を整えることが大切になります。
パーキンソン病を患うと、バランス能力や歩行能力の低下が生じて転びやすくなります。
機能訓練の中で、バランスを崩す時もあるかもしれません。転倒のリスクを抑えるため、訓練の前に安全に行える環境を整えることが重要です。
環境を整える具体的な方法の例としては、以下のような内容が挙げられます。
できる範囲で環境を整えて、安全に訓練をしましょう。
【訓練の機会を増やす】
パーキンソン病患者は、体の動きにくさから活動する量が減ります。活動量が減ると、身体機能が低下し、さらに動くことが大変になるという悪循環を引き起こします。
動かないことで生じる障害を予防するためにも、訓練の機会を増やし、活動の増加を図ることが大切になります。
訓練の機会を増やす方法としては、外来通院やデイサービス、訪問サービスなどを利用する方法が挙げられるでしょう。また、自宅内での自主トレーニングを行うことも有効です。
訓練の機会を増やす方法を考え、なるべく活動量が減りすぎないように気をつけましょう。
パーキンソン病に対する機能訓練における注意点を解説します。安全で効果的な訓練をするため、注意点を理解して訓練を行うようにしましょう。
パーキンソン病における機能訓練の注意点を3つの観点から解説します。
以下で詳しく解説します。
パーキンソン病患者に対する機能訓練では、負荷の調整が重要です。
パーキンソン病患者は、健康な人と比べて疲れやすい特徴があります。そのため、過剰な負荷の訓練に注意する必要があります。
特に筋力強化訓練では、疲労度を含めて全身の状態をみながら、訓練を行う必要があるでしょう。
ただし、筋力向上を目的とした訓練では、負荷が軽すぎると訓練の効果が現れません。適切な負荷量を見極め、調整しながら機能訓練を行いましょう。
パーキンソン病を患うと、うつ症状や無関心といった精神症状がみられ、訓練に取り組むことが難しくなる場合があります。
訓練を行う際には、精神症状を評価し、本人が受け入れやすい訓練を検討する必要があります。また、訓練の時間や場所を変えるなど、訓練を行いやすい環境を調整することも大切です。精神症状を考慮し、一人ひとりに合った訓練の方法で進めましょう。
仮に訓練に対して消極的な様子がみられた場合、それは本人の意欲の問題ではなく、精神症状が原因かもしれません。
生活や訓練に大きく影響するほど精神症状が現れている場合は、専門の病院に相談する必要があります。
パーキンソン病患者に対する訓練を行う前には、自律神経症状を確認する必要があります。自律神経症状は、機能訓練を阻害する原因になる症状です。
パーキンソン病患者に現れる自律神経症状は以下の通りです。
便秘や排尿障害があると、訓練に集中しにくく、運動を避けるケースもあります。また、起立性低血圧は転倒などの重大な事故を引き起こす原因となるため、注意が必要です。安全に訓練を行うために、自律神経症状を確認しましょう。
ただし、自律神経症状を理由に、必ずしも訓練を中止する必要はありません。自律神経症状に対する管理を行い、無理がない範囲での訓練を行いましょう。
パーキンソン病患者を対象とした機能訓練について、よく寄せられる疑問とその解決策について解説します。
パーキンソン病の歩行について気になる人は多いのではないでしょうか。ここでは、パーキンソン病における歩行の特徴と歩行訓練のポイントについて解説します。
パーキンソン病の特徴的な歩行には以下のようなパターンがあります。
パーキンソン病患者に対する機能訓練では、特徴的な歩行に対応した訓練を行います。例は以下の通りです。
歩行訓練の方法には、上記の他にもいくつか種類があります。体の状態や環境を含めて、実施しやすい方法で訓練を行いましょう。
また、いくつかポイントを押さえることで歩きやすくなります。歩行訓練時に意識してみると良いでしょう。
歩く時に押さえた方が良いポイントは以下の通りです。
これらのポイントを押さえて、積極的に訓練を行いましょう。
ここでは、パーキンソン病の評価方法であるHoehn-Yahr分類について解説します。
Hoehn-Yahr分類とは、パーキンソン病の症状を重症度で分類する評価方法です。パーキンソン病は症状が進行する病気のため、変化する症状を的確に把握することが生活支援や機能訓練に役立ちます。
Hoehn-Yahr分類は以下の表に示します。
stage Ⅰ | 体の片側だけ、振戦や固縮の症状がある。障害は軽症で生活への影響は少ない。 |
---|---|
stage Ⅱ | 前かがみの姿勢が目立つ。両側に振戦や固縮、無動の症状があるため、日常生活や仕事が大変になる。 |
stage Ⅲ | 明らかに歩くことが難しくなり、方向転換などでバランスも崩しやすい。日常生活も制限が大きくなる。 |
stage Ⅳ | 立ち座りや歩くなどの日常生活の能力が大きく低下する。生活の多くの場面で介護が必要となる。 |
stage Ⅴ | 介助による車椅子での移動、もしくは寝たきりの状態となる。 |
Hoehn-Yahr分類は、症状から重症度を把握しやすい評価方法です。ステージごとの特徴を理解し、共有することで、より適切な支援を行いやすくなるでしょう。
パーキンソン病では、治療に伴い特徴的な現象が起こることがあります。日常生活や機能訓練にも影響するため、注意しましょう。
パーキンソン病における特徴的な現象は、主に以下の2つがあります。
【wearing-off現象】
wearing-off現象とは、薬の作用時間が短くなり、次の服用前にパーキンソン症状が顕著に現れる現象です。体内でのパーキンソン病治療薬の反応が関わっており、パーキンソン病治療薬の長期間の使用が原因だとされています。
wearing-off現象によって体が動きにくい時は、筋力強化トレーニングなど負荷の大きい訓練は適しません。全身の状態を評価し、負荷の軽い運動など、症状に合わせた訓練を行うことが重要です。
wearing-off現象に関しては、担当の医師と相談して薬の調整などを検討する必要があります。
【on-off現象】
on-off現象とは、スイッチがオンになるように症状が良くなったり、スイッチがオフになるように突然症状が悪くなる現象です。
普通に動いていたのに、急に動きにくい状態が5分〜2時間ほど続き、そして急に動けるといった状況が繰り返されます。日常生活に大きく影響するため注意が必要です。
また、疲労や体の負担が大きくなるため、オフの状態での機能訓練は負荷量に十分に注意しましょう。
on-off現象は、パーキンソン病治療薬を服用した時間に関係なく生じます。on-off現象に関しても、担当の医師と相談して薬の調整などを検討する必要があります。
本記事では、パーキンソン病の特徴や具体的な機能訓練、注意点などを解説しました。
パーキンソン病は体の動きが悪くなる進行性の病気です。そのため、身体機能や生活・趣味活動を長く続けるためにも、発症した早期から機能訓練を開始することが重要です。
パーキンソン病に対する機能訓練は、特に多様な運動を組み合わせたトレーニングや筋力強化訓練、バランス訓練などが治療ガイドラインによって勧められています。
ただし、パーキンソン病の機能訓練では、過剰な負荷や自律神経症状など注意点があります。注意点を理解して、全身の状態に合わせた機能訓練を行いましょう。
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