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機能訓練
2023/09/11
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口腔機能
更新日:2022/08/02
加齢によって唾液腺が委縮したり、筋肉が衰えたりすることで唾液の量が減少してしまい誤嚥を引き起こす原因になります。これらを防ぐ方法に、唾液腺マッサージがあります。唾液腺マッサージは、口の中に複数ある唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促し、誤嚥予防だけでなく口腔内の自浄作用や乾燥の予防にも効果があります。そこで今回は、だ液の効果と唾液腺マッサージ・ストレッチの方法をまとめてご紹介します。
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この記事の目次
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唾液腺マッサージという言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか?
唾液腺マッサージは、お口の内側に複数ある唾液腺をマッサージし、刺激することによってだ液が出やすくなる効果があります。
唾液腺マッサージには、自分で行う「能動的な方法」と、他者が行う「助動的な方法」の2種類あります。また、マッサージの方法は「口腔内マッサージ」と「口腔外マッサージ」に分かれます。
その中でも今回は、ご高齢者が自身で取り組める「口腔外」を「能動的」にマッサージする唾液腺マッサージをご紹介していきます。
だ液は1日で1~1.5リットルも分泌され、口腔内の自浄作用や虫歯の予防などの効果があります。唾液腺マッサージに取り組むことでだ液の分泌量が増え、口の中が潤うと、さらに次のような効果が期待できます。
【唾液腺マッサージの効果】
参照:一般財団法人 日本口腔保健協会「高齢者のお口の健康」(平成29年4月14日アクセス)
ご高齢者を対象とした介護施設では、口腔体操や嚥下体操として唾液腺マッサージも合わせて取り組まれています。では、なぜご高齢者に唾液腺マッサージが重要なのでしょうか?
ご高齢者は、様々な病気やその予防のために内服薬が増えます。その内服薬の副作用の影響によって唾液の分泌が少なくなることがあります。また、加齢による噛む力の低下も唾液の分泌量の減少の原因の1つです。唾液は、食事を食べるときに食塊を形成し、飲み込みやすくする効果があるので、その分泌自体が少なくなると誤嚥を引き起こす可能性が高くなります。
実際に介護現場では「口の中が乾燥する」「口が渇く」「食べ物が飲み込みにくい」などと言われることも多いのではないでしょうか?
柿木ら(2006)によると、”高齢患者の35.2%がいつも口腔乾燥感を自覚し、口腔乾燥状態は嚥下困難またはBMIと関連する”ことが示唆されています。
これらのことからも「口腔体操」や「嚥下体操」としてご高齢者のだ液分泌を促すマッサージを取り入れていくことが重要になります!
参照:柿木 保明「高齢者における口腔乾燥症」(平成29年4月14日アクセス)
さらに、ご高齢者の中には様々な疾病・疾患に罹患しており、複数の薬を服用されている方が多くいらっしゃいます。
薬の副作用によっては、だ液の分泌量が少なくなり、口腔内が乾燥しやすくなる場合があります。以下の内服薬を服用している方は、積極的に唾液腺マッサージを取り組むように指導していきましょう。
【だ液の分泌量が低下しやすい内服薬】
参照:国立病院機構 熊本医療センター「第65号 口腔乾燥症について 口腔乾燥症と薬剤 口腔乾燥症と食事」(平成29年4月14日アクセス)
唾液腺には、大唾液腺(だいだえきせん)と小唾液腺(しょうだえきせん)の2種類があります。
小唾液腺は口唇腺、頬腺、臼歯腺、口蓋腺、舌腺(前舌腺・後舌腺・エブネル腺)の5種類ありますが、だ液の量は微量のためマッサージでの唾液量の増加は期待しにくいと言われています。
そのため唾液腺マッサージを実施する場合は、大唾液腺の中でも「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3箇所を狙って刺激していきましょう!
【大唾液腺】
⑴耳下腺
⑵顎下腺
⑶舌下腺
参照:徳間 みづほ「唾液腺マッサージの実際」(平成29年4月14日アクセス)
それでは、唾液腺別に唾液腺マッサージの方法をご紹介していきます。
まず、こちらの唾液腺マッサージは、耳下腺を刺激する方法です。耳下腺は、最も大きい唾液腺で全ての唾液量の約25〜30%を占めています。
唾液腺マッサージを実施するタイミングは、食事の前です。だ液は食塊を形成し、飲み込みやすくする効果が期待できるので、誤嚥を防ぐことにもつながります。
【唾液腺マッサージの方法】
【目標回数】
10回×2〜3セットを目安に行いましょう。
次に、こちらの唾液腺マッサージは、顎下腺を刺激する方法です。顎下腺は、全ての唾液量の約60〜70%を占めているため、唾液腺マッサージの中で一番だ液が出る実感が得られるとされています。
【唾液腺マッサージの方法】
【目標回数】
5回×1〜2セットを目安に行いましょう。
次にこちらの唾液腺マッサージは、舌下腺を刺激する方法です。舌下腺は、全ての唾液量の約5%を占めています。顎下腺と舌下線は、下あごから少し粘り気のある唾液を分泌し、食べ物をまとめる役割があります。
【唾液腺マッサージの方法】
【目標回数】
10回×1セットを目安に行いましょう。
さてここからは、唾液腺マッサージではなく合わせて実施することで、より唾液分泌を促す効果があるストレッチ方法をご紹介します。
こちらの運動は、唾液腺マッサージ前後に合わせて取り組んでいただきたい「首」のストレッチ方法です。首には、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が多数存在します。唾液腺マッサージに合わせて首の柔軟性を高めることで唾液の分泌を促し、誤嚥を予防していきましょう!
【首のストレッチ方法】
【目標回数】
左右5回×1セットを目安に行いましょう。
こちらの運動は、唾液腺マッサージは合わせて取り組みたい「喉元」のストレッチです。喉元には、咀嚼筋(そしゃくきん)の中でも開口運動に必要な「顎舌骨筋」「オトガイ筋」が存在します。喉元の筋肉の柔軟性を高めて食べ物を飲み込む準備をしておきましょう。
【喉元のストレッチ方法】
【目標回数】
10秒×5セットを目安に行いましょう。
次に唇のマッサージを行います。唇を上下それぞれ3つに分けて指で軽くつまむように伸ばしていきます。唾液腺マッサージに合わせて唇をマッサージすることで唇周りや頬の筋肉をほぐし、唾液量にも効果が期待できます。
【唇のストレッチ方法】
【目標回数】
上下ともに3回ずつを目安に行いましょう。
次に、舌の運動を行います。口を大きく開けて舌を真横から円を描くように順番に回していきます。舌は、顎舌骨筋(がくぜっこつきん)という顎の下の筋肉と繋がりがあり、あご周りの筋肉を動かすことで若干ながら唾液の分泌を促していきます。また、食べ物を食べたり、発声をするために非常にも重要になります。舌の運動を行い誤嚥を防いでいきましょう。
【舌のエクササイズ方法】
【目標回数】
時計回り、逆回しをそれぞれ10回ずつ行いましょう
唾液腺マッサージは、唾液の分泌量が低下している「朝方」や「食事前」が良いでしょう。
食事前に取り組むことで唾液の分泌を促し、お口の中を潤すことで食事を食べる準備を整え、ご高齢者の誤嚥を予防してくれる効果が高まります。
さらに口が乾燥しているときに適宜唾液腺マッサージを行うようにしましょう。
唾液腺マッサージを行う他には、食事時に噛む回数をできるだけ増やすことで唾液の分泌量をより増やすていくことができます。
様々な方法と組み合わせて、より効果的に唾液の分泌量を促していきましょう!
本稿では、お口の内側にある唾液腺を刺激する「唾液腺マッサージ」と合わせて実施していただきたい「ストレッチ」をご紹介しました。
ご高齢者は加齢や内服薬によって唾液の量が減少してしまいますが、唾液の量は目でみて確認することができません。
そのため、ご高齢者に携わる私たちスタッフがだ液の効果と唾液腺マッサージの方法を学びんで、ご高齢者の誤嚥を予防していきましょう!
▼ご高齢者の誤嚥を予防する方法には、頬や舌、パタカラ体操などの「口腔体操」もオススメです!誤嚥を予防する口腔体操をもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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【最後に筆者より】
リハプランでは、今回ご紹介した「唾液腺マッサージ」以外にも介護現場の役に立つ「運動情報」をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
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