自費リハビリ|保険適用との違い・効果・料金・注意点など徹底解説
機能訓練
2024/11/28
機能訓練
上肢
更新日:2024/06/25
棘下筋(きょくかきん)は、棘上筋、小円筋、肩甲下筋と合わせて回旋筋腱板(別名ローテーターカフ)と総称される肩の深層部の筋肉です。今回は、肩の筋肉の中でもリハビリテーションやスポーツの現場でも注目されている棘下筋の働きとストレッチ方法についてご紹介します。棘下筋をターゲットマッスルとしたアプローチとして参考にしていただければと思います。
この記事の目次
⇒「機能訓練業務が楽になる!システム導入の3つの理由」資料のダウンロードはこちらから
棘下筋(きょくかきん)は、棘上筋、小円筋、肩甲下筋と合わせて回旋筋腱板(別名ローテーターカフ)と総称される深層部の筋肉で肩の安定性を高める役割があります。
棘下筋は、主に2〜3つの筋腹から構成させ、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の中では「2番目」に大きな筋で、唯一表層にある筋肉です。そのため肩甲骨にある出っ張った骨(肩甲棘)の下部の位置で触診することができます。
【棘下筋の起始】
肩甲骨の棘下窩に付着
【棘下筋の停止】
上腕骨の大結節に付着
【棘下筋の神経支配】
肩甲上神経(C5~C6)
棘下筋は、肩の運動時において小円筋(しょうえんきん)と共に肩関節の外旋(外側に捻る)と水平伸展(水平に腕を広げる)をする働きがあります。また、肩の後方の安定性にとって重要な働きをしてくれます。
棘下筋は、野球などの投球動作時に肩が抜けないように守る働きがありますが、投球の繰り返しによって筋肉には相当な負担がかかってしまいます。そのため、野球選手やバレーボールなどの肩を酷使するスポーツでは、クールダウンの1つとして棘下筋をストレッチする必要性があります。
また、棘下筋が弱くなったり、凝り固まっていると肩の安定性が保てなくなるため腕の骨(上腕骨)が上方や前方にずれるようになります。肩関節にズレが生じたまま日常生活を送っていると五十肩やインピンジメント症候群、肩関節周囲炎などのシニア特有の肩の痛みの原因となることもあります。そのため治療の1つとして棘下筋のストレッチを指導することも多くあります。
このように棘下筋のストレッチは、スポーツの現場やご高齢者の肩の痛みの予防として非常に重要になります。
そのため、棘下筋の正しいストレッチの仕方を覚えていきましょう!
⇒「機能訓練業務が楽になる!システム導入の3つの理由」資料のダウンロードはこちらから
棘下筋のストレッチを行う場合に効果的なポジションはあるのでしょうか?
少し専門的な話になりますが、肩関節には1st、2nd、3rdというポジションがあります。この肩のポジションはそれぞれの肢位で働く筋肉と制限因子が異なるといわれています。このポジションを把握することで、棘下筋に効果的なストレッチの姿勢が分かります。
【1st外旋】
働く筋:棘下筋、小円筋、三角筋
制限因子:鳥口上腕靱帯、大胸筋、肩甲下筋上方線維、関節包上前部
【1st内旋】
動く筋:肩甲下筋、大円筋、三角筋、大胸筋、広背筋
制限因子:棘下筋上部線維、後上方関節包
【2nd内旋】
働く筋:大胸筋胸肋部線維・腹部線維、大円筋、肩甲下筋(下方線維優位)、広背筋
制限因子:小円筋、棘下筋、鳥口腕筋
【2nd外旋】
動く筋:小円筋、棘下筋
制限因子:中下臼蓋上腕靱帯、肩甲下筋の下部線維、大胸筋(肋骨部線維と下部線維)
【3rd内旋】
働く筋:三角筋前方線維、大胸筋胸肋部線維、大円筋、広背筋
制限因子:関節包下方部、棘下筋
【3rd 外旋】
働く筋:小円筋
制限因子:大円筋
以上のことから「2ndポジション」または「3rdポジション」の内旋方向へのストレッチが棘下筋のストレッチに効果的といえます!!
棘下筋のストレッチを行う場合に筋肉がしっかりと伸びるためにはどれくらいの時間が必要なのでしょうか?
草野らの研究によると棘下筋のストレッチでは、”伸展,内旋方向スタティックストレッチを3分間行うことによって棘下筋の柔軟性は向上し、内旋可動域も有意に拡大することが明らかとなった”と報告している。
このことから、棘下筋の柔軟性を高めるためには「3分程度」のスタティックストレッチが効果的と考えられます。また、棘下筋が最も伸張される肢位は、「挙上位での内旋」または「伸展位での内旋」であるとされています。
次章よりご紹介する棘下筋のストレッチは、セルフストレッチを中心にご紹介しています。そのため、上記の姿勢の要件を満たしていないものもあるのでご了承ください。
まずこちらの運動は、正座でできる棘下筋ストレッチです。肘を胸の前に引き寄せることで肩甲骨に付着する棘下筋の柔軟性を高めることができます。肩のポジションを考慮するとストレッチ効果は低いエクササイズとなります。まずは、導入編として取り組むことをお勧めします。
【運動のポイント】
肘を胸に引き寄せる、または斜め上に引き上げることで棘下筋がストレッチされます。
※こちらの画像では分かりにくいため、画像をタップして詳細をご確認ください。
2つ目の棘下筋ストレッチは、座ってできる方法をご紹介します。こちらの棘下筋ストレッチは、スポーツの現場でもよく活用される方法です。手を脇に添えて、肘を前方に引っ張ることで棘下筋を効果的にストレッチすることができます。
こちらのストレッチは、肩を酷使する野球やバレーボールなどの投球動作、水泳などのストローク動作をされるスポーツ選手には是非取り組んでいただきたいストレッチです。肩の柔軟性が乏しいと通常よりも体幹を伸展させなければなりません。そうなると付随して腰のトラブルにつながり兼ねません。スポーツ選手を指導する方も是非覚えておいてください。
次に3つ目の棘下筋ストレッチは、側臥位でできる方法をご紹介します。こちらの運動は、横向きで肘を付くことで肩の3rdポジションで棘下筋をストレッチしていくことができます。
側臥位でのストレッチは、肩関節や肘を固定しやすいため運動初心者などに活用すると代償動作が少なくストレッチしていくことができます。
4つ目の棘下筋ストレッチは、立った姿勢でできる方法をご紹介します。こちらの運動は、両ひじを組み、左右に伸ばしていくことで棘下筋の柔軟性を高めることができます。
運動のポイントとして肘の高さを約90度に保つように意識することで棘下筋を効果的にストレッチすることができます。肩甲骨のストレッチとしても効果ができるストレッチですので、肩と肩甲骨の全般的なストレッチとして取り組んでいただければと思います。
5つ目の棘下筋ストレッチは、ダンベルを使用した方法をご紹介します。こちらの運動は、膝の上に肘を乗せることで肩関節の3rdポジションで棘下筋をストレッチすることができます。ダンベルの重さを活用してストレッチしていくため、肩のアウターマッスルなどに余分な力が入らずリラックスしてストレッチすることができます。
臨床上、この3rdポジションでのストレッチを指導していないことが多くあります。肩関節3rdポジションでのストレッチは棘下筋だけでなく関節包にも効果が期待できます。ストレッチ方法の1つとして覚えておきましょう!
6つ目の棘下筋ストレッチはベッドを使用した方法をご紹介します。こちらの運動は、ベッドの橋から腕を出して内側に倒すことで2ndポジションで棘下筋の柔軟性を高めることができます。
運動のポイントとして、肘を約90度に固定し、肘を視点に内側に倒すことを意識しましょう。また、肘の位置がズレないようにタオルを設定すると良いでしょう。
【終わりに】
いかがでしたか。今回は、運動を指導する専門家の方々に向けて「棘下筋ストレッチ」について紹介させて頂きました。ポジション別のストレッチの効果を把握して、狙った箇所の柔軟性を高めるようにしてみてはいかがでしょうか。
デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。