排泄動作に関する機能訓練プログラム

機能訓練

下肢

更新日:2024/04/01

機能訓練プログラムでお悩みはありませんか?今回は、デイサービスで行う機能訓練の中でも「排泄動作」に着目して、機能訓練計画書の目標の立て方、目標例、訓練内容・メニューについて事例を通してご紹介していきます。

排泄動作(トイレ動作)について

排泄動作訓練を考える時は、「排泄」そのものについて考える必要があります。排泄とは、不要になった老廃物を体外に排出する命をつなぐための人間の生理的な行為です。そして排泄動作とは、この行為を遂行するための移動動作や上肢操作など全般を指しています。排泄動作を大きな要素で分解してみると、以下のようになります。

【排泄動作の要素】

  1. トイレまで行く
  2. ドアを開けてトイレに入る
  3. 便座の上げ下げをする
  4. ズボンを下ろす
  5. 便座に座る
  6. 用をたす
  7. お尻を拭く
  8. 水を流す
  9. 立ち上がる
  10. スボンをあげる
  11. ドアを開けてトイレから出て、ドアを閉める

これらの要素の中で一人では困難な動作が「要介助」であり、全てにおいて自立して行える場合を「自立」と判断します。

機能訓練のプログラムを考える上では、上記の要素を分解して、要素の一つ一つに対して「どうしてできないんだろう?」を分析することが重要です。これを「評価」と呼び、それらに基づいた改善策がプログラム内容となります。

利用者が排泄自体を行う前に、「尿意や便意を感じることができる」か否かを確認することも重要です。もし困難な場合は、失禁するケースが多くみられますので、注意する必要があるでしょう。

目標の立て方

機能訓練の目標を立てる際は、日常生活動作や家事動作、趣味活動、社会参加などの多くの視点や活動の手順を理解して段階的に関わることが求められます。デイサービスでは利用者の居宅訪問などで生活状況を把握して、排泄動作のどこに課題があるのかを確認します。その課題を計画書の目標に設定していきますが、ここでは例をご紹介します。

【排泄動作の目標例】

  • 便座・車椅子からの立ち上がりを安定して行えるようになる
  • 便座・車椅子への移乗が安定して行えるようになる
  • ズボンの着脱が自立して行えるようになる

【トイレの介助が必要な動作】

  • 椅子からの立ち上がりが不安定
  • 立位のバランスが不安定
  • ズボンの着脱ができない

個別機能訓練計画書の短期目標の立て方は、目標とする「排泄動作の自立」を達成するために必要な工程(現在、介助を要している動作)を目標として立案します。

次に、この短期目標を獲得するために必要な工程をプログラム(機能訓練や模倣訓練)として立案していきます。

【機能訓練プログラム】
●短期目標:便座・車椅子からの立ち上がりを安定して行えるようになる(見守り)
→プログラム①|集団体操
→プログラム②|立ち上がり訓練

●短期目標:便座・車椅子への移乗が安定して行えるようになる(見守り)
→プログラム③|立位バランス訓練

●短期目標:ズボンの着脱が自立して行えるようになる(見守り)
→プログラム④|ズボン着脱訓練
→プログラム⑤|トイレ動作訓練

「排泄動作の自立」には5つのプログラムが必要となり、このプログラムを実施することで短期目標の達成を目指していきます。

排泄動作獲得を目指した機能訓練のプログラム

それでは、ここからは立案したプログラムに沿って機能訓練の内容をご紹介していきます。

集団体操

ポータブルトイレの自立を獲得したい場合には、まず「集団体操」を提案します。

これまでに運動習慣がない場合は、いきなり筋力トレーニングや立ち上がり訓練、トイレ動作訓練をすることは障壁が高くなるため、工夫が必要です。

そういった場合は他者との交流を持ちながら簡単な運動ができるよう、午前中に20分間開催しているデイサービスの集団体操から促すなど、軽い運動から進めていきます。

【訓練内容】

  • 集団体操


【期待する効果】

  1. 運動習慣を身につける
  2. トイレ動作の自立に向けた身体機能の維持・向上
  3. 仲間と一緒に運動することで孤立感を解消する

立ち上がり訓練

排泄動作の中でも「立ち上がり」に課題がある場合、立ち上がりを獲得するためには、太ももや体幹筋の筋力アップが必要です。


こちらの運動は、椅子からの立ち上がりに必要なふくらはぎと太もも、体幹筋を鍛える運動メニューです。この3つの運動を定期的に取り組むことで立ち上がりに必要な筋力と反復的な動作学習を促すことができます。立ち上がりが不安定な間は、手すりを持ったりスタッフの介助を行うようにしましょう。

【訓練内容】

  • 太ももと体幹筋の筋力トレーニング
  • 椅子からの立ち上がり訓練

【期待する効果】

  1. 立ち上がりに必要なふくらはぎと太もも、体幹筋の筋力アップ
  2. 立ち上がり動作に必要な一連のスムーズな動きを獲得する

立位バランス訓練

次に「立位のバランス」に課題があり、特に後ろに振り向いたり、その場で方向転換をする場合にふらつきが目立ったりする場合、主に反復動作によってバランスが安定するように上図のような機能訓練を実施していきます。

こちらの運動は、立位のバランスに必要な体幹の捻り動作と足踏み動作です。こちらもバランスが不安定な間は、手すりを持ったりスタッフが少し支えてあげるようにします。

【訓練内容】

  • 立位バランス訓練


【期待する効果】

  1. 振り向きに必要なバランス能力の向上
  2. 方向転換に必要な片脚立位でのバランス能力の向上

ズボン着脱訓練

「ズボンの着脱」に課題がある場合は、上図のように改めてズボンの着脱の手順を一つ一つ確認しながら訓練を実施するなど、利用者の状態に合わせて着脱の動作を少しずつ進めていきます。

こちらの運動は、トイレでのズボンの着脱を想定した「座位」と「立位」でのズボンの着脱訓練です。ズボンの着脱は座ってもできる動作なので、まずは椅子に座ったまま着脱の練習をします。

【訓練内容】

  • 座位でのズボンの着脱訓練
  • 立位でのズボンの着脱訓練

【期待する効果】

 座位、立位でのバランス能力の向上

トイレ動作訓練

ここからは、排泄動作の実践的なプログラムになります。

今までの4つの機能訓練に取り組んで立ち上がりや方向転換、ズボンの着脱ができるようになった場合は、「実際にトイレに行って練習してみませんか?」と提案します。


身体機能がアップしていれば、実際のトイレではスムーズに動作ができるようになっていきます。

【訓練内容】

  • トイレ動作訓練


【期待する効果】

  1. トイレ動作の一連の流れの獲得

ここまでくれば見守りでトイレ動作ができるようになり、個別機能訓練の成果がはっきりと表れてきます。

自力の排泄でQOLの向上を目指す

排泄に関する機能訓練メニューを紹介しました。さまざまな病気や怪我を抱えている利用者に対し、安全で適切な訓練メニューを考えるのは一苦労です。

日常動作のひとつである「排泄」をよりスムーズにするために、紹介した機能訓練をぜひ活用してください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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