足関節戦略・股関節戦略の違いとは|高齢者のリハビリ・バランストレーニング

機能訓練

下肢

更新日:2024/07/24

バランストレーニングは、転倒予防に良いって聞くけど「どんな練習をすればいいの」「どこにポイントを絞れば良いの」といった悩みを持つ方は必見です。今回は、バランス感覚を鍛えるポイントと様々なトレーニング方法の自重編をご紹介します。  

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バランス感覚をトレーニングするポイントとは

バランストレーニングをご紹介する前に、バランス感覚を鍛えるポイントを簡単に理解していきましょう。

人が立っている姿勢でバランスを保つ(姿勢制御)場合は、足関節・股関節・ステッピングの3つでバランスを取ろうとします。

足関節戦略とは(ankle strategy)

足関節戦略とは、主に前後方向のバランスを取るために、足首の関節を使って体の揺れを制御する方法です。立位姿勢の安定を維持するために、足首の筋肉が主に働きます。この戦略は、小さな揺れや重心の変化に対応するために利用されます。

足関節戦略のメリット・デメリット

足関節戦略のメリット、デメリットは以下です。

  • メリット
    • 小さな揺れに対して迅速に反応できるため、即座にバランスを取ることができます
    • 足首の関節を使うため、エネルギー消費が少なくて済みます
    • 小さな揺れに対する調整は日常生活で頻繁に求められるため、効果的です
  • デメリット
    • 大きな揺れや急激な重心の変化には対応できない場合があります
    • 足首の筋力が弱いと、この戦略が十分に機能しません

股関節戦略とは(hip strategy)

股関節戦略は、大きな揺れや重心の変化に対して、主に股関節の動きを利用してバランスを取る方法です。体全体を前後に曲げたり伸ばしたりすることで重心を調整します。

股関節戦略のメリット・デメリット

股関節戦略のメリット、デメリットは以下です。

  • メリット
    • 大きな揺れや重心の急激な変化に効果的です
    • スポーツや不安定な状況でも有用です
  • デメリット
    • 股関節の大きな動きが必要なため、エネルギー消費が増加します
    • 足関節戦略に比べて、制御が難しく練習が必要です

ステッピング戦略とは(stepping strategy)

ステッピング戦略は、バランスが大きく崩れた際に、足を踏み出すことで新たな支持基底面を作り、体の安定を保つ方法です。この戦略は、極端な揺れや転倒の危険がある場合に用いられます。

ステッピング戦略のメリット・デメリット

ステッピング戦略のメリット、デメリットは以下です。

  • メリット
    • 大きな揺れや転倒の危険がある場合に有効です。
  • デメリット
    • 足を踏み出すまでに時間がかかるため、即座の対応が難しい場合があります
    • 十分なスペースがないと実行が困難です。
    • 足を踏み出す際にバランスを完全に失うと、逆に転倒のリスクが増加する可能性があります。

参照:下肢の運動戦略とFunctional Reach Test 足 · 股 · 踵上げ運動戦略の違いがFunctional Reach距離,重心の前後移動、重心動揺面積に及ぼす影響

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高齢者のバランストレーニングで重要な場所は?

一般的には、高齢者は「足関節」でバランスを保つことが難しいため、「股関節」を多く使用しています。

そのため、腰や股関節に痛みが出る場合が多くあります。

腰や股関節への負担を軽減する為にも「足関節」でバランスを保つトレーニングをしていくことが重要と考えられます。

※その他のバランスに関わる機能は、他の記事でもご紹介しているので参考にしてみてください。

「足関節」でのバランストレーニング

それではまず、高齢者に最も重要な「足関節」でバランスを保つトレーニング方法をご紹介していきます。

こちらの運動では、立った姿勢で爪先立ちや爪先上げを行うことで、足関節で姿勢を保持しようとします。

頭の位置が前後左右にブレないように注意してください。

回数:10回×3セット

「股関節」でのバランストレーニング

次に「股関節」でバランスを保つトレーニング方法をご紹介していきます。

こちらの運動では、腰を回したり、前方や左右に手を伸ばす(リーチ)ことで股関節で姿勢を保持しようとします。

手は真横(床と水平)に伸ばすように意識することが重要です。

回数:10回×3セット

「ステッピング」でのバランストレーニング

続いては「ステッピング」のトレーニング方法をご紹介します。

ステッピングは本来、とっさに出る動きですので、1人で練習することは難しいと言えます。
ペアになり、後方から押してもらうなど行うとより良いでしょう。

ただし、高度かつリスクを伴うトレーニング方法になりますので、転倒には十分注意しましょう。

回数:10回×3セット

「片脚立位」でのバランストレーニング

その他のバランストレーニングには、「片脚立ち」があります。

片脚立位は、バランス能力の評価としても使用されることが多いので、カットオフ値(基準値)を確認しておくと良いでしょう。

〜片脚立位のカットオフ値〜
※以下の数値が基準値となります。値以下ではバランス能力が低下していると判断されます。また、15秒未満は運動器不安定症と診断される可能性があります。

【平均基準】
40歳以上  180秒 
60歳代前半 70秒
80歳代前半 10秒

バランストレーニング|番外編

高齢者の転倒の原因の1つに、二重課題(Dual Task)が苦手ということがあります。

二重課題とは、複合的な課題に対し、注意を分散させ歩く際の遂行能力、安全性・安定性を高める目的で行われるものです。

例えば、以下のような運動課題と認知課題などがありますので試してみてください。

  1. 運動課題(例:水を入れたコップを持って歩くなど)
  2. 認知課題(例:簡単な計算をしながら歩くなど)

最後に

今回は、バランストレーニング「自重編」として、大きく5つに分類するトレーニング方法をご紹介しました。
その他にも、道具を使用した「道具編」「歩行編」もご紹介していますので、参考にしてみてください。

リハプランでは、今回紹介した運動以外にも様々な道具を使用した運動を多数ご紹介しております。

あなたの毎日を充実した、輝くものにするためのご協力が出来ればと思っています。
何かご相談などがありましたら、連絡をお待ちしています。

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

▶︎ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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