ハンドセラピーに役立つ!前腕・肘のストレッチ特集

機能訓練

上肢

更新日:2022/02/22

前腕や肘関節のハンドセラピィは、骨折や脱臼、靭帯損傷などの疾患に対して評価・治療を行います。リハビリテーションは直接的な治療介入だけでなく、セルフエクササイズなどの指導も行う必要性があります。今回は、そんな前腕・肘のストレッチをご紹介していきます。

前腕・肘のストレッチに重要な前腕骨間膜の「役割」を学ぼう

前腕・肘関節のストレッチをご紹介する前に簡単に「役割」について理解しておきましょう。

前腕には「前腕骨間膜」が存在します。これには大きく4つの役割があるとされています。

  1. 橈骨・尺骨の間の安定化作用 ※静的動的にも一定の距離感を保つ
  2. 長軸方向の荷重の分散と伝達 ※手で生じる圧迫力を腕尺関節と腕橈関節で分散させることにより、それぞれの関節で生じる摩擦や断傷を軽減することができる
  3. 回転運動をスムーズに行う為の力の伝達
  4. 前腕筋群の起始として合理的な力の伝達

参照:医歯薬出版株式会社 Donald A.Neumann (著)「カラー版 筋骨格系のキネシオロジー」

肘関節の「役割」を学ぼう

肘関節の役割としては、主に物体との距離の「調整」を担っています。

一般的に肘関節は、関節の可動性と安定性により、空間における「手の位置を決める」「力の伝達」の役割があります。

  1. 可動性:使いやすい位置に動かすために大きな可動域と前腕の回旋運動を有する
  2. 安定性:距離の調整とモノを持つなどの力を発揮している

前腕の回内外運動に必要な「回転・滑り運動」を学ぼう

前腕回内外の可動域は、遠位橈尺関節で約130°とされています。その角度により「回転・滑り運動」の割合に特徴があることを整理しておきましょう。

  1. 回転運動:最大回外位〜回内45°位まで「回転運動」が中心となる
  2. 滑り運動:回内45°位〜最大回内位までは回転運動は減少、「滑り運動」が中心となる 

参照:Nakamura.T/Clin Biomech「In vivo motion analysis of forearm rotation utilizing magnetic resonance imaging」(平成28年8月22日アクセス)

肘関節の「可動域」と「ADL」の関係性について

肘関節の可動域には「正常可動域」「実用可動域」があります。正常可動域とは、日本整形外科学会が定めているもので、実用可動域とは日常生活上で必要とされる可動域を指します。

ADL(日常生活動作)に必要な実用可動域は以下の角度となります。これらは隣接関節の代償を利用した角度であり、実際はこれ以上の可動域が必要とされています。
※但し、参考書により角度に若干の誤差があります。

【肘関節の正常可動域】
屈曲:145°   
伸展:5°

【肘関節の実用可動域】
屈曲:130° 
伸展:-20〜30°
   
【肘関節のADLに必要な可動域】
食事:75°以上(肘関節屈曲)
歯磨き:75°以上(肘関節屈曲)
洗髪:75°以上(肘関節屈曲)
洗顔:95°以上(肘関節屈曲)
ボタン開閉:105°以上(肘関節屈曲)


これらを確認すると、肘関節の屈伸動作では正常可動域と実用可動域に約45°の差があることがわかります。

これは、日常生活上でのリーチ動作は肘関節伸展-20°〜30°程度の使用が多く、肩や前腕、手関節、手指により代償していることが多いためとされています。また、口元まで運ぶような動作では、肘関節屈曲は約120°の使用が多く、後は手関節やスプーン、箸などの道具を使用して行われるためとされています。

獲得したい日常生活動作の実用可動域を目標にして、リハビリテーションを進めてみてはいかがでしょうか。
 

参照:越智隆弘/菊池臣一 NEWMOOK整形外科「20.リハビリテーション」(平成28年12月14日アクセス)

前腕の回内ストレッチをしよう

それでは、セルフエクササイズ指導で使いやすい前腕・肘関節のストレッチをご紹介していきます。

こちらの運動は、前腕回内のストレッチです。前腕の回内運動によって「回外筋」の柔軟性を高める効果が期待できます。棒を活用すること遠心力が高まり、ストレッチ効果をアップすることができます。 

前腕の回外ストレッチをしよう


こちらの運動は前腕回外のストレッチです。

前腕の回外運動によって「円回内筋」「方形回内筋」の柔軟性を高める効果が期待できます。こちらの場合も棒を活用すること遠心力が高まり、ストレッチ効果をアップすることができます。

肘関節の屈曲ストレッチをしよう

こちらの運動は肘関節の屈曲ストレッチです。

肘を曲げるようにストレッチすることで「上腕三頭筋」「肘筋」の柔軟性を高める効果が期待できます。

この他以外にも肘のストレッチには、ダンベルなどの重さを活用したストレッチ方法などもあります。

肘関節の伸展ストレッチをしよう

こちらのストレッチは肘の伸展ストレッチです。

肘を伸ばす場合は、手首を返すようにストレッチしていくと良いでしょう。壁を活用してストレッチしても構いません。

まとめ

今回は、前腕・肘のストレッチをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

前腕・肘は、リーチの手の位置を決めたり、力の伝達・分散に活躍する大切な部位ですので、今回ご紹介したストレッチ方法もセルフエクササイズ指導として活用してみてください。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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