バランスディスクを使用した高齢者のリハビリ|体幹・バランストレーニング

機能訓練

下肢

更新日:2024/06/25

バランスディスクは、バランスクッションやアジリティディスクとも呼ばれるバランス器具の1つです。体幹・腹筋の筋力アップやバランストレーニング目的にバランスディスクを購入したけど何から始めていいのかわからない方はいませんか?本稿では、体幹・腹筋に効果的なトレーニング方法を「座る」「膝立ち」「体育座り」「四つ這い」「側臥位」の5つの姿勢でご紹介します。ご自分の能力に合わせてチャレンジしていきましょう!

⇒「機能訓練業務が楽になる!システム導入の3つの理由」資料のダウンロードはこちらから

バランスディスクは腹筋に効果的なのか!?

バランスディスクは体幹に効果があると聞いて購入された方も多いのではないでしょうか。一概に体幹といっても腹筋や背筋、側筋、骨盤底筋群など様々な筋肉があります。


バランスディスクは体幹の中でもどこの筋肉に効果があるのでしょうか?


少し専門的な話になりますが、リハビリの論文を調べてみると、鈴木ら(2009)は”不安定面上座位時の重心動揺には、グローバルマッスル(アウターマッスル)に分類される腹直筋、胸腰部脊柱起立筋の筋活動が関与している”と示唆しています。




つまり、不安定性を高めるバランスディスクを使ったトレーニングは、主に腹筋である腹直筋と背筋にある脊柱起立筋などのアウターマッスル(体幹の表層部にある筋肉)を鍛えることができると考えられます。


また、中心位置からバランスを崩すような運動に対して、体を中心に保とうと反応する力として、体幹の深層部にあるインナーマッスル(多裂筋、骨盤底筋群など)にも効果が期待できることも分かってきています。

では早速、体幹や腹筋に効果的なトレーニング方法を5つの姿勢別にご紹介していきます。

参照:鈴木 哲「不安定面上座位における体幹筋活動と重心動揺との関係」(平成29年7月14日アクセス)

⇒「機能訓練業務が楽になる!システム導入の3つの理由」資料のダウンロードはこちらから

バランスディスクに座った腹筋トレーニング〜骨盤運動〜


それでは早速、腹筋のトレーニング方法をご紹介していきましょう。まずは入門編として、座布団の代わりにバランスディスクを椅子に設置した姿勢でのトレーニング方法からご紹介します。座っているだけでも体幹のインナーマッスルを鍛えることができますが、骨盤の前後・左右の動きを加えることで骨盤底筋群も鍛えることができます。

【期待される効果】

  • 骨盤底筋群を強化することで尿・便失禁の予防
  • 腸内活動の活性化による便秘解消


【運動のポイント】

  • 骨盤に手をあてることで動きが意識しやすくなります
  • 頭の位置が動かないように意識しましょう

バランスディスクに座った腹筋トレーニング〜リーチ運動〜


続いては、座った姿勢で体幹の安定性を高めるトレーニングです。バランスディスク上でできる限り遠くに手を伸ばすことで姿勢を保持するために必要な腹筋や背面、太ももの筋肉を鍛えることができます。筋力アップというよりも筋肉を賦活するような運動です。

【運動のポイント】

  • 腕は床と水平に保つように意識しましょう
  • できる限り、手を遠くまで伸ばしましょう

バランスディスクに座った腹筋トレーニング〜足踏み運動〜


続いては、バランスディスクに座った状態で足踏みを行う腹筋トレーニングです。バランスディスクの上で足を上げることで上半身が後方に倒れようとします。このようにバランスが崩れそうになった時に腹筋が働くことで姿勢を保つことができます。

【運動のポイント】

  • 背中が丸くならないように姿勢を正しましょう
  • できる限り足を高く上げましょう

バランスディスクに座った腹筋トレーニング〜タオル体操〜


こちらの運動は、バランスディスクの上に座った状態で体を捻ることで腹筋を鍛えていきます。主に脇腹にある「腹斜筋」や腰部の「腰方形筋」という腹筋の筋力アップの効果が期待できます。立位で行うと足関節や股関節でバランスを保とうとするため、意識的に腹筋を鍛えたい場合は、椅子に座った姿勢がオススメです。

【運動のポイント】

  • 背中をしっかりと伸ばした状態で行いましょう
  • 腕よりも体幹を意識して行いましょう

姿勢別でできる腰方形筋のトレーニングについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。 ▶︎腰方形筋トレーニング 全8種|姿勢別でできる運動方法とは

バランスディスクに膝立ちする腹筋トレーニング〜タオル体操〜


続いては、膝立ち姿勢でのバランスディスクのトレーニングのご紹介です。バランスディスクに両膝を乗せて姿勢を保持しながら、棒体操を行うことで腹筋群を刺激していきます。腰をひねる運動は、主に脇腹にある腹斜筋や腰部の腰方形筋という体幹筋の筋力アップの効果が期待できます。

【運動のポイント】

  • 腕が下がらないように意識しましょう
  • 戻す際にも反動を使わず、ゆっくりと行いましょう

バランスディスクに体育座りする腹筋トレーニング〜ひねり運動〜


続いて、体育座りでできる腹筋のトレーニングです。バランスディスクに座り、腕を大きく回すことで、不安定性が増します。その結果、体幹筋の腹筋群を効果的に鍛えることができます。運動は左右交互に行うようにしましょう。

【運動のポイント】

  • 背筋を伸ばし、息を吐きながら腕を前方に伸ばしましょう
  • できるだけ大きく手を動かしていきましょう

バランスディスクに体育座りする腹筋トレーニング〜V字バランス〜


これらの運動は、V字バランスと呼ばれる腹筋のトレーニングです。腹筋の中でも腹直筋や腹斜筋を効果的に鍛えることができます。V字バランスは、かなりのバランス能力を要す運動ですので運動に自信のある方は挑戦してみてください。

【運動のポイント】

  • 膝が曲がらないように注意しましょう
  • 足首を持ちバランスを保ちましょう

バランスディスクに体育座りする腹筋トレーニング〜腹筋運動〜


こちらの運動は、バランスディスクを2つ活用した腹筋のトレーニングです。バランスディスクの上に体育座りになり、上半身を捻ることで腹筋に斜めに付着する腹斜筋を効果的に鍛えることができます。上半身をやや後方に倒すと、さらに難易度が高まります。

【運動のポイント】

  • 胸を張り、姿勢を正しましょう。
  • 上半身をやや後方に倒しましょう。

バランスディスクを四つ這いで使う腹筋トレーニング〜プランク〜


続いてこちらの運動は、プランクと呼ばれる四つ這いのトレーニングです。プランクとは、某サッカー日本代表選手が書籍を紹介した時に話題になった運動方法です。この姿勢にバランスディスクを加えることで、不安定性を高め、腹筋を効果的に鍛えていくことができます。背筋群も鍛えることができるので体幹全般のトレーニングとしてオススメです。

【運動のポイント】

  • 肩からお尻まで一直線上になるように身体を保持します
  • 深呼吸を行いながら、体がぶれないように意識しましょう

バランスディスクを四つ這いで使う腹筋トレーニング〜ダイアゴナル〜


先ほど紹介したプランクに加えて、腕や足を挙げてみましょう。四つ這いの姿勢で、対側の手足を上げることでより効果的に腹筋を鍛えることができます。ダイアゴナルと呼ばれるこちらの運動では、背筋(脊柱起立筋や多裂筋)を鍛えることが特徴的です。

【運動のポイント】

  • 手足は、頭・背中・腰・お尻と一直線上になるまで上げます
  • 左右に体がぶれないように意識しましょう

多裂筋の姿勢別のトレーニングとストレッチについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎多裂筋とは|腰痛に効果的なトレーニングとストレッチ【全12種】

バランスディスクを四つ這いで使う腹筋トレーニング〜腕立て〜


バランスディスクを活用した腕立て伏せです。通常の腕立て伏せにバランスディスクを活用することで二の腕や胸の筋力アップだけでなく、体幹を安定させる腹筋群を鍛えることができます。上級者向けの腕立て伏せですがチャレンジしてみてください。

【運動のポイント】

  • お尻が下がらないように一直線に保ちましょう。
  • 体幹を意識して腕立てしましょう。

バランスディスクを側臥位で使う腹筋トレーニング〜サイドプランク〜


バランスディスクの上に肘を置き、お尻を上げた状態をキープするスタビリティトレーニングです。主に腰から腹筋にある外腹斜筋および腰方形筋の筋力強化に効果が期待できます。横腹の脂肪燃焼や体幹の安定性を高めたいスポーツ選手にオススメのトレーニングです。是非チャレンジしてみてください。

【運動のポイント】

  • お尻を一直線上に保つように意識しましょう。
  • 体幹が前後に揺れないように意識しましょう。

【終わりに】
いかがでしたか。今回はバランスディスクを使用した体幹・腹筋トレーニングをご紹介させて頂きました。バランスディスクには、バランス能力の強化に加えて目的に応じた様々な運動方法や効果を提供することが出来ますので是非活用してみて下さい。

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

▶︎ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事