【脊椎圧迫骨折後のリハビリ】機能訓練でやってはいけないこと・注意点

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更新日:2024/11/28

デイサービスを利用される方の中で、背骨の骨折である「脊椎圧迫骨折」を起こしたことのある方も非常に多いと思います。圧迫骨折は高齢者の骨折の中でも最も多い骨折であり、転倒することで起きやすい骨折です。今回この記事では、デイサービススタッフ・機能訓練指導員の方々に向けて圧迫骨折の概要とリハビリの基礎について解説をしていきます。

デイサービスで働いていて、必ず一度は聞いたことがあると思いますが、脊椎圧迫骨折の利用者さんは非常に多いと思います。よく「腰が痛い」と言っている方も多いと思いますし、円背姿勢になっている方も多いです。

腰痛は圧迫骨折だけが原因とはなりませんが、圧迫骨折による円背姿勢から筋肉系に負担がかかり腰痛になるということも往々にあります。

デイサービススタッフ及び機能訓練指導員の方は、脊椎圧迫骨折の概要とリハビリの基礎を理解することで質の高いケアをすることができますので、この記事を参考にしていただけたらと思います。

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脊椎圧迫骨折とは

脊椎圧迫骨折

まずはじめに脊椎(せきつい)についてご説明をします。

脊椎は簡単にいうと「背骨」です。圧迫骨折は背骨のどこかが潰れてしまう骨折をいいます。背骨には首・胸・腰・仙骨と部位名があり、それぞれ頚椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎(ようつい)という呼び方になります。

例えば、腰椎の5番目の圧迫骨折の場合は「第5腰椎圧迫骨折」となり、胸椎の10番目の圧迫骨折は「第10胸椎圧迫骨折」という呼び方になります。

つまり、脊椎圧迫骨折とは背骨のどこに起こったとしても脊椎圧迫骨折と言い、骨折部位によってどのような名称になるか変わるということになります。

脊椎圧迫骨折は主に「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」が原因であり、転倒が主な原因となりますが、ただ立ち上がっただけでも骨折することがあります。また、骨折の起因となることがなくてもただの腰痛だと思っていても、実は圧迫骨折だったということも珍しくありません。

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脊椎圧迫骨折の症状・原因

圧迫骨折はレントゲンですぐにわかりますので、腰痛が長引いている場合や、転倒後の腰痛などがある場合などのときは、まず病院に受診して精査してもらうことが必要です。

デイサービスに通われている最中の転倒が万が一起こってしまった場合は、症状の確認とできるかぎり早急に病院受診をして診断をしてもらうことが必要です。その後の対応がクレームに繋がることもありますし、施設の評判にもつながります。

また、普段は腰痛をあまり訴えない方が特別腰痛を訴えている場合などもあると思います。その際に介護職員ができる対応は、腰痛が起こった経緯やどんな痛みなのか、ご家族は知っているのかなど、情報収集をして機能訓練指導員に相談をすることが望まれます。こういったことができれば、利用者さんからの信頼性が得られたり、施設としての信頼性も得られるようになります。

脊椎圧迫骨折によって引き起こされる問題

脊椎圧迫骨折によって引き起こされる問題について解説します。

慢性的な腰背部痛

脊椎圧迫骨折は骨の変形や周囲組織の炎症を引き起こし、慢性的な腰背部の痛みを伴うことが多いです。この痛みは特に体を動かした際や長時間同じ姿勢を取った際に強く感じられることがあります。

姿勢の悪化と運動機能の低下

圧迫骨折によって脊椎の構造が変形すると、姿勢が崩れ(前かがみや円背の姿勢)、バランスを取ることが難しくなります。姿勢の悪化は全身の運動機能に影響を及ぼし、歩行や立ち上がりなどの基本的な動作が困難になることもあります。

内臓機能への影響

骨折による脊椎の変形が進行すると、胸郭や腹部が圧迫され、呼吸機能や消化機能に影響を与えることがあります。特に高齢者では、肺活量の低下や胃腸の動きが鈍くなることで、息切れや食欲不振、便秘などの症状が現れることがあります。

これらの問題は利用者の生活の質を低下させる可能性があるため、早期の治療と適切なリハビリテーションが重要です。

機能訓練指導員が理解しておくべき、脊椎圧迫骨折に対する基本的なリハビリ方法

ここでは、デイサービススタッフ及び機能訓練指導員が理解しておくとよい、脊椎圧迫骨折に対するリハビリの基本的な方法についてお伝えします。

まず、脊椎圧迫骨折の既往がある場合は、円背姿勢になっていることが多いです。円背姿勢になっている場合は、筋肉や皮膚が伸びきってしまうことやそのまま硬くなってしまっていることが多くあります。

そのような場合は、組織の痛みがそもそもあるケースが多いので、この場合はマッサージやストレッチ、温めるなどの温熱療法が効果的です。

但し、注意点としては、マッサージであれば圧迫するような方法は用いないこと、ストレッチなら捻るような方法は用いないこと、温熱療法も様々な方法があるのでリスク管理をしながら行うことが必要です。

圧迫骨折では筋力トレーニングも大切です。その中でも一部重要なトレーニングについてお伝えします。

部位で言うと、中殿筋(お尻の筋肉)、内転筋群(太もも内側の筋肉)、ふくらはぎの筋力強化をしておくと非常に有効です。

以下に、写真付きで紹介しますので、参考にしてみてください。

基本的なリハビリ方法

【中殿筋トレーニング1:横向き】

横向きになり、下の足は軽く曲げ、上の足は伸ばしたまま上に持ち上げます。



【中殿筋トレーニング2:仰向け】
仰向けのまま、セラバンドなどのような伸縮性のあるものを膝上に巻き、両足を外側に広げる。
中殿部トレーニング

【内転筋群トレーニング】
仰向けになり、ボールなどの伸縮性のあるものを太ももに挟み、ボールを押しつぶすようにする。
内転筋群トレーニング

【ふくらはぎのトレーニング:カーフレイズ】
立ったまま、かかと上げを行ってください。転倒リスクのある方は何かにつかまりながら行うようにしてください。写真ではボールを股に挟んでいますが、ボールがあってもなくても特別問題ありません。

カーフレイズ
 

脊椎圧迫骨折のリハビリの禁忌

脊椎圧迫骨折のリハビリテーションにおいては、以下の点に注意することが重要です。

体幹の屈曲・回旋運動の禁止

骨折部位の安定性が確保されていない時期に、体幹の前屈や捻転(ねじり)動作を行うと、骨折部への負荷が増し、再骨折や症状の悪化を招く可能性があります。

重い物の持ち上げや前かがみ姿勢の回避

重い物を持ち上げる動作や前かがみの姿勢は、脊椎に過度な負担をかけ、骨折部に負担をかけるリスクがあります。

これらを守ることで、脊椎圧迫骨折の治癒を促進し、再発のリスクを低減することが期待できます。

まとめ

デイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておくべき「脊椎圧迫骨折」の概要と基本的なリハビリ方法についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

圧迫骨折はデイサービス利用者に最も多い骨折の1つです。どういった骨折なのかを理解しておくことで介助方法などにも活かせると思います。また、機能訓練指導員の方は、ここでご紹介した筋力トレーニングも合わせて活用していただけると嬉しく思います。

デイサービス運営において、こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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