通所介護の体操で使えるプログラム【棒体操編】

機能訓練

上肢

更新日:2023/09/11

通所介護では、利用者のニーズの把握した上で、日常生活の機能向上を目的とした機能訓練プログラムを考えなければなりません。そこで今回は、機能訓練で使える実践プログラムとして「棒体操」をご紹介します。目標設定からプログラム立案の参考になれば幸いです。

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機能訓練のプログラム内容

機能訓練プログラムは、目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための訓練項目を設定します。

  • 利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定
  • 複数種類の訓練項目を準備して、利用者が選べることにより生活意欲を増進されるように援助する

あらかじめ決められた訓練プログラムを提供するのではなく、利用者に合わせて柔軟な機能訓練プログラムを作成し、提供するのが大切ということです。

棒体操の効果・目的について

棒体操を行う場合は、短期目標で設定した内容を想定して行うことが必要になります。日常生活の中で身体を動かさない、使わないことによって体が減弱してしまう廃用症候群を予防し、より健康的な生活を送れるように機能訓練を行っていきます。

【棒体操の効果・目的の一例】

  1. 立位バランスの維持と向上
  2. 着替えに必要な肩・体幹の柔軟性(関節可動域)の獲得
  3. 家事動作に必要な肩・体幹の柔軟性(関節可動域)の獲得

長期目標・短期目標に則ったプログラムの事例

通所介護で行われる機能訓練では、日常生活動作や家事動作、趣味活動、社会参加などの多くの視点や活動の手順を理解して段階的に関わることが求められます。棒体操を活用した場合の長期目標・短期目標・機能訓練プログラムの事例をご紹介します。

【事例1】

  • 長期目標:食事が自分で食べれるようになる
  • 短期目標:箸やスプーンを使用して食事を摂取することができるようになる
  • プログラム:食事動作が自立するために、棒体操で手首の筋力トレーニングをする

【事例2】

  • 長期目標:着替えが自分でできるようになる
  • 短期目標:上着をスムーズに着替えることができるようになる
  • プログラム:上着を着替えれるようになるために、棒体操で肩の可動域訓練をする

【事例3】

  • 長期目標:入浴動作が見守りでできるようになる
  • 短期目標:洗体が見守りでできるようになる
  • プログラム:洗体動作ができるようになるために、棒体操で肩の可動域訓練をする

このように長期目標は生活機能の構成要素である「参加」「活動」「機能」をバランスよく含めて設定することが求められています。長期目標を設定した後は、目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理し、短期目標を達成するために必要な行為から訓練項目を決定していきます。

実践プログラム【棒体操編】

ここからは、機能訓練加として活用できる棒体操の実践プログラムをご紹介していきます。

手首の棒体操

まずは「腕の棒体操」をご紹介します。

この運動では、手首、前腕、上腕、肩、肩甲骨の関節可動域訓練や筋力増強訓練としての効果があります。主に、食事・整容・洗体・更衣などを目標として立案した場合のプログラムとして活用いただけます。

【運動のポイント】

  1. まずはゆっくりと行います
  2. 棒の長さは利用者の身長や上肢長に合わせて選択しましょう

着替え(上着)のための棒体操

次に、「着替え(上着の着脱)」をスムーズにするための棒体操プログラムをご紹介します。

こちらの棒体操では、肩を回転させる運動を行うことで肩の柔軟性を向上させる関節可動域訓練プログラムとして活用できます。日常生活の中でも「着替え」は毎日行う行為です。生活の課題を想定し、日常生活に必要な基礎トレーニングとして取り組んでみてください。

【運動のポイント】

  1. 棒の両端を持ちます
  2. 棒を水平にするように意識しながら棒を回します

着替え(ズボンの着脱)のための棒体操

次は「ズボンの着脱動作」の獲得を目指した棒体操プログラムをご紹介します。

高齢者のズボンの着脱の際に問題になるのが、肩が回らないことです。そのため、こちらの棒体操を行い肩の柔軟性(関節可動域)を保っておくようにしましょう。

【運動のポイント】

  1. お尻の後ろで棒を持ちます
  2. 棒を逆手で保つように意識しましょう
  3. 棒を水平にするように意識しながら棒を持ち上げます

洗濯物干しのための棒体操

続いては「洗濯物干し」の獲得を目指した棒体操です。

家事動作の中でも、洗濯物を干すためには腕を120°程度あげる能力が必要と言われています。そのため、こちらの棒体操を行うことで胸や肩の柔軟性(関節可動域)のアップを行っておく必要があります。手を高くあげるために、棒体操を活用して上半身の柔軟性を保っておきましょう。

【運動のポイント】

  1. 背中と肘の間に棒を挟みます
  2. 棒を中心に、できる限り上半身を後方に倒します

入浴(洗体動作)のための棒体操


続いては「洗体動作」の獲得を目指した棒体操です。

体を洗う際、肩が回らず背中が洗えない方も多いのではないでしょうか? 棒体操を活用して肩の柔軟性を保つことで制限なくスムーズに日常生活を送っていただけるように支援していきましょう。

【運動のポイント】

  1. 背中の後ろで棒を縦に持ちます
  2. 棒を大きく前後に動かします

家事動作のための棒体操

最後にご紹介するのは、「家事動作」のための棒体操です。

料理や掃除を行う家事動作では、立った姿勢で振り向いたり上半身を捻ったりする動きが多くあります。こちらの棒体操を行うことで体幹を捻る筋肉の強化と立位でのバランス能力を鍛えることができます。

【運動のポイント】

  1. 両手または背中に棒を挟みます
  2. 棒を水平に意識したまま、上半身を捻ります

棒を利用するだけで幅が広がるプログラム

今回は、通所介護で活用できる棒体操のプログラムをご紹介しました。利用者の生活を目標とするための機能訓練プログラムを考えるのは一苦労です。そのため今回の記事を参考にして、棒体操を使用した訓練に取り組んでいただけるようになると幸いです。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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