ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/04/25
介護の現場では「介護」と「介助」という言葉をよく使います。この2つの仕事内容や定義の違いは、介護に携わる方々の基礎知識として欠かせないものです。この記事では、「介護と介助の違い」について定義や内容の違いをまとめてご紹介します。
この記事の目次
「介護」と「介助」という言葉は医療・介護現場で頻繁に用いられる用語ですが、その意味や使われ方には違いがあります。
法律による明確な定義はありませんが、ここでは厚生労働省の発行している資料を参考に「介護」と「介助」の違いについて詳しく説明します。
日常生活において何かしらの支援が必要な方に対して、生活行為や自立支援に関わる身体的および精神的、社会的なサポートを行うことです。
身体的な介護では日常生活動作が満足に行えるように食事や排泄、入浴において動作の手助けを行います。
社会的介護の意味合いは広く、日常生活及び社会生活の向上を目的としたサービス全般を指す言葉として用いられることも少なくありません。
介護とは、いわば「利用者の日常生活の自立を目指す行為全般」と言えるでしょう。
介護が「利用者の日常生活の自立を手助けする行為全般」とすると、介助とは「介護を実現するための実際の手段」と言えます。
例えば、厚生労働省より発出されている「各介護サービスについて」の資料の中に下記のような内容の記述があります。
身体介護 ≫ 利用者の身体に直接接触して行われるサービス等
(例:入浴介助、排せつ介助、食事介助 等)
上記の文章から「身体介護」の中の具体的な手段として「入浴介助」や「排泄介助」「食事介助」が含まれていることがわかります。
参照:各介護サービスについて(R2.3 厚生労働省 介護給付費分科会)
訪問介護における仕事での定義としてですが、介護に分類される仕事内容には、「身体介助」と「生活援助」の2種類があります。
前述した「介護」と「介助」の違いと合わせて、介護における「身体介護」と「生活援助」の違いについても理解を深めていきましょう。
介護・介助に関する解説は現在の介護報酬に関する資料にならって解説します。
身体介護は、直接利用者の身体に触れて日常生活に必要な動作をサポートする介護サービスです。
主な対象となる動作には、「食事・排泄・入浴などの身の回りの動作(ADL)」や「寝返り・起き上がりなどの基本動作」が含まれます。
サービスとして適切に身体介護を行うには、専門的な技術と知識が欠かせません。
たとえば、身体に無理のない姿勢や動作で利用者をサポートするための技術や利用者の身体状態を的確に把握する知識などが必要とされます。
また、コミュニケーション能力も重要であり利用者との信頼関係を築くことで、直接的に身体に触れて行われる身体介護の質が向上できると言えるでしょう。
身体介護は利用者の日常生活をより快適にするための大切なサービスであり、意思や選択を尊重しながら自立支援を促進することを目的としています。
介護者は自立支援の視点を持ち、利用者が自分の力でできるように必要な部分を見極めて適切にサポートすることが重要です。
無意味な介助や過剰な介入は利用者の自立心を損ないかねないため、慎重に対応する必要があることを理解しておきましょう。
身体介護以外で、利用者が日常生活を自立して送ることをサポートするサービスです。
主に対象となるのは、本人や家族が困難な掃除や洗濯、調理、買い物などの一連のIADLとなります。
身体介護との大きな違いは、生活援助では利用者の身体に直接触れることがない点です。
介護者は利用者の身体介護を行うのではなく、日常生活で困難を抱える部分を代行したり、利用者ができるだけ自分で行える方法を検討します。
生活援助を行うには、利用者の生活状況や家屋環境などを理解し、適切なサポートを提供する能力が求められます。
介護者は利用者のプライバシーを尊重し、丁寧に意思決定を促す配慮が欠かせません。
利用者の生活をより豊かにし、自立した生活を送ることを目的としたサービスの提供を心がけましょう。
介助とは、利用者の食事やトイレ、お風呂などを直接的に手助けする行動を指します。
介助の具体的な仕事内容には、6つの種類があります。
以下に、それぞれの仕事内容や特徴を記載しましたのでご参考ください。
加齢や疾病に伴う嚥下機能や咀嚼機能、消化機能の低下などが原因でうまく食事を摂取できない利用者に対するサポートです。
介助者は食べ物を適切な大きさに切ったり、スプーンやフォークなどの道具を使う手助けを行います。
また、利用者の身体状況に応じて誤嚥や窒息を予防するため、食事のペースや姿勢の調整を行うことも重要です。
利用者が栄養を適切に摂取し、食事を楽しめることが目的となります。
食事介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
▶︎食事介助の基本的な姿勢・注意点と麻痺・認知症などの症例ごとのポイントを紹介!
排泄介助は大きく分けてトイレ介助、ポータブルトイレ介助、おむつ介助、尿器・差し込み便器を使用する介助の4つ場面が想定されます。
利用者の個々の排泄パターンや方法を理解し、適切なタイミングや環境下で介助を行います。
また、排泄は非常にデリケートな行為であるため自尊心に配慮したサポートを心掛けましょう。
環境によっては移動も伴うため、歩行や乗り移りが安全に行えるようサポートすることも求められます。
排泄介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
▶︎排泄(トイレ)介助の基本的な手順と介助ポイント・注意点のまとめ
介護が必要な利用者の全身の清潔を保つために援助します。
入浴はリラックス効果もあり、心身の疲れを癒す効果も期待されます。
介助者は利用者の安全を確保しつつ、入浴前後の移動や洗体を手助けします。
また、利用者の身体状況や希望に応じて、湯船に入るかシャワーを使うかなど入浴方法を適切に選択します。
快適で安全な入浴のため、脱衣所や浴室の室温を快適にすることや濡れた床での転倒防止など環境面にも配慮しましょう。
入浴介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
利用者が安全に目的とする場所まで歩くことを援助します。
歩行は転倒のリスクが高い行為ですので、利用者の身体状況に応じて適切に介助する位置や支え方を検討します。
高齢者や身体に障害を呈された方は、ふとした拍子にバランスを崩すことも少なくありません。
歩行補助具の使用や歩く動線の環境の整備を行い、利用者ができるだけ自立した歩行ができるように努めましょう。
歩行介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
▶︎歩行介助の方法と注意点を杖・手引き・歩行器など目的やケースごとに解説!
利用者がベッドや車椅子、トイレの便座などを安全に移動することを目的とします。
移乗の際には、利用者が無理なく自身の力を活かすことができる方法で行うことが求められます。
移乗介助には適切な体勢の保持や体の支え方などの技術が欠かせません。
また、車椅子の角度やベッド柵の位置などを確認し、身体が衝突することがないように注意します。
体格が合わない場合は、一人で無理をせず複数で安全に行うことも検討しましょう。
移乗介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
▶︎移乗介助の手順と注意点について、車椅子やスライディングボードなどのケース別に解説!
利用者が衣服を着脱する際に手助けを行います。
なるべくご自身で行っていただくよう、手順を統一して着脱の支援を行うことが望ましいです。
衣服の素材(伸縮性や重さ)や素肌の状態(湿っているか乾いているか)などによっても実施状況が異なってくることも理解しておきましょう。
利用者の希望するファッションや季節に応じた衣類の選択を尊重し、利用者が快適に着替えることができるようサポートします。
更衣介助の具体的なやり方や注意点は以下を参考にしてください。
▶更衣介助(着替え介助)の手順と注意点|介護初心者向けマニュアル!
介助において大切なことは、利用者の個々の能力を把握し過介助や介助不足にならないよう適切な手段でサポートすることです。
介護を必要とする度合いには個人差があり、介助が必要な部分もあれば自分で行えることもあります。
個々の能力を把握しないまま、何もかも手助けしてしまうことは自立の妨げになりかねません。
以下で日常生活動作における4つの段階に分類される自立度の指標について説明しますので、ご参考ください。
利用者が食事や排泄、入浴などの日常生活の全ての動作が自力で行える状態を指します。
介助者は自立している方に関しては、基本的には直接的な介助の必要はありません。
自立している利用者には必要以上の介助を行わず、利用者が自分らしい生活を継続できるよう経過を見守っていく必要があります。
その際には、福祉用具使用の有無や環境整備が必要となっているかなどを確認しておくと良いでしょう。
自立に近い状態ではありますが、特定の動作について部分的に援助や見守りが必要な段階です。
たとえば、「自力で歩くことができていても環境によってふらつきの恐れがある」ケースは一部介助を要すことになります。
この場合、「見守り」や「手を添えて誘導」を行うことが一部介助に該当します。
自立していた方が特定の動作において転倒のリスクがあると判断された場合に、一部介助の対応へと移ることも少なくありません。
ある程度は自分でできるものの、介助者の援助があって初めてその行為が達成される段階です。
たとえば「トイレでの排泄の際に手すりに掴まって便座へ乗り移り立っていることができるが下衣の上げ下げに介助を要す」などのケースが該当します。
利用者が自分だけではできない部分を見極めて必要な援助だけを行うようにし、過介助にならないようにしましょう。
利用者が動作全般を自力で行えないため、全ての段階で介助が必要な状態です。
介護者は全面的に介助する必要がありますが、介護の目的が自立支援であることに変わりはありません。
全介助が必要な利用者であっても、本人ができることを探り能力を引き出す方法を検討することが大切です。
この段階では一方的な介助とならないよう、利用者の声に耳を傾けながらサポートすることが最も重要と言えるでしょう。
介護の現場では「介助」という表現の他に、「補助」という言葉もよく使用されます。
介助とは前述したように、利用者が日常生活の中で困難を抱えている部分をサポートすることを指します。
具体的には食事や入浴などの身の回りの動作の手助けや、歩行や移乗時のサポートが該当します。
一方、補助とは「利用者に合わせて足りない部分を補ってサポートすること」を意味します。
たとえば、「着替えにおいて袖を通すときに衣服のヨレや袖の向きを介助者が修正することでその後は利用者自身が自力で着ることができる」などが該当します。
両者の違いは明確ではなく、普段行われている介助の中に補助が含まれている場合も少なくありません。
いずれにせよ、利用者さんをサポートすることが介護の目的であり、個々の状況に応じて適切な補助を行うことが重要です。
デイサービスでは機能訓練や食事の提供や入浴が行われますが、生活援助は行われません。
生活援助については、実際の生活拠点となる場所においてIADLを支援することが多く、訪問介護がそれを担当するのが一般的と言えるでしょう。
デイサービスで行う身体介護については、利用者ごとに個別のケアプランが作成されその方に合わせたサポートが提供されます。
具体的には、食事場面では形態や摂取方法、排泄ではその方のパターンに合わせた援助などです。
他にも入浴の入り方や歩行時の付き添い方法など、利用者の身体状況に応じて各行為の援助方法が検討されます。
デイサービスでは利用者が日中を過ごすため、健康状態や自立度に合わせた適切な介護・介助が提供されるように工夫されています。
今回は「介護と介助の違い」について、具体例と関連する用語をまとめてご紹介しました。
「介護や介助」「介助や補助」といった用語は介護現場でよく用いられる表現ですので、それぞれの意味合いを理解することでより質の高いサービスの提供につながります。
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