個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
その他の加算
更新日:2024/10/30
【令和6年報酬改定対応】中重度者ケア体制加算とは、中重度の要介護者を積極的に受け入れる体制を整えている事業所を評価する加算として、平成27年度の介護報酬改定において新設された加算です。この記事では、中重度者ケア体制加算の単位数や算定要件、職員・利用者の計算方法などを解説していきます。
この記事の目次
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中重度者ケア体制加算とは、事業所が中重度の要介護者を受け入れる体制を作り、必要なプログラムを実施した際に算定できる加算です。
この加算は通所介護(デイサービス)と通所リハビリが対象で、平成27年度の介護報酬改定で新しく設けられた制度です。
参考:平成 27年度介護報酬改定の概要(案) (2023年5月11日確認)
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単位数 |
45単位/日 |
|
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算定要件 |
指定された基準以上の介護職員、または看護職員の数に加え、それぞれ常勤換算で2以上確保している前年度または算定月の前3ヵ月間の利用者の総数のうち、要介護3以上の利用者が3割以上を占めている通所介護のサービス提供時間で、専従の看護職員を1名以上配置している中重度の介護度の利用者に対して、生活に必要なサービスを提供するためのプログラムを作成している |
参考:平成 27年度介護報酬改定の概要(案) (2023年5月6日確認)
中重度者ケア体制加算を算定するには、利用者と看護師の規程人数を満たしているかどうかを計算する必要があります。
ここではその計算式についてご紹介します。
要介護3以上の割合を計算するには、3ヵ月分の利用実績の総数や利用者ごとの種類を下の表のようにまとめるとわかりやすいでしょう。
出典:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) (2023年5月11日確認)
上記の表の数値で割合を出すための計算をしてみましょう。
【計算式】
① 利用実人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=9 人(1 月)+9 人(2 月)+9 人(3 月)=27 人
・要介護3以上の数=4 人(1 月)+4 人(2 月)+4 人(3 月)=12 人
したがって、割合は 12 人÷27 人≒44.4%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
② 利用延人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=82 人(1 月)+81 人(2 月)+88 人(3 月)=251 人
・要介護 3 以上の数=46 人(1 月)+50 人(2 月)+52 人(3 月)=148 人
したがって、割合は 148 人÷251 人≒58.9%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は ②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である。
【解説】
①では、1ヵ月間の要支援を除いた利用者が9人で、3ヵ月分なので3倍をして27人となります。
そのうち要介護3以上が4人のため、3倍して12人です。
この場合、3ヵ月間の要介護3以上の人数が3割以上を占めており、加算の算定が可能です。
②は述べ人数を参照しており、同様の計算方法で算出できます。
要介護3以上の割合が3割を下回ったら、加算の算定が認められません。
自治体によっては要介護3以上の割合を算出するためのエクセルシートが用意されている場合もあるので、事前に調べておきましょう。
参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) (2023年5月11日確認)
次に、職員の配置数の計算方法についてみていきましょう。
たとえば、定員が20人で提供時間が7時間、常勤の勤務時間が週で40時間の通所介護だとします。
営業日が月曜日〜土曜日だとすると、実際の稼働状況は以下の表の通りです。
出典:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) (2023年5月11日確認)
この表を元にして、職員の配置数の計算式を解説します。
【計算式】
① 指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数
(例:月曜日の場合)
確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数=11.2 時間
② 指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数
(例:月曜日の場合)
指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8 時間
以上より、上記の体制で実施した場合には、週全体で 84 時間の加配時間となり、
84 時間÷40 時間=2.1 となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになる。
【解説】
①では、まず「必要時間数」を計算します。
必要時間数とは、利用者数に対して必要な職員数を提供時間で換算しながら表した時間数です。
『((利用者数ー15)÷5+1)』は必要な職員数を表しており、月曜日は利用者が18人なので、1.6となります。
1.6人から提供時間である7時間をかけると、必要時間数は11.2時間となります。
必要時間数がわかったら、次は②の「加配時間数」を計算しましょう。
加配時間とは、必要時間数に加えて必要となった勤務時間数を指す言葉です。
月曜日の職員の勤務時間をあわせると、『8+7+8=23時間』となります。
そこから必要時間数の11.2時間を引くと、11.8時間となります。
最後に週全体の加配時間の合計を、常勤の週の勤務時間である40時間で割ると、
『84÷40=2.1』となるため、常勤換算で2以上確保されていることがわかります。
参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) (2023年5月11日確認)
ここでは中重度者ケア体制加算を算定する際の注意点をご紹介します。
【看護師の配置について】
中重度者ケア体制加算の対象となる看護師は、他の仕事の兼務ができません。
認知症加算も同じタイミングで算定する場合、認知症介護に関する研修を終了しているスタッフを別に配置する必要があります。
また中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定するときは、職員を4名以上配置する必要はありません。
どちらか一方が看護職員あるいは介護職員が常勤換算で2以上でしたら、それぞれの加算の算定が可能です。
【計画書について】
中重度者ケア体制加算を算定するための計画書には決まった様式がありません。
通所介護計画書を活用する場合は、中重度者ケア体制加算のためのプログラム内容を記載しておきましょう。
参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) (2023年5月11日確認)
中重度者ケア体制加算の算定要件は「中重度の要介護者であっても、社会性の維持を図るとともに、在宅生活が継続できるケアを計画的に実施するためのプログラムを作成すること」とされています。
また介護報酬改定に関するQ&Aでも以下のように定義されています。
問38 重度の要介護者であっても社会性の維持を図り在宅生活の継続に資するケアを計画的に実施するプログラムとはどのようなものか。
(答)
今までその人が築いてきた社会関係や人間関係を維持し続けられるように、家庭内の役割づくりのための支援や、地域の中で生きがいや役割をもって生活できるような支援をすることなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行う必要がある。
引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A
例えば、要介護4で車椅子生活の利用者さんが家庭での役割を持って生活ができるように「食事の時の食卓準備」が行えるようにしたいとします。
などがプログラムの候補になります。
プログラム作成者については算定項目での言及はありません。管理者の責任の下、職員が作成するのが望ましいでしょう。
中重度者ケア体制加算を算定する際には、一般的に以下の書類を提出します。
ただ必要提出書類の種類や名称に関しては、各自治体により異なる点があります。提出が必要な場合は、必ず管轄自治体の情報を確認するようにしてください。
問 59 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ又はロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置する必要があるが、中重度者ケア体制加算を算定する場合に配置が必要となる看護職員がこれを兼ねることは可能か。
(答)
中重度者ケア体制加算を算定するにあたっての人員配置に係る要件は、a 通所介護等事業所に配置が必要とされる看護職員又は看護職員の数に加え、看護職 員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。
b 指定通所介護等を行う時間帯を通じて、専ら当該通所介護等の提供に当たる看護職 員を1名以上配置していること。としており、これに照らせば、aにより配置された看護職員にあっては、中重度者ケア体 制加算の算定に係る看護職員としての業務に従事していない時間帯において、個別機能 訓練加算(Ⅰ)イの算定要件や個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件の一つである「専ら機 能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等」として勤務することは差し支えない。bに より配置された看護職員は、「指定通所介護等を行う時間帯を通じて、専ら通所介護等の 提供に当たる看護職員」である必要があることから、同一営業日において「専ら機能訓練 指導員の職務に従事する理学療法士等」として勤務することはできない。
問26 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介 護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置 すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。
(答)
中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできな い。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している 者を別に配置する必要がある。
問27 認知症加算及び中重度者ケア体制加算の利用者割合の計算方法は、届出日の属す る月の前3月の1月当たりの実績の平均が要件を満たせば、例えば、4月 15 日以前に届 出がなされた場合には、5月から加算の算定が可能か。
(答)
前3月の実績により届出を行う場合においては可能である。なお、届出を行った月以 降においても、直近3月間の利用者割合については、毎月継続的に所定の割合を維持し なければならない。
問28 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、指定居宅 サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員 を常勤換算方法で4以上確保する必要があるか。
(答)
事業所として、指定居宅サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加 え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していれば、認知症加算及び中 重度者ケア体制加算における「指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、 看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する」という要件をそれぞれの加算 で満たすことになる。
問29 認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護 実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて事業所に1名以上 配置されていれば、複数単位におけるサービス提供を行っている場合でも、それぞれの 単位の利用者が加算の算定対象になるのか。
(答)
サービスの提供時間を通じて1名以上配置されていれば、加算の算定対象となる。
問37 加算算定の要件である通所介護を行う時間帯を通じて、専従で配置する看護職員 の提供時間帯中の勤務時間は、加配職員として常勤換算員数を算出する際の勤務時間数 には含めることができないということでよいか。
(答)
提供時間帯を通じて配置する看護職員は、他の職務との兼務は認められず、加算の要 件である加配を行う常勤換算員数を算出する際の勤務時間数に含めることはできない。 なお、加算の算定要件となる看護職員とは別に看護職員を配置している場合は、当該看護職員の勤務時間数は常勤換算員数を算出する際の勤務時間数に含めることができる。
問38 重度の要介護者であっても社会性の維持を図り在宅生活の継続に資するケアを計 画的に実施するプログラムとはどのようなものか。
(答)
今までその人が築いてきた社会関係や人間関係を維持し続けられるように、家庭内の 役割づくりのための支援や、地域の中で生きがいや役割をもって生活できるような支援 をすることなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供 を行う必要がある。
問39 通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員 を1名以上配置とあるが、指定基準の他に配置する必要があるのか。
(答)
当該事業所に配置している看護職員が現在、専従の看護職員として提供時間帯を通じ 17 て既に配置している場合には、新たに配置する必要はない。
中重度者ケア体制加算は、要介護度の高い利用者に対し、よりきめ細かなケアを提供するための加算といえます。
利用者の興味・関心や価値観を理解しつつ、残存機能を活用できるサービスを提供すれば、日常生活や社会参加にも好影響を与えられるでしょう。
一方で、加算を算定するには職員の配置に注意する必要があります。
職員によっては兼務ができないケースもあるので、算定要件のうちの人員配置については、よりよく理解しておくことが大切です。
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▶︎デイサービス(通所介護)の人員基準とは|配置要件や最低人数などを解説
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