【実践】嚥下体操で口腔ケア!毎日の健康維持に役立つ方法

コラム

口腔機能

更新日:2024/04/11

飲み込みや咀嚼の力を強くするためには「嚥下体操」が有効です。有名な「パタカラ体操」のほかに有効な嚥下体操を知りたい、と思っている方も多いでしょう。毎回同じ動きで飽きないよう組み合わせて行くと飽きずに続けられます。この記事では、「やって楽しい嚥下体操」のバリエーションを紹介しています。

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嚥下体操とは?

嚥下体操とは、飲み込みに必要な筋肉を鍛える体操です。「嚥下(えんげ)」とは、食べ物や飲み物を飲み込むための一連の動作のことです。

飲み込みをするには舌や口まわり、首などの筋肉を動かす必要があります。嚥下体操は多くのデイサービスで取り入れられており、高齢者にとっては欠かせない体操といえるでしょう。

ここでは、嚥下体操の目的や、嚥下機能が障害されるとどうなるのかについて解説します。

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嚥下体操の目的と効果

嚥下体操を行うおもな目的は、「誤嚥予防」です。誤嚥とは、食べ物が食道ではなく気管に入ることです。

誤嚥によって細菌がついた食べ物や唾液が気管に入ると、「誤嚥性肺炎」を引き起こす恐れがあります。高齢者の食事でもっとも注意したいのが、この誤嚥性肺炎といえるでしょう。

誤嚥を予防して他の病気を引き起こさないために、嚥下体操が行われるのです。嚥下体操をはじめとした口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の発症予防が期待できます。

嚥下障害とは

嚥下機能とは、飲み込みの機能が障害されている状態のことです。

嚥下は以下の5つの段階に分けられており、いずれかの働きがうまく機能しないとさまざまな悪影響を引き起こします。

  1. 先行期:食べ物を認知して口へ運ぶ時期
  2. 口腔準備期:食べ物を口腔内で食塊にする時期
  3. 口腔送り込み期:食べ物を飲み込みはじめる時期
  4. 咽頭期:食べ物を食道に送る時期
  5. 食道期:食べ物を食道から胃へ送る時期

たとえば、誤嚥の場合は4つ目の「咽頭期(いんとうき)」がうまくいかず、気管に入ってしまったときに起こります。このような一連の飲み込み動作をうまく働かせるために、嚥下体操が行われるのです。

嚥下障害を防ぐことは、認知症や心臓病などのさまざまな病気の予防につながります。嚥下機能が衰える高齢者にとって、嚥下体操による口腔ケアはとても重要です。

参考:慶應義塾大学病院|摂食嚥下障害のリハビリテーション(2024年2月17日確認)

認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もご一読ください。
▶︎長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは|MMSEとの違い・評価方法・診断基準

嚥下体操の基本「パタカラ体操」を知っておこう

嚥下体操は、基本的に口まわりの運動を行います。基本的な嚥下体操として有名なのが、「パタカラ体操」です。

パタカラ体操は、文字通り「パ・タ・カ・ラ」の言葉を使った体操です。

パタカラ体操のやり方の例は以下があげられます。

  1. 「パ・タ・カ・ラ」と1つずつはっきりと発音する
  2. 「パパパ……」「タタタ……」と1つずつ連続して発音する
  3. 「パ・タ・カ・ラ」を含んだ文章を発音する

このように、さまざまなパターンで「パタカラ」を発音します。さらにバリエーションを増やすことで、利用者も飽きずに取り組みやすくなるでしょう。

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嚥下体操の基本的な流れ

ここからは、嚥下体操の基本的な流れについてみていきましょう。

正しい姿勢で嚥下体操のウォーミングアップを

嚥下体操は正しい姿勢で行うことが大切です。

嚥下体操に入る前の準備として、以下の体操も行うのもおすすめです。

  • 深呼吸

お腹をふくらませることを意識しながら息を吸い、ゆっくりと吐く(5回行う)

  • 首の体操

1.首をゆっくりと前後左右に3回ずつ倒す
2.首をゆっくりと左右に3回ずつ動かす
3.首をゆっくりと時計回り・反時計回りに3回ずつ動かす

  • 肩の体操

1.両肩を上げて、すとんと落とす運動を5回行う
2.腕と一緒に肩を時計回り・反時計回りに5回ずつ動かす
3.両手を持って上げる運動を5回行う

嚥下体操のウォーミングアップとして、これらの体操も取り入れてみましょう。

部位別に行う嚥下体操のバリエーション

ここでは、部位別に行う嚥下体操をご紹介します。部位別の嚥下体操を組み合わせて、日替わりで行ってみましょう。

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舌の運動

舌の運動の内容は以下のとおりです。

  1. 舌を前に出した後、のどの奥に引っ込める運動を5回行う
  2. 舌を出して上下に5回ずつ動かす
  3. 舌を出して左右に5回ずつ動かす
  4. 舌を出して唇に沿うように時計回り・反時計回りに5回ずつ動かす
  5. 口の中で舌を唇に沿うように時計回り・反時計回りに5回ずつ動かす

なるべく舌を大きく動かすことを意識して行ってみましょう。

口の運動

口の運動の内容は以下のとおりです。

  1. 口を大きく開ける、強く閉じるを5回ずつ行う
  2. 「イー」とするイメージで口を5回横に広げる
  3. 「んー」とするイメージで口を5回すぼめる
  4. 口をすぼめた後、左右に5回ずつ動かす
  5. 口を開ける、閉じるを素早く10回行う

唇の動きを意識しながら口の運動を行ってみましょう。

頬の運動

頬の運動の内容は以下のとおりです。

  1. 両方の頬を10回ふくらませる
  2. 左右の頬を交互に5回ずつふくらませる
  3. 両方の頬を10回すぼめる
  4. 両方の頬をふくらませる、すぼめるを5回ずつ行う

頬をふくらませたり、すぼめたりするときは口をしっかり閉じて行いましょう。

声を出す運動

声を出す運動は舌や口などを複合的に動かす練習になります。声を出す運動としておすすめなのが、先ほど紹介した「パタカラ体操」です。

その他にも、以下のような方法があげられます。

  1. 本を音読する
  2. 曲にあわせて歌う
  3. 早口言葉をする
  4. しりとりをする

声を出すときは、はっきりと発音することを意識しましょう。

咳払いの練習

咳払いは誤嚥したときのむせ込みや、のどの異物を吐き出す際の練習になります。この練習では、深く息を吸って腹筋を意識しながら10回ほど咳払いをしてみましょう。

口の中のものを吐き出すようなイメージで行うと効果的です。

唾液腺の運動とマッサージ

運動やマッサージで唾液腺を刺激することで、唾液の分泌を増やして口の中の乾燥を防げます。

唾液腺の種類と場所は、以下のとおりです。

  • 舌下腺(舌の側面の下)
  • 顎下腺(あごの側面の下)
  • 耳下腺(下顎のえらが張った部分のすぐ後ろ、耳の前下方)

これらの唾液腺を刺激する方法は、以下があげられます。

  1. 顎の真下から両方の親指でゆっくりと10回押し上げる(舌下腺)
  2. 左右の頬を下から上に親指で10回押す(顎下腺)
  3. 耳の下を親指以外の4本の指でおさえ、時計回り・反時計回りに10回ずつ動かす(耳下腺)

指で強くおさえないように注意しながら行ってみましょう。

以下の記事でもパタカラ体操を含む口腔体操を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
効果的な口腔体操の方法 パタカラ体操や高齢者向け早口言葉などを紹介

嚥下体操を行う際のポイント

嚥下体操を行う際は口や舌を意識して、できるだけ大きく動かしましょう。嚥下は口や舌を複合的に動かして行うものです。

大きく動かしながら体操することで、口まわりと舌の筋力が鍛えられます。口や舌の動きがスムーズになれば、誤嚥の予防も期待できるでしょう。

体操のときだけでなく、普段の会話や食事中でも意識をしておくと、さらに嚥下機能の改善につながります。

利用者のモチベーションの保ち方とは?

利用者が嚥下体操を行うモチベーションを保つためには、嚥下機能の重要性について理解してもらうことが大切です。

嚥下機能が低下したらどうなるのかを説明したうえで、その予防として嚥下体操を行っていることを共有しましょう。嚥下機能の重要性をわかってもらえれば、利用者のモチベーションも維持しやすくなります。

また、誤嚥予防の他にも「おしゃべりがしやすくなる」「美味しい食事をずっと食べられる」などのメリットも伝えておきましょう。

日常生活に直結するようなメリットを説明することで、嚥下体操の意欲をさらに高められます。

以下の記事では利用者のモチベーション維持ややる気を引き出すポイントついて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
リハビリ意欲アップ!やる気を引き出す7つのポイント・現場の成功事例

さまざまなバリエーションの嚥下体操で嚥下機能の改善を

「嚥下」とは食べ物を飲み込む動作のことで、年齢によってその機能は徐々に低下します。嚥下機能を維持・改善させるには、口や舌の筋肉を鍛える嚥下体操を行うことが大切です。

嚥下体操を行うことで、誤嚥性肺炎をはじめとした病気の予防が期待できます。デイサービスでは手足の体操だけでなく、ぜひ嚥下体操も取り入れてみてください。

今回の記事を参考にして、さまざまな嚥下体操のバリエーションを組み合わせて行ってみましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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