東京都日野市の「デイサービス花子」|「縛らない」伝統をデイの誇りに。大人の尊厳と“3年間離職ゼロ”を両立する組織の力
運営ノウハウ
2026/05/14
この記事の目次
地域の介護を、みんなで豊かに。「地域共創プロジェクト」への想い
本プロジェクトは、地域のデイサービスが持つ素晴らしい「現場での工夫や知恵」を事業所内だけに閉ざすのではなく、地域全体で分かち合うための取り組みです 。
現在、介護業界は人手不足や物価高騰といった厳しい経営環境に直面しています 。しかし、そんな中でも「利用者様をもっと元気にしたい」「職員が輝ける職場を作りたい」と、日々試行錯誤を続けている現場が、私たちの街にはたくさんあります 。
個々の事業所が「孤立」して悩むのではなく、その知恵を「バトン」として繋いでいくこと 。それこそが、地域の介護の質を高め、高齢者の皆様が安心して暮らせるインフラを守ることになると私たちは信じています 。
今回のイベントレポートでは、地域を支える先行事例として登壇いただいた法人の、熱い想いとリアルな舞台裏をお届けします 。
「社員の笑顔のそばに、利用者様の笑顔が花開く。これを経営の根幹に置いています。顧客満足度を追い求める前に、まずは従業員満足度を徹底する。この順番がすべての始まりです」
大阪市で機能訓練特化型デイサービス「リハステージ トラスト」と「リハステージ ブルーム」を運営する株式会社紅葉・株式会社ブルームネストの代表、山下弘樹さんは、そう語り始めました。
介護業界にありがちな「人が定着しない」という課題に対し、山下さんは自らの苦い経験をもとに、個人の献身に頼らない組織づくりを追求してきました。その結果、直近2年間の正社員離職率は驚異の「0%」を維持。ケアマネジャーやご家族からの信頼も厚く、口コミを中心に稼働率85%という高い実績を誇っています。職員を孤立させず、心からの笑顔を導き出すための、同社の実直な取り組みを紐解きます。
山下さんが組織運営で最も重視しているのは、人は理屈ではなく「感情」で動くという視点です。現場に何か新しい仕組みを導入する際にも、一方的に指示を出すのではなく、徹底して職員の心に寄り添うアプローチを貫いています。
その象徴が、定期的かつタイムリーに行われる個人面談です。「面談の時に決めているのは、こちらの意見を伝えることよりも、まずは『相手の話を聞く』ことに専念するということです」と山下さんは語ります。現場の困りごとや、職員が心の中に抱く小さな違和感をまずすべて吐き出してもらうこと。些細なことでも後回しにせず、その都度丁寧に対話を重ねて解決していく姿勢が、組織に深い信頼関係をもたらしています。
また、山下さんはスタッフへ仕事を依頼する際にも、単に目先の作業を割り振るようなことはしません。「この仕事の意味は何なのか、これが誰を笑顔にして、誰のプラスに繋がるのか。 背景を必ずセットで伝えるようにしています」と言います。目的や価値を共有することで、職員が「自分が誰のために動いているのか」を実感し、自発的に誇りを持って動ける環境を作っています。
この誠実な姿勢は、職員が次のステップへ進む退職の際にも現れていました。かつて、若い看護師さんから「医療処置のスキルをさらに磨くために、別の環境に挑戦したい」と相談を受けたとき、山下さんは無理に引き留めませんでした。「この会社で引き留めることが、本当にこの子の幸せに繋がるのだろうかと考えた時、彼女の未来を応援して気持ちよく送り出そうと決めました」。会社の思想を深く理解している現場のメンバーたちも、自分たちの負担が増えるにもかかわらず「笑顔でいってらっしゃい」と送り出したといいます。職員を「人生の大切な時間を預けてくれている存在」として本気で尊ぶ姿勢が、高い定着率の背景にありました。

「利用者様への約束を毎日0.1%でも上回る」という目標を掲げる同社ですが、そのためには現場に「余白」がなければならないと山下さんは考えます。そこで取り組んだのが、デジタルツールを駆使した徹底的な業務の効率化でした。
ただし、トップダウンでシステムを押し付けることはしません。「何が課題なのかを、必ず現場に入って一緒に特定します。経営側が見て『これが課題だろうから、これをやろう』という決めつけは絶対にしないようにしています」という言葉通り、まずは業務の棚卸しとアンケートから、職員が本当に負担に感じているボトルネックを洗い出しました。
そうして導入された専用のリハビリ支援システムにより、計画書などの煩雑な書類仕事が大幅に圧縮されました。さらに、日々の予定表を自動連動させる仕組みを独自に構築。週間予定表を1箇所更新するだけで、マシンの誘導表や入浴表、バイタル表、送迎表にまですべてが自動で反映されます。これまで毎日30〜40分かかっていた確認・転記作業が、わずか5分に短縮されたのです。
こうして生まれた時間は、決して職員をさらに忙しくさせるためのものではありません。これまでは書類業務などの事務作業に追われて十分に割くことが難しかった、看護師による専門職としての細やかな関わりや、利用者様一人ひとりと丁寧に向き合う「対話の時間」へと還元されています。
同社では、現場の負担を軽減しケアの質を高めるための、ボトムアップの工夫が溢れています。
その一つが、清掃業務の外部委託です。週3回、専任の掃除スタッフを配置することで、現場の職員が本来の介護業務や、利用者様の情報共有のためのミーティング、事務作業に集中できる時間をしっかりと確保しました。これにより、スタッフ間で「最近〇〇様の歩き方が少し変わった」「もっとこういう工夫をしよう」といった、質の高い連携が日常的に生まれるようになっています。
また、単発の外部スタッフやパート職員、看護師を受け入れる際にも、独自の工夫が光ります。入浴介助において、手順を細かく明文化した専用のマニュアルを整備しました。「誰が休んでもすぐにカバーに入る人が困らないように、初めて入る人でもこれを見れば迷わず動けるくらい、詳細なマニュアルを現場主導で作りました」と山下さん。誰が担当してもスムーズに動けるように属人化を防ぐことで、外部スタッフも安心して勤務でき、同時に自社スタッフの過度な体力消耗を防ぐ環境を整えました。
さらに本年度からは、バックオフィス体制の整備にも着手しています。書類の整理や期限管理、労務手続き、各種事務確認業務の一部を、管理者経験のある職員がサポートする仕組みを構築しました。これにより、管理者や専門職が「利用者様との関わり」「職員育成」「サービス改善」に集中できる環境を整えています。
山下さんは、こうした取り組みを単なる事務の効率化とは捉えていません。間接業務の負担を軽減し、現場の余白を生み出すことは、結果として利用者様への関わりの質を高めることに直結する、と強く確信しているからです。
経営が現場の声に耳を傾け、仕組みでバックアップする。この両輪が回っているからこそ、現場には「AIを活用して毎朝自動生成する脳トレクイズ」など、利用者様を楽しませるための主体的なアイデアが次々と生まれ、常に安全で手厚いケアが提供されていました。
「利用者様の幸せと、社員の幸せは、別々のものではなく連動しているものだと捉えています。まず社員の笑顔を大切にする。すると心のこもった介護を提供してくれて、利用者様やケアマネジャー様の良い口コミが広がり、また利益が生まれる。その生まれた利益をまたチームの環境に還元していく。この循環を繰り返していくことが、何より大事だと考えています」
山下さんの語る組織観は、人手不足に悩む介護業界全体にとって、本質的な解決策を提示しています。職員の尊厳と人生を大切にすることが、結果として最も質の高いケアを生み出し、地域に選ばれ続ける事業所を創る。
イベントの冒頭、山下さんが語った「今日をきっかけに、何か一つでも、皆さんにとって明日からのプラスの循環になるようなイベントにしたい」という言葉の通り、株式会社紅葉・ブルームネストが大阪の街で描き出す笑顔のバトンは、関わるすべての人たちの心に、確かな前向きな変化を生み出していました。

▼ 株式会社紅葉 / 株式会社ブルームネスト(大阪府大阪市)について詳しくはHPをご確認ください
https://koyo-reha.co.jp/
https://bloom-nest.co.jp/
リハステージ トラストの日常の様子や、代表山下さんの福祉にかけるリアルな想いは、下記のSNSからもご覧いただけます。
・リハステージ トラスト 公式Instagram:https://www.instagram.com/rehastagetrust/
・代表 山下さん 公式X(旧Twitter):https://x.com/hiroki1505881
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「リハブクラウド」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
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