大阪府大阪市のデイサービス「リハステージ トラスト」|「まず職員を笑顔にする」仕組み化が生む、温かなケアと対話の好循環
運営ノウハウ
2026/06/01
この記事の目次
地域の介護を、みんなで豊かに。「地域共創プロジェクト」への想い
本プロジェクトは、地域のデイサービスが持つ素晴らしい「現場での工夫や知恵」を事業所内だけに閉ざすのではなく、地域全体で分かち合うための取り組みです 。
現在、介護業界は人手不足や物価高騰といった厳しい経営環境に直面しています 。しかし、そんな中でも「利用者様をもっと元気にしたい」「職員が輝ける職場を作りたい」と、日々試行錯誤を続けている現場が、私たちの街にはたくさんあります 。
個々の事業所が「孤立」して悩むのではなく、その知恵を「バトン」として繋いでいくこと 。それこそが、地域の介護の質を高め、高齢者の皆様が安心して暮らせるインフラを守ることになると私たちは信じています 。
今回のイベントレポートでは、地域を支える先行事例として登壇いただいた法人の、熱い想いとリアルな舞台裏をお届けします 。
「目指しているのは、高齢になったり生活に支障が出始めたりしたときに、当たり前にこの場所に関わっていたな、と思えるような存在です。幼稚園、小学校、中学校と進むのと同じように、地域にとって当たり前にあるインフラとして認識してもらうことが大切だと考えています」
千葉県で最も人口が少ない香取郡神崎町。人口約5,600人のこの町で、「リハビリ特化型デイサービスリハビリセンター神崎」の管理者である渡邊要さんは、地域への深い愛着を感じさせる穏やかな口調で語ります。
今回、渡邊さんのお話を伺って心に残ったのは、単なる「介護事業所」という枠組みを超え、町全体の暮らしを支えるインフラとして機能しようとする真摯な覚悟でした。デジタルツールを駆使してルーチンワークを仕組み化し、そこで生まれた時間を、専門職本来の価値である対話やケアへと還元していく。地域に根ざした独自の運営スタイルを紐解きます。
リハビリセンター神崎の運営において、渡邊さんが大切にしているのは、「仕組みで解決できる定型業務」と「専門職としての創造的なケア」の切り分けです。記録や計画書の作成、スタッフ間の情報共有といった業務を積極的にシステム化することで、現場の物理的な負担を最小限に抑えています。
「システムで簡略化できることは徹底して任せ、職員さんにはその分、利用者様と向き合う時間を増やしてほしい。職員全員が心にゆとりを持ち、それぞれの専門性を存分に発揮できる環境を作ることが、私たちの役割なんです」
渡邊さんは、介護業界の産業構造の変化を見据え、単なる労働力の提供ではない「人間にしかできない価値」をいかに引き出すかを重視しています。無資格の職員に対しても資格取得を支援するなど、個人のキャリア形成をバックアップ。業務の効率化によって生み出された“心理的な余白”が、職員の自身の仕事に誇りを感じ、利用者様と丁寧に対話を重ねるための大切な土壌となっていました。
リハビリセンター神崎が掲げる自立支援の姿勢には、神崎町という地域ならではの切実な背景があります。県内最小の町であり、周辺に在宅介護を支えるサービス資源が限られているこの地域において、身体機能が低下し自力で歩く力を失うことは、そのまま「住み慣れた町での生活を諦めること」に直結しかねないからです。
「利用者様のなかには『歩けるなら本当は歩きたい。でも周りに悪いから言えない』という願いを抱えている方が多い。だからこそ、家では車椅子を使用している方でも、ここでは歩行器や杖を使ってチャレンジし、もう一度自分の足で立つ意欲を引き出す雰囲気作りを大切にしています」
定員15名の少人数制ながら理学療法士を2名配置し、一人ひとりの可能性を諦めない。「一歩でも歩けるようになって、この町での暮らしを続けてほしい」という明確なコンセプトはチーム全体に浸透しており、専門職のみならず全てのスタッフが高い介助技術と共通の意識を持って利用者様に伴走しています。この町で最期まで暮らすための「最後の砦」としての自負が、地域からの絶大な信頼の源泉となっていました。
渡邊さんの視線は、デイサービスの営業時間内だけに留まりません。夜間や休日には施設を地域の活動の場として開放し、住民が自然に集まる場所としての役割も担っています。こうした地域に溶け込んだ在り方は、結果として大切な縁を紡ぎました。
ある日、当時小学生であった職員の子どもやその同級生たちが夜間の施設開放に遊びに来るようになったそうです。「定期的に運動や遊びに来るようになるうちに、施設の雰囲気に日常的に触れながら、卒業式シーズンにはみんなで食べ放題にいったり、夏には山に登ったり、気が向いたら遊園地で絶叫マシーンに乗りながら一緒に成長していきました。」と渡邊さんは嬉しそうに振り返ります。
その子供たちが中学生・高校生と継続して通ってくれる中で、ある日「高校を卒業したらどうすればいいだろうか…」と渡邊さんに本音を相談してくれたことがあったそうです。そのとき、渡邊さんはこのように優しく言葉をかけたと言います。
「やりたいことがないんだったら、国家資格の理学療法士になってみたら?月に困らない程度の給料をもらいながら、もしやりたいことが見つけたらそれをやってみたらいいよ!資格は荷物にならないから」
月日は流れ、少年・少女は理学療法士の道を選び、現在は様々な分野で活躍しています。かつて地域の方たちと一緒にリハビリセンター神崎と関わっていた子供たちが今度は専門職として地域を支える側に立っています。
「何か特別な意図や目的をもってこのようなことをしてきたわけではありません。自分が少年だったころにこんな場所があったらよかったなという場所を試行錯誤しながら作り出していく中で、地域の中に当たり前に存在する場所として関わり続けてきた結果、自然と次の世代が育ってくれたのだと感じています」と渡邊さんは語ります。
広告費や求人費に頼るのではなく、地域との地道な交流が、巡り巡って未来の担い手を引き寄せる。そんな「地域のインフラ」であり続ける姿勢が、町のケアを支える健やかな循環を生み出していました。
「地域に住んでいて、何かあった時にはリハビリセンター神崎がある。そう思ってもらえる場所でありたい」
専門職としての高い技術を持ちながら、町全体を支える「ハブ」になろうとする渡邊さんの在り方は、資源の不足に悩む多くの地域にとって、一つの希望となる道を照らしています。
「最初は一滴の雫かもしれないけれど、それがやがて海まで行き着くように、理想の形を追求し続けたい」。地域と共に歩み、そこで暮らす人々の可能性を信じ続ける。リハビリセンター神崎という場所は、これからも町の人々にとって、頼れるインフラであり、未来へのバトンを繋ぐ大切な拠点であり続けるのだと感じられました。
▼ 株式会社ロコモノート リハビリ特化型デイサービスリハビリセンター神崎(千葉県香取郡)について
電話番号:047-872-1230
住所:〒289-0221 千葉県 香取郡神崎町神崎本宿字上宿2070-2-1
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/12/index.php?action_kouhyou_detail_006_kihon=true&JigyosyoCd=1274600087-00&ServiceCd=780
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