手指のリハビリ方法|自宅できる手指のトレーニングを解説

機能訓練

上肢

更新日:2024/07/24

指や手、前腕、肘などの整形外科的疾患に対して行うリハビリをハンドセラピィといいます。具体的な疾患には骨折や腱鞘炎など様々ありますが、手指の自主訓練を導入して頂こうと思っても参考資料があまりないと感じませんか。そこで今回は、手・手指のさまざまなトレーニング方法をご紹介していきます。

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「手・手指の働き」とは

手指の運動方法をご紹介する前に、手や手指の役割と機能を簡単に理解していきましょう。

手・手指は上肢の最も末梢の器官であり、精巧で優れた機能を有しています。具体的には以下の働きや物の識別などの感覚機能を活用した働きを有しています。
 

  1. 固定・把持・操作する
  2. 押す
  3. 引っ掛ける
  4. 引き寄せる
  5. 接触する
  6. 合図する
  7. 容器とする
  8. 識別する

その他にも、人の手には自分や他者の接触によって、温もりや優しさ、冷淡さ、繊細さ、力強さなどの感情を受け取る働きもしています。

参照:岡田 徳次 電子技術総合研究所 「指の運動と手作業の分析」

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手・手指の3つの機能的役割とは

手・手指の3つの機能的役割には以下の3つがあります。

  1. 第1区分(母指列):つまみ握りの主役。対立運動の動的な役割を担っている。
  2. 第2区分(示指・中指列):対立・把握動作の静的な相手役。第2・3CM関節は可動性を持たず力の伝達の役割を担っている。
  3. 第3区分(環指・小指列):強い握り(握力)の主役。軽作業では、補助的に動的な相手役を務めることもあります。

手・手指の運動機能の種類とは

手・手指の運動機能の種類には以下の種類があります。

  1. つまみ:指尖つまみ、指腹つまみ、側腹つまみ、3指つまみ
  2. 握り:球状握り、筒状握り、鍵握り、力握り
  3. 圧排:押す、お盆を持つ

人間はこれらの手の運動機能を無意識的に活用していることになります。
それでは、手・手指のトレーニング方法をご紹介していきましょう。

参照:加藤 友紀子 日本人間工学会第51が回大会「手指動作に関する研究」

手・手指のトレーニングのやり方 | IP・MP関節編

こちらの運動は、IP(DIP・PIP)・MP関節の運動です。

DIP関節、MP関節には手網靭帯(たづな)が存在しないため、過伸展が可能になります。その反面、脱臼しやすく、関節症変化が生じることになります。

PIP関節は側方のストレスに対して安定性が高いのが特徴です。

※手綱靭帯とは、PIP関節の掌側と両側にて強固に結合しており、過伸展防止の役割を果たしています。  

手・手指のトレーニングのやり方 | 母指の対立運動

続いて、こちらの運動は対立運動です。対立運動で重要なのは母指の役割です。

母指の運動は、屈曲・伸展・外転・内転・対立の5つの動作を担い、手指の中でも最も複雑な運動を行います。また、先ほど説明したつまみ動作や握り動作時に安定性を得る役割をしています。  

手・手指のトレーニング のやり方| 小指編

手指の運動方法をご紹介していきます。こちらの運動は、小指の外転運動とグリップの運動です。

小指列は強い握り(握力)の主役となる部位です。グリップ動作の際は、小指列を意識してトレーニングすることをオススメします。

手・手指のトレーニングのやり方 | 複合運動編

こちらの運動は、指先の複合的な運動です。

手・手指は日常生活では、常に複雑な複合運動を行っています。そのため、指一本一本の単独のトレーニングだけでなく一連した複合運動も取り入れてみてはどうでしょうか。

手指のリハビリに最適な作業療法もご紹介

手指のリハビリテーションは、巧緻動作の向上や感覚の回復、関節の可動域の確保、筋力の増強など、多岐にわたるアプローチが必要です。以下に、手指のリハビリに最適な作業療法について詳しくご紹介します。

巧緻動作練習

巧緻動作練習は、手指の細かい動きを訓練し、日常生活動作の向上を目指すものです。これには、手先の器用さを必要とする作業を通じて、運動制御と筋力の強化を行います。

【運動】

  • ボタンかけ:ボタンをシャツにかける動作を繰り返す
  • ビーズ通し:細かいビーズを糸に通す
  • ペグボード作業:小さなピンをボードに挿入し、指定の位置に移動させる

感覚練習

感覚練習は、手指の感覚を取り戻すための訓練です。触覚や温度感覚、圧力感覚などを刺激し、感覚機能の回復を促進します。

【運動】

  • 異なる素材の触感確認:異なる素材(布、スポンジ、金属など)を触り、その感触を確認する
  • 温度刺激:温水と冷水を使って手指を刺激する
  • 圧力練習:軽く押す、強く押すなどの圧力を変えた刺激を手指に加える

関節可動域訓練

関節可動域訓練は、手指の関節の柔軟性と動きやすさを維持または向上させるための運動です。これにより、関節の硬直や拘縮を防ぎます。

【運動】

  • 指の曲げ伸ばし:指を曲げたり伸ばしたりする運動を繰り返す
  • 手首の回転運動:両手を組んで手首をまわす運動

筋力増強運動 

筋力増強運動は、手指の筋肉を強化し、握力やつまむ力を向上させることを目的としています。これにより、物を持つ、握る、つまむといった基本的な動作がしやすくなります。

【運動】

  • ハンドグリップ:ハンドグリップを握り締める運動
  • ラバーエクササイズ:ラバーバンドを使って指や手首の筋力を強化する運動

自宅で自主トレする際の注意点も抑えておこう

自宅で自主トレする際の注意点として、以下の3点を抑えておきましょう。

【無理をしない】
手指のトレーニングは適切な負荷で行い、痛みや疲れを感じたら休むようにしましょう。無理な運動は逆効果となる場合があります。

【正しいフォームを意識する】
正しいフォームでトレーニングを行うことが重要です。誤ったフォームで運動を続けると、効果が半減するだけでなく、けがの原因になる可能性もあります。

【専門家のアドバイスを受ける】
可能であれば、作業療法士などの専門家からアドバイスを受けることが望ましいです。専門家の指導を受けることで、効果的なトレーニング方法や注意点を確認することができます。

まとめ

今回は、手・手指のトレーニングをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

手・手指の運動は紹介されていることが少なく、なかなか取り入れにくいと思いますが、ここで紹介した方法はデイサービスなどの介護施設でも取り入れやすい運動です。今回ご紹介した運動方法を参考にしてみてください。
▶︎ハンドセラピーに役立つ!前腕・肘のストレッチ特集
▶︎ハンドセラピィに役立つ!前腕・肘の筋力トレーニング特集

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
▶︎【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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