食事を自分で摂取することに関する機能訓練プログラムの例
介護保険法
機能訓練
2023/05/25
機能訓練
全身
更新日:2022/02/16
リハビリ体操とは、ご高齢者が介護状態になることを予防する運動のことです。高齢者向けのリハビリ体操は、デイサービスでの集団体操や地域の健康教室として開催されてますが、ケガや病気などの影響により身体能力が異なるため体操を提案するのが難しいと感じませんか?そこで今回は、高齢者向けのリハビリ体操として5種類の座った姿勢の運動をまとめました。能力に合わせて体操を提案できるスペシャリストを目指して行きましょう!
→忙しすぎるデイサービス業務は、科学的介護ソフトが解決。
→「LIFE関連加算」の概要・算定方法を解説するオンライン研修会を無料開催します!
この記事の目次
リハビリ体操とは、ご高齢者の老化に伴う身体能力の低下を予防したり、病気を抱えた方が介護状態になることを予防、または進行を遅らせるために行うストレッチやトレーニングなどの運動のことを指します。
いわゆる「高齢者のための運動」です!
主に病院の病棟レクリエーションとして、デイサービスなどの集団体操(機能訓練)として、地域の公民館での健康教室として開催されています。
ご高齢者は、若い頃と比べて運動量が少なくなったり、運動習慣が乏しくなります。そのため、リハビリ体操で体をストレッチしていくことで「血行の循環を改善」「筋肉の萎縮の予防」「筋肉の柔軟性をアップ」「神経機能の正常化」などの効果が期待できます。
さらに、ご高齢者が体操を続けることで筋力アップや介護予防ができるだけでなく、生活習慣病の予防やメタボ、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、フレイル、サルコペニアの予防にも効果が期待できます。
しかしながらご高齢者は、加齢に伴い様々な身体能力の低下が起こります。そのため日頃、運動習慣のない方々に対してリハビリ体操を提案していくと、転倒や転落などの危険性が高まります。まずは、比較的安全で簡単に取り組める「座ってできるリハビリ体操」から体を動かす習慣をつけていくことが大切です!
ご高齢者を対象としたリハビリ体操は、デイサービスなどの集団体操として取り組まれている方も多いのではないでしょうか?
一概に、高齢者が座ってできるリハビリ体操といっても座位には様々な種類があります。そこで本稿では、一般的な椅子に座った姿勢も含めた5種類の姿勢別に運動方法をご紹介します。
【リハビリ体操の種類】
高齢者施設などでリハビリ体操を行う場合は、車椅子の方も多いので、まずは椅子に座ってできる体操から提案していきましょう!
床に座るなど和式の生活に慣れ親しんだご高齢者には、床に座った姿勢の「あぐら」や「長座位」、「体育座り」、「横坐り」での体操も提案して行きましょう!これらの姿勢は、難易度がグッと上がるため安全面に十分注意して行ってください。
まず、ご高齢者が安全に取り組める基本的な運動として、車椅子や椅子に座ってできる首のリハビリ体操をご紹介します。
首の柔軟性を高めることで、ご高齢者の「咀嚼・嚥下機能の維持」だけでなく「バランス能力を高める」効果も期待できます。まずは首をストレッチして柔軟性を高めておきましょう。運動を行う場合は、痛みの範囲内で呼吸に合わせて行うようにしましょう。
【回数】
10回程度行いましょう。
続いてのリハビリ体操は、車椅子や椅子に座ってできる足首・ふくらはぎの運動です。
ご高齢者の場合、足首の動きが硬くなりスムーズさが欠如してしまうと、歩くときに地面を蹴ったりやバランスを保つことが苦手になります。そのため、足首をストレッチして柔軟性を高め、続いてふくらはぎの筋力アップを目指すことでいつまでも歩きやすい足首を維持しておきましょう!
【回数】
10回を目安に行いましょう。
続いてのリハビリ体操は、太ももとお尻の筋肉を鍛える運動です。
足踏みを行うことで股関節の付け根にある「腸腰筋」や「腹筋群」を鍛えることができます。また、足を開く運動ではお尻に付着する「中臀筋」を鍛えることができます。これらの部位は、ご高齢者がバランスを保つために重要な部位と言われています。ご高齢者の「転倒予防」として、椅子や車椅子に座ったまま運動していくことをオススメします。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、椅子に座ってできる腰のストレッチです。ご高齢者は、腰を過剰に働かせてバランスを保つことが多くなるため腰への負担が多くなります。腰の前後・左右のストレッチに取り組んで「腰痛」を予防していきましょう!
腰の前後運動は、骨盤底筋群を鍛えることもできるので、高齢者の悩みでもある「尿便失禁」の予防にも効果が期待できます。高齢者施設などの体操としてお勧めです。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、上半身と下半身を繋ぐ「腸腰筋」のストレッチです。ご高齢者においては、椅子に座る時間が長くなるため腸腰筋が硬くなってしまうことがあります。腸腰筋の柔軟性を保つことで「足の振り出しの促し」や「つまずきの防止」「円背の予防」に効果が期待できるオススメの運動です。
但し、椅子に浅く腰掛けておこなうストレッチですので転倒リスクが高まります。車椅子を使用している方は運動を控えるようにしましょう。
【回数】
左右の足で10秒×6回程度行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、内股に付着する内転筋の柔軟性を高めるストレッチです。日常生活の中で椅子に座る時間が長くなるご高齢者の方は、特に内ももの筋肉が硬くなってしまいます。
内ももには下半身への血液やリンパが多数存在します。そのため、内転筋が硬くなったり柔軟性が低下すると血液やリンパの流れが鈍くなり、足のむくみを引き起こす可能性があります。柔軟性を高めて「足のむくみを予防」していきましょう!こちらの体操も椅子に浅く腰掛けるため、転倒には注意して行いましょう。
【回数】
左右の足で10秒×6回程度行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、椅子からの立ち上がり動作の運動です。ご高齢者において椅子からの立ち上がりは、年を重ねるごとに体の衰えを感じる動作ではないでしょうか?こちらの運動では、太ももと背中の筋力をアップし、椅子からの立ち上がりをスムーズにする効果が期待できます。運動の際は、胸を張り、視線を前方に向けるように指導しましょう!但し、膝に痛みがある場合は、運動を控えるようにしてください。
【体操のポイント】
■1つ目の運動は、両膝を支持して立ち上がりを補助しながら行います。
■2つ目の運動は、両手を頭上に挙げ、胸を張るように意識して行います。
【回数】
反動をつけず5〜6回を目安に行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、あぐらの姿勢の運動です。あぐらは、皆さんもご存知の通り両脚を組んだ座り方になります。タオルを活用することで肩関節や肩甲骨、胸のストレッチ効果が期待できます。胸や肩の柔軟性を高めることで「姿勢の改善」や「洗体動作」もスムーズにできるようになります。一般的にあぐらは、背中が丸まってしまう姿勢ですが、特にご高齢者の場合は、入浴時に床に座って体を洗う方も多いため、実際の入浴場面を想定した姿勢(模倣訓練)で肩や胸の柔軟性を高めておきましょう!
【回数】
背中の後ろでタオルを10秒間保持×5回行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、内ももに付着する「内転筋」の柔軟性を高める効果が期待できます。ご高齢者では、内ももの柔軟性を保つことで下半身への血流の循環を改善して「足のむくみの予防する」効果が期待できます。また、腰痛や股関節の「痛みを予防する」効果も期待できます。あぐらは、畳の生活に慣れ親しんだご高齢者にとっては必要不可欠な動作です。可能であればスタッフと共に実施していきましょう!
【体操のポイント】
両足の裏をつけたまま、できる限り足を開いていきましょう。
【回数】
10秒間×6回を目安に行いましょう。
続いてのリハビリ体操は、ご高齢者にオススメのお尻歩きの運動です。長座位は、足を投げ出して座る姿勢で、体育座りなど畳の上での座り方の1つです。お尻歩きの運動は、骨盤底筋群や腹筋を鍛えることで「尿失禁の予防」に効果が期待できます。ご高齢の女性の失禁や尿もれなどにお悩みの方や円背傾向のご高齢者の姿勢改善にオススメの運動メニューです。
【回数】
10歩程度を目安に運動を行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、「肩こり」や「猫背の改善」に効果が期待できるタオルを活用した肩のストレッチです。タオルを使用すると、テコの原理を活用できるので少ない力で目的の筋をストレッチすることができます。そのため、タオル体操は運動習慣がなく、柔軟性が低いご高齢者の方にもオススメです。
【回数】
10回程度行いましょう。
こちらのリハビリ体操もタオルを活用したふくらはぎのストレッチです。タオルを足先にかけ、膝を伸ばすことでふくらはぎの柔軟性を高めることができます。ストレッチが苦手なご高齢者においてもタオルを引っ張り、足首を反らせるだけで効果的にストレッチすることができます。タオルはバスタオルのような長いものを準備し、後方への転倒に注意して取り組みましょう。
【回数】
10秒間×5〜6回を目安に行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、体育座りでできる首・背中のストレッチです。ご高齢者に対して、「首や背中の柔軟性」を高めることで、床に座った場合に「後方へ倒れることを防止」してくれます。体育座りは難易度が高くなりますが、畳の生活に慣れ親しんでいる高齢者の方には、体育座りでのストレッチもご紹介してみてはいかがでしょうか。
【回数】
10秒間×6回を目安に行いましょう。
ご高齢者の中に畳に座ると後ろに倒れそうになる方はいらっしゃいませんか?
こちらのリハビリ体操は、体育座りでできる腹筋の運動です。体育座りの姿勢から足をできるだけ伸ばすことで姿勢を保持するための腹筋群が働きます。ご高齢者の場合は、畳の生活に慣れていますが、この腹筋群の低下の影響により床に座ったり、立ち上がったりすることが苦手になります。畳の生活をスムーズにするために腹筋の運動に取り組んで行きましょう。
後方にバランスを崩しやすくなりますのでスタッフは後方から見守るように注意してください。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
続いてのリハビリ体操は、お姉さん座り(別名:鳶足、横すわり)という座り方のストレッチです。横座りは、片側に骨盤を傾けた座り方になります。その姿勢を利用することで、体幹はもちろんのこと、お尻や太ももを効果的にストレッチすることができます。
難易度が高いストレッチになるので、ご高齢者の方で人工関節や股関節、腰に痛みがある方は運動を控えるようにしましょう。
【回数】
10秒間×5〜6回を目安に行いましょう。
こちらのリハビリ体操は、脇の下や脇腹に付着する「広背筋」や「肋間筋」の柔軟性を高めるストレッチです。この部位の柔軟性を高めることで「深い呼吸がしやすく」なったり「腰痛を予防する」効果が期待できます。横坐りになることで下半身を固定することができるので、脇腹や肩へのストレッチ効果が高まります。
しかしながら長時間の横座りは、膝関節への負担や骨盤帯の崩れ、姿勢の歪みを引き起こす可能性がありますのでご注意ください。こちらのリハビリ体操は、畳の生活に慣れているアクティブなご高齢者の方を対象に取り組むことをお勧めします。
【回数】
10秒×5〜6回を目安に行いましょう。
本稿では、比較的安全に取り組むことができる高齢者向けの「座ってできるリハビリ体操」を5つの姿勢に分けてご紹介しました。
リハビリ体操には、その他にも道具を使用したものなど様々な体操があります。そこで合わせてご紹介したいのがご高齢者向けの「棒体操」です!
棒体操は、新聞紙を丸めて棒にするなど準備も簡単なため、高齢者施設でも取り組みやすい体操です。棒体操に定期的に取り組むことで加齢にともなう筋力の低下など、体が弱くなってしまう「廃用症候群」を予防する効果が期待できます。
介護現場で働く私たちスタッフは、誰しも「あなたの施設に来てよかった」「今日も元気が出たわ」と言っていただけるように日々リハビリ体操に取り組んでいます。しかしながら、歳を重ねる上で病気やケガをすることは避けられないことです。だからこそ、介護予防に取り組み「運動習慣」を身につけてもらうことがあります!
高齢者の介護予防に取り組み、生活を豊かにする活動は、国から個別機能訓練加算として算定することが認められています。この個別機能訓練加算は、ご高齢者の身体や生活を応援する加算です。デイサービスでお勤めの方は是非一度ご覧いただければと思います。
デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定を通じて、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。
ですが、書類作成の負担や効果的な機能訓練の実施に不安のある方も多いのではないでしょうか?
『介護リハビリ支援ソフト「Rehab Cloud リハプラン」』なら、そんなお悩みを解決します。書類作成業務の効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決をご支援します。