【理学療法士監修】下肢筋力トレーニング|高齢者が座位でできる筋力トレーニング22選

機能訓練

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更新日:2024/07/26

高齢になると筋力が落ち、立ち上がりや移動に負担がかかるようになっていきます。立ち上がりや移動を少しでも楽にするためには、下肢筋力トレーニングが欠かせません。この記事では、車いすを利用している人でもできる下肢筋力トレーニング(ストレッチ・筋トレ)をご紹介しています。

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下肢筋力トレーニングの効果とは?

下肢の筋力は、普段の生活を送るうえで欠かせないものです。下肢筋力トレーニングを行うことで、下半身の筋力維持・向上が期待できます。

さらに下肢の筋力がつくことで、活動量の増加にもつながるでしょう。反対に、下肢の筋力が低下すると日常生活にも大きな支障をきたし、活動量が落ちる原因となります。

下肢筋力はすぐにつくものではないため、継続的なトレーニングをすることが大切です。

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下肢筋力トレーニングは座ったままでもできる!

下肢筋力トレーニングは立った状態以外にも、座ったままでもできます。なかには車イスを利用する方や足腰に不安を抱える方など、立った状態で筋力トレーニングをするのが難しいケースもあるでしょう。

その場合は座ったままできるトレーニングメニューを用意しておくと、下肢の体操を継続的に提供できるでしょう。

次の章から下肢筋力トレーニングについてご紹介しているので、どのような内容にすべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

下肢筋力トレーニング前の準備体操【ストレッチ編】

ストレッチをすることで筋肉の柔軟性が高まり、可動域の改善が期待できます。可動域が改善すれば下半身の動きがスムーズとなり、つまずきによる転倒も予防できるでしょう。

また、筋肉の固さをとることで運動後のケガ防止にもつながります。ここでは、下肢のストレッチについてご紹介します。

膝裏のストレッチ

  1. イスに座って片方の膝を伸ばし、手を当てる
  2. 伸ばした膝に向かって上半身を近づけて、20秒ほどキープする
  3. ゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ2セット行う

膝裏の「ハムストリングス」のストレッチ方法です。お尻を浅く座ることで、ハムストリングスのストレッチがしやすくなります。ストレッチ中は前方への転倒に注意しましょう、

ふくらはぎのストレッチ

  1. イスに浅く座って片方の膝を伸ばす
  2. 伸ばした方の足首を上方向に20秒ほど反らす
  3. 力を抜く
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ2セット行う

ふくらはぎの筋肉の「下腿三頭筋」を伸ばすストレッチです。なかなか足首が上がりにくい場合は、タオルやセラバンドを足首に巻き、手で引っ張る方法もおすすめです。

その際は上半身が前のめりになりすぎないように注意してください。

お尻のストレッチ

  1. イスに座って片足を組む
  2. 組んだ足を持ちながら上半身を前に倒す
  3. 20秒ほどキープしたら元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右で行う

お尻にある深層部の筋肉のストレッチ方法です。痛みが出ない範囲で、ムリなく行ってみましょう。人工股関節の手術をされた方は脱臼の可能性があるので、このストレッチは避けてください。

太ももの内側のストレッチ

  1. イスに座って両足をつける
  2. 両足がついたままできるだけ両足を広げる
  3. 20秒ほどキープしたら元に戻り
  4. 2〜3の手順を2セット行う

太ももの内側の「内転筋」のストレッチ方法です。足が開きにくい場合はイスに浅く座って行いましょう。

足首のストレッチ

  1. イスに座って片方の足のかかとを上げる
  2. 時計回りに5回、反時計回りに5回ずつゆっくり動かす
  3. 元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右それぞれの足で2セットずつ行う

足首まわりの筋肉をほぐすストレッチです。膝の角度を90度にすることで、足首を回しやすくなります。

下肢筋力トレーニング【筋トレ編】

ここでは、座ってできる下肢筋力トレーニングの内容について解説します。

太ももの筋力トレーニング

ここでは太ももの筋力トレーニングの内容についてご紹介します。

膝を伸ばすトレーニング①

  1. イスに座って姿勢をまっすぐにする
  2. 片方の膝をまっすぐ伸ばす
  3. 伸ばしきったらゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右の足で20回×2〜3セット行う

太もも前面の「大腿四頭筋」を鍛えるトレーニングです。膝を伸ばす際は膝下だけを動かすようにしましょう。

膝を伸ばすトレーニング②

  1. イスに座って両足首にセラバンドを巻く
  2. 片方の膝を伸ばす
  3. ゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ10回×2〜3セット行う

セラバンドを活用して、大腿四頭筋にかかる負荷を高めたトレーニングです。トレーニングをする際は、膝が伸びきる程度の強度があるセラバンドを選択すると良いでしょう。

もも上げのトレーニング①

  1. イスに座って姿勢をまっすぐにする
  2. 交互に太ももを上げて足踏みをする
  3. 左右交互に20回×2〜3セット行う

股関節を曲げる「腸腰筋」を鍛えるトレーニングです。足踏みをする際は、背中を背もたれから離しつつ、手をリズム良く振りながら行ってみましょう。

もも上げのトレーニング②

  1. イスに座って両膝にセラバンドを巻く
  2. 姿勢をまっすぐにしたまま、片足を上げる
  3. ゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ10回×2〜3セット行う

セラバンドを使用することで、通常のもも上げよりも腸腰筋を鍛えられます。バンドの強度が強すぎると別の筋肉で上げようとする可能性が出るので、利用者のレベルにあわせて強さを調整しましょう。

内もものトレーニング①

  1. イスに座って膝の間にボールを挟む
  2. 足を閉じてボールを潰す
  3. 5秒キープしたら元に戻る
  4. 2〜3の手順を3セット行う

内ももの内転筋を鍛えるトレーニングです。力を入れているときは息を止めないようにしてください。ボールがない場合は、両手で抵抗をかける方法でもかまいません。

内もものトレーニング②

  1. イスに座って両膝の間にボールを挟む
  2. 膝でボールを潰したまま、片膝を伸ばす
  3. 膝を伸ばしきったらゆっくりと元に戻る(ボールは潰したまま)
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ20回×2〜3セット行う

内転筋と大腿四頭筋を同時に鍛えるトレーニングです。ボールがずれないように、手で調整しながら行ってみてください。

ペットボトルを使用したトレーニング

  1. イスに座って足の横にペットボトルを置く
  2. 足を上げてペットボトルを蹴らないようにまたぐ
  3. 反対の足も同じようにまたぐ
  4. 2〜3の手順を反復して5回×2〜3セット行う

腸腰筋を使用する応用的な筋力トレーニングです。太ももを上げる際は、なるべく背中を後ろにのけぞらないように行ってみましょう。

ペットボトルがない、あるいはペットボトルでは高い場合は、紙コップや小さいボールなどで代用してもかまいません。

ふくらはぎの筋力トレーニング

ここではふくらはぎの筋力トレーニングの内容をご紹介します。

かかと上げのトレーニング

  1. イスに座り、膝を90度ほど曲げる
  2. 手で膝をおさえながらかかとを上げる
  3. 上げきったらゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を20回×2〜3セット行う

下腿三頭筋を鍛えるトレーニングです。かかとを上げにくい場合は、手をおさえずに行ってもかまいません。

セラバンドを使用したトレーニング

  1. イスに浅く座って片方の膝を伸ばす(かかとだけを床につける)
  2. 伸ばした足にセラバンドをかける
  3. 足首を下げてつま先を床につける
  4. ゆっくりと元に戻る

セラバンドを使用した下腿三頭筋のトレーニングです。セラバンドの硬さや伸ばし具合によって負荷量を調整しましょう。

足の指の筋力トレーニング

ここでは足の指の筋力トレーニングをご紹介します。

足の指を曲げるトレーニング

  1. イスに座って片方の膝を伸ばす
  2. 親指を伸ばしたまま、人差し指から小指までを曲げる
  3. 左右の足で10回×2セット行う

足の指を曲げる筋肉を鍛えるトレーニングです。親指だけを伸ばして行うのが難しい場合は、すべての指を曲げて行ってもかまいません。

足の指の曲げ伸ばしをするトレーニング

  1. イスに座って片方の膝を伸ばす
  2. 伸ばした足の指を強く握る
  3. 足の指を大きく開く
  4. 2〜3の手順で左右それぞれ10回×2〜3セット行う

足の指を曲げるだけでなく、しっかりと広げることも意識しながら行ってください。

タオルを引き寄せるトレーニング

  1. イスに座って足元にタオルを敷く
  2. 足の指でタオルを手前にたぐり寄せる
  3. 反対の足でも行う

タオルを使用した足の指のトレーニングです。タオルを引き寄せる際は、焦らずにゆっくりと指の曲げ伸ばしをしましょう。

お尻の筋力トレーニング

ここではお尻の筋力トレーニングについてご紹介します。

ボールを潰すトレーニング

  1. イスに浅く座り、ボールの上に片足を乗せる
  2. かかとに力を入れてボールを潰す
  3. 5秒ほどキープしたら元に戻る
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ2〜3セットずつ行う

お尻の大殿筋を鍛えるトレーニングです。ボールが左右にずれないように、真下方向に力を入れることを意識して行ってください。ボールがない場合は、床で行ってもかまいません。

足を開くトレーニング

  1. イスに座り、両膝にセラバンドを巻く
  2. 両かかとをつけたまま、ゆっくりと膝を開く
  3. ゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順で20回×2〜3セット行う

中殿筋や大腿筋膜張筋などを鍛えるトレーニングです。左右均等に広げることを意識しましょう。セラバンドが用意できない場合は、両手で抵抗をかける方法でもかまいません。

前方リーチのトレーニング

  1. イスに座って両手を肩の高さまで上げる
  2. 姿勢を保ったまま手を前に伸ばし続ける
  3. 伸ばしきったらゆっくりと元に戻る
  4. 2〜3の手順を10回×2〜3セット行う

前方リーチは体幹筋と大殿筋を鍛えられるトレーニングです。前方リーチ時にふらつく場合は、杖をつきながら行うのもおすすめです。

足首の筋力トレーニング

  1. イスに浅く座り、片方の膝を伸ばす
  2. 伸ばした足の指をグーにしながら足首を上に曲げる
  3. 足首を元に戻す
  4. 2〜3の手順を左右それぞれ10回×2〜3セット行う

膝下から足首にある「前脛骨筋」を鍛えるトレーニングです。足の指を曲げながら行うのが難しい場合は、伸ばした状態で行ってもかまいません。

下肢の協調性を高める筋力トレーニング

  1. イスに座り、ボールの上に片足を乗せる
  2. ボールの上の足を時計回りに5回動かす
  3. 反時計回りに5回動かす
  4. 2〜3の手順を左右の足でそれぞれ2〜3セット行う

下肢の筋力強化に加えて、筋肉の協調性を高めるためのトレーニングです。足を動かしている際は姿勢をまっすぐにして、体が揺れないようにしてください。

ペットボトルを利用した体操も人気です。手軽に取り組める筋トレなのでそちらも取り入れてみてください。
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座位でできる筋力トレーニングで身体機能の改善を

下肢筋力は、歩く・立つなどの日常生活のさまざまな動作で重要な役割を果たしています。下肢の筋力が低下すると、転倒のリスクが高まり、ケガや骨折につながる恐れがあります。

下肢の筋力を鍛えることで転倒予防が期待でき、健康的な生活を送れるようになるでしょう。下肢筋力トレーニングは立った状態だけでなく、座った状態でできるものもたくさんあります。

ぜひ、今回紹介したメニューを参考にして、下肢筋力トレーニングのバリエーションを増やしていきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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