腹臥位の体幹トレーニング|介護・看護で提供できる腹臥位のリハビリ5選

機能訓練

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更新日:2024/11/06

運動療法を処方する専門家においては、腰部の負担などの理由から腹臥位の運動処方を躊躇される方も多いのではないでしょうか。腹臥位トレーニングは、背中の筋群の収縮を促すためには有効な手段であるとされています。対象を見極めた上で、今回ご紹介する腹臥位での体幹トレーニングを処方してみてはいかがでしょうか。  

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腹臥位とは

腹臥位は、うつ伏せの姿勢で身体を横たえる姿勢のことを指します。伏臥位(ふくがい)とも呼ばれます。この姿勢は、胸部や腹部が床やベッドに接しており、背面が上向きになります。腹臥位は、リハビリテーションや医療現場でよく用いられる姿勢の一つであり、特定の効果や目的に応じて使用されます。

腹臥位の対象者と禁忌となる対象者

腹臥位の対象者と禁忌となる対象者についてそれぞれ解説します。

【腹臥位の対象者】

  • 呼吸リハビリテーションを実施する方
    • 腹臥位は肺の機能改善や換気の促進を目的として、特に呼吸機能が低下している患者に用いられることがあります。
  • 脊髄損傷や背部手術後の方
    • 腹臥位は脊髄への圧迫を避けるために用いられることがあります。
  • 筋力トレーニングを行う方:
    • 特定の筋群を鍛えるために、腹臥位での運動が指導されることがあります。

【腹臥位が禁忌となる対象者】

  • 胸部や腹部に圧迫を受けるとリスクがある方
    • 腹部に大きな手術を受けた後や、肋骨の骨折がある患者は、腹臥位が禁忌となることがあります。
  • 呼吸困難や心臓疾患を持つ方
    • 腹臥位が呼吸を妨げたり、循環機能に影響を与える可能性があるため、これらの患者には適していません。
  • 高齢者や体力の低下している方
    • 腹臥位の保持が難しい場合や、姿勢変更が困難な場合は、無理に行うことは避けましょう。

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腹臥位の効果

腹臥位の効果としてはどのようなものがあるのかを解説します。

  • 呼吸機能の改善
    • 腹臥位は肺の背部が膨らみやすくなり、換気が向上することで、酸素化の改善が期待できます。
  • 消化機能の促進
    • 腹臥位では胃腸の重力方向が変わり、消化液の分泌が促進されることがあります。
  • 体位ドレナージ
    • 胸部にたまった分泌物を排出するために、特定の位置での腹臥位が用いられることがあります。
  • 体幹や背部の筋力強化
    • 腹臥位でのエクササイズは、体幹や背部の筋肉を鍛えるために利用されます。

参考:日本看護技術学会 技術研究成果検討委員会 ポジショニング班

腹臥位の体幹トレーニングの注意点

腹臥位(うつ伏せの姿勢)を行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 骨折のリスク
  • 窒息のリスク
  • 腹部への圧迫
  • 循環不全のリスク

参考:腹臥位療法(市立加西病院)

骨折のリスク

骨折がある場合や、骨が弱い(骨粗鬆症など)人では、うつ伏せによって痛みや骨折が悪化する可能性があります。特に肋骨や脊椎に注意が必要です。

窒息のリスク

うつ伏せになると顔が下向きになるため、呼吸がしづらくなる可能性があります。特に呼吸が弱い人や意識が低下している人では、気道がふさがれないように十分な注意が必要です。

腹部への圧迫

うつ伏せで腹部が圧迫されることで、痛みや不快感が生じる場合があります。腹部に手術歴がある人にも注意が必要です。

循環不全のリスク

うつ伏せになると血液の流れに影響が出ることがあります。心臓や血管に問題がある人では、うつ伏せが負担になる可能性があるため、血圧や心拍数を観察することが大切です。

腹臥位の中止基準

腹臥位の中止基準について解説します。

  • 呼吸困難になる
  • 強い痛みが出る
  • 血圧や心拍数の異常
  • 意識が低下する

呼吸困難になる

うつ伏せ中に呼吸がしづらくなったり、酸素不足のサインが見られたら、すぐに体位を変える必要があります。

強い痛みが出る

胸やお腹に強い痛みが出た場合、うつ伏せを中止し、痛みの原因を確認することが重要です。

血圧や心拍数の異常

うつ伏せ中に血圧が急に上がったり、心拍数が異常になったら、循環への影響が考えられるため、中止して状態を整えます。

意識が低下する

意識がぼんやりしてきた場合、うつ伏せによる窒息のリスクが高まるため、すぐに中止する必要があります。

腹臥位で体幹トレーニングをしよう ー腹筋編ー

まず、こちらの運動は、腹臥位で行う「腹筋群」のトレーニングです。

一般的に円背姿勢が強い方は、腹筋群の筋活動が働きにくいといわれています。

腹臥位での腹筋群のトレーニングも導入してみてはいかがでしょうか。

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腹臥位で体幹トレーニングをしよう ー腹筋編2ー

次にご紹介する運動は「パピーポジション」でのエクササイズです。

体幹の安定性を高めるトレーニングとしてはスポーツ選手などにも指導する運動です。

on elbow(肘付き位)の状態で体幹を保持し、腹筋群の収縮を促していきましょう。

腹臥位で体幹トレーニングをしよう ー背中編ー

こちらの運動は、先ほどの「パピーポジジョン」より難易度がアップする運動になります。

on hand(手のひらを付く)の状態で体幹を保持することで、背中の筋肉を鍛えることができます。

困難な方は、膝を付いて行うことで難易度を調整することも可能です。

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腹臥位で体幹トレーニングをしよう ー上体反らし編ー

この運動は、ご紹介する運動の中でも腰部への負担が大きくなるため患者さまへの導入は困難でもあります。

しかし、胸郭を開くことも同時にできる運動でもありますので、対象を限定しながら運動処方を行ってみてください。

腹臥位で体幹トレーニングをしよう ー応用編ー

こちらの運動は、骨盤の調整を中心に行うエクササイズになります。

【運動のポイント】
上前腸骨棘でしっかりとボールを押しつぶすように行います。

いかがでしたか。腹臥位での体幹トレーニングに馴染みのない専門家も多いとは思いますが、適切に処方することで体幹筋群の筋収縮が促され、姿勢の改善を目的とした運動療法になるのではないでしょうか。病態やその方の状態を適切に評価した上で、幅広い運動から患者様に適した運動を選択していただければと思います。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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