高齢者のタオルストレッチ|肩甲骨・背中・股関節に効く体操【全12種】

機能訓練

全身

更新日:2024/07/24

高齢者様向けのストレッチを始めたいけど、どんな運動から取り組んだらいいのかわからない介護事業所の方はいらっしゃいませんか?今回は、そんな方にオススメなタオルを使った、首から背中、肩甲骨、お尻、太ももなど部位別のストレッチをご紹介します。

タオルストレッチが高齢者におすすめの理由

タオルストレッチは、タオルを活用することでテコの原理が働き、少ない力で目的の筋をストレッチすることができます。そのため柔軟性を高めたい場合に効果的な道具の1つと言えます。

柔軟性を高めたい場合は、過剰な力(力み)が入らないように深呼吸などを意識してもらいますが、運動習慣がない方はどうしても力みが出てしまいます。

そんな方にオススメなのが寝たままできるタオルストレッチです。仰向けの姿勢は、背中や腹筋群などの力みを抑えることができるので運動初心者でも簡単にストレッチ効果を高めることができます。

ご自身だけでなく、運動習慣のない両親やご高齢者の方にもタオル体操を提案してみてはいかがでしょうか?
 

タオルストレッチの効果とは

タオルストレッチの主な効果は、上半身や肩周りの柔軟性を高めることです。

この部位の柔軟性を高めることで「肩こり」や「猫背」などに効果が期待できます。デスクワーカーやご年配の方は、特に日常生活で体を動かす機会が減ってしまいます。そのためタオルを使ったストレッチに取り組み、体の柔軟性を高めていきましょう!効果については下記でさらに詳細に紹介します。

肩こり、首こりの予防

筋肉をほぐし血流を促進することで、肩こりや首こりを予防します。特にデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けると、これらの部位が硬くなりやすいですが、ストレッチによって筋肉の緊張を解消できます。

猫背などの姿勢の改善

ストレッチは、姿勢を正すために重要です。胸や背中の筋肉を伸ばすことで、猫背を防ぎ、自然な背骨のカーブを保つことができます。

肩甲骨や肩の柔軟性アップ

肩甲骨や肩のストレッチは、これらの部位の柔軟性を高め、動きやすさを向上させます。肩の可動域が広がることで、肩周りの筋肉がリラックスし、動作がスムーズになります。

下半身の柔軟性アップ

下半身のストレッチは、股関節、太もも、ふくらはぎなどの筋肉を柔らかくし、柔軟性を向上させます。これにより、歩行や運動時の動きがスムーズになり、ケガの予防にもつながります。

全身のリラックス効果

ストレッチは、深い呼吸と組み合わせることで全身のリラックスを促進します。ゆっくりとした動作と呼吸を通じて、自律神経が整い、ストレスが軽減されます。

全身の血流の改善

ストレッチは、筋肉を伸ばすことで血流を促進します。血流が良くなることで、酸素や栄養素が体全体に行き渡りやすくなり、身体のコンディションが向上します。

筋肉の疲労の回復

ストレッチは、運動後の筋肉の緊張を和らげ、疲労を回復させます。筋肉がリラックスすることで、筋肉痛の予防や回復が促進され、次の運動に向けた準備が整います。

タオルを使った「首」のストレッチ


こちらの運動は、タオルを使用して首を牽引するストレッチです。肩こりや首コリがある方は、牽引を行うことで首〜肩周囲の筋肉の過緊張を緩和してくれる効果が期待できます。首や肩こり改善を目的として取り組んでいきましょう。運動の際は、両手でゆっくりとタオルを引っ張りましょう。

【回数】
牽引を10秒間×6回を目安に行いましょう

【ストレッチのポイント】
首は非常にデリケートな部位ですので、決して勢いよく引っ張らず痛みがない範囲で行いましょう。

タオルを使った「背中」のストレッチ


こちらの運動は、胸や脇腹の柔軟性を高めることができるタオルストレッチです。年を経るにつれて円背や猫背など胸が丸くなった姿勢が気になる方も多いのではないでしょうか?こちらの運動では、胸や肩甲骨周囲の筋肉をストレッチできるので猫背の改善や肩こりの予防にも効果が期待できます。

【回数】
10回を目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
肩甲骨が床に付いたまま運動を行うようにしましょう。

タオルを使った「脇腹」のストレッチ


こちらのタオルストレッチは、脇腹に付着する筋肉の柔軟性を高める効果が期待できます。脇腹は日常生活の中では、なかなかストレッチする機会がない部位の1つです。猫背の方は、特にこの脇腹の筋肉が凝り固まっていることがあります。脇の下から脇腹を意識してストレッチしていくことをおすすめします。

【回数】
左右ともに30〜60秒×3回を目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
運動の際に息を吸いながら体を倒すように意識しましょう。

タオルを使った肩甲骨(肩周り)のストレッチ


こちらの運動は、タオルの両端を握ったまま腕を水平に倒すことで肩や肩甲骨をストレッチすることができます。肩は加齢ともない動かしにくくなったり、痛みが出てきやすい部位の1つです。五十肩や四十肩、肩関節周囲炎の予防として取り組んでいきましょう。

【回数】
左右共に30秒×3回を目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
肩が床から離れるようにしっかりと伸ばしましょう。

タオルを使った「お尻」のストレッチ


こちらのタオルストレッチは、膝にかけたタオルを引っ張り、膝を胸に引き寄せることでお尻の柔軟性を高めることができます。お尻に付着する「大臀筋」や太ももに付着する「大腿四頭筋」の筋肉をストレッチすることができるので、腰痛や膝痛の予防としてオススメです。また、ご自分で膝を抱えることのできない方には特にオススメです。

【回数】
10秒×5セットを目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
人工股関節置換術後などの禁忌肢位がある方や痛みがある方は運動を控えてください。

タオルを使った「太もも」のストレッチ


こちらの運動は、太ももの裏に付着する「ハムストリング」をストレッチすることができます。ハムストリングスが硬くなると腰痛や膝痛を引き起こす可能性があるので、柔軟性を高めておきましょう。足先にかける体操となるため、タオルはバスタオルのような大きいものを準備することをおすすめします。

【回数】
左右の足を30秒×3回ずつ行いましょう。

【ストレッチのポイント】
膝がしっかりと伸びていることを確認しながら運動を行いましょう。

運動初心者からスポーツをされている方まで取り組める姿勢別のハムストリングスのストレッチについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎姿勢別のハムストリングスストレッチ 全18種について

タオルを使った「内もも」のストレッチ


こちらの運動は、内ももに付着する「内転筋」をストレッチすることができます。特に女性の方は産後より骨盤が開いてしまう影響もあり、年をとると骨盤や股関節にストレスが溜まりやすくなります。特に、太ももの内側の筋肉がこわばってしまうためタオルを活用して柔軟性を高めていきましょう。

【回数】
左右の足を30秒×3回ずつ行いましょう。

【ストレッチのポイント】
膝がしっかりと伸びていることを確認しながら運動を行いましょう。
難易度が高くなるので腰や股関節に痛みがある方は無理をしないようにしましょう。

タオルを使った「腰」のストレッチ


こちらの運動は、主に腰やお腹周りの筋肉をストレッチすることができます。腰の下に丸めたタオルを固定し、できる限り背伸びをすることで柔軟性アップが期待できます。普段、椅子に座っている時間が長い方にお勧めです。

【回数】
10秒×5セットを目安に行いましょう。

【ストレッチの注意点】
椎間板ヘルニアや腰痛がある方は無理をしないようにしましょう。

タオルを使った「胸・背中」のストレッチ


こちらの運動は、主に胸や背中の筋肉をストレッチすることができます。こちらは丸めたタオルを「胸の下または肩甲骨の下」に固定し、大きく背伸びをしていきます。猫背の姿勢が気になる方にお勧めの体操です。寝る前の体操として取り組んでみてはいかがでしょうか?

【回数】
10秒×5セットを目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
床はできるだけ硬い場所で取り組みましょう。
肩や腰に痛みが出る場合は無理をしないようにしましょう。

タオルを使った「鼠径部」のストレッチ


こちらの運動は、足の重さを利用した鼠径部のストレッチです。長時間の椅子に座っているようなデスクワークや加齢に伴い、この鼠径部に付着する腸腰筋は萎縮します。ベッドを使用してしっかりと伸ばしていきましょう。お尻が落ちないように骨盤の下に丸めたタオルを固定するようにしましょう。


【回数】
左右共に10秒以上×5セットを目安にストレッチしましょう。

【ストレッチのポイント】
腰の下にタオルを置くことで骨盤を固定しましょう。
下ろした足はできるだけ力を抜くようにリラックスしましょう。

タオルを使った「ふくらはぎ」のストレッチ


こちらの運動は、タオルを活用したふくらはぎのストレッチです。ストレッチが苦手な方でもタオルを足先にかけて、膝を伸ばすだけでふくらはぎの柔軟性を高めることができます。できるだけタオルを引っ張り、足首を反らせるとより効果的にストレッチすることができます。

【回数】
10秒間×6回を目安にストレッチしましょう。

【ストレッチのポイント】
タオルはバスタオルのような長いものを準備しましょう。

タオルを使った「ハムストリングス」のストレッチ


こちらの運動は、タオルを活用したふくらはぎと太ももの裏のストレッチです。タオルを足先にかけ、膝を伸ばしたまま足を上げていくことでハムストリングスをより効果的にストレッチすることができます。タオルを引っ張り足首を反らせることを意識して行いましょう。

【回数】
10秒間×6回を目安にストレッチしましょう。

【ストレッチのポイント】
タオルはバスタオルのような長いものを準備しましょう

タオルを使った「ふくらはぎ」のストレッチ

【回数】
左右の足を30秒×2回を目安に行いましょう。

【ストレッチのポイント】
先程の床に座った状態でのふくらはぎのストレッチが難しい場合、この椅子に座って行うストレッチを行ってみましょう。しっかりをふくらはぎが伸びていることを意識してストレッチを行うことが重要です。

タオルを使ったストレッチを提供する際の注意点

タオルを使ったストレッチを提供する際に、どういう点に注意したら良いかも抑えておきましょう。

  • 正しい姿勢とフォームを保つ:ストレッチ中に正しい姿勢を維持して行いましょう
  • 無理をしない:痛みを感じたらすぐに中止し、個々の柔軟性に合わせて無理をしないようにしましょう
  • 呼吸を意識する:深い呼吸を続け、リラックスした状態で行いましょう
  • 安全な環境を整える:滑りにくい床や障害物のない場所で行いましょう

タオルストレッチで健康な身体作りを目指そう

タオルを使ったストレッチは、手軽に行える効果的な方法ですが、正しい方法で行うことが重要です。適切なタオルの選択、正しいフォームと姿勢、無理をしない、呼吸の維持、安全な環境の確保といった点に注意することで、ストレッチの効果を最大限に引き出し、怪我のリスクを減らすことができます。これらの注意点を守りながら、毎日のルーティンに取り入れて、健康な身体作りを目指しましょう。

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
▶︎【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

関連記事