腸腰筋のトレーニング特集|ご高齢者に最適な運動方法 11選
機能訓練
2024/10/10
機能訓練
下肢
更新日:2024/09/17
ハムストリングスとは太もも裏に付着する筋肉で、肉離れなど筋損傷の起こりやすい部位です。腰痛や転倒の要因もハムストリングスの柔軟性の低下が原因であることも多く、健康的な生活を過ごす上でこの部位のストレッチは非常に重要です。そこで今回は、運動初心者からスポーツをされている方まで取り組めるように姿勢別のハムストリングスのストレッチを全18種類紹介します。
この記事の目次
ハムストリングスとは、太ももの裏に付着する大腿二頭筋と半膜様筋、半腱様筋の3つの筋の総称です。
少し専門的な話になりますが、ハムストリングスは股関節の伸展と膝関節の屈曲に作用しており、日常生活やスポーツにおいて歩いたり、走ったりする力をして働きます。また、スクワットのような膝曲げ運動の際にも太ももと共に共同して働いています。
また、骨盤(坐骨)から脛骨(スネ)に付着する二関節筋(関節を二つまたぐ筋のこと)のため、姿勢にも影響しています。このハムストリングスの柔軟性が乏しいとご高齢者に特有の円背姿勢(アゴがあがった前かがみの姿勢)になってしまいます。これは二関節筋であるハムストリングスが骨盤を引っ張ることで骨盤が後ろに傾き、腰が丸くなって姿勢が悪くなるためです。
ハムストリングスは、普段の暮らしの中でなかなか意識してストレッチすることがない部位かも知れませんが、スポーツの後のケアや腰痛、姿勢の改善などに非常に重要です!
そこで今回は、ハムストリングスに効果的なストレッチ方法を姿勢別に18種類ご紹介します。ご自分の能力や生活スタイルに合わせた様々なストレッチに取り組んでみてください。
ハムストリングスが固くなると肉離れだけでなく、体に悪循環を引き起こします。特にこのような方は、明日からでもハムストリングスのストレッチをしていくことをオススメします!
高齢者の転倒リスク対策について知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎高齢者の転倒リスク|施設内のリスク軽減と転倒事故を防ぐ介助・支援方法
ハムストリングスは、筋肉の損傷を起こしやすい部分でもあるため様々な研修がされています。その中から、ハムストリングスのストレッチをする場合にぜひ覚えておいていただきたい豆知識をご紹介します。
Q1.ハムストリングスのストレッチに効果的なタイミングはいつ?
中野ら(2012)によると、ストレッチは湯上りなどの筋肉を温めた後が最も効果的であり、その効果が持続すると報告しています。
Q2.ハムストリングスのストレッチはどれくらい時間をかけるといいの?
Boyce(2008)らの研究では、ハムストリングスのストレッチは15秒×5セットで十分であることを示し、それ以上を行ったとしても可動域に改善は見られなかったことを報告しています。
Q3.ハムストリングスのストレッチは毎日しなければいけないの?
Rancour(2009)らの研究によると、週3回のストレッチングでも、毎日のストレッチングと同等の効果を得られると報告しており、頻度は3回/週を目標に行っていただきたい。
Q4.腰痛や膝の痛みがある場合はどうしたらいいの?
無理にストレッチしてしまうと、腰や膝関節に負担をかけてしまい痛みを助長させてしまう可能性があります。このような場合は、関節への負担が比較的少ない仰向け姿勢や足を投げ出して座る長座位でのストレッチがオススメです。
【ご注意】
今回、ご紹介する高齢者向けのハムストリングスのストレッチにおいては、スポーツ選手のような激しい運動を行う方ではなく、姿勢の改善などを目的とした方を前提として捉えていただきたいと思います。
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まず、こちらのストレッチは、寝たままできるハムストリングスのストレッチです。膝をお腹につけるように抱えるだけでハムストリングスの柔軟性を高めることができるので運動初心者にオススメのストレッチです。こちらのストレッチは、抱えている足とは反対側の鼠径部_腸腰筋のストレッチにも効果が期待できます。
【ストレッチのポイント】
膝を抱え込む際に、背中を丸めないように注意してください。
【回数】
15〜30秒程度を目安に行いましょう。
運動初心者から上級者まで取り組める難易度別の腸腰筋ストレッチについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎腸腰筋ストレッチの4つの効果と難易度別の10種の運動方法をご紹介
こちらのストレッチも運動初心者にオススメのハムストリングスのストレッチです。膝をしっかりと伸ばしたまま足上げを行うことでハムストリングスが伸びていくのを実感します。ハムストリングスの柔軟性が高まることで股関節の可動域が広がるので歩幅の向上などが期待出来ます。最近歩幅が狭くなってきた、ご高齢者の方などにオススメです。
【ストレッチのポイント】
【回数】
10回×3セットを目安に行いましょう。
こちらのストレッチは、さらにタオルを活用することでハムストリングスを効果的にストレッチすることができます。タオルを引っ張ることで簡単に膝を伸ばすことができるので運動初心者にオススメです。ちなみに、タオルはバスタオルなどの長いものがオススメです。
【ストレッチのポイント】
【回数】
左右の足を15秒×5セットを目安に取り組みましょう
タオルを使った首から背中、肩甲骨、お尻、太ももなど部位別のストレッチについて知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎タオルがあればできるストレッチ12選!肩甲骨・背中・股関節に効く
こちらのストレッチはテニスボールを活用したハムストリングスのストレッチです。テニスボールを活用して膝を抱えることでボールの圧によって柔軟性を高めます。専門的にお話をするとストレイン・カウンター・ストレインの考えを基にしたハムストリングスのストレッチとなります。ハムストリングスの柔軟性の低下は、腰痛だけでなく歩行不良などの要因の一つですので日頃からしっかりとストレッチして行きましょう。
【こちらの運動の禁忌】
【目標時間】
左右共に90秒程度を目安にストレッチしましょう。
床に足を伸ばして座る「長座位」でのハムストリングスのストレッチです。ハムストリングスは二関節筋のためストレッチしようとすると膝が曲がってしまうことがあります。長座位でのストレッチはこの膝を曲げにくくすることができるのでハムストリングスを効果的にストレッチすることができます。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
15〜20秒×5回を目安にストレッチしましょう。
長座位で行うハムストリングスのスタティックストレッチです。主に太ももの裏に付着するハムストリングスの柔軟性を高めることができますが、腰に付着する腰方形筋にもストレッチ効果が期待できます。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
15〜60秒×3セットを目安にしっかりと伸ばします。
姿勢別でできる腰方形筋のトレーニングについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎腰方形筋トレーニング 全8種|姿勢別でできる運動方法とは
こちらの運動は、タオルを活用したハムストリングスのストレッチです。長座位の姿勢からタオルを足先にかけ、膝を伸ばしたまま足を上げていくことでハムストリングスをより効果的にストレッチすることができます。タオルを引っ張り足首を反らせることを意識して行いましょう。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
10秒間×6回を目安に行いましょう。
こちらのストレッチは枕や段差を活用したハムストリングスのストレッチです。かかとの下に段差を置き、足を高くしたまま膝を伸ばすことでハムストリングスが伸びます。さらに段差を高くするとより効果的にストレッチすることもできます。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
左右共に10秒間×6セットを目安にストレッチしましょう。
こちらの運動は、ストレッチポールを使用したハムストリングスのストレッチです。ストレッチポールを太ももの裏に押し当てることで筋・筋膜の柔軟性を高めることができます。ご自身の体重とストレッチポールを利用し、凝り固まった筋膜に柔軟性を与えましょう。
こちらの運動では、姿勢保持のため、バランス能力と体幹筋力も必要な運動となります。腕の力に頼りすぎず、お腹の力でお尻を後方へ引き込むように意識すると、体幹トレーニングも兼ねて行うことができます。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
前後に10往復を目安に行いましょう。
こちらの運動は、テニスボールなどの伸縮性の高いボールを使用したハムストリングスのストレッチです。膝の裏の筋と筋膜に対して一定の圧をかけて筋膜を緩めていきます。ハムストリングスが伸びるのが苦手が方にはオススメのストレッチです。
【運動の禁忌】
【ストレッチのポイント】
【目標時間】
90〜120を目安に行いましょう。
参照:木元 裕介「ハムストリングスに対するスタティックストレッチングが筋力と関節可動域に与える影響の時間的変化」(平成28年12月15日アクセス)
次にここからは椅子に座ったままできるハムストリングスのストレッチをご紹介します。片膝を抱え込むことでお尻の裏に付着する「大臀筋」に合わせて「ハムストリングス」もストレッチすることができます。椅子に座ってできるので手軽で安全に取り組めますが、ストレッチ効果は弱いストレッチになります。デスクワーカーや運動の初心者にオススメです。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
左右共に15秒×5回を目安にストレッチしましょう。
こちらのストレッチは、片膝を伸ばして前屈するハムストリングスのストレッチです。椅子に浅く座り、膝を伸ばしたまま行うことでハムストリングスを効果的にストレッチすることができます。オフィスでデスクワークが多い方やご高齢者のストレッチとしてもオススメです。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
片足10〜15秒×5回を目安にストレッチしましょう。
こちらは、足を開脚することでハムストリングスを伸ばしていきます。できるだけ大きく足を開き、つま先を自分に向けるようにするとストレッチ効果が高まります。椅子に座った姿勢は、膝が曲がりやすい姿勢でもありますが、日頃柔軟体操をすることができないデスクワーカーなどにはオススメです。時間を見つけてハムストリングスを伸ばしていきましょう。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
左右共に10〜15秒×5回を目安にストレッチしましょう。
スポーツテストなどの体前屈でもお馴染みのストレッチです。こちらの運動は、膝の裏に付着するハムストリングスの柔軟性を高めることができます。膝を伸ばしたまま、できるだけ前屈していきましょう。
【ストレッチのポイント】
こちらのハムストリングスのストレッチは、片足を階段や段差の上に乗せたストレッチ方法です。段差を活用することで膝が伸びやすくなりハムストリングスの柔軟性を高めることができます。自宅の階段やちょっとした段差を使用するのも良いでしょう。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
左右共に10〜15秒×5回を目安にストレッチしましょう。
椅子を支持したハムストリングスのストレッチです。前屈運動は、一般的に膝の裏に付着するハムストリングスの柔軟性を高めることができますが、お尻を後方に引くように意識し、腰を丸めることで背中に付着する脊柱起立筋や多裂筋も柔軟性を高めることができます。
ハムストリングスや背中の筋肉過度な緊張状態になると腰痛や肩こりの原因になります。デスクワークなどで長時間の同姿勢が続く方などは小まめなストレッチをオススメします。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
10〜15秒×5回を目安にストレッチしましょう。
多裂筋の姿勢別のトレーニングとストレッチについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎多裂筋とは|腰痛に効果的なトレーニングとストレッチ【全12種】
スポーツ愛好家などに取り組んでいただきたいハムストリングスのストレッチです。椅子や机の上に足を乗せてストレッチしていきます。かなり難易度が高くなるストレッチ方法ですので、転倒に注意して取り組みましょう。
【ストレッチのポイント】
【目標回数】
12〜15秒×5回を目安にストレッチします。
デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
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