高齢者が毎日運動するために|介護予防・機能維持のためにおすすめしやすい運動・エクササイズ

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2024/01/10

高齢になっても、毎日運動をして体の機能を維持することはとても重要です。しかしどうしても運動が億劫になり、運動不足になる方も多いでしょう。そこでこの記事では、家でも毎日運動できるようなエクササイズをご紹介しています。

高齢者が毎日運動することのメリットと重要性

高齢者は、毎日運動することが健康維持につながります。ここでは、高齢者が毎日運動することのメリットと重要性について詳しく解説します。

参考:理学療法ハンドブック シリーズ8

筋肉量の維持・向上

高齢者が毎日運動を行うメリットは、筋肉量の維持や向上が期待できることです。

一般的に筋力や筋肉量は、加齢に伴い減少します。特に、運動しない人は筋肉量の減少が顕著です。

運動不足の状態が続いてしまうと、筋肉量の減少を引き起こし、健康を損ないかねません。

筋肉量を増やすためには、筋力トレーニングや散歩などの有酸素運動が推奨されています。

腰痛や膝痛の予防・改善

運動は、腰痛や膝痛などの体の痛みを予防・改善する効果があります。体を動かさないと筋肉や関節は固くなり、痛みを引き起こしやすい状態になってしまいます。

また、運動不足で筋力が衰えたり、血流が悪くなったりすることが痛みの原因になる可能性もあるでしょう。

定期的に運動することで、筋肉や関節を柔らかい状態に保てます。また、筋力が強くなると関節を支える力が強くなるため、痛みを予防しやすくなります。

腰痛や膝痛があると、運動に消極的な方も少なからずいるでしょう。しかし、体を動かさないことで痛みが悪化し、さらに動かなくなる負のスパイラルに陥ります。

痛みを改善するためにも、できる範囲で運動をしましょう。ただし、運動によって痛みを悪化させる可能性もあるため、運動方法に注意は必要です。

生活習慣病の予防・改善

運動をすることで、生活習慣病の予防や改善が図れます。生活習慣病とは、食事や運動、ストレスなどの生活に深く関わって発症する病気の総称です。高血圧症や脂質異常症、糖尿病などが含まれます。

運動不足は、生活習慣病の原因になりかねません。運動によって消費エネルギーを増やすことで、肥満の予防や改善、血圧や血糖値が正常に保ちやすくなります。

また、運動は血管自体を強くしなやかにする効果があるため、脳卒中や心臓病などの血管に関わる病気の予防にも有効です。

認知症の予防

認知症の予防や改善にも、運動は役立ちます。

運動習慣がない人と比較して、運動習慣がある人は認知症のリスクが低いとされています。

体を動かすことで、脳の血流量や酸素の供給量が増加し、認知症の予防に効果が現れると考えられています。

認知症を予防するために、積極的に運動を取り入れるとよいでしょう。

特に有酸素運動と脳のトレーニングを組み合わせた運動は、脳の血流をより促進させるため、有効とされています。

介護予防に役立つ運動プログラムの紹介

運動は、介護予防にも効果があります。ここでは、介護予防に役立つ運動プログラムを紹介します。

体力低下や体の痛みなどを理由に、運動に対して消極的な方もいるかもしれません。しかし、少しでも体を動かすことが重要です。できる範囲で生活に運動を取り入れてみましょう。

座ってできる簡単な足の運動

座ってできる足の運動を紹介します。足の筋力は、立ち上がりや歩く際など移動する能力に大きく関わります。

椅子に座りながら簡単にできる運動を紹介しますので、できそうな運動を選択してください。

無理な運動はケガにつながりかねませんので、注意して行うようにしましょう。

参考:厚生労働省 介護予防マニュアル第4版

太もも裏(ハムストリングス)のストレッチ

片側の膝を伸ばして、両手を膝の上に置きます。

膝が曲がらないように注意しながら、体をゆっくりと前に倒しましょう。

「気持ち良い。伸びてる。」と感じる範囲で、片脚20〜30秒伸ばします。

足上げ運動(腸腰筋の筋力トレーニング)

座った状態で、片側の太ももをできるだけ高く上げます。

ゆっくりと5秒かけて上げて、5秒かけて下しましょう。10回2セットを目標にしましょう。

膝伸ばし運動(大腿四頭筋の筋力トレーニング)

片側の膝をできるだけ真っすぐに伸ばします。

その際に、つま先は天井に向けるようにしましょう。

ゆっくりと5秒かけて上げて、5秒かけて下します。10回2セットを目標にしましょう。

かかと上げ運動(下腿三頭筋の筋力トレーニング)

両脚のかかとをできるだけ高く上げます。つま先は床に着けたままにしておきましょう。

20回2セットを目標にしましょう。

股開き運動(大腿筋膜張筋の筋力トレーニング)

太ももにタオルを巻き、自らタオルを引っ張り、股が閉じるようにします。

自ら引っ張っているタオルに負けないよう、股を開く方向に向かって、脚に力を入れます。

10回2セットを目標にしましょう。

足の指を動かす運動(足趾屈筋群の筋力トレーニング)

足の指がグー・チョキ・パーの形になるように動かします。足の指が動く範囲でかまいません。

10回2セットを目標にしましょう。

お尻上げ運動(下肢全体の筋力トレーニング)

椅子からお尻を少しだけ上げて、下ろす運動です。

何かに掴まって行ってもかまいません。

10回2セットを目標にしましょう。

毎日続けられる全身運動

椅子に座ったまま行える全身運動を紹介します。

全身運動は持久力を向上させ、心臓・肺・血管を強くする効果があります。

椅子に座って行う運動は、転倒などの危険も少なく、比較的安全に行えます。これから紹介する全身運動も、無理のない範囲で行ってみましょう。

参考:国立長寿医療センター 認知症予防マニュアル 記憶力の向上を目指したプログラム

座って足踏み運動

椅子に浅く座り、歩くときをイメージして足踏みをします。背筋を伸ばして、胸を張り、腕も大きく振りましょう。

1セット100回を目標にしましょう。

サーキットトレーニング

有酸素運動と筋力トレーニングを交互に繰り返す運動です。

複数の運動を組み合わせて行うため、全身の運動になります。

体への負担が大きくなる場合があるため、体調に合わせて行いましょう。

サーキットトレーニングは、運動の組み合わせを自由に変えられます。座って行う運動の例を以下に紹介します。

  1. 座って膝伸ばし
  2. 座って足踏み
  3. 両手上げ運動
  4. 足踏み

それぞれの運動の目安は15〜30秒です。例に挙げた運動を2〜3セット行うことを目標にするとよいでしょう。

口の機能を向上させる運動

ここでは、口の機能を向上させる運動を紹介します。口の機能とは、飲み込みやしゃべることに関連する能力のことを指します。

口の機能が低下すると「食べれない、飲み込めない」「しゃべりにくい」といった障害につながります。

また、口の機能低下(嚥下機能)が影響して、高齢者の死亡原因に多い誤嚥性肺炎を引き起こす可能性は否定できません。

そのため、口の機能を維持向上させることは健康の維持において重要になります。

参考:国立長寿医療研究センター健康長寿教室テキスト第2版

唇の運動

  • 唇を前に突き出して「うー」と発声する
  • 唇を横に引いて「いー」と発声する

舌の運動

  • 舌を下に出す
  • 舌を上に出す
  • 舌を右に出す
  • 舌を左に出す

発声の運動①

「パ・パ・パ」「タ・タ・タ」「カ・カ・カ」を繰り返し発声します。

スピードを速くしたり、遅くしたりしてみましょう。

発声の運動②

「パ・タ・カ・ラ」と繰り返し発声します。

スピードを速くしたり、遅くしたりしてみましょう。

早口言葉

早口言葉を3回繰り返します。

  • 例① なまむぎなまごめなまたまご(生麦生米生卵)
  • 例② となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ(隣の客はよく柿食う客だ)

高齢者が運動する適切な頻度・時間の目安

運動の効果をしっかりと得るためには、適切な頻度や時間の設定が重要になります。ここでは、高齢者の運動時に意識するべき頻度や時間について解説します。

参考:厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

高齢者の運動頻度は週3日以上が推奨

高齢者において、推奨されている運動頻度は週3日以上です。運動を開始した初期は疲労が蓄積しやすいこともあるため、運動した次の日には体を休める日(休息日)を設けるとよいでしょう。

運動に慣れてきたら、毎日運動することを目指しましょう。

運動や生活活動で1日40分以上は体を動かす

運動の時間について、運動や生活活動を含めて1日40分以上を目指すよう推奨されています。

生活活動とは、家事や労働など生活の中で体を動かす活動のことを指します。たとえば、農作業や掃除機をかける、台所の手伝いなどがあります。

1日に40分も運動することは難しいと感じる方もいるかもしれません。しかし、運動だけではなく、生活活動と合わせて40分以上は体を動かすという意識であれば、目標を達成しやすくなります。

掃除や買い物、外出などを生活の中に積極的に取り入れましょう。

また、1日40分以上の活動は、歩数に換算すると1日約6000歩以上に相当するといわれています。時間を目安にすることが難しい場合は、万歩計をつけて、1日の歩数を活動の目安にするとよいでしょう。

座っている時間が長くならないようにする

生活の中で、座っている時間が長くならないように注意しましょう。

厚生労働省の報告では、座っている時間が長いと健康を害するという報告があります。

連続して30分以上座っているときは、途中で立ったり歩いたりするなどして、座っている状態を中断することを推奨しています。

1日の中で座っている時間が長い人は気をつけましょう。

運動習慣がない利用者におすすめしやすい毎日できる運動

ここでは、運動習慣がない方でも実践しやすい運動を紹介します。

短い時間でも運動を継続することが習慣作りの基礎になります。1日10分程度の短い時間から始めてみましょう。

座ったままできるストレッチと体操

ここでは、座った状態でできるストレッチや体操を紹介します。

行えそうな運動を気軽に試してみましょう。

  • 首のばし:ゆっくりと頭を上、下、右、左の方向に動かす
  • 両手上げ運動:両手をバンザイするように挙げ、できるだけ上に伸ばす
  • 体を横に曲げる:両手を挙げたままの状態で、左右に体を傾ける
  • 体をねじる:首と体をねじるようにして、左右に回す
  • もも裏ストレッチ:片膝を伸ばした状態で、手でつま先を掴むようにする
  • お尻伸ばし:反対脚の外側のくるぶしを太ももの上にのせた状態で、体を前方に倒す
  • つま先上げ踵上げ運動:両足のつま先と踵を交互に挙げる

気軽にできる筋力トレーニング

筋力や筋肉量が向上すると、転倒予防にも効果が現れるとされています。

疲れや痛みに注意して、無理のない範囲から筋力トレーニングを始めてみましょう。

以下に気軽に行える筋力トレーニングの例を挙げますのでご参考ください。

  • 座ったまま腕の筋トレ:胸の前で両方の手のひらを合わせる。できる範囲の力で、右手と左手で押し合う
  • 座ったまま片脚上げ運動:片脚をできるだけ高く上げた状態で数秒間維持する
  • 座ったまま膝伸ばし運動:片方の膝を伸ばす。つま先を上に向けた状態で行う
  • 座ったまま腹筋運動:右肘と左膝、左肘と右膝がくっつくように近づける
  • スクワット:足を肩幅に開き、立った姿勢から少しだけ両膝を曲げて伸ばす
  • 踵上げ:壁やテーブルに手で触れながら立ち、両方の踵をしっかり上げる
  • 片脚立ち運動:壁やテーブルに手で触れながら、片方の足を浮かせた状態で立つ

散歩

散歩は、最も気軽に始められる運動の1つです。特別に必要な道具はありませんが、なるべく歩きやすい靴を用意しましょう。

高齢者において、散歩などの有酸素運動は1日20分程度行うことが推奨されています。

運動に慣れていない方は、20分歩くことを大変に感じるかもしれません。その場合は、生活の中で歩く機会を増やすとよいでしょう。

以下に生活の中で歩く機会を増やす方法の例を紹介します。

  • 車で出かけた際に少し遠い駐車場に止める
  • なるべく階段を使う
  • 歩いて外に出かけたときにわざと遠回りをして帰る

意識して歩く機会を増やすだけで、十分な運動になります。

また、散歩仲間を作ることも運動を継続するきっかけになり得ます。友人に声をかけて一緒に散歩するのも効果的でしょう。

高齢者が運動を始める際の注意点

高齢者が運動を始める際の注意点について解説します。高齢者の体調は変化しやすく、運動が重大なケガや事故につながる場合もあります。

原則として、運動前には健康状態をチェックし、体調が悪いときや普段と調子が違うときは運動を控えるようにしましょう。

血圧や脈拍に異常がないかチェックする

運動を開始する前に、血圧や脈拍を測定しましょう。血圧や脈拍は全身の状態を把握する指標になります。

普段と比べて血圧や脈拍の値が大きく異なる場合、運動を控えましょう。

準備体操や整理体操を行う

運動を開始する前の準備体操と、運動をした後の整理体操(運動後に体調を調整するための運動)を行いましょう。高齢者は関節や筋肉が硬くなりやすく、準備運動なしでは上手く力が入らないことがあります。

そのため、急に運動を行うと、ケガをしてしまうかもしれません。

また、運動後の整理体操は疲労感の軽減や柔軟性の維持・向上に有効です。運動後の整理体操も健康増進のために取り入れるとよいでしょう。

こまめに水分補給を行う

運動の前後や運動中には、こまめに水分補給を行いましょう。

高齢者は体内の水分を失いやすく、喉の渇きも感じにくい傾向があります。運動に伴い熱中症や脱水症のリスクが高まるため、水分補給はとても重要です。

無理な運動はしない

運動を継続することで効果が高まります。そして、そのために重要なことは、無理をしないことです。

無理な運動は、関節や筋肉を痛め、ケガの原因になります。安全に楽しく運動を継続するために、無理な運動はしないようにしましょう。

高齢者が運動を続けるための工夫とモチベーション維持の方法

運動の効果を得るためには継続が重要です。そのためには、工夫をこらし、モチベーションを保つ必要があります。

ここでは、高齢者が運動を続けるための工夫やモチベーション維持の方法について解説します。実践できそうな方法から試してみましょう。

以下に運動を続けるための工夫や、モチベーション維持の方法の例を紹介します。

  • 体の能力を数値化して、運動の効果を可視化する
  • 運動日誌をつけて、運動してきた内容を振り返れるようにする
  • 一緒に運動をするグループや運動仲間を作る
  • 運動を行う目的や目標を立てる
  • 勝ち負けなどのゲーム要素を取り入れる

運動を続けるモチベーションは、人によって異なります。そのため、一人ひとりに合う方法をみつけることが重要です。

さまざまな方法を試して、自分に合った方法を探してみましょう。

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少しの運動を継続することで大きな効果が得られる

高齢者が毎日運動するための方法や頻度、注意点などを紹介しました。運動は、身体機能の維持や生活習慣病の予防など、健康維持に関する重要な効果を生みます。

座ってできる簡単な運動や散歩など、普段より少しでも多く体を動かす意識をしましょう。少しの運動を継続することが習慣作りのきっかけとなり、大きな効果を得ることができます。

運動を継続するための工夫としては、目標を立てたり、一緒に運動する仲間を作ったりすることが効果的です。

また、運動を毎日継続するためには、それぞれの方に合う方法を見つけ、無理しない程度の負担を見定めることも大切になります。

安全面に注意して、楽しく運動をしましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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