股関節のリハビリ|立位でできる中殿筋・大殿筋・太もも筋肉トレーニング

機能訓練

下肢

更新日:2024/07/24

股関節の運動指導にも様々な方法がありますが、今回は、立位で行う股関節の筋トレや体操などのリハビリの方法を「環境」や「道具」別にご紹介をしていきます。中殿筋や大腿筋膜張筋、大殿筋、ハムストリングスなどの筋力アップのため、椅子を使った股関節のトレーニング方法、バランスディスク/アジリティディスクやボールを使用したトレーニング方法など。  

立位での股関節のリハビリを環境や道具別でご紹介!

この記事では「環境」や「道具」別に立位でできる股関節のトレーニングをご紹介します。

道具や環境を変えることで、利用者様や患者様に合わせた運動方法を提案することが可能となります。

デイサービスでの機能訓練などの際に、セルフエクササイズ指導など、ぜひご活用ください。

股関節のトレーニングの前にまずはストレッチを行おう

トレーニングの前にまずはストレッチが大切です。トレーニング前にストレッチを行うことは、怪我の予防やパフォーマンスの向上に非常に重要です。ストレッチをすることで筋肉が柔軟になり、血流が増加し、トレーニング中の可動域が広がります。また、筋肉の緊張をほぐすことで、トレーニング後の筋肉痛も軽減されます。

  • 足の付け根のストレッチ
    • 片膝を立て、もう片方の膝を床につけて、前後に開脚する姿勢をとる
    • 前に出した膝を曲げながら、腰を前に押し出す
    • 足の付け根(腸腰筋)が伸びるのを感じながら、20~30秒キープ
    • 反対側も同様に行う
  • 太もも内側のストレッチ
    • 座った状態で両足の裏を合わせ、膝を外側に開きます
    • 両手で足のつま先をつかみ、背筋を伸ばしたまま体を前に倒します
    • 20~30秒間この姿勢を保持し、内ももが伸びているのを感じます
  • 太もも外側のストレッチ
    • 壁に手をついてバランスを取ります
    • 右足を左足の後ろにクロスさせます
    • 体を左にゆっくりと倒し、右の太もも外側を伸ばします
    • 20〜30秒キープし、反対側も同様に行います

「椅子」を使った股関節のトレーニング方法〜その1〜

まずは椅子を使用した運動方法のご紹介です。

こちらの運動は股関節の伸展運動と外転運動になります。中殿筋や大腿筋膜張筋、大殿筋、ハムストリングスなどの運動効果が期待されます。

中殿筋と大殿筋はいわゆる「お尻の筋肉」で、大腿筋膜張筋は太ももの外側、ハムストリングスは太ももの裏側の筋肉になります。

代償動作として体が横に倒れてしまったり、前に倒れてしまうことがあり、椅子への過剰な物的支持などに注意し、体幹の動揺・姿勢制御を心がけて運動を指導しましょう!

運動初心者からスポーツをされている方まで取り組める姿勢別のハムストリングスのストレッチについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎姿勢別のハムストリングスストレッチ 全18種について
 

「椅子」を使った股関節のトレーニング方法 〜その2〜

こちらの運動も椅子を使用し、立位バランスが不安定な方に物的支持として使用します。

この方法は、股関節の屈曲+内転という運動になります。一方の足を軽く前に出していただき、そのままの状態を維持しながら足を内側に動かします。

代償動作として体が横に倒れてしまったり、前に倒れてしまうことがあり、椅子への過剰な物的支持などに注意し、体幹の動揺・姿勢制御を心がけて運動を指導しましょう!

「バランスディスク/アジリティディスク」を使用した股関節のトレーニング方法

立位バランスを強化するディスクを使用した運動方法のご紹介です。

こちらの運動は片脚立位とスクワットになりますので、膝の痛みや膝折れ、転倒には十分注意しましょう。

「ボール」を使用したトレーニング方法

ボールを使用した運動方法のご紹介です。

ボールを使用し、太ももの内側である「内転筋群」を賦活することで、体幹筋力やバランス能力向上にも効果的とされています。

股関節の伸展と膝関節の屈曲を伴う運動方法ですので、膝の疼痛や転倒には注意しましょう。

股関節に負担をかけないトレーニング方法

股関節に負担をかけないトレーニングをご紹介します。スタンディングヒップアブダクションという左足の中臀筋のエクササイズです。

  • 壁や椅子に手を置いてバランスを取ります。
  • 片足を横に持ち上げ、ゆっくりと戻します。
  • お尻の筋肉に意識を集中させます。
  • 10〜15回繰り返し、反対側も同様に行います。

股関節の筋肉を鍛えることによる効果

股関節の筋肉を鍛えることによってどのような効果があるのか、ご紹介します。

腰痛を和らげることができる

股関節の筋肉を鍛えることで、骨盤や背骨をしっかりと支える力が増し、腰にかかる負担が軽減されます。特に腸腰筋や大殿筋を強化することで、腰の安定性が向上し、腰痛の予防や軽減に効果があります。これにより、日常生活や運動中の腰痛を和らげることができます。

姿勢を改善することができる

股関節周りの筋肉を強化すると、骨盤の位置が正しく保たれ、全体的な姿勢が改善されます。正しい姿勢を保つためには、股関節の筋肉が重要な役割を果たします。特に、腸腰筋や臀筋を鍛えることで、骨盤の前傾や後傾を防ぎ、背骨の自然なカーブを保つことができます。これにより、姿勢の改善と同時に肩こりや背中の痛みの軽減にもつながります。

歩く歩幅(可動域)を広げることができる

股関節の筋肉を鍛えることで、関節の可動域が広がり、歩く際の歩幅が大きくなります。特に腸腰筋や大腿四頭筋、ハムストリングスを強化することで、股関節の柔軟性が向上し、より大きな動きをスムーズに行えるようになります。これにより、歩行時の効率が上がり、長時間歩いても疲れにくくなります。また、歩行の安定性も向上し、転倒リスクの低減にもつながります。

まとめ

ゼロから始める股関節のリハビリ立位偏。今回は立位で行う股関節のリハビリ「第2弾」をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

デイサービスをはじめ、リハビリの専門家がいない施設において、運動の導入編として是非ご利用ください。

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。
▶︎【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

関連記事