高齢者の「立ち上がりのふらつき」について|正しい介助・ふらつきをおさえる体づくり

介助

更新日:2024/01/09

高齢になると立ち上がるときにふらつくことが多くなり、転倒の原因にもなります。ふらつきの原因は様々ですが、筋力低下や姿勢など、体の使い方が原因になることも多いようです。ここでは、利用者が立ち上がるときに介助する方法や立ち上がりのふらつきをおさえるための体づくりなど、介護サービス提供者が押さえておきたいポイントを紹介していきます。  

高齢者の「立ち上がり」が困難になる理由

高齢者の立ち上がりが困難となる理由として、おもに「身体機能」と「環境」による問題があげられます。ここではそれぞれの理由について詳しく解説します。

身体機能による問題

まず、身体機能の低下によって立ち上がりが困難となっている可能性があります。

とくに以下の要素は立ち上がりに影響しやすいと考えられています。

  • 筋力の低下

加齢にともなって大腿四頭筋や腸腰筋、大臀筋などの下半身の筋力が低下すると、立ち上がりが困難となります。

  • 関節の硬さ

膝や足首の関節が硬くなり、立ち上がるために必要な可動域が確保されていないと動作が行いにくくなります。

  • バランス能力の低下

バランス能力が低下することで、上体を前に出しにくくなったり、立つ際にふらついたりする原因となります。

環境による問題

自身の身体機能だけでなく、環境による問題でも立ち上がりが困難となるケースもあります。

立ち上がりに関係しやすい要素としては、以下の通りです。

  • 椅子やベッドが柔らかくないか

椅子の座面やベッドが柔らかすぎると力が入りにくくなり、立ち上がるのが難しくなります。

  • 椅子やベッドが高すぎ・低すぎないか

椅子やベッドが高いと立ち上がりは行いやすくなりますが、足が床から離れてしまうほど座面を高くしないように注意しましょう。

また、座っているときに膝が90度以上曲がるほど座面が低いと、立つ際に筋力がさらに必要となり、立ち上がりが難しくなります。

  • 立ち上がるためのスペースがあるか

力が十分にあっても、上体を前に出せないほどスペースが狭い場所だとしたら、立ち上がるのに苦労してしまいます。

高齢者が転倒しやすい場所とは?

平成22年度の内閣府の調査によると、自宅で転倒した場所でもっとも多いのが屋外である「庭」の36.4%で、その次が屋内の「居間・茶の間・リビング」の20.5%でした。

以降で転倒しやすい場所は「玄関」「階段」「寝室」という順番となっています。

また、転倒した後にケガがなかった割合は33.3%であり、それ以外は打撲や擦り傷などの何かしらのケガを負っています。

3人に2人が何かしらのケガを負う可能性があると考えると、いかに転倒が危険であるかがわかるでしょう。とくに庭やリビングなどでは、転倒を防ぐための対策を考える必要があります。

参考:内閣府ホームページ|3 転倒事故(2023年12月18日確認)

椅子から立ち上がる際にふらつく原因

椅子から立ち上がる際にふらつく原因としては、以下の要素が考えられます。

  • 姿勢の悪さ
  • 関節の硬さ
  • 筋力の低下

高齢になると、筋力の衰えや背骨の変形によって背中が丸まり、姿勢が悪くなります。背中が丸々と立ち上がる際の前方への重心移動がうまく行えず、立ったときにバランスを崩しやすくなるでしょう。

その他にも、膝や足首の関節が硬かったり、下半身の筋力が低下したりしていると、立ち上がりが困難となります。また立ち上がりにくいからといって、勢いだけに任せて立とうとすると、余計にバランスを保てずに転倒につながります。

人が立ち上がる際の基本的な体の動きとは

人が立ち上がりをする際の動作の流れは、以下の通りです。

  1. 足を後ろに引く
  2. 上半身を前傾させて重心を前方向に移動させる
  3. お尻が浮いたら股関節と膝関節を伸ばして立つ

このいずれかの流れがうまくいかないと、立ち上がりが困難となります。立ち上がりの際の動作を理解することで、どこを介助すれば良いかがわかりやすくなります。

立ち上がりを安定させる方法

高齢になると身体機能の衰えによって、椅子から立ち上がる際にふらつきやすくなります。

利用者・高齢者に立ち上がりのふらつきをおさえる方法を伝える際は、以下の3つを意識しましょう。

  1. 重心を前に移動させるために、椅子は浅く座って足を引いておく
  2. 上半身を前傾してスムーズに重心を前に移動し、足に体重を乗せる
  3. お尻が離れたら足の裏に体重を乗せながら姿勢をまっすぐにする

これらのポイントをおさえたうえで、安定した立ち上がりを行いましょう。

高齢者の立ち上がりがスムーズになる介助方法

高齢者の立ち上がりをスムーズにするための介助は、以下のような流れで行います。

【1.立ち上がるための準備】

立ち上がりをする前の準備として、声かけをしましょう。「これから立ち上がりますよ」とただ伝えるのではなく、立ちやすいポジションに誘導することが大切です。

たとえば、深く座っていると重心が後ろに残って立ち上がりにくくなるので、「椅子に浅く座ってください」と伝えます。

膝が伸びている場合は「膝を曲げて足を後ろに引きましょう」と伝えて、足に体重を乗せられるように誘導しましょう。

【2.立ち上がる際の介助】

要介護者の身体機能の度合いに応じた介助を行います。そこまで介助を要しない方であれば、手や肘を支えて立ち上がりを支援しましょう。

中等度以上の介助量が必要な方は、脇を支えて行う場合もあります。その際に要介護者も介護者の手や肩を支えてもらうことで、立ち上がりが安定しやすくなります。

【3.立ち上がりの誘導】

実際に立ち上がる際の誘導をします。このとき、要介護者の上半身の前傾を促し、お尻が浮いた段階で上方に誘導していきましょう。

上半身の前傾が不十分だと、介護者の介助に依存した立ち上がりとなってしまいます。介護者ありきで立ち上がりを促すのではなく、正しい動作を誘導して自身の力で立ってもらうようにすることが大切です。

立ち上がりのふらつきをおさえる「体づくり」とは

立ち上がりを安定させるためには、筋力の維持が不可欠です。立ち上がりの動作を理解するだけでなく、介護予防のための体操に取り組んでもらうことが大切です。

ここでは筋力を維持してもらうための体操をご紹介します。

【もも上げの運動】

  1. 姿勢をまっすぐにして座る
  2. 太ももを交互に上げる
  3. 休憩しながら20回×3セット行う

もも上げは股関節を曲げるための腸腰筋を鍛える運動です。太ももを上げる際は身体を大きく後ろにのけぞらないように注意してください。

【体幹前傾運動】

  1. 姿勢をまっすぐにして座る
  2. まっすぐな姿勢を維持しながら体幹を前傾させる
  3. 姿勢が崩れない程度まで前傾したらゆっくり戻る
  4. 2〜3の手順を10回×3セット行う

立ち上がりの際に上半身の前傾を促すための運動です。前傾する際は腰が曲がらないように注意し、股関節をしっかりと屈曲させるようにしてください。

ふらつきやすい方は杖を持ちながら行うのもおすすめです。

【ふくらはぎのストレッチ】

  1. 立った状態で片足を後ろに下げる
  2. 後ろに下げた足は伸ばしたままにしておく
  3. 体重を前に移動しながらふくらはぎを伸ばす
  4. 20秒キープしたら元に戻る
  5. 交互に2セットずつ行う

立ち上がりの際に必要な、足首の関節可動域を確保するためのストレッチです。ふらつきやすい方は壁や机などで支えながら行ってみてください。

立ち上がり動作を理解してふらつきを防ぐためのサポートを

高齢者が立ち上がりの際にふらつきやすくなる理由としては、身体機能と環境による問題があげられます。とくに屋外の庭や屋内のリビングは転倒しやすい環境とされており、そこからケガにつながる恐れもあります。

立ち上がる際のふらつきや転倒を防ぐには、まずは本来の動作を把握することが必要不可欠です。そのうえで、適切な介助によって立ち上がりをサポートすることが大切です。

ぜひ今回の記事を参考にして、立ち上がりでふらつかないようにするためのポイントをおさえておきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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