高齢者のための簡単介護予防体操7選

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更新日:2025/05/26

デイサービスでは、介護予防の一環としてさまざまなレクリエーションや体操が行われています。ときどき新しい動きやレクリエーション、ゲーム要素などをプラスしつつ、利用者が楽しくできる環境を作ってあげると飽きずに取り組めるでしょう。この記事では、介護予防に役立つ体操をいくつかご紹介していきます。

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介護予防体操とは

介護予防体操とは、加齢による身体機能の衰えを防ぐことを目的とした体操です。介護予防体操を利用者に提供することで、介護度の改善や介護予防につなげられます。

体操は誰でも気軽に行える運動であり、筋力・体力や可動域の改善も期待できます。

そのため、体力や力に自信がない高齢者におすすめです。さまざまな自治体で住民に向けて、オリジナル介護予防体操が発表されています。 

介護予防体操の対象者

介護予防体操の対象者は、以下の通りです。

  • 体力や力の衰えを感じる方
  • 運動習慣をつけたい方
  • 普段の生活に支障を感じる方
  • 動くとすぐに疲れてしまう方
  • ふらつきを感じるようになった方

このような方は介護予防体操の実施がおすすめです。

明確に対象者が決められているわけではないので、普段の生活で衰えを感じたと思った方は、ぜひ介護予防体操を行う習慣をつけてみましょう。

また、病気やケガで運動制限がある方や、医師によって運動を止められている方は体操を行うことでリスクが生じる可能性があります。

そのような方は、自己判断で体操を行わないように注意してください。

デイサービスで行える介護予防体操

デイサービスでは「機能訓練」と「レクリエーション」を介護予防体操目的で提供しています。機能訓練とは、日常生活に必要な動作の維持・改善を目的とした運動のことです。

「機能訓練指導員」と呼ばれる職員とともに、機能訓練で体操や運動を実施します。集団や個人でさまざまな内容を行うレクリエーションでも、体操を行うケースもあります。

ゲーム要素を取り入れたり、集団で行ったりすることも多いため、楽しく体操に取り組めるでしょう。

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介護予防に役立つ体操7選

ここでは介護予防で役に立つ体操をご紹介します。

手・腕を鍛える体操

【用意するもの】

背もたれのある椅子

【必要な広さ】

両手を広げても他の方に当たらない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 椅子に座る
  2. 腕を外側に肩の位置まで上げて、肘を曲げる
  3. 腕を時計回りに10回回す
  4. 反時計回りに10回回す
  5. 手順1の姿勢に戻り、手を広げながら肘を伸ばして腕を前に出す
  6. 肘の曲げ伸ばしを10回行う
  7. 2〜6の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

なるべく腕は大きく動かすように促しましょう。運動の際は肩甲骨の動きも意識しながら行うと、肩周りの筋肉にも効きやすくなります。

腕や肩、手首の筋トレにはペットボトルを利用した体操もおすすめです。こちらの記事ではさまざまなバリエーションを紹介しています。
握力・筋力のリハビリ・作業療法|ペットボトル体操で筋力アップする方法

体幹を鍛える体操

【用意するもの】

背もたれのある椅子

【必要な広さ】

両手を広げても他の方に当たらない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 椅子に座る
  2. 手をつま先につけるイメージで上半身を前に倒す
  3. 10秒間キープしたら元に戻る
  4. 手をクロスさせて上半身を左右に10回捻る
  5. 両手を持ち、姿勢を正したままできるだけ高く10回上げる
  6. 2〜5の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

運動時は腰や肩の痛みが出ない範囲で行うようにしてください。上半身を倒す運動をする際は、前方に転倒しないように注意しましょう。

体感トレーニングもたくさんのバリエーションがあります。いろんな運動に取り組むことで飽きずに続けられますので、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
明日からできる高齢者向け体幹トレーニング

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足を鍛える体操

【用意するもの】

背もたれのある椅子

【必要な広さ】

足を伸ばしても前の方に当たらない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 椅子に座る
  2. つま先を10回上げる
  3. 踵を10回上げる
  4. 膝を交互に20回曲げ伸ばしをする
  5. 太ももを交互に20回上げる
  6. 2〜5の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

膝の曲げ伸ばしの体操をするときはゆっくり行いましょう。太ももを上げる体操では、上半身が後ろにのけぞらないように正しい姿勢で行うことを意識してください。

下半身の筋力アップは展望投資にもつながる重要なトレーニングです。座位でもできるメニューがたくさんあるので、ぜひ参考にしてください。
【理学療法士監修】下肢筋力トレーニング|高齢者が座位でできる筋力トレーニング22選

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全身を動かす体操

【用意するもの】

背もたれのある椅子

【必要な広さ】

両手を広げても他の方に当たらない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 椅子に座る
  2. 両手と両足を動かして足踏み運動を20回行う
  3. 頭の後ろに両手を組む
  4. 右足を上げると同時に、左肘を右足に近づける
  5. 左足と右肘も同じように行い、交互に20回行う
  6. 2〜5の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

体操をするときは背もたれに寄りかからず、姿勢を伸ばした状態で行ってみましょう。

椅子に座ってできる体操は運動習慣のない人でも気軽に始められます。以下の記事を参考にして楽しく運動習慣を身に着けてください。
デイサービス体操 全21種|高齢者が椅子に座ってできる運動方法のご紹介

立った状態で行う体操

【用意するもの】

机や手すりなどの支えになるもの

【必要な広さ】

立った状態で窮屈にならない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 足を肩幅程度に広げる
  2. その場で足踏みを20回行う
  3. 膝が足の前に出ないようにしながらスクワットを15回行う
  4. 踵上げを15回行う
  5. 足を真横に開く体操を15回行う
  6. 2〜5の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

バランスを崩さないように、机や手すりなどのいつでも支えられるような場所で行いましょう。スクワットは膝を90度以上曲げると関節に負担がかかりやすくなるので、曲げすぎには注意してください。

足を真横に開く体操では、上半身が傾かないように注意しましょう。

少し慣れてきたら立位のメニューを増やしていくのもおすすめです。

リズム良く体を動かす体操

【用意するもの】

背もたれのある椅子

【必要な広さ】

両手を広げても他の方に当たらない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 椅子に座る
  2. 右足→左足の順番で足を前に出す
  3. 足を前に出したら右足→左足の順番で戻す
  4. 2〜3の手順を1セットとして5セット回行う
  5. つま先→膝→肩の順番で手をつき、最後に両手を上に伸ばす
  6. 両手を上に伸ばしたら肩→膝→つま先の順番で再度手をつく
  7. 5〜6の手順を1セットとして合計5セット行う

【体操をするときのコツ】

リズム良く身体を動かすように意識してみましょう。動きがぎこちない場合は、実施者が手拍子をしてリズムをとりながら行うのがおすすめです。

ダンス要素がある体操はレクリエーションにも最適です。以下の記事でも道具なしでできるレクリエーションを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
道具なしでできる!すぐにできる『簡単なレクリエーション』12選!

バランスを鍛える体操

【用意するもの】

机や手すりなどの支えになるもの

【必要な広さ】

立った状態で窮屈にならない程度の広さ

【体操の手順】

  1. 机や手すりなどに手を添える
  2. 右足の踵と左足のつま先をつけてバランスをとる
  3. 10秒間キープしたら元に戻り、反対の足で行う
  4. 片足立ちを行い10秒間キープする
  5. 元に戻ったら反対の足で行う
  6. 2〜5の手順を2セット行う

【体操をするときのコツ】

バランスを鍛える体操はふらつきやすいので、転倒に十分注意して行ってください。支えのあるものを強く持つのではなく、軽く添えることを意識してみましょう。

慣れてきたらバランスディスクで負荷を高くするのも良いでしょう。いろんなバリエーションをプラスしていくと、飽きずに続けられます。
バランスディスクの効果と使い方|高齢者向け・バランスを鍛えるトレーニング

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体操の頻度と時間

介護予防体操は、無理のない範囲で継続することが大切です。一般的には週に2〜3回、1回あたり15〜30分程度を目安に行うのが効果的とされています。毎日少しずつ取り入れたい場合は、1日10分前後の短時間でも構いません。大切なのは、本人の体力や体調に合わせて、習慣として続けることです。

介護予防体操の効果

簡単な介護予防体操でも、継続することでさまざまな効果が期待できます。主な効果には以下のようなものがあります。

  • 筋力の維持・向上:太ももや背中などの大きな筋肉を動かすことで、立ち上がりや歩行が楽になります。
  • 関節の可動域改善:肩や股関節を動かすことで、衣服の着脱やトイレ動作がスムーズになります。
  • 転倒予防:バランスを整える体操を取り入れることで、ふらつきやつまずきを減らすことができます。
  • 血流促進:全身を動かすことで血行が良くなり、冷えやむくみの予防にもつながります。
  • 認知機能への刺激:声を出しながら行う体操や、手足を左右交互に使う動きは、脳の活性化にもつながります。
  • 気分のリフレッシュ:軽く身体を動かすことで気分が晴れ、生活にリズムが生まれやすくなります。

このように、簡単な体操でも身体的・心理的な健康維持に大きな役割を果たします。継続することで、要介護状態の予防や、生活の質の向上にもつながります。

介護予防体操を習慣化してもらうには?

介護予防体操を習慣化してもらうためには、どのような工夫がおすすめなのでしょうか。ここでは体操を継続するためのポイントを解説します。

体操の重要性を理解してもらう

まずは体操の重要性を理解してもらいましょう。体操の意味を十分に理解できていないまま行っても、本人のモチベーションは上がっていきません。

加齢によって身体機能が低下しやすくなる点や、体操の継続によって介護度の改善や介護予防につながる点などをあらかじめ説明しておきましょう。

重要性を理解することで、体操のモチベーションが高まって習慣化につながります。

無理のない範囲から行う

体操は無理のない範囲で行うようにしてもらいましょう。一度に多くの体操を行うと、疲労が強くなる可能性があります。

その結果、体操するのがおっくうになり、途中でやめてしまう恐れがあります。人によって身体機能は異なるため、まずは無理のない範囲から行い、徐々に身体を慣らしていくことが大切です。

最初は軽めでも良いので、体操に慣れた段階で数や量を増やしていきましょう。

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体操のバリエーションを増やすコツ

体操のバリエーションを増やすコツとしては、以下の通りです。

  • 動画やネットで体操について検索してみる
  • さまざまな自治体オリジナルの介護予防体操を参考にする 
  • 今行っている運動から派生して考えてみる
  • 他の職員と話し合ってみる

動画やネットでも多くの体操を見つけられるので、まずはそれらを参考にしながらバリエーションを増やしてみましょう。

その後は、既存のものから新しい体操を作ったり、他の職員のアイデアを取り入れたりするのがおすすめです。自分だけで考えるのには限界があるので、さまざまなアイデアから取り入れてみましょう。

介護予防対応に関する質問

介護予防のための体操や運動は、高齢者の健康寿命を延ばし、自立した生活を維持するためにとても重要です。しかし、「どんな体操がいいの?」「痛みがある時はどうしたら?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。ここでは、よくある質問にお答えしながら、介護予防に役立つ体操や運動のポイントを紹介します。

介護予防に役立つ体操にはどんな種類がありますか?

代表的なものには、筋力を維持するスクワットやかかと上げ運動、関節の動きを保つストレッチ、転倒を防ぐためのバランス訓練があります。座ったままでできる体操も多く、無理なく取り組めるのが特徴です。

そもそも高齢者に必要な体操は何ですか?

高齢者にとっては、筋力・柔軟性・バランス能力をバランスよく維持する体操が重要です。たとえば、足腰の筋肉を鍛える運動は転倒予防に役立ち、肩や膝の関節をほぐす動きは生活動作を円滑にします。全身をまんべんなく動かすことがポイントです。

日常生活でできる介護予防の運動は?

日々の暮らしの中でも、階段の昇り降りや台所でのつま先立ち、洗濯物を干す動きなどが自然な運動になります。テレビを見ながらの足踏みや、歯磨き中の片足立ちなども介護予防につながります。

介護予防の3つの柱は何ですか?

介護予防には「運動」「栄養」「社会参加」の3つの柱があります。運動で身体機能を保ち、バランスのとれた食事で栄養状態を良好にし、人との関わりを通じて心の健康を守ることが、介護予防の基本です。

体操中に痛みを感じたらどうすればいいですか?

痛みがある場合は、体操を中止してください。無理に続けると悪化することがあります。痛みの原因を見極めるためにも、医師や理学療法士などの専門職に相談するのが望ましいです。痛みのない範囲で別の体操に切り替えることも一つの方法です。

高齢者が体力をつける方法はありますか?

体力をつけるには、適度な運動の継続が最も効果的です。無理のない範囲でのウォーキングやラジオ体操、週に数回の筋力トレーニングなどが推奨されます。また、しっかりと栄養をとることや、十分な休養をとることも忘れずに取り入れることが大切です。

体操の重要性を理解して習慣化につなげよう

介護予防体操は、高齢者の身体機能の維持・改善を目指し、介護予防につなげるための重要な体操です。体操の内容を考える際は、腕や足、体幹などのさまざまなバリエーションを作ることを意識しましょう。

バリエーションが多いと身体のさまざまな部位・要素にアプローチしやすいだけでなく、実施者も飽きずに行うことが可能です。

また、体操を習慣化させるためにも、身体を動かす重要性を共有しつつ、無理のない範囲から行ってもらうことが大切です。

ぜひ今回の記事を参考にして、体操のバリエーションを増やしていきましょう。

集団体操やレクリエーションのプログラムを知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎デイサービス体操 全21種|高齢者が椅子に座ってできる運動方法のご紹介

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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