明日からできる高齢者向け体幹トレーニング

機能訓練

体幹(胴体・腰)

更新日:2022/02/16

今回ご紹介するのは、明日からでもすぐに使える高齢者向けの体幹トレーニングについて。高齢者における体幹トレーニングの必要性をはじめ、体幹トレーニングに重要な大腰筋と脊柱起立筋のエクササイズ、ハムストリングスのストレッチまでご紹介します。

体幹トレーニングとは

体幹トレーニングは、一般的なダイエットからスポート選手のトレーニングとしても有名ですよね。

体幹トレーニングをすることで、お腹や背中の筋力強化だけでなく柔軟性が得られるので、座っているときの姿勢や歩くときの安定性を高める効果はあります。

体幹をうまく使えるようになると、日常生活の中でからだを効率的に使えるようになるほか、スポーツのパフォーマンスを高めることもできます。

高齢者に体幹トレーニングが必要な理由とは

高齢者は、加齢にともない体幹の筋力が細く弱くなることがわかっています。体幹の筋力が低下すると姿勢が悪くなるだけでなく、歩く能力の低下や日常生活の動きにくさにつながります。

特に高齢者の場合、大腿四頭筋や三頭筋、大臀筋、広背筋、脊柱起立筋、大腰筋が衰退化しやすいと言われています。そこで、高齢者向けに体幹トレーニングをする場合は、これらの筋肉を意識してトレーニングすることが重要になります。

【参考】
大腰筋の運動中の機能について 平成28年10月17日

これからの介護業界は”効果的なリハビリ”が求められる時代に

2020年11月現在の社会保障審議会では、「科学的介護の実現を目指し、CHASEやバーセルインデックスなどのアウトカム評価による質の高い介護に対するインセンティブを拡充する」ことが議論されており、アウトカム評価を用いた介護サービスの質の向上が求められています。

そんな時代だからこそ、今から「効果的なリハビリを実現する仕組み」を構築し、効果を出せるデイサービスとして実績をつくることが重要になります。

リハプラン」なら、利用者にぴったりの目標設定が自動で提案されるだけでなく、2,200種類の運動マニュアルから最適な運動が提案されるので質の高いリハビリを提供できるようになります!確かなリハビリを届けることで高齢者もご家族も大満足!
2021年介護報酬改定の今こそ、そんなデイサービスに変わりませんか?

高齢者向け体幹トレーニング【開始時】

最初にご紹介するトレーニングは、負荷を下げた大腰筋のトレーニングです。

この運動は、股関節の屈曲と外旋を伴う複合的な運動で、体幹トレーニングを本格的に始める前のおすすめメニューです。おもに円背傾向の高齢者や膝に痛みのある方の関節運動として取り入れることも可能です。

高齢者向け体幹トレーニング【トレーニング時】

お尻歩きのトレーニング

続いては「お尻歩き」のトレーニングです。

特殊な道具を必要としない大腰筋トレーニングであり、円背傾向のご高齢者の姿勢改善に効果が期待できます。

【補足説明】
大腰筋のおもな働きは股関節の屈曲が中心ですが、わずかな外旋も行います。また、身体の中心に位置するインナーマッスルであることからも、姿勢や安定性にも大きく影響を及ぼします。

ヒト腸腰筋 (大腰筋, 腸骨筋) の筋線維構成について
平成28年12月1日

骨盤調整のトレーニング

高齢者向けに体幹トレーニングを行う上で、忘れてはならないのでが骨盤調整。

骨盤の動きは股関節や胸椎の動きの結果であり、日常生活では骨盤を意識的に動かすことはありません。股関節の可動域が低下することにより、骨盤の動きが悪くなり不良姿勢になります。不良姿勢は腰痛や肩こりの要因の一つになりますので予防的に運動することが大切となります。

こちらの運動は、骨盤のポジションを安定させ、股関節を動かすトレーニングをご紹介します。骨盤の位置と腰部分の骨、腰椎のコントロール能力を高め、正しい姿勢を促すことができます。

運動のポイントは呼吸を意識し、足を上げる際にしっかりと鼻から息を吸い、下ろす時にゆっくりと息を吐きます。また、骨盤が後傾しやすくなりますので「骨盤」と「呼吸」を意識して指導しましょう。

股関節や膝関節の位置感覚を養い、コントロール力を上げるためのトレーニングとしても最適なトレーニングとなります。是非運動処方に取り入れてみてください。

セラバンドのトレーニング

高齢者向けの体幹トレーニングとして、さらに運動強度を上げる場合にはセラバンドを使用します。

こちらの運動では、股関節や腰部へ負担が加わりますので注意して指導していきましょう。

パピーポジションのトレーニング

腹筋群の強化も、高齢者向けの体幹トレーニングで重要な要素のひとつ。その方法としてパピーポジションという運動があります。

こちらの運動、医療や介護現場では、骨粗鬆症をはじめ、各種腰痛体操として用いられており、おもに背中の筋肉を緩め、腹横筋などの体幹のインナーマッスルの筋力アップの効果が期待できます。

参照:腹臥位における体幹伸展動作時の筋活動の比較(平成28年10月17日)

高齢者向け体幹トレーニング【終了時】

トレーニング後は、ハムストリングのストレッチも忘れずに!

高齢者向けの体幹トレーニングを実施するためには、姿勢コントロールが重要であることをお伝えしましたが、特に股関節周辺においては、太ももの裏にあるハムストリングスの柔軟性が重要になります。

高齢者になると、このハムストリングスの柔軟性が低下して、猫背になってしまう方が多くいます。体幹のトレーニング後に、ハムストリングスのストレッチもあわせて取り組むことをおすすめします。

まとめ

今回は、デイサービスやデイケアなどで明日からできる高齢者向け体幹トレーニングをまとめてご紹介しました。

高齢者それぞれの状態や状況に合わせてうまくトレーニング方法を組み合わせて活用していただけたら幸いです。

書類業務の時間を減らし、利用者に向き合う時間を増やす

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定を通じて、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。

ですが、書類作成の負担や効果的な機能訓練の実施に不安のある方も多いのではないでしょうか?

介護リハビリ支援ソフト「Rehab Cloud リハプラン」』なら、そんなお悩みを解決します。書類作成業務の効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決をご支援します。



リハブクラウドでは、デイサービスの方向けに無料のメールマガジンを配信しております。日々のお仕事に役立つ情報や研修会のお知らせなどを配信します。ぜひメルマガ購読フォームよりご登録ください。

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事

他のテーマの記事をみる