特定施設入居者生活介護の開設・運営の基礎知識

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更新日:2026/08/07

特定施設入居者生活介護(特定施設)は、自宅で生活している方だけでなく、一定の基準を満たした特定の施設に入居している方においても日常生活を送る上で必要な介護保険サービスを受けられることが最大のメリットです。今回は、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な人員基準から介護報酬額、加算の種類などの基礎知識をまとめてご紹介します。

特定施設入居者生活介護とは

特定施設入居者生活介護とは、ご高齢者が可能な限り自立した生活を送れるよう、特定施設に入居している要介護者に対して介護サービス計画に基づいて食事や入浴、トイレなどの日常生活における支援や日常生活動作の獲得を目指した訓練などのサービスを提供できる居宅サービスです。なお、要支援者に対するものが、介護予防特定施設入居者生活介護です。

対象となる施設

対象となる施設は「有料老人ホーム」「軽費老人ホーム(ケアハウス)」「養護老人ホーム」の3種類です。サービス付き高齢者向け住宅も、有料老人ホームに該当するものは対象になります。

特定施設入居者生活介護指定の基準以外にも、理美容室、大浴場、リハビリ室などを完備されている施設も多くあるのが特徴です。

特定施設入居者生活介護の種類

特定施設入居者生活介護には、「内部提供型」と「外部サービス利用型」の2種類のタイプがあります。

外部サービス利用型特定施設入居者生活介護施設に入居しながら訪問や通所、福祉用具など外部の介護保険サービスが利用できる施設です。ケアプランやバイタルチェックなどは施設のスタッフが提供します。
内部提供型特定施設入居者生活介護介護サービスの提供は全て施設の職員が提供します。そのためケアプランの作成も施設のスタッフが作成します。

特定施設入居者生活介護の人員基準について

ここで、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な「人員基準」についてご紹介します。

特定施設入居者生活介護の人員配置は、介護職員以外にもケアマネージャー(ケアマネ)や看護師なども常勤で1人以上勤務しています。そのため、デイサービスなどに比べてもご家族もとっても安心です。




特定施設入居者生活介護の人員基準

生活相談員
ご利用者様:生活相談員=100:1以上配置する。但し、生活相談員のうち1人以上は常勤者。

看護職員と介護職員
要介護のご利用者様:看護職、介護職=3:1以上要支援のご利用者様:看護職、介護職=10:1以上配置する。但し、看護職員と介護職員共に1人以上は常勤者。

機能訓練指導員機能訓練指導員を1人以上配置する。※機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師(はり師・きゅう師については、これらの資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る)
介護支援専門員(ケアマネージャー)ご利用者様:介護支援専門員(ケアマネージャー)=100:1を配置し、計画作成担当者とする。

常勤管理者
管理職務に従事する常勤管理者を配置する。但し、管理上の支障が無い場合は同一事業所内の他の職務、又は同一敷地内の他の事業所の職務との兼務が認められます
【関連記事】
特定施設入居者生活介護の指定基準(人員基準・設備・運営)のまとめ
指定基準には「人員基準」や「設備基準」「運営基準」などがあり、特定施設を開業・経営するためには、この指定基準を満たすことが必要となります。ここでは、厚生労働省(2016)の指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する特定施設入居者生活介護における指定基準を抜粋してご紹介します。

特定施設入居者生活介護の介護報酬について

続いて、特定施設入居者生活介護を運営した場合の「介護報酬」についてご紹介します。

有料老人ホームでの特定施設入居者生活介護を利用される場合、介護保険から以下の介護報酬額(1割負担の場合)を支払われます。

区分1日あたりの単位数介護報酬(30日)本人の負担額(1割)
要支援1183単位54,900円5,490円
要支援2313単位93,900円9,390円
要介護1542単位162,600円16,260円
要介護2609単位182,700円18,270円
要介護3679単位203,700円20,370円
要介護4744単位223,200円22,320円
要介護5813単位243,900円24,390円

※介護報酬額は1単位10円・30日で計算した目安です。1単位あたりの単価は事業所の所在地の地域区分により10円〜11.40円の幅があるため、実際の金額は地域によって異なります。

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和6年4月・6月施行)(2026年8月5日確認)

特定施設入居者生活介護の加算の種類について

次に、特定施設入居者生活介護を運営した場合に算定できる「加算の種類」についてご紹介します。特定施設入居者生活介護の加算の種類には指定施設の体制によって、このような加算があります。

個別機能訓練加算(Ⅰ)1日につき12単位を加算
(Ⅱ)1月につき20単位を加算(個別機能訓練計画等の情報をLIFEに提出し、フィードバックを活用している場合)
入居継続支援加算(Ⅰ)1日につき36単位を加算
(Ⅱ)1日につき22単位を加算
生活機能向上連携加算(Ⅰ)1月につき100単位を加算(3月に1回を限度)
(Ⅱ)1月につき200単位を加算(個別機能訓練加算を算定している場合は1月につき100単位)
ADL維持等加算(Ⅰ)1月につき30単位を加算
(Ⅱ)1月につき60単位を加算
夜間看護体制加算(Ⅰ)1日につき18単位を加算
(Ⅱ)1日につき9単位を加算
若年性認知症入居者受入加算1日につき120単位を加算
協力医療機関連携加算相談・診療を行う体制を常時確保している協力医療機関と連携している場合:1月につき100単位を加算
それ以外の協力医療機関と連携している場合:1月につき40単位を加算
退院・退所時連携加算1日につき30単位を加算
退居時情報提供加算1回につき250単位を加算
看取り介護加算(Ⅰ)死亡日以前31日以上45日以下:1日につき72単位/死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位/死亡日以前2日又は3日:1日につき680単位/死亡日:1日につき1,280単位
(Ⅱ)死亡日以前31日以上45日以下:1日につき572単位/死亡日以前4日以上30日以下:1日につき644単位/死亡日以前2日又は3日:1日につき1,180単位/死亡日:1日につき1,780単位
認知症専門ケア加算(Ⅰ)1日につき3単位を加算
(Ⅱ)1日につき4単位を加算
口腔・栄養スクリーニング加算1回につき20単位を加算(6月に1回を限度)
科学的介護推進体制加算1月につき40単位を加算
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)1月につき10単位を加算
(Ⅱ)1月につき5単位を加算
新興感染症等施設療養費1月に1回、連続する5日を限度に240単位を算定
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)1月につき100単位を加算
(Ⅱ)1月につき10単位を加算
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)1日につき22単位を加算
(Ⅱ)1日につき18単位を加算
(Ⅲ)1日につき6単位を加算
介護職員等処遇改善加算所定単位数に加算率を乗じて算定します。特定施設入居者生活介護の加算率は次のとおりです。
(Ⅰ)イ 14.8%/ロ 15.9%
(Ⅱ)イ 14.2%/ロ 15.3%
(Ⅲ)13.0%
(Ⅳ)10.8%
※ロは生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ区分です
障害者等支援加算1日につき20単位を加算(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護のみ)

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和6年4月・6月施行)厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」(2026年8月5日確認)

直近の令和6年度介護報酬改定では、協力医療機関との連携体制の構築を評価する「協力医療機関連携加算」の創設、介護ロボット・ICTの活用を評価する「生産性向上推進体制加算」の創設、夜勤又は宿直の看護職員の配置を評価する「夜間看護体制加算(Ⅰ)」の新設などが行われました。さらに令和8年度の期中改定(改定率+2.03%)では、介護職員等処遇改善加算の加算率の引き上げと、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ区分の新設が行われています。

過去の改定内容(平成30年度)については、こちらの記事でまとめています。

【関連記事】
特定施設入居者生活介護の介護報酬改定のポイント(平成30年度)
介護付き有料老人ホームや軽費老人ホームなどの特定施設の介護報酬改定についてまとめてご紹介します。

特定施設入居者生活介護の減算について

加算とは反対に、基準を満たしていない場合に所定単位数から差し引かれる「減算」があります。開設・運営にあたっては、加算とあわせて減算の要件も確認しておきましょう。

身体拘束廃止未実施減算身体的拘束等の適正化のための措置を行っていない場合、所定単位数の10%を減算
高齢者虐待防止措置未実施減算虐待の発生・再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設置を行っていない場合、所定単位数の1%を減算(令和6年度改定で新設)
業務継続計画未策定減算感染症や非常災害の発生時にサービス提供を継続するための業務継続計画の策定、研修・訓練の実施を行っていない場合、所定単位数の3%を減算(令和6年度改定で新設)
人員基準欠如の場合の減算看護・介護職員の員数が基準に満たない場合、所定単位数の70%を算定

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和6年4月・6月施行)厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(2026年8月7日確認)

特定施設入居者生活介護を開設・運営するメリット

特定施設入居者生活介護では、介護認定を受けていない方でも入居が可能です。

また、施設によっては夫と共に住むこともできます。入居後に身体機能の低下により介護認定を受けた場合は、すぐに介護保険サービスを受けることができるため、24時間体制で介護を受けることができ、遠方に住むご家族も安心して入居していただくことが多いようです。

一方で、特定施設入居者生活介護では、入居一時金や月々の費用が高いと思われる方も多く、入居を懸念される方もいらっしゃいます。

まとめ

今回は、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な「人員基準」「介護報酬額」「加算の種類」などをまとめてご紹介しました。

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)の入居条件は、特に介護認定を受けている必要はなく、年齢も60歳以上、65歳以上など条件は施設ごとに異なります。施設によっては、介護認定を受けている必要があるなどの別途、入居条件を設けていることもありますのでどのような特定施設入居者生活介護を運営するかは事前に決めておきましょう。

今回の記事が、これから初めて特定施設入居者生活介護を開設・運営する皆様の参考になれば幸いです。
 

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