手首の骨折「橈骨遠位端骨折」のリハビリ方法・メニューをわかりやすくご紹介

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更新日:2024/07/02

高齢者に多い手首の骨折である「橈骨遠位端骨折」。デイサービスに通われる方にも多い骨折の1つです。この記事では、機能訓練指導員が理解しておきたい、橈骨遠位端骨折の原因や症状・基本的なリハビリの方法についてご紹介していきます。

橈骨遠位端骨折は高齢者に非常に多い骨折の1つです。

簡単に言うと「手首の骨折」であり、転倒を機に手をついて骨折することがご高齢の方では最も多い発症起点となります。

デイサービスに通われる方々の中で、転倒して手首を骨折したという方も多いと思います。今回この記事では、機能訓練指導員が橈骨遠位端骨折に対してどのような運動やリハビリを行うと良いのか基本的な部分をお伝えします。

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橈骨遠位端骨折とは

橈骨遠位端骨折とは


橈骨遠位端骨折とは、いわゆる手首の骨折でありご高齢の方に多い骨折の1つです。男女差でいえば女性に多い骨折となります。

転倒から手をついて骨折をするパターンが非常に多いのですが、デイサービスに通うご高齢者の中でも非常に多い骨折の1つです。この骨折をすると、手術という選択肢以外に手術をせずに保存療法という選択もあります。

保存療法の場合は「ギプス固定」をすることとなり、一定期間は固定することなります。あくまでも一般的となりますが、はおよそ1ヶ月間(5週間)の固定となります。ですが、年齢によるものやなかなかうまく骨がつかない場合などは固定期間が延長することも珍しくはありません。

骨折の種類として「コーレス骨折」「スミス骨折」「バートン骨折」と分類されますが、これらを1つ1つ説明していくとかなり細かく専門的になるので、この記事では割愛致します。

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デイサービスで橈骨遠位端骨折に対してできることは何か

デイサービスにおいて、術後のリハビリをするということはありませんので、基本的には後療法となります。

この骨折で厄介なのは、手首から指にかけて浮腫んでしまったり、手首の可動域が悪くなってしまったり、手首の痛みが残ってしまうということがあります。

また、合併症に「手根管症候群」を引き起こすことがあり、痛みに加えて指先のしびれといった症状が起こることもあります。

つまり、機能訓練指導員ができることとしては、
 

  • (浮腫が残存している場合)マッサージや温熱療法などで対応
  • 関節可動域練習
  • 手首、指先の筋力強化
  • 日常生活での手の使い方の練習
  • 自宅で行える運動処方
  • 日常的に使えるサポーターなどの提案

こういったことが挙げられます。

痛みの範囲内の中で上記リハビリを行うようにおすすめします。それでは、以下にどのような運動を行なったらいいのか一部ご紹介をしていきます。

橈骨遠位端骨折に対するリハビリ方法(一部紹介)

【手首のストレッチ①】

手首のストレッチ

肘を曲げて、お参りをするように手と手を合わせます。ストレッチをさせたい方の手に対して押し当てていきます。痛みのない範囲で行うようにしましょう。

もしこれで伸ばされているという感じがない場合は、肘を伸ばして手を前に出します。その状態のまま手首を反らすようにストレッチさせていきます。
 

【手首のストレッチ②】

手首のストレッチ

手首のストレッチ①とは逆に、手の甲を押してストレッチさせていきます。同様に伸ばされているという感じがしない場合は肘を伸ばして手を前に出して同じように手首をストレッチさせます。

【手首の筋トレ】

手首の筋トレ

写真では鉄アレイを持っていますが、これは鉄アレイではなくても大丈夫です。例えば、ペットボトルに水を入れたものでも結構です。重さを水の量で調整できるので非常に簡易的にできておすすめです。

鉄アレイやペットボトルを持ったまま、手首をゆっくりと持ち上げます。これを繰り返し実施するようにします。この際、肘が一緒に曲がらないように注意してください。

写真では手のひらが上に向いた状態で行っていますが、手の甲を上に向けた状態でも同様の運動を行うようにしてください。

こちらの運動も痛みのない範囲で行うように注意して実施してください。

【指の筋トレ】

指の筋トレ

胸の前で両指を引っ掛けるようにし、お互いの指を引っ張り合う(矢印方向)ようにします。脇が大きく開かないように注意しながら行うようにしてください。

まとめ

今回はデイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておきたい「橈骨遠位端骨折」の概要と基本的なリハビリの内容についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

骨折後のリハビリは病院で行うためその知識は必要ないですが、冒頭にも書いた通りこの骨折は浮腫や可動域制限が残りやすい骨折です。そのため、デイサービスに通う方の中にも手首の制限が残っている方もいるのでチェックしてみてください。

この記事が少しでも参考になれば嬉しく思います。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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